というより、思春期全開(?)の一夏です。
amazonで注文したAGPの真耶が届いたあ!
我世の春が来たあぁぁぁぁぁ!(梅雨の時期です)
千冬姉によるSHINOBIレッスンから解放された俺はそのまま部屋に戻ったけど・・・
「大丈夫、一夏君。顔色が優れてないけど?」
「シャルル・・・大丈夫だ、問題ない」
そうだった・・・今日からシャルルと同室だったんだ。いつもだったら、真耶の膝枕か晩御飯、ハグをしたり胸に優しく顔を埋めたりして二人の時間を過ごしてたけど、今思うとちょっと羽目を外してたかな。
「でもびっくりしたよ。一夏君と山田先生が付き合っていたなんて。それにクリスマスに告白するなんて意外とロマンチストな部分もあるんだね」
「シャルル・・・クリスマスの所は触れないでくれ。恥ずかしい・・・」
やっぱりクリスマスの告白の事は恥ずかしいよ。顔を赤くしちゃってるし俺。
「一夏君、一緒に夕食を食べよう」
「おっ?もうそんな時間か・・・」
そういえば夕食も真耶の手作りを食べたり、一緒に夕食を作って食べたり、一緒に食堂に行くことなんて無かったからな。
「ああ。行こうぜシャルル」
「うん!」
なんかシャルルが凄く嬉しそうに見えたが・・・まあ、男二人だけだからそうなるか。
「・・・ふぅ。シャルルがいて助かった」
シャルルと一緒に夕食を食べて正解だった。
シャルルがシャワーを浴びると言って先に部屋に戻って行ったし、俺はどうしようかな・・・
分かってるはずだ・・・今、回れ右をしなければ千冬姉の顔に泥を塗るんだぞ!そんな事をしてまでやる必要は無いんだ!これは耐えるべきなんだ!耐えなければならないんだ!修行なんだ!乗り越えなければならない試練なんだ!それを分かれよ!織斑一夏!どうして・・・
「なんで俺はこんな所にいるんだ・・・」
真耶の部屋の前にいるんだ!
「いかんいかん!俺がしっかりしないと、マドカにも兄としての示しがつかない。部屋に戻・・・」
ん?俺の手を優しく握ってるのはマ・・・
「一夏君、どうしたの?」
真耶だ・・・
「い、いや。今日はたまたまここを通りかかっただけなんで・・・」
ごめん真耶。俺はいろんな人交流を深めて見分を広めて・・・
「一夏君、私に嘘をついてもバレますよ」
「うっ・・・」
真耶、気持ちは分かる。俺も真耶と一緒にいたいけど我慢しよ。これ以上千冬姉やマドカに迷惑を・・・
「それに、ちょっと相談したいことがあって・・・」
「相談したい事?」
「それは・・・」
俺が心の葛藤を繰り広げてる中、真耶は俺にあるものを見せた。それは・・・
「真耶、どうしたらこうなるんだ?」
「部屋に戻ったら、こうなってて・・・」
真耶のベット以外、トレーニング道具しか置いてなかった。周りには格闘技の書物、ISに関する書物、人体に関する書物、ゲームに関する書物が綺麗に置かれているが・・・
「千冬姉に連絡して、撤去するから待ってて」
マドカ、お前はどこからこれらを持って来たんだ・・・
「マドカ。強くなりたいのは分かるが、他人に迷惑をかけるのはいくらなんでも良くないぞ」
「だけど兄さん・・・」
「ゆっくりでもいいんだ。自分の背丈に合わない力を身に着けたって、自分自身を滅ぼすだけだぞ」
俺は今、廊下でマドカに説教をしている。本来なら千冬姉が代わりに説教するはずなんだけど・・・
「お前が代わりに説教をしろ。私に頼ってばかりじゃ、兄としての示しがつかないだろ」
と言われて、説教してるんだが意外と難しい。頭ごなしに否定せず、どうやって問題点だけを指摘して自主性を促す激励を言えばいいのか。
そう考えると、千冬姉って教師としての素質は少なからずあったんだな。
「だけどどうすればいい。私は修行以外にやることは無いんだぞ」
「だから千冬姉は真耶と一緒に住ませたと思うんだ、戦い以外の生活を見つけさせるために。それにクラスメイト達もいるんだ。きっと修行以外にやりたいことが見つかるよ」
「・・・うん」
ちょっと残念な顔をしつつも、俺の言った事を理解してくれたようだ。兄としては嬉しい限りだ。
「一夏、マドカのトレーニング器具はすべて撤去して、元の部屋に戻したぞ」
「ありがとう千冬姉。あと・・・」
「悪いが、山田君と一緒にはさせないからな」
「・・・はい」
俺の策略が読まれた・・・
「お前は山田君が一緒にいなければ死んでしまう病気にでも掛かっているのか?山田君に甘えるな。離れてまだ三日しか経ってないんだぞ」
「あ、あの織斑先・・・」
「山田君も山田君だ。自制心を持て。クラスに付き合ってる事を話せば、イチャついても構わんと言った覚えはない」
「「・・・すいません」」
「はぁ・・・付き合ってる事を認めたとは言え、互いに依存しすぎだ。自分を見つめ直すいい機会だ。もっと時間を有効に扱ってもらわないと困るぞ」
「「・・・はい」」
「分かったなら部屋に戻れ」
千冬姉に説教を喰らい、俺と真耶は部屋に戻った。
部屋に戻った俺はシャルルと一緒にISに関する勉強をし、シャワーを浴びたけど何故かシャルルの顔が赤くなっていた。まさかね・・・
その後は寝るまでシャルルと他愛のない会話をしていた。
「一夏君って、ISの練習は今までどうしてたの?」
「今までは山田先生と一緒に練習をしてたよ。かなり強くて、一度も勝ったこと無いんだ」
「へぇ。おっとりしてる所があるんだけど意外と強いんだ。織斑先生ばかりに注目してたから気付かなかったよ」
大体真耶の完封勝利だからな。まあIS以外に関しては俺が勝ってる所はあるけど。千冬姉は・・・勝てたら「霊長類最強」の称号が貰えるよ。
「山田先生には色々とお世話になってるからな。山田先生に迷惑かけないように努力しないと」
「そうなんだ・・・」
シャルルの目から光が消えたような・・・気のせいだ。疲れてるんだきっと。
「そろそろ消灯時間だし、寝るか」
「うん」
話を切り上げた俺は部屋の電気を消し、ベットに潜り込んだけど・・・
「僕って魅力無いのかな・・・」
「何か言ったかシャルル?」
「えっ!な、何にも言ってないよ!」
シャルルが何か言った様な気がするけど、気のせいか。
『付き合ってる事を認めたとは言え、互いに依存しすぎだ。自分を見つめ直すいい機会だ。』
「自分を見つめ直す・・・か」
今の自分に何ができるだろう・・・
まだ白式の力を扱いきれていないし、過去の呪縛に縛られたラウラを助ける方法は浮かばないし、あの三人の動向は気になるし、問題は山積みだ。
それに、真耶に依存してるって言われたし、ちょっと距離を置いてみようかな・・・ダメだ!そんなことをしたら真耶に無駄な心配を掛けてしまう。だからって一切の交流がないっていうのも違和感を感じるし、挨拶だけして後の会話がないっていうのもおかしいし・・・・・・
そんなことを考えながら俺は睡魔に身を委ね、眠りに落ちた。
「お・・・て・・・こ・・・よ」
・・・ん?
「おき・・・ち・・・る・・・」
この声は・・・
「起きてよ!遅刻しちゃうよ!」
「・・・ま・・・や?」
「まや?違うよ!シャルルだよ!」
・・・シャルルだった
「ごめん・・・寝ぼけてて」
「そんなことより遅刻しちゃうよ!」
時計を見たら・・・あと10分でSHRが始まってしまう。
「げぇ!遅刻したら千冬姉の飯綱落としが待ってる!」
「ごめん一夏君!先に行ってるよ!」
「えっ!?シャルル!」
シャルルは俺に一礼をして教室へ走って行った。さすがのシャルルも飯綱落としは喰らいたくないけど、廊下を走ってたら・・・
「シャオッ!」
マドカの(バスケ練習の)餌食にされるのに。
なんとか朝のSHRに間に合い飯綱落としは逃れたけど、マドカはシャルルをバスケの練習相手にしたという理由で飯綱落としを三回喰らって意気消沈中である。シャルルは今、保健室で療養中のため、一時限目は欠席。でも千冬姉、飯綱落とし三発はやりすぎだよ。飯綱落としの種類が様々だっていうけど。
「では本日より実戦訓練を開始する。そろそろお前達も実技を身に付けねばならん。座学も重要だが、これも劣らず重要だ。しっかり学ぶように」
そんなこんなで一時限目に実技を受けている。相変わらず三人の考えは分からなくて怖いけど、今日はラウラが随分大人しい。千冬姉のSHINOBIレッスンの効果かな?
「さて、今日は模擬戦をしてもらう。オルコット、凰、出てこい!」
千冬姉に呼ばれセシリアと鈴が前に出たけど、何だろう・・・素の表情が怖く感じるのはどうしてだろう?
「イギリス代表候補生の実力、見せてもらうわよ!」
「わたくしも負けられませんわ!」
二人共代表候補生だから、互いに譲れないプライドがあるんだろうけど・・・何だか寒気がする。
「お前達、戦う相手を間違えてるぞ」
「「・・・え?」」
二人が呆然としている。今ISを纏ってるのはセシリアと鈴だぞ。他に・・・
「み、皆さーん!どいてください!」
いた!ラファールを纏った真耶だ!しかも落ちてる・・・白式!
「ぐっ!」
「い、一夏君!?」
白式を展開して落ちてる真耶を受け止めたけど・・・止まらない!
「止まれぇぇぇ!」
現実は非常だった
アリーナのフィールドから轟音が響き、小さいクレーターができてしまった。ああ・・・後で埋めなきゃ。
「一夏君!大丈夫!?」
「え、ええ・・・大丈夫です・・・」
俺がクッション代わりになったおかげで真耶は助かった。だけど・・・
真耶が俺を押し倒してる図になってるんだよ。真耶の豊満な部分は俺の胸に当たってるし、足は絡まってるし、ほのかに香る真耶の匂いで頭が若干クラクラする。というか・・・ベットで絡み合ってる時の状態と変わってないんだが。これはこれで・・・駄目だ!気を確かに持て!
三日も真耶との接触を遮断されるとこうなるのか俺。それに周りの生徒達は皆顔を赤くしてるし、あの三人は・・・顔が笑っていない。
「どこか具合が悪いの?」
真耶成分を摂取してないので禁断症状が・・・って、何考えてるんだ俺は!クラスメイト達の交流を深める為なんだ、これぐらい我慢できなくてどうすんだ!
「いえ・・・ただ真耶の・・・」
「山田君。いい加減離れたらどうかね?織斑が随分困ってるではないか」
千冬姉、ISの近接ブレードを片手で回しながら近づかないで。白式を纏ってる俺だって怖いよ。絶対防御を貫通しそうで・・・
「え・・・あ、あああ!ご、ごめんなさい!」
現状に気付いた真耶は顔を赤くしながら立ち上がって離れたけど、もうちょっとあのままで・・・煩悩を追い払え!
「オルコット、凰、お前達二人には山田先生と戦ってもらう。こう見えても山田先生は元代表候補生だ。ヒヨっ子二人を倒すことなど容易だ」
「候補生止まりですけどね」
二人のモチベーションを上げようと言ってるけど、二人が勝つビジョンが浮かばない。普通に真耶が完全勝利する姿しか思い浮かばない。おまけにあの二人から異常なまでのプレッシャーが放たれてるんだが。
「ねえ織斑君。山田先生ってどのくらい強いの?」
谷本さんが俺に山田先生の実力を聞いてきた。まあ、あんな登場の仕方だと実力を疑うのも仕方がない。
「織斑先生の特訓に唯一付き合いきれた人だって俺は聞いたけど」
「じゃあ、ものすごく強いんだね!」
この情報は真耶の思い出話を聞いて総括するとこうなったんだ。千冬姉も一生懸命で前向きに特訓をしていたって言うしな。それにああいう前向きな姿勢は見習いたいって千冬姉が言ってたほどだし、実際は強いんだろうな。俺は一度も勝ったことないし。というより千冬姉が強すぎ・・・
「織斑、何か言ったか?」
「いえ・・・何も言っておりません・・・」
これ以上言うのはやめよう。寿命が一気に縮まりかねない。
「それでは模擬戦開始!」
千冬姉の掛け声と共に、セシリア&鈴 VS 真耶 の対決が始まった。
次回は・・・シャルルとラウラに関するイベントを執筆する予定です。
ご意見、ご感想、お待ちしております。
オマケ
※このお話は、ラウラ・ボーデヴィッヒ視点のお話です。このお話を読まなくても、次の話に支障はありませんが、キャラへの理解が深まる・・・はずです。
この話は第16話直後の話です。
「はあ、はあ、はあ・・・」
私の名前はラウラ・ボーデヴィッヒ。教官のSHINOBIレッスンを終えた私は、若干ふらつきながらも整備室へ向かっていた。
教官のSHINOBIの力、侮れない。シュヴァルツェ・ハーゼが総力を挙げても、手にすることができなかった力。あれは一握りの人間にしか会得できない究極なる人の力。人間がたどり着くであろうと言われる伝説のSHINOBI。やはり教官はああでなくてはならない。他人を寄せ付けない孤高の強さが教官のあるべき姿だ。
織斑一夏・・・やはりアイツが・・・
そんな事を考えてる内に整備室にたどり着いた私はある人物に会いに行った。
更識簪。総合案内所まで案内してくれた私の理解者だ。あの整備室で出会い以降・・・特に進展は無い。簪の専用機開発を手伝ってるだけで、それ以外はとくになにもしていない。
その事をクラリッサに報告した所、「フラグ」というものが簪との交流を深めるカギだと言うが「フラグ」とは何だ?クラリッサは熱を込めて私に「フラグ」というもの一時間ほど説明した。理解はしたが、使い方がいまいち分からない。やはり日本文化というものは難しい。もっと勉強しなければ。
おっと、そんなことを考えてる時間があるならば簪の専用機開発を進めなければ。
シュヴァルツェア・レーゲンの歩行や飛行などの基本動作データが、簪のにも対応できたのは幸運だ。おかげでクラスリーグマッチまでに各武装の制作に時間を費やせる。だが、簪の専用機の武器は中々面白い。薙刀や背中の荷電粒子砲も魅力的だが、第3世代技術のマルチロックオン・システムを使用した48発の独立稼動型誘導ミサイルポッドはこの私でさえ驚きを隠せない。文化と言い、日本の技術は独特だな。
「ラウラ、どうしたの?顔色が優れないけど・・・」
「いや・・・少し考え事をしてただけだ」
いかん。教官の事が頭から離れん。今は簪の専用機を・・・
「私でよければ・・・・相談ぐらいは・・・」
・・・どうやら私は考え事が顔に出てしまうタイプらしいな。
「分かった、お前には話そう。ただし、他の者にはこの事については話さない条件付きでだ」
「分かった」
何故かは分からない。気が付いたら私は簪にすべてを話していた。
遺伝子強化試験体、ヴォーダン・オージェの不適合、部隊の落ちこぼれ、教官の救済、そして現在・・・
話すべきことは今日の放課後の出来事と決めたはずなのに、彼女に話したのは私の全てだった。
「じゃあ・・・」
「そうだ。私は織斑一夏を倒し、教官をドイツに戻させる」
私は簪の前で豪語したが、これは強がりだ。隊長たるもの、隊員を不安がるようなことをさせてはならない。常に前線に立ち、隊員達の士気を向上させるのも隊長の務めだからな。
「ラウラって凄いね。私と違って・・・強くなってるなんて」
「どういう意味だ?」
そう言えば簪は日本代表候補生だ。専用機は企業が開発するはずなのに、簪の専用機はほとんどが手作りだった。なぜその点に疑問を持たなかったんだ。
「実は私・・・」
簪は私にすべてを話してくれた。
更識家、無能、倉持技研、専用機・・・
簪に降り注ぐ不幸は私以上のものだった。不幸を比べるのはおかしいが。私はそう思った。
部隊が家族みたいなものである私にも、簪の姉の言動に怒りを感じた。上に立つ者が身内に無能でいろと言うのはおかしすぎる。倉持技研もそうだ。織斑一夏のために簪の専用機を開発中止など・・・もし軍隊でそんな事があったなら、射殺されてもおかしくないことをしている。
「私って・・・やっぱりダメなのかな・・・」
簪のつぶやきに私の心の何かが傷ついた。
「違う・・・」
「え?」
そうか・・・
「お前はダメなんかではない」
こういう事だったのか。教官が言いたかったことは・・・
「でも・・・私だけ・・・」
「簪、周りにいる連中がおかしなことをやってるだけだ。お前はダメなんかじゃない」
教官、貴方はやはり強い・・・
「お姉ちゃんも・・・?」
「ああ。本当に悪気があるのなら私と会う前に謝罪に来て、私が来たところを追い払うはずだ。おそらく実力は私以上だ。だが、お前の姉はいつまで経っても現れてこない。謝りにも来ない。それは姉として誇るべき事だと思うか?簪、もし君がお姉さんだったらそのような事をするか?」
「しない・・・悪かったらすぐに謝りに行かないと・・・」
そうだ簪。お前には何事にも頑張る姿が一番似合う。
「だからお前が気にする必要は無い。周りが自分勝手にやってるだけの事だ」
「・・・」
「どうした?」
「あ、ありがとう」
「私は大したことなどやっていない。私はただお前が気負う必要はないと言ってるだけの事だ」
どうやら私は教官の事を神格視していたところがあったようだ。
「簪、お互いに言いたいことは言った。武装の開発に取り掛かるぞ」
「う、うん。あと・・・」
「なんだ?」
「織斑一夏のことだけど、私も一緒に戦わせて!その・・・憎しみとか、怒りとかじゃなくて・・・」
安心しろ簪、教官の言葉を理解した私には、織斑一夏に憎悪を抱いていない。ただ・・・
「別に構わん。私は過去へのケジメをつけるために織斑一夏を倒す。それと・・・」
「それと?」
「更識簪。お前を救うことだ」
少なくとも、織斑一夏と私には互いに思うことがあるからな。それを解消するためには戦わなければ・・・
「お前を縛りつけている、呪われた運命の鎖から解放させるのが私のすべきことだ」
「・・・・・・」
クラリッサの情報によると、このセリフを言うと相手はときめくのだが全く・・・
「はぁ~ん」
ときめいていた。クラリッサ、今後も頼りにさせてもらうぞ!