IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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言い忘れてましたが、タグに入れてないだけで所々にネタが挟まってます。

この作品における織斑千冬は、「良識を持った飛影(とびかげ)」という名のチートです。

だが、おかしい。不定期更新のタグを入れたのに、もう第2話が出来上がってる・・・


第2話

何だが知らないが、イギリス代表候補生のセシリア・オルコットに怒られた。

 

とは言っても、女尊男卑の風潮に染まっていたのか、自分は数少ない専用機持ちのエリートだと自慢をしていた。

 

専用機持ちなのは凄いけど、千冬姉が担任のクラスで言われてもなあ。

 

それに、真耶の方が凄いと思う。元代表候補生だけど、皆に分かり易く丁寧に教えるのは、中々難しい事だと思う。

 

それをやってのける真耶は、やっぱり凄い。

 

 

 

 

 

 

「それではこの時間は実践で使用する各種装備について説明する」

 

三時限目は、真耶じゃなくて千冬姉が教壇に立っていた。真耶は教室の隅で椅子に座って、俺を見続けている。

 

真耶、みんなに気付かれるから。

 

「ああ、その前に再来週に行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな」

 

千冬姉は思い出したかのように代表者の話をした。

 

「クラス代表者とは、対抗戦だけでなく、生徒会の会議や委員会への出席など、まあ、クラス長と考えてもらっていい。自薦他薦は問わない。誰かいないか?」

 

何だろう・・・嫌な予感がする。

 

 

 

「はい。織斑君を推薦します!」

 

「私も織斑君を推薦します!」

 

「織斑一夏君を推薦します!」

 

「おりむーを推薦します」

 

 

 

やっぱりこうなった!というより、おりむーってなんだ・・・

 

 

「では候補者は織斑一夏。他にはいないか?自薦他薦は問わないぞ」

 

「織斑先生。俺は・・・」

 

「他薦された者に拒否権はない。推薦した者を無下にするつもりか?」

 

ですよねー・・・。千冬姉が教壇に立ったら、だれも抗議をあげる人いないですから・・・

 

さすがに真耶もお手上げ状態だし、どうすれば・・・

 

「納得いきませんわ!」

 

机を強く叩き声を荒げたのは、セシリア・オルコットだ。

 

やっぱり、彼女も俺の選出はおかしいと思ったか。見世物にはなりたくないしな。

 

 

 

「このような選出は認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!」

 

ちょっと、言いすぎじゃないか?

 

「わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

セシリアさん、周りを見て。みんな、引いちゃってるから。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります!」

 

俺は極東の猿かよ!

 

しかも、真耶が不機嫌になってるし・・・

 

「わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

 

何で自薦しなかったんだ?先に自薦すれば、みんな俺を推薦する気なくなってたのに・・・

 

 

 

 

 

 

というより、千冬姉・・・落ち着いて。出席簿が、嫌な音を立ててるから。

 

 

 

 

 

 

「いいですか!?クラス代表は実力トップがなるべき、そしてそれは、わたくしですわ!」

 

うん。君の言ってることは正しいから、もうしゃべらなくていいよ。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛で・・・」

 

・・・もうだめだ。(セシリアさんの学園生活が)おしまいだぁ。

 

「なぜ、何も言い返さないのです!あなたは!」

 

俺に矛先を向けてもなあ・・・

 

「俺より、言い返したい人がいるから・・・かな」

 

「誰ですの!その人は!」

 

セシリアさん。俺やみんなの冷や汗が止まらない理由を察して欲しかったが、仕方がない・・・教えよう。

 

「今、教壇に立ってる人・・・」

 

「・・・え?」

 

 

 

千冬姉が完全に怒っている。持ってた出席簿なんか、原形を留めていない。

 

この状態になってると、俺はどうすることもできない。ただ、見守ることぐらいしかできない。

 

「・・・オルコット」

 

「は、はい!」

 

「それは私に対する・・・侮辱か挑戦・・・どっちなんだ?」

 

「い、いいいや。その・・・」

 

セシリア。自分で蒔いた種なんだ。自分で何とかしてくれ。

 

「まあ、いい。クラス代表は、オルコットか織斑のどちらかにしようと思う。そこで、来週の月曜の放課後、第三アリーナで勝負を行い、勝ったものをクラス代表にする。それぞれ、準備をするように」

 

話が早くも切り上がった。あ・・・これはもしかして・・・

 

「それと、オルコット」

 

「はい!」

 

「今日の放課後、私と一緒に第二アリーナに来い。そこで、私が直々に特訓の相手をしてやろう・・・」

 

「で、ですが、教師の力を借りなくても・・・」

 

「安心しろ。織斑には山田先生が特訓の相手をするから、公平にしなければならない。それとも、私の実力は、極東の島国での猿のサーカス程度と言いたいのか?」

 

「い、いいえ!とんでもございません!織斑先生のはサーカスなどではございません!」

 

「そうか・・・ではオルコット」

 

「は、はい!」

 

「遺書の準備をしろ・・・それだけだ」

 

ああ・・・セシリアさん。ご臨終です。

 

「授業を始めるぞ!」

 

教室内が通夜状態のまま、三時限目の授業が遅れて始まった。セシリアは俺の方を睨んでたが、無視しよう。自業自得だし、あの千冬姉は俺でも止められないから。

 

それにしても、真耶と特訓か・・・元代表候補生だから、実力もすごいんだろうなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時間は流れに流れ、放課後になった。

 

俺はその日の授業の復習を終えて、帰ろうとしていた。箒はなぜかすごく悔しそうな顔をしてたけど、どうしたんだろう。ISの訓練に付き合うにせよ、専用機は持ってないし、ISの経験だって俺と同じぐらいだしな。

 

特訓と言っても、一週間は自宅からの通学だから厳しいな。でも、短時間にたくさんのことを覚えないと・・・

 

「ああ、織斑くん。まだ教室にいたんですね。良かったです」

 

「ま・・・山田先生、どうしました?」

 

書類を片手に持ってる真耶と、何かものすごいオーラ(ぢから)を放っている千冬姉ががやって来た。一体なんだろ?特訓についての連絡かな?

 

「えっとですね、寮の部屋が決まりました」

 

寮の部屋が決まった?

 

「一週間は自宅からの通学じゃないんですか?」

 

「事情が事情だったので無理矢理ですが、寮の部屋割りをこちらの方で決めました」

 

まあ、しょうがない。世界で初めてISを動かした男だからな。いろんな危険が待ってるよりかは安心できる。

 

「荷物を取りたいんで、一回家に戻って・・・」

 

「荷物なら、私が手配した。ありがたく思え」

 

「ありがとうございます。織斑先生」

 

なんだろう。今の千冬姉にしっかりとした言葉遣いを使わないと、殺されそう。

 

「生活に必要な道具はすべて送った。足りない物があったら、週末に買いに行くがいい」

 

千冬姉が教師じゃなくて、何か凄い戦士に見えてくる。

 

「詳しい話は、山田先生に聞くんだな。私は今から第二アリーナに行って、オルコットとの特訓を始める。ふふふ・・・今のイギリス代表候補の実力がどれ程の物か・・・」

 

千冬姉・・・顔、悪い意味で笑ってるよ。真耶が怯えてるし・・・

 

「では、山田先生。後の事は任せる」

 

「は、はい!」

 

「ふふふ・・・。待ってろ・・・セシリア・オルコット!」

 

そう言い、千冬姉はアリーナの方へ、神速の如く向かって行った。セシリア・・・必ず生きて還ってくるんだぞ。

 

「え、ええと、い・・・織斑君。実は寮の部屋なんですが・・・」

 

「どうしたんですか?」

 

突然、真耶が黙り込むなんて。もしかして・・・千冬姉と同じ部屋!?

 

やめてくれ・・・今の千冬姉と一緒だったら、生き残れる自信が無い。

 

 

 

 

 

 

「実は・・・私と同じ部屋なんです」

 

「・・・え?」

 

「本当なら、同年代の女子と一緒になる予定だったんですけど、私が無理言って同じ部屋にさせてもらいました」

 

 

 

いいの!?そんなことをして?職権乱用に近いことをして・・・

 

そしたら、真耶は俺の耳元で小さな声でつぶやいた

 

「本当は、一夏君と一緒に居たいからワガママ言っちゃたの。それでも・・・イヤ?」

 

その時、俺の理性に亀裂が走った・・・

 

「いえ!それじゃ、部屋の案内お願いします!」

 

「はい!」

 

真耶・・・俺は君に勝てる自信が無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが、真耶と俺の部屋・・・」

 

とは言っても、普通の学生寮となんの変わり無いが、真耶と一緒に生活すると言うだけで、心臓の高まりが収まる気配がしない。

 

中学二年の時に一緒に過ごしてたけど、恋人同士になってから一緒に生活することはめっきり減ったからな。

 

後、いろいろと何かが溜まってるし・・・

 

「一夏君。今日は食堂で夕食をとってくれないかな?私、荷物の整理があるから」

 

「分かったよ、真耶。先に食べに行ってくるよ」

 

少し残念に思いながら、部屋を後にし俺は食堂へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二アリーナの方で、セシリアの断末魔が聞こえたが・・・そっとしておこう。




次回は、夕食~就寝までの話を書く予定です。後、第二アリーナの様子も、書けたら書きます。

ご意見、ご感想、お待ちしております。

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