書く事書いて、いらない所削っても5000字を超えるとは・・・
織斑マドカ視点
私、織斑マドカは相川、谷本、悪魔の三人に遊ばれている。
「マドカの過去に何があったのか知らないけど、人を殺すのは良くないよ」
「それに生身でISに勝てるからって、無茶しないで」
「そんな事してたら、マドっちが想いを・・・」
「黙れ悪魔」
もう少しで・・・後、もう少しで紅椿を破壊できたのに。どうして姉さんが邪魔をする!?
『マドカ。お前は普通の女として生きてくれ』
姉さんが私を止めに来た際にそんな台詞を吐いたが、それは束を殺してからでは遅いと言うのか。
「マドカ。もし、篠ノ之束を倒したらどうするの?」
「普通の女として生きる」
「でも、束さんを倒さなくても・・・」
「私は束を倒さない限り一歩も進めない人間になってしまった。あいつは私にとって呪いそのものだ」
私がこうなったのも、姉さんがああなったのも、兄さんがああなったのも、すべて束が原因だ。あいつさえ消せば世界は平和になる。そうすれば私と姉さんが力を振るう必要もなくなる。
「マドっちの言いたいことは良く分かったけど・・・」
「何だ?」
「胸はおっきくならないよ~」
あの悪魔は早急に殺そう。
「貴様を・・・処刑する!」
「マドカ、落ち着いて!」
「本音もマドカを怒らせない!」
相川と谷本が私を抑えつけるが、あの悪魔を殺させろ!どこか気が抜けてるように見せかけて、人の心を土足で踏みにじる悪魔など殺した方がマシだ!
「だって、ず~っと八つ当たりされたら・・・」
「まずは貴様の口を切り裂いてくれる!」
「それに、マドっちは全然変わろうとしないもん」
「何!?」
「いや・・・」
「皆、知ってるから」
「私は・・・自分が変わったと思っていたが・・・」
「変わったのは変わったけど、肝心な所が変わってないんだな~」
「これは・・・悪魔の囁きか?」
「「違うから!」」
「マドっちは頑なに力で行動する所があるから、余計に問題を起こす所があるんだよ~」
「そうなのか、二人とも?」
「うん。今は問題が起きてなくても、これから大丈夫かなって・・・」
「マドカは変わったには変わったけど・・・」
二人共・・・そんなに心配をしてたのか。
「マドっち、変わる事はそんなに怖くないんだよ~。だから・・・ね~」
・・・冷静になれば、三人に少しきつく当たっていたな。束がいなければ、束が殺せればそれで十分だと思っていた。仮に私が殺したとして、兄さんと姉さんが喜んでくれるだろうか。・・・少なくとも今まで通りの生活ができないのは確かだ。
「マドカの過去に何があったのか私は聞かないよ。過去に何かあったって、私達は友達じゃん」
「・・・
「うん。友達でしょ」
「
「マドっち、漢字が違うよ」
「・・・友達」
友達という言葉に少しの温もりを感じた。
「だから束さんの事は忘れて、学園生活を楽しもう」
谷本は私に手を差し伸べてきた。私を怖がらないなんて相当なモノ好きだな。
「・・・分かった」
「よし。じゃあ、最初はマドカのデートの服を考えなきゃ!」
・・・何!?
「そうだね!」
「私もまぜて~」
「ま、待て!何故私のデートの服装なんだ!?」
「マドカ、制服以外の服を持ってるの?」
「ああ、持ってる。南斗水・・・」
「ちゃんと考えないとね~」
「話を最後まで聞け!」
こうして私は三人にデートのコーディネートの事で振り回されたけど・・・
「友達か・・・」
友達と楽しむのも・・・悪くないな。
・・・・・・
織斑千冬視点
紅椿の戦歴データを閲覧したが・・・酷い戦いだ。
銀の福音の動きが完全に箒が攻撃できる様に動いている。しかも一夏に箒の必要性を示すためなのか、一夏に攻撃をしているが完全に箒が攻撃できる様に立ち回ってる。
『一夏!なぜ、あの密漁船を守る!?』
『確かにあれは密漁船だ。だからって見殺しにしていいわけ・・・』
『あいつらは犯罪者だ!死んで当然だ!』
『死んでいい命なんて・・・』
密漁船の事で言い合ってる内に、一夏は背後から銀の福音の攻撃を喰らい墜落。その後は見逃してくれるかのようにその場から動かず、箒は去って行った。
山田先生が一夏の救助に向かったが、意識不明の重体。
一夏が身を挺して守った密漁船は銀の福音によって落とされた。
・・・最悪の結果だ。
「私は何もできずにただ座ってるだけなのか・・・」
私はどうすればいい。打鉄は束が破壊され、乗れるISは無くなった。山田先生は一夏の様子を見に行ったきり戻ってこない。束はどこかへ逃げ隠れた。
「どうすればいいんだ・・・」
「教官」
「ボーデヴィッヒ」
背後にボーデヴィッヒがいたとは・・・
「私に提案があります」
「何だ、言ってみろ」
「私の計画は・・・」
ボーデヴィッヒが私に提案した計画は単純明快だ。
専用機五機を囮にして、紅椿で撃破するという内容だ。ボーデヴィッヒも束の作戦内容に不審に思い、勝手に紅椿の戦歴データを閲覧した所、この計画が思い浮かんだと言う。
「私達は束の手のひらで遊ばれているなら、思い切って遊んだ方が得策だと思います。束は神でもなければ、人を超越した存在でもありませんから」
今の私に計画を承認する権利など・・・
「教官には束の処理を頼みたいのですが」
「どういう意味だ?」
「目の前の現実を見れない女が世界を動かしてはいけないからです」
「・・・私もその一人だとしたらどうする?」
「少なくとも、生徒達を導びこうと努力する時点で束と大きな差があります」
ボーデヴィッヒ、お前はいつの間に成長したんだ?だが、今は理解者がいることが分かって気持ちが軽くなった。なら、私は今出来る事を精一杯やり遂げるか。
「では、この作戦の指揮はお前にすべて委ねる。隊員一人も欠けることなく作戦を遂行し、帰還せよ」
「了解しました。ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐。任務を遂行します」
束・・・今こそ決着をつけるぞ。
・・・・・・
織斑一夏視点
目を覚ましたら、そこには青空と見渡す限りの水面だった。どこからともなく波の打つ音と少女の歌声が聞こえる。
確か・・・俺は箒と言い合ってる内に背中から衝撃が来て、気を失ったんだ。
「そうだ!福音は!?」
俺は周りを見回したが、福音どころかIS一機も見当たらない。あるのは枯れた木と岩しかない。というより・・・
「ここはどこだ?」
何で水面の上に立ってるんだ。何で俺は制服姿なんだ?さっきまで流れてた少女の歌は?その少女はどこにいるんだ?俺は白式を展開していたんじゃ・・・
「力を・・・欲しますか?」
「え?」
背後から声がし、振り向くと・・・
白く輝く鎧を身に纏った騎士さながらの格好をし、巨大な剣を前に出し右手で剣を支えてる姿は・・・
「白騎士!?」
千冬姉がかつて乗っていた最初のIS『白騎士』がいた。
「何で白騎士がここにいるんだ・・・」
俺は混乱しながらも、聞いてみたい事を全部聞いてみた。
「ここはどこなんだ?」
「・・・」
「どうして、君がいるんだ?」
「・・・」
「俺は一体どうなったんだ?」
「・・・」
白騎士はすべての問いかけに答えてくれない。この様子だと、これ以上に大事な用があると思う。
「あなたは・・・力を欲しますか?」
今度は白騎士は俺に問いかけてきた。
「え?」
「あなたは・・・力を欲しますか?」
昔の俺だったら迷わず頷いてたけど・・・
「力は・・・いらないな」
「・・・何故?」
俺は白騎士の問いに笑顔で答えた。
「俺に必要なのは力じゃないってことかな。昔の俺だったら皆を守るために力を欲していたよ。でも、それを全部否定する人が現れたんだ。その人は押しに弱くて、天然で、ドジな所があって俺を困らせてたよ。でも、その人は力なんて欲さなかった。自分の持てる力でいつも頑張って生きていた。その人は俺なんかと比べても強いと今も思っている。それに、俺はその人のお陰で力より必要なものを得たんだ」
「力より必要なもの・・・それは何ですか?」
「人を信じる事かな」
「人を・・・信じる」
「ああ。誰も信じずに手に入れた力がどれほど虚しいのか、俺は嫌というほど知ったよ。その人が俺を信じて今も生きているから、俺はその人の信頼に応えるよう頑張って生きてきた。これからもそうするつもりさ。だから・・・」
俺は白騎士に手を差し伸べた。
「もう、仮面を外してもいいんだよ」
平静を装ってるつもりだけど、あの白騎士は泣いている。昔の千冬姉と同じで心に仮面を付けている。だから、今の俺が出来る事は彼女を自由にさせる事だ。もう仮面を付けて戦う必要はないんだ。
「・・・」
白騎士は巨大な剣を放し、俺の手を触れた。
「温かい・・・」
「人の温もりを感じ取れるのは素晴らしいことだって、その人は教えてくれた」
「あなたは・・・その人を愛してるのですか?」
「ああ、愛してる。その人も俺を愛してる」
「その人を守るために・・・あなたはどうするのですか?」
「自分の力で守るさ。俺は一人じゃない。家族と友達、恋人、お前が支えてるから大丈夫だよ」
「分かりました。私は・・・あなたとあなたを信じる人達を守る力になります。あなたは、自身の信じる道を歩んでください」
「分かった」
役目を終えたのか、白騎士は自らの手で仮面を外した。
「これで私も・・・自由に・・・」
仮面を外した白騎士の顔は良く見えなかったが、笑顔で俺を見送ってくれたのは鮮明に覚えている。
そして、白騎士は俺にある場所を示した。
・・・・・・
篠ノ之箒視点
私はラウラの発案した計画通りに銀の福音を退治しに行ったが・・・
「私のこの手が光って唸る!」
「未来を掴めと輝き叫ぶ!」
「喰らえっ!愛とッ!」
「正義とッ!」
「「幸せのォォッ!」」
「・・・ん?ハイパーセンサーに反応が?」
周りを見る限り、どうやら紅椿だけが反応している。どれどれ・・・
「!?」
ISの反応がある!しかも、一夏が寝ている小屋からそんなに離れてない所ではないか!
「こうしてはいられない!」
私は最大出力でその反応のある所に向かった。
「一夏・・・無事でいてくれ!」
・・・・・・
山田真耶視点
「お前はいっくんを弱くさせた原因。つまりウイルスなんだよ」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「そのウイルスは早く殺さないとね」
確か一夏君を救助した後、私は束さんに人気の無い所に連れられて・・・
『いっくんが大怪我した理由はお前だ。お前と言う存在がいっくんを弱くさせる。だから、お前はこの世界から消す』
と、自分勝手な理由で私に襲い掛かって来た。すぐにラファールを展開して、助けを求めようとしたら・・・
『通信ができない!?』
『お前に助けは来ない。この世界から消えろ』
束さんはリモコンのボタンを押した。すると、私の周辺を囲むように六体のISが降って来た。
『ゴーレムⅢのデータ収集の犠牲になれ』
私は体に襲い掛かる悪寒を振り切り、『ゴーレムⅢ』六体と戦った・・・
「ぐはっ!」
「お前はいっくんを弱くさせた原因。つまりウイルスなんだよ」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「そのウイルスは早く殺さないとね」
絶対防御を無効にする能力に加え、大型ブレードやシールドビットによる連携攻撃に、私はゴーレムⅢ一体を破壊するのがやっとだった。
「ゴーレムを一体倒すなんて生意気だな。いっくんに纏わりつく理由が分からないな」
「好きだから・・・」
「あぁ?」
「私は一夏君を・・・」
「お前の話は聞きたくない。私の視界から消えろ」
私はゴーレムⅢの蹴り飛ばされ、ラファール待機状態になってしまった。
「いっくんには箒ちゃんがいれば良い。お前みたいなゴミは早々消えた方が良い」
ゴーレムⅢは私の首を強く握りしめた。
「くっ・・・」
私には抗う力が残っていない。ただ、足をじたばた振る事しかできない。
「ばいば~い」
束のお別れの声を最後に私の意識は・・・
「真耶ぁぁぁ!」
「いっくん!?」
今の声って・・・
「真耶から・・・離れろぉ!」
私の首を掴んでいたゴーレムは目の前から消えた。そして目の前にいるのは・・・
「一夏・・・君?」
「ああ。ごめん、遅れて来て」
「ううん・・・私は・・・一夏君が・・・生きてて・・・」
私は溢れ出る涙を拭い切れず、一夏君に抱き寄せた。
「良かった・・・一夏君が生きてて・・・」
「何があっても俺は真耶を守る。クリスマスの時、俺はそう言ったよ」
「分かってる。でも、私は怖かった。一夏君がいなくなるんじゃないかって」
「大丈夫。俺はここにいるから」
私は一夏君の意識が戻ったことに・・・
「ちょっと、いっくん!束さんを無視しないで!というより、なんでその姿になってるの?」
「え?」
「一夏君・・・その姿は・・・」
一夏君が展開しているのは白式ではなかった。
「ほう・・・この束さんも予想だにしないことが起こるとは」
「あいつが俺の為に・・・」
白式より白く輝く装甲にスラスター、一回り大きい左腕、所々フォルムは違うけどその姿は・・・
「白騎士?」
「ああ。きっと、俺の想いを受け止めてくれたんだと思う」
一夏君は笑顔で答えてくれた。
「真耶、ここは危険だから安全な所に避難してくれ」
「分かった」
私は岩場の影に隠れて、一夏君を見守ることにした。
「これ以上、みんなを悲しませてたまるかぁーッ!」
一夏君は雪片弐型を強く握り、ゴーレム達に突撃しに行った。
今回の話で、一番苦労したのは一夏視点の話です。
どうやって原作との差異をだすか、一夏を懐かしい気分にさせた少女はどう絡ませるか、と言うよりその少女はこの作品には必要なのかと、悩みに悩みました。悩んだ結果・・・
「少女の絡みより、白騎士との対話を重視すべき」
と思い、この様な話になりました。
第二形態・雪羅ではなく白騎士にさせたのも、
『一夏が白騎士の気持ちを理解し、白騎士が一夏の気持ちを理解している』
と言う表れであります。
互いの気持ちを理解してこそ、誰かを守る事ができると作者は考えています。
原作は・・・相互理解できることを祈っています。
次回は白式こと白騎士と、SHINOBIこと千冬の活躍を執筆する予定です。
ご意見、ご感想、お待ちしております。