IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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今回は土曜日のデートに起こった出来事を書いた話です。


第42話

「単刀直入に言おう。一夏、私と嫁のためにダブルデートというものに付き合ってくれ」

 

俺と真耶はレゾナンスで困っている。

 

「えっと・・・一夏君?」

 

「どうしようか・・・」

 

ラウラのダブルデートの頼みだ。

 

「いや、別に俺と真耶じゃなくても・・・」

 

「イエスかヤーで答えてくれ」

 

「えっと・・・」

 

どうしてこうなったのかは、今から30分前に遡る。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「久しぶりだね。一夏君とレゾナンスでデートするなんて」

 

「本当はどこか遠出とか考えてたけど、お金が足りなくてレゾナンスになったんだ」

 

「ううん。一夏君とデートが出来るだけでも嬉しいの。学園で二人きりになれる時間が極端に減って、凄く寂しかった」

 

土曜日。俺はレゾナンスで久々に真耶とデートをしていた。お互い久々のデートだったので欲を抑えるのに必死だった。真耶はその日にも仕事があったが、午前中に仕事を全て終わらせてそのままレゾナンスに向かった。だから服装は学園にいる時と同じ。俺はジーパンに白のTシャツに長袖の黒シャツというオードソックスな服装だ。

 

「学園にいる時の服装だけど、嫌だった?」

 

「いいや。真耶はどんな服を着ても似合うから大丈夫だよ。それに、その服の真耶と一度デートしたかったんだ」

 

「良かった。じゃあ、今日は思い切って楽しもうね!」

 

早速俺の腕を掴み、俺を何処かに連れて行く真耶。そういえば、水着売り場の所が別の売り場に改装されていたから、真耶はそこに行きたいのかな?

 

 

 

「真耶、ここは・・・」

 

「ここね、最近オープンしたばかりなの。だから、最初は一夏君と一緒に行きたかったの」

 

たどり着いた場所。そこに吊り下げられている看板には、「コスプレルーム」と堂々と書かれていた。

 

「何でも、レゾナンスにあるカラオケルームのコスプレサービスの評判が良くてレゾナンス内でコスプレをしたまま、買い物ができるサービスが始まったの。だから、一夏君と一緒にコスプレして買い物したかったの」

 

確かに、ここに来るまでの間にコスプレをした人を何人か見かけた。何でコスプレをしてるんだろうと思っていたが、これが理由とは。

 

「ねぇ一夏君。どんな服を着ても似合うって言ったけど、どれが一番似合う?」

 

そう言い、俺に見せたのは・・・

 

・婦警

 

・女子高生の夏の制服

 

・チアガール

 

・猫パーカー

 

この4つである。

 

「サイズが合ってるのを選んだら、これ位しかなくて・・・」

 

分かってるけど、これ以外に無いのがおかしい。30着近くあるのに、真耶のサイズに合うのが4つしかないっておかしいでしょ。それとも真耶位の人がレゾナンスに多くいると言いたいのか?恐らく豊胸手術をしたに・・・

 

「そんなに真剣に考えなくて大丈夫だから一夏君」

 

「あ、ああ」

 

余計なことを考えるな。今は、真耶に似合う服を決めるんだ。とは言っても一択しかないけど。

 

「じゃあ、婦警さんの服で」

 

「分かった。じゃあ、ここで待っててね。すぐに着替えるから」

 

受付所で受付を済ませ、更衣室に入った真耶を見て俺はちょっと興奮していた。

 

「どんな姿になるんだろう」

 

恐らく、想像以上に似合ってるんだろうな。学園で真耶と一緒にいられなかったから、婦警姿の真耶が待ち遠しいよ。

 

「まだかな、真耶」

 

「アンタ、何してんの?」

 

「え?」

 

何やら聞いてはいけない声が聞こえたので、後ろを振り向くと・・・

 

「はぁ。やっぱりアタシがいないと駄目なんだから」

 

制服姿の鈴がため息をついていた。

 

「鈴!どうしてここに!?って、どうして制服?」

 

「今日の午前は、ISの練習をしてたからよ。で、昼食がてらにレゾナンスで休もうかと思ったら一夏を見つけたって訳。どうして一夏はこうも問題を起こそうとするの?」

 

何もしてないぞ俺は。

 

「一夏。あんたはアタシがいないと何かしらの問題を起こすから、これからアタシといなさい!」

 

「何の問題も起こしてないだろ?」

 

「起こしてるじゃない!山田先生と破廉恥な事を毎日して!」

 

それは・・・何も言い返せない。

 

「だから、あんたはアタシといれば何の問題も起こさない。あんたは強くなる。これ以上に良い事が無いって思わないの?」

 

「だから、俺は昔のように無闇に力なんか求めてないから」

 

「じゃあ、山田先生と破廉恥なことをしてたのはそれの証明だって言いたいの?」

 

「何でそうなるんだ!?」

 

「そうなるに決まってるじゃない!大体、山田先生と付き合ってる事自体危ないじゃない!教師と生徒が付き合ってるなんて!」

 

「ここで言うことじゃないだろ!?」

 

「言うことよ!そうじゃないとあんたが問題起こすんだから」

 

周りの人が集まって来た。これはヤバい。このまま、噂みたいに地域までに広まったらIS学園が色んな意味で崩壊する。

 

「だから、大事になる前にアタシといた方がいいわよ」

 

こうなったら、あの手を使うしかない!

 

「鈴・・・一つ勘違いしてるぞ」

 

「何よ?」

 

「俺と真耶は恋人として付き合ってなんかいない」

 

「え・・・そうなの?」

 

鈴はあまりの言葉に固まった。

 

「一夏・・・君?」

 

更衣室からこの世の終わりと言わんばかりの表情で婦警姿の真耶が出て来た。既に着替え終わっており、短いスカートで露見されている太腿、ちょっと苦しそうにしているブラウスに、周りの男性の視線は釘つけになっていた。

 

「だったら、山田先生と一緒に・・・」

 

鈴が攻勢になる前に手を打つ!

 

「俺は・・・」

 

 

 

「真耶と結婚を前提とした付き合いをしてるんだ!」

 

 

 

「・・・は?」

 

鈴は突然の事に少し混乱している。それもそうだ。何故なら、これは俺が心の中に閉まっていたことだ。分かるわけもない。嘘だと言われても仕方がない。今日初めて言ったから。

 

「真耶はどう思っているか分からない。でも、俺は真耶と結婚したいと思っている!」

 

「一夏君・・・」

 

「真耶、ゴールデンウィークの旅行の時に分かってたはずだよ」

 

「そう・・・だね。でも・・・正直に言われると・・・恥ずかしい」

 

真耶は顔を赤くしながらも、結婚を前提とした付き合いをしていると認識していた。

 

「一夏・・・」

 

「鈴、俺は・・・」

 

「見ない内にとんだスケベ野郎に落ちたのね・・・!」

 

「はぁ!?」

 

「山田先生と付き合ってる理由なんて、体目的なのはお見通しだから・・・!」

 

全然見通せてません。

 

「一夏・・・覚悟・・・」

 

鈴はISを部分展開しようとした時だった。

 

「一夏、そこにいたのか」

 

「ラウラ?」

 

まるで友達と遊んでいる最中はぐれてしまい、探しに行って見つけたかのように軍服を着たラウラは声を掛けて来た。

 

「何をしている?山田先生と3人で食事をする話だったはずだ」

 

「あ、いや、そんな話は・・・」

 

「行くぞ二人共」

 

ラウラは俺と真耶を無理矢理引っ張って、近くのファミレスに連れて行かれた。

 

「ちょっと!私は・・・」

 

「警備員さん。あの女性が探していた犯人だと思われます」

 

「ちょっと君。来なさい」

 

「えっ!?ちょっと、私は何もしてないわよー!」

 

鈴はラウラの命令に従った警備員さんにどこかへ連れて行かれた。

 

 

 

そして、冒頭に戻る

 

・・・・・・

 

 

 

「どうしてラウラとのダブルデートをしなくちゃならないんだ?」

 

「そうだな。先にそこまでの経緯を話さないといけなかった」

 

「お客様?何かご注文は?」

 

「ステーキを」

 

「かしこまりました」

 

注文を終えたラウラは俺と真耶にダブルデート提案の経緯を話した。

 

「更識楯無。彼女は私の嫁の姉であり、IS学園生徒会長であるのは知ってるな?」

 

「ああ」

 

「その楯無が私と嫁の付き合いに不服と感じ、あらゆる妨害工作を仕掛けてくる。夏休みは満足にデートもできなかった。デートを行おうとすれば尾行しては介入を行い、ムードを最悪の状態にさせる。休憩できるホテルに入ろうとした時は私を武力で鎮圧しようとした。夏祭りなんか楯無の介入でデートは中断。私は嫁と学園の外でちゃんと二人きりになったことが無いのだ」

 

ラウラは真剣に話しているが、所々楯無さんが止めに入る気持ちが分かる。休憩できるホテルって・・・

 

「だからお前と山田先生、私と簪のダブルデートを行えば互いに二人きりになれる時間を確保できて、共に幸せな時間が過ごせると思い提案した」

 

だからと言って、ラウラの気持ちが分からなくもない。恋人と一緒にいられないのは何より辛いのは俺だって知っている。だけど、ダブルデートをすると4人がなぁ・・・

 

「どうしようか・・・」

 

「それなら、これに賭けてみませんか?」

 

真耶はテーブルの上にチラシを広げた。

 

「実は今日と明日限定でレゾナンスで3000円以上のお買い物をしたお客さんに、旅行チケットが当たる抽選会を実施してるんです」

 

「つまり、私がその旅行チケットを手に入れれば嫁と二人きりになれると!」

 

「お待たせしました。ステーキになります」

 

ステーキが届いた瞬間、ラウラは雪崩の如くステーキを平らげた。ちゃんと噛んで食べよう。

 

「こうしてはおられん!早く目的の物を購入し、旅行チケットが当たる抽選会に参加しなければ!」

 

ラウラは颯爽と俺と真耶の分のお代を払い、本屋にダッシュで向かった。

 

「真耶。その旅行チケットってまさか・・・」

 

「本当は一夏君と一緒に行こうか考えてたけど、ボーデヴィッヒさんの悩みを聞いてたら応援したくなっちゃって」

 

真耶もラウラの辛さに共感してたのか。

 

「さあ、ボーデヴィッヒさんの為にも私たちも買い物しよ。じゃないと、逮捕しちゃうよ」

 

「分かったよ真耶婦警」

 

「ありがとう。未来の旦那さん」

 

俺と真耶もラウラの為に買い物をした。ラウラがちゃんと恋人と二人きりになれる時間を作れるように。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「いよいよだな・・・」

 

「ラウラ。そこまで肩に力入れなくていいから」

 

買い物をした結果、俺と真耶は3000円ぐらいの買い物が限界だったが、ラウラは15000円程の買い物をして、くじ引きを5回も引ける。15000円って、そこまで費やせる物って何だ?

 

「それでは、行くぞ!」

 

ラウラは意気揚々と抽選場へ向かった。

 

 

 

「バカな・・・これが現実だとでも言うのか!」

 

 

 

結果は全部ポケットティッシュである。

 

「まあ、そう上手くいかないんだな」

 

「くっ!・・・これでは楯無の思うつぼだ!」

 

このくじ引きは、楯無さん関与してないから。

 

「そういえば、真耶は・・・」

 

 

 

「おめでとう!一等当たりました!」

 

 

 

「「え?」」

 

男性店員が大声で一等が当たったと叫んでいる。その一等を当てたのは・・・

 

 

 

「一夏君、当てちゃった・・・」

 

 

 

真耶だ。そういえば、前にもこんな事があったような・・・

 

「一夏、お前の勝ちだ。その旅行・・・山田先生と存分に楽しむがいい」

 

ラウラは両膝を着き、物凄い絶望に打ちのめされているけど・・・

 

「真耶、そのチケットを・・・」

 

「はい、ボーデヴィッヒさん」

 

「何!?」

 

真耶はラウラに一等の旅行チケットを渡した。

 

「私に情けを掛けると言うのか?」

 

「いいえ。ボーデヴィッヒさんが恋人と一緒にいられない気持ちは物凄く分かります。だから、このチケットで存分に楽しんでほしいと思って渡しました」

 

「だが、お前達二人は・・・」

 

「織斑君との旅行デートはいつでもできるから、今はボーデヴィッヒさんの応援をするって決めたんです」

 

「山田先生・・・感謝する!」

 

ラウラは旅行チケットをポケットに入れ、立ち上がった。

 

「この恩は必ず返す。だが、今は嫁とのデートの為にここを去る!」

 

そう言い残し、ラウラは疾風の如く走り去った。

 

「ラウラのデート、どうなるんだ?」

 

「どうなるんだろうね」

 

そんな不安はあるが、とにかく良いデートになる事を祈ろう。

 

「真耶、そろそろ時間が」

 

「そうだった。それじゃあ、最後に写真撮影してもらおう」

 

「できるの?」

 

「うん。受付所の隣に別料金で写真撮影ができるの。だから、一夏君がカメラマンになって撮って欲しいの」

 

「プロのカメラマンみたいに撮れないけどいいのか?」

 

「一夏君はイヤ?」

 

婦警姿の真耶を俺が撮影する・・・断る理由が無い!

 

「イヤじゃない!撮りに行こう!」

 

撮影所で婦警姿の真耶は俺のリクエスト通りのポージングをしてくれたお陰で色々な写真が撮れた。これは俺の思い出の・・・

 

 

 

「私の弟にこんな淫らな趣味があったとはな・・・少し頭を冷やそうか」

 

 

 

千冬姉にその写真もろとも思い出の欠片にされた。

 

「何で撮影所にいるの!?」

 

「弟の考えぐらい分からなければ姉として失格だ!」

 

「分からないから!」

 

千冬姉が人としての原型を保っていない事に今更気付いた俺であった。




ラウラと簪の旅行デートは後程書きますので、ご期待ください。

それにしても、婦警姿の山田先生は最高だと思います。

ご意見、ご感想、お待ちしております。

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