疲労困憊の状態で執筆すべきではないな。
俺、織斑一夏は絶望しています。
替えのボディーソープを渡しにシャワールームを開けたら、胸に二つの膨らみがあるシャルルがいました。
つまりシャルルは女だった・・・
夢であって欲しかった・・・
「ごめんね。僕が女だって事を隠していて」
「別に気にしてないから。でも、どうして男装して学園に入学したんだ?」
「実は・・・」
シャルルは俺に全てを話してくれた。
デュノア社の経営不振、妾の子、白式のデータ奪取
デュノア社は経営不振を解消すべく、シャルルに男装させてスパイ活動を行わせるという暴挙に出た。デュノア社に男性操縦者がいれば注目は集まり、第三世代開発の援助が来るという考えだとシャルルは言った。
「話を聞いてくれてありがとう、一夏君。話したら楽になったよ」
「これからどうするんだ?」
「フランスに強制送還かな・・・よくても、牢屋行きじゃないかな?」
シャルルの顔が段々暗くなっていく。どうすればいい。俺一人ではどうすることもできない。学園の特記事項で身の安全は保障されるが三年だ。その三年以内に解決策を見つけなければならないが、俺一人で対処できる問題じゃない。俺一人・・・あ!
「シャルル、俺に良い考えが浮かんだ」
「・・・何の?」
「お前が強制送還されず、牢屋行きにもならずに済む方法が」
「え・・・」
本当はこんなことはしたくなかった。だけど、俺のクラスメイトが苦しんでる横で学園生活なんて送れるか。
「どうやったら助かるの?」
「それは・・・」
「白式のデータを渡せば全てが済むと思っているのか?」
「「!?」」
千冬姉!どうしてここに?
「見回りをしていたら、苦しんでいる者の声が聞こえたもんで・・・」
ドア、完全閉まってるんですが・・・
「織斑、デュノア。その一件に関しては私が何とかする」
「・・・聞いていたんですか?」
「全て聞いた」
千冬姉、盗み聞きは良くないですよ。
「だが安心しろ。お前の素性がどうであれ、私はお前を学園から追放する気はない」
「え?」
「お前はここの学園の生徒だ。そして私のクラスの生徒だ。生徒を救うのも教師の務めだ。だからお前は安心して学園生活を送れ」
シャルルの目から溢れんばかりの涙が流れてきた。
「良かったなシャルル」
「う・・・ぐすっ・・・うん」
「それと織斑!」
「は、はいっ!」
なんで俺には厳しいんだ・・・
「お前は一人で物事を解決しようとするな。私や山田先生を頼ることを覚えろ」
「はい・・・」
「それでは私はデュノア社に向かう準備をする」
「「え!?」」
千冬姉・・・何言ってるの。
「私の手に掛かれば、半日ぐらいで全て済む。」
「いや・・・先生。それは・・・」
シャルルの涙があっという間に止んじゃったよ。
「シャルル・・・先生は冗談抜きで実行できるぞ」
「ええっ!」
天空宙心拳とかSHINOBIとか使える時点でこんなのには驚かないよ。
「そういうことだ。明日はいないが明後日までには帰ってくる。それまでの間は山田先生に頑張ってもうことにする」
後で真耶に言わないと。千冬姉が世界を駆け抜けるって・・・
「そんなことが・・・あったんですか」
「真耶もさすがに驚くか」
あの後、俺は真耶に用があると言って部屋を後にしたけど、シャルルはふてくされた顔をしていた。何だろう、箒達と同じオーラを放っていたのは気のせいだよな?
「そうですよ。私が明日一日クラス担任を任されたんですから」
「そうか。ところで、マドカはどこにいるんだ?」
「谷本さんと一緒に食堂に行きました」
「谷本さんと?」
「はい。谷本さんとは仲が良くて、いつも一緒に食事をしてるんです」
マドカに仲の良いクラスメイトができた・・・それは兄として喜ばしい限りだ。
「一夏君も早く、仲の良いクラスメイトが見つかると良いですね」
「みんな・・・俺を見る時の目が違うからちょっと不安だな」
「仲良くなりたいだけですから大丈夫だと思うよ」
「そうか・・・」
「さてと。おしゃべりはここまでにして、一夏君は早く部屋に戻った方が・・・」
「ちょっと待って!俺はまだ話したいことがあるのに」
「気持ちは分かるけど・・・」
顔を赤くしながら真耶は俺から視線を逸らした。まあ、理由は分かるけど。
「真耶、一時限目の事は別に気にしてないよ。もし、俺が真耶の立場だったら俺だってやるさ。だから、そんなに自分を責めなくてもいいよ。それに・・・」
そう言いながら、俺は真耶を強く抱きしめた。
「
「一夏君・・・」
「真耶、もう我慢なんかしなくていいよ。今日は真耶がしたいようにしていいよ」
「じゃ、じゃあ・・・えいっ!」
真耶は俺を強く抱きしめ、そのままベットに押し倒した。
「ずっと我慢してた。一夏君と離れてこんなにも恋しくて苦しかったのは・・・」
「真耶、俺もだよ。真耶のことを考えなかった時間なんて無かった。ずっと一緒にいたい、ずっとこうしていたい」
「一夏君!」
「真耶!」
俺と真耶は溜めに溜めてた想いが爆発し、そのまま互いの唇を貪りあった。
欲、獣、愛、三つの想いがドロドロに混ざり合った「何か」が包み込んでいる感覚に俺と真耶は襲われていた。
互いの息は乱れ、艶のある喘ぎが互いの耳に響き渡る。その度に胸の鼓動が早くなり、俺と真耶の理性が壊れかけてゆく。
俺が気付いた時には真耶の服を脱がし下着姿になっていた。真耶は恍惚とした状態で俺の服を脱がし下着姿になっていた。
「一夏君・・・私・・・もう・・・」
真耶は俺の腹の上に跨り、俺に何かを求めるように腰をゆっくり前後に動かし始めた。
「真耶・・・俺は・・・」
我慢できない・・・シャルルが女だと分かった時に俺の溜めてた何かが溢れ始めていた。そして真耶を抱いた時に決壊したんだ。もう止まらなくていいんだ。我慢しなくていいんだ。ここがどこだろうと、誰がいようと関係ない。俺は・・・
「もしこれ以上の事すれば、兄さんの恋人といえど容赦はしない!」
そのまま情事に発展することは無かった。
「兄さん、あいつは悪魔なのではないか?」
「いや違うから」
「兄さんの理性を殺そうとするなど、悪魔以外の何者でもない」
「いや・・・それは互いに溜めてたものがあったから」
マドカの介入により俺と真耶は急いで服を着直し、事情を話していた。マドカの顔つきは相変わらず険しく、俺と真耶は寂しかったとはいえ、今回の件は度を越えた事をやったと反省している。
「兄さん、姉さんが言った事を忘れたのか?」
「忘れてはいないが、こうも一緒にいる時間が減らされると・・・」
「兄さんは家族との団らんより、恋人と一時の情熱を大切にするのか?」
「マドカ?」
マドカの顔が暗くなっているのに気付いた時、俺は自分が言ってはいけない事を言ってしまったと気付き、後悔した。
「兄さんは私が邪魔なのか?」
「邪魔じゃない」
俺は兄としてやってはいけないことを行い、姉と妹の思いを踏みにじってしまった。
「なら何故、私や姉さん以上に山田先生と一緒にいたがる?それは私などゴミクズ当然だと思っているから・・・」
「違う」
「何が違うんだ。兄さんはいつも・・・」
俺はマドカを抱きしめた。だけど真耶と違い、マドカの体は氷の様に冷たかった。その冷たさはマドカの過去を物語るには十分すぎる程のものである。
「マドカ・・・ごめん」
「何故謝る?」
マドカは突然の謝罪に理解できてない。
「俺はマドカの事を何も知っていない。過去に何があったのか、どういう事をしてきたのか、どんな人達がいたのか、俺はそんなことも知らないでマドカの兄として振る舞おうとした。だけど・・・俺はマドカの・・・何を知ってるんだ?」
俺はマドカを強く抱きしめ、兄としての恥を感じながら謝り続けた。
「お前は俺以上に・・・沢山辛いことを体験した・・・悲しいことも・・・嫌な事も・・・なのに俺は・・・そんな事を知らずに・・・俺は・・・」
「もう泣かないでくれ、兄さん」
「え・・・」
気付いたら俺は涙を流していた。情けない・・・俺が泣くなんて。マドカの方が泣きたいと思っているはずなのに・・・
「兄さん、それを分かってくれただけでも私は嬉しい」
マドカ・・・
「だが私の過去など気にする必要は無い。必要なのは・・・」
「
・・・仰る通りです。
次回は「山田先生の一日クラス担任」の話を執筆する予定です。
ご意見、ご感想、お待ちしております。
オマケ
※このお話は、織斑千冬視点のお話です。このお話を読まなくても、次の話に支障はありませんが、キャラへの理解が深まる・・・はずです。
この話は第19話と第20話の間の話です。
フランス デュノア社
「ぐはっ!」
「あ・・・ああ・・・」
私の名は織斑千冬。私は今、デュノア社の社長に会いに社長室に向かったが・・・
「アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」
「・・・」
肝心の社長がショックを起こして話ができない。だが、話を進めさせてもらう。
「貴様の行動は全て筒抜け状態だ」
「アイエエエエ! 」
「・・・・・・」
どうすればいい・・・