IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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難産でした。

構想を練って執筆しては書き直し・・・

暑さで思うように書けず・・・

それでも何とか書き上げた話です。

どうか、暖かい目で見守ってください。


第23話

一夏君とボーデヴィッヒさんの戦いでのトラブルが原因でクラスリーグマッチは中止になった。

 

二人のISを調査したところ、ボーデヴィッヒさんのISにあらゆる企業・国家での開発が禁止されているシステムが搭載されていることが分かりました。

 

それを知った織斑先生は後日ドイツに赴き、事情聴取を行うと言ってました。

 

ボーデヴィッヒさんのISに飲み込まれた一夏君は織斑先生とマドカさんの手で救出されたけど・・・

 

「織斑先生・・・一夏君は?」

 

「意識は戻ったがそっとした方がいい。まだ気持ちの整理がついていない」

 

「・・・そうですか」

 

一夏君の心は深い傷を負っている状態で、誰にも会いたくないと言っています。

 

 

 

織斑先生に対する劣等感、他人との拒絶、過去への恐怖

 

 

 

それらを私に甘えて逃げる。

 

それが今の一夏君だとボーデヴィッヒさんは指摘した。

 

でも・・・

 

「山田君」

 

「は、はい!」

 

「気持ちは分かるが今はその時ではない」

 

「で、ですが・・・」

 

「逸る気持ちを抑えろ。私だってどうにかしてやりたい。だが、私ではどうすることもできない」

 

「織斑先生・・・」

 

「私は力でしか物事を上手く伝えられない不器用な教師だ。だが山田君は力ではなく言葉と心で物事を伝えるのに長けている。そのお前が逸る気持ちを抑えられなければ、あいつを救うことはできない」

 

そう言い、織斑先生は私にある用紙を渡した。

 

「これは大浴場の男子解禁の時間が記されている紙だ。それに書いてある事を一夏に伝えろ。私はボーデヴィッヒに事情聴取を行う」

 

そう言い、織斑先生は寮長室へ向かって行った。

 

「私に出来ることは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は今まで何をやって来たんだ・・・」

 

夕暮れ。俺はベットに座り、自分を責めていた。

 

俺は真耶を守るために今まで頑張ってきた。真耶の幸せを願っていた。だけど・・・

 

 

 

(自分の弱さを認められない者が何かを守る事など出来ない)

 

(貴様は自分の弱さを山田先生とそのISで隠していたな)

 

(今のお前は無いものを求め、泣いている子供だ)

 

 

 

俺は必死に否定した。俺は一人で戦ってるんじゃないんだと心に強く念じたのに・・・

 

「それでも・・・俺は・・・」

 

ラウラに負けた。ISの技術だけでなく、人としても・・・

 

 

 

コンコン

 

 

 

誰かが俺の部屋に入ってきた。

 

「兄さん」

 

マドカだった。

 

「マドカ・・・」

 

だけど俺を心配しに来たわけではない。何かこう・・・修正されそうな予感が。

 

「ついて来い」

 

「・・・え?」

 

「黙ってついて来い」

 

 

 

 

 

 

俺はマドカについて行き、着いたのは剣道場だ。

 

「マドカ、一体ここで・・・」

 

「私と戦え」

 

「え?」

 

マドカは俺に竹刀を投げ渡し、何かの構えを取った。

 

「ま、待てよ!俺とマドカが戦う理由なんてないだろ!?」

 

「あるから戦おうとしてるではないか」

 

俺の妹はこんなに戦闘狂だったけ?

 

「それに今の兄さんなら1分もかけずに倒せる」

 

30秒未満で俺がKOされる姿しか思い浮かばないんだが・・・

 

「それに私にはこれぐらいしかできないからな」

 

「どういう意味だよ?」

 

「兄さんが恐れているのは過去でも他人でも姉さんではない。山田先生だ」

 

マドカの言ってる意味が分からない。

 

「マドカ、何を言ってるのか分からないよ」

 

「兄さんは山田先生のために強くなっていった。だがそれは、山田先生に構ってほしいという裏返しなんだ。自分だけに構ってほしい。自分だけを見てて欲しい。自分だけに・・・」

 

「違う!マドカ、俺はそんな・・・」

 

「私の目は誤魔化せないぞ」

 

俺の竹刀の握る手が強くなった。

 

「だから・・・私は自分ができる事を全力でするだけだ!」

 

マドカは高らかにジャンプをした。

 

「断己相殺拳!」

 

マドカの体から三日月のような何かが俺にめがけて飛んできた。

 

「本気かよっ!」

 

俺は竹刀で何とか切り払ったがマドカの殺気が消えることはなかった。

 

「シャオッ!」

 

マドカの攻撃は収まる気配がない。

 

「くっ!」

 

「ドコヲミテイル?」

 

「くそっ!」

 

「どうした!その程度の力では無いはずだ!」

 

マドカは攻撃の手を緩めず、俺に襲い掛かってくる。

 

「それで山田先生を守れるとでも思っていたのか?」

 

「何!?」

 

「そうでないと言うなら全力で掛かって来い」

 

「くそぉ!」

 

俺は持てる力を振り絞り、マドカに戦いを臨んだ。

 

「そんなに早く死にたいか?」

 

マドカはそんなに俺を殺したいのか?

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

あれから30分ぐらい経ったのだろうか、俺はマドカに一撃も与えていない。

 

まるで手に取るかのように俺の攻撃を避け続ける。

 

「どうすれば・・・どうすれば当たるんだ!」

 

妹の目には俺は惨めな兄として見られてるだろう。

 

「邪念の入った攻撃などこの私には通じんぞ」

 

「邪念だと?」

 

「そうだ。それを無くす方法は一つだけだ。兄さんの想いの全てをその竹刀に込めろ」

 

「俺の想い・・・」

 

するとマドカは警戒しつつも構えを取るのを止めた。

 

「姉さんから聞いた。昔の兄さんの話を」

 

「!!」

 

「今の兄さんは、まるで姉さんの言った昔の姿そのままだ。どうして身の丈の合わない力を身に着けようとする?」

 

「・・・真耶を傷つけた償いかな」

 

俺はマドカだけに強くなろうとする理由を話した。

 

「二年前、俺の地元で無差別誘拐殺人事件があったんだ。犯人は計画的に人をさらって殺しては、証拠となるものは残さず、警察や地元の人に脅迫状を送って怖がらせる性質の悪い奴だったよ」

 

「極刑は逃れられないな」

 

「その犯人は俺の友達の妹をさらったんだ。だけど決死の行動で妹は助かったけど、その友達は大怪我を負ったんだ。俺は友達の情報と証拠のブツを頼りに一人で犯人を捜し始めた」

 

「それに感付かれて、山田先生が誘拐された」

 

「ああ・・・」

 

俺の額から汗の量が増え始めた。

 

「俺は真耶の事なんか気にもかけていなかった。友達の妹をさらい、その友達に大怪我を負わせたことに俺は怒っていた。いや・・・その時、何も出来なかった自分に罪悪感を感じてた。俺はそのまま怒りと憎しみを犯人にぶつけた。犯人はナイフを慣れた手つきで俺に斬りかかって来たけど、俺はそんなことも気にせずに犯人に鉄パイプで斬りかかってた・・・」

 

胸の高まりが収まらなくなってきた。ラウラの言ってることが間違ってないと確信したからだ。

 

「気付いたら犯人の両手と両足が満足に動かなくなるまで叩きのめしてた。その時の俺は怒りと憎しみで相手を叩きのめしていた。俺は犯人にとどめを刺そうと・・・」

 

「そして山田先生を傷つけた」

 

マドカの言葉に俺は静かに頷いた。

 

「ああ。俺は犯人を庇った真耶に・・・」

 

「ありがとう。これ以上言わなくて大丈夫だ」

 

「え・・・?」

 

「私は兄さんが何を恐れてるのか分かれば十分だ。それに・・・」

 

「それに?」

 

「それをどう対処すべきか、兄さんは知ってるはずだから」

 

一瞬、マドカの笑顔が真耶の笑顔とダブって見えた。

 

「さて、お喋りはこれまでだな」

 

「あ、ああ・・・」

 

突然話を打ち切られた事に疑問を感じながら構えたが、竹刀が軽くなったような気がする。

 

(どうやら、憑き物が落ちたみたいだ・・・)

 

マドカは何故か笑みをこぼしてるんだが、何故だ?

 

「次の一撃で終わりにする」

 

「ああ・・・こっちもそうさせてもらう!」

 

少しだけど・・・俺の力で何をすべきか分かってきたよ。

 

「フゥゥゥゥ・・・!」

 

マドカは高らかに飛び、俺は静かに目を閉じた。

 

「俺は・・・」

 

「南斗水鳥拳奥義!」

 

「俺は・・・!」

 

「飛翔白麗!」

 

「真耶と友達の明日を守るんだ!」

 

拳と剣。その二つが剣道場で交わった時、轟音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛っ!マドカ、手加減したっていうけど・・・結構痛い」

 

剣道場での一戦、マドカの圧勝だ。

 

あの後、マドカが大浴場の男子解禁の時間と日時を教えてくれたけど、どこからそんな情報を手に入れたんだ?

 

それに、あの拳法を破るには・・・・・・人間を辞める以外の方法が浮かばない。でも・・・

 

「真耶と友達の明日か・・・」

 

友達って、弾と蘭と清香と癒子とのほほんさんと静寐の六人か。

 

あの三人(箒とセシリアと鈴)は・・・守らなくても勝手に蘇りそうだから大丈夫か。

 

 

 

カラカラ

 

 

 

ん?誰か浴場に入って来たけど・・・

 

「一夏・・・」

 

シャルルだ。何だ、シャルルだったら・・・・・・問題ある。

 

「ど、どうしてここに?そ、それよりも何で入ってきたんだシャルル!?」

 

「僕が一緒だとイヤ?」

 

「イヤ、そうじゃなくて・・・」

 

俺はシャルルに背を向けて気を落ち着かせている。千冬姉と箒達のおかげかどうか分からないけど、何か危ない事が起きそうな時に背筋に悪寒が走るんだ。最近、シャルルにもそんな現象が起きるようになった。興奮とかそういうのじゃなくて、生命の危機に瀕する感覚だ。

 

「一夏、話があるの。とっても重要な話が」

 

「あ、後でいいか?」

 

「ダメ・・・今じゃなきゃダメだよ。お願い聞いて一夏」

 

そう言い、俺の背後から抱いてきたけど、何か目から光が・・・

 

「僕ね、ここにいることができるようになったの」

 

「え?」

 

「さっき父さんから電話があって、謝ってくれたんだ。壊れたテープレコーダーみたいにひたすら謝ってくれた」

 

千冬姉、デュノア社で何をしたんだ?

 

「そうか。良かったなシャ・・・」

 

「もう一つ聞いて欲しい事があるの」

 

段々俺を抱く力が強くなってきてるんだが・・・

 

「・・・何?」

 

「僕の本当の名前、シャルロットなの。だから、シャルロットって呼んでくれる?」

 

「あ、ああ。シャ、シャルロット」

 

「うん・・・」

 

おかしいな、風呂に浸かってるのに体が寒い・・・

 

「一夏。僕、自分の意志で決めたことがあるの」

 

「な、何だ?」

 

冷や汗が止まらない・・・

 

「それはね・・・」

 

これ以上聞くと命の危機に関わりそう・・・

 

「シャ、シャルロット!」

 

「何?」

 

「俺、少しのぼせてきたから先にあがるよ!」

 

そう言って、俺はシャルロットから逃げるように大浴場をあがった。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

俺は部屋のベットで気を落ち着かせていた。

 

「・・・疲れた」

 

今日一日振り返れば、ラウラとISで戦って、マドカと生身で戦って、シャルロットから逃げて・・・まるで一週間の出来事を凝縮した一日だったな。

 

「ふわぁ~」

 

眠くなったし、先に寝・・・

 

「一夏・・・」

 

部屋が暗くなった。シャルロットが部屋の電気を消したんだな・・・

 

「シャ、シャルロット!?」

 

「どうしたの一夏?」

 

なんで裸なの!?オマケに目から光が消えてる。

 

「い、いや・・・その姿だと・・・」

 

「山田先生の裸を見てるから平気でしょ?」

 

そういって、寝てる俺の腹の上に跨って来た。

 

「一夏。僕・・・決めたんだ」

 

「な、何を?」

 

「ボーデヴィッヒさんに勝つためには・・・他の人と交流を深めないといけないの」

 

言っている意味は分からないけど、ツッコむのは野暮だ。

 

「そ、それで俺に跨った理由は?」

 

「簡単な事だよ・・・」

 

 

 

 

 

 

「僕の・・・・・・僕だけの男になって」

 

「!?!?」

 

 

 

 

 

 

これ・・・ヤバい。

 

「言ってる意味が分からないよ!?」

 

「僕の男になれば僕がずっと守ってあげるよ」

 

「いや、俺には真耶が・・・」

 

「一夏が苦しんでるのに助けに来ない山田先生なんて・・・一夏の彼女失格だよ」

 

「あれは俺が・・・」

 

「それに一夏を弱くしてるのは山田先生なんだよ」

 

その言葉にコチンと来た。

 

「いつも大きな胸を揺らして一夏を誘惑して、僕との仲を引き裂こうとしてる。あんな女に一夏を渡さない。渡しちゃいけないんだ」

 

シャルロットはISを部分展開し、俺の両腕を握った。

 

「一夏。これからは僕だけをずっと見て」

 

「いや、俺にはマドカやのほほんさん・・・」

 

「他の女じゃ満足できないことを僕はやるから・・・ね」

 

そういって、シャルロットは俺の体を触りはじめた。

 

「忘れさせてあげる、山田先生の思い出を。それ以上に・・・嬉しく楽しいことを覚えさせてあげる」

 

「シャルロット、少し疲れて・・・」

 

「疲れてなんかないよ。疲れさせる原因があるなら、僕以外の女かな・・・」

 

逃げようと足掻いてるけど、シャルロットがその度に笑顔で押さえつける姿は最早ホラーと言っても過言ではない。

 

「明日から僕と一緒に食事をしようね。もし他の人と食事でもしたら容赦はしないから」

 

そう言ってシャルロットは視線を下にずらした。

 

「今日から一夏は生まれ変わる」

 

「いや・・・シャルロット」

 

シャルロットが頭を下げたせいか下げたお陰と言うべきか・・・

 

「僕が・・・生まれ変わらせる」

 

「おーい、シャルロット」

 

シャルロットの背後に・・・

 

「何、一夏?僕にお願い事」

 

「ああ」

 

「何?」

 

「後ろ見て」

 

「・・・え?」

 

 

 

 

 

 

 

SHINOBI(千冬姉)がいる。

 

「ハイクを詠め」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か、一夏?」

 

「ああ・・・三途の川らしきものを見たよ」

 

見るも無残に倒れてる裸のシャルロットを担いでいる千冬姉に心配されながら、俺はシャルロットに握られた両腕を見つめていた。鈴とは違って俺を押さえつけるぐらいの力だったのか、痣は残っていなかった。

 

「こいつは私の部屋で寝かせるとするが、一夏」

 

「どうした千冬姉?」

 

「一体何があった?」

 

千冬姉の言ってる意味が分からなかった。

 

「ボーデヴィッヒ戦との落胆からの立ち上がりが早くてな。何があった?」

 

「何がって、マドカと一戦交えただけだが」

 

「あいつが・・・か」

 

千冬姉は何がおかしかったのか、凄く爽やかな顔で笑っていた。

 

「千冬姉?」

 

「いや、なんでもない。それより早く寝ろ」

 

「あ、ああ」

 

話を切り上げた千冬姉は颯爽と部屋を出て行った。

 

俺はこれで寝れる思いベットに潜り込んたが・・・

 

 

 

コンコン

 

 

 

ドアのノック音がまた響いた。

 

「一夏君?」

 

「真耶」

 

「ベット、一緒に入っていい?」

 

「ああ・・・」

 

真耶は俺のベットに静かに潜り込み互いに顔を見つめた。

 

「ねえ、真耶」

 

「何?」

 

「今日の試合の事で心配させてごめん」

 

「謝る必要なんてないよ」

 

あれ?真耶が落ち着いてる。

 

「でも・・・」

 

「マドカさんと戦って振り切れたんじゃないの?」

 

・・・え?

 

「見てたの?」

 

「最初から最後まで」

 

「あの叫びも」

 

「はい!」

 

静かに元気よく返事したけど、少し恥ずかしいな。

 

「・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや、ああ叫んだけど具体的にどうすればいいのかまだ分からないし、それに・・・」

 

「私を怪我させたこと、悔やんでるの?」

 

「・・・・・・ああ」

 

「あの時の事は気にしてないし、その事で悔やまなくても大丈夫。それに・・・」

 

そう言い、互いの口が触れる距離まで近づいて来た。

 

「私は一夏君が立ち上がってくれるだけで嬉しいから。それにクラスメイトの明日を守るって誓ったんだから、明日からクラスメイトとちゃんと交流しないとね」

 

笑顔で答える真耶に俺も思わず笑みをこぼした。

 

「でも、私に頼って欲しかったな」

 

「え?」

 

「マドカさんから大浴場の事を聞いた時はちょっとショックだったから・・・」

 

突然、顔を赤くし始める真耶。風邪か?

 

「どうして?」

 

「一夏君と・・・一緒に入りたかったから」

 

俺はその時、心の中でマドカに並々ならぬ感謝をしている。もし一緒に入ってたらシャルロットが何をしでかすか分からない。最悪、サスペンスドラマの様なことが起こってたかもしれない。

 

「そんなことで落ち込まなくてもいいよ。次の機会に一緒に入ればいいじゃない。それに・・・」

 

俺は悪戯心に真耶の耳元で囁いた。

 

「真耶以外の女性と混浴するつもりはないから」

 

「も、もう!そ、そんな分かってる事・・・囁かなくてもいいのに・・・」

 

「いや、照れてる真耶が可愛くて」

 

「そんなことをするなら、今夜のキスはお預けです!」

 

「え!ご、ごめん真耶!」

 

その後、真耶とベットで楽しみながら眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰が一夏とイチャイチャしろと言った・・・」

 

千冬が一夏の部屋の前で缶コーヒーを握りつぶしている事に、二人(一夏と真耶)は気付くことなどなかった。




次回は買い物と言う名のデートを執筆する予定です。

ご意見、ご感想、お待ちしております。



オマケ

※このお話は、ラウラ・ボーデヴィッヒ視点のお話です。このお話を読まなくても、次の話に支障はありませんが、キャラへの理解が深まる・・・はずです。



「ボーデヴィッヒ。お前が呼ばれた理由は分かるか?」

「分かっております」

私の名はラウラ・ボーデヴィッヒ。私は簪と一緒に寮長室で教官の話を聞くことになった。内容は察しはつくが。

「お前のISに『ヴァルキリートレースシステム』が搭載されていた事が分かった」

「やはり、上層部か・・・」

私は織斑一夏との戦いでシュヴァルツェア・レーゲンに飲み込まれ意識を失った。意識を取り戻したときにはすでに私は保健室にいた。どうやら簪が涙目ながらも私を運んでくれたらしい。

「その件については私がドイツに赴き、事情を聴きに行く。あと、簪と同居する件については許可は下ろせない」

「それは覚悟していました。このような事態に・・・」

「いや、ヴァルキリートレースシステムの事ではない」

私と簪は首をかしげた。

「ボーデヴィッヒ、クラスリーグマッチまでの間に何があった?」

「何もありません。私は簪と練習に励んでいました」

「そうか・・・マドカ!」

教官が高らかに叫んだ直後、マドカは鬼様な形相でドアを開けて、

「歯ぁ、喰いしばれぇ!」

そう叫びながら私は殴り飛ばされた。



(これが若さか・・・)



クラリッサ曰く、こういうセリフを言わせる人物は中々の腕の立つ人だという。

「マドカ、ありがとう。もう下がっていい」

マドカは役目を果たしたのか寮長室をあとにした。

「ラウラ!大丈夫!?」

「ああ・・・」

教官の目は何かを見極めてる様子だった。

「対応、口調、言葉選び・・・・・・クラリッサの入れ知恵か?」

「はい!クラリッサの情報は・・・」

「はぁ・・・」

「教官!?なぜ溜息をするのですか!」

「ボーデヴィッヒ、お前はまだ若い。色々な事柄を学べ」

「どうして呆れてるのですか!?その顔は織斑一夏に・・・」

「・・・何?」

教官の表情が強張った。これは・・・

「ら、ラウラ・・・」

「私は何か言ってはいけないことを・・・」

「言った」

クラリッサの情報だと、私は地雷を踏んだらしい。






「サンダースマッシュ!」

「「みぎゃあぁぁぁ!」」

結局私のルームメイトはシャルロットと言う人物に決まり、簪との同居計画は失敗に終わった。

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