IS 一夏の彼女は副担任   作:陸のトリントン

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更新が遅れて申し訳ございません。

今回でクラス対抗戦は終了です。

前半はシリアスのはずです。

なので甘々が好きな方は我慢して読んでください。


第11話

俺、織斑一夏は鈴と共闘して謎のISと戦っているが・・・

 

 

 

「何なんだよあいつ・・・」

 

強すぎる・・・

 

攻撃しようとすれば即座に防がれ、カウンターを仕掛けようとすると潰される。

 

さらに両手の光学兵器と重厚な装甲から繰り出される格闘。

 

まるで機械のように俺たちの行動を読んで来る。

 

 

 

機械・・・?

 

 

 

「何なのよあいつ!」

 

「鈴・・・」

 

「何よ!」

 

「あれ・・・無人機じゃないか?」

 

「・・・え?」

 

唖然とした顔をするけど、確実に中の人が死んでもおかしくない動きや反応をしている。

 

「だって俺達が攻撃しないと相手側も・・・」

 

「あんた、こんな状況でも嘘を言えるなんて・・・」

 

「俺の話を聞け!」

 

これじゃまともに会話ができない。

 

『一夏君、聞こえる!』

 

この声は・・・真耶か!

 

「どうしたんですか!」

 

『謎のISですが、調べてみたところ無人機である事が分かりました』

 

「本当ですか!?」

 

『はい。行動パターン、反応速度、どれもが人間では操縦できない域に達しています』

 

「どうすればいい?」

 

『はい。謎のISは一夏君達の行動を見てから行動してますので、凰さんの龍咆で目を塞いだ瞬間に零落白夜で倒してください』

 

「分かった。ありがとう真耶!」

 

俺は通信を切って鈴に作戦の提案をする。

 

「鈴、通信聞いたか?」

 

「わ、分かってるわよ。龍咆で動きを止めればいいんでしょ!」

 

悔しそうに鈴は真耶の提案を受け入れてくれた。鈴、悔しがる余裕なんかないだろ。

 

 

 

作戦はこうだ。まず俺が敵の注意を一瞬引き付ける。その隙に鈴が龍咆で謎のISを足止めする。その瞬間に俺が零落白夜で倒す。他にも方法はあるだろうけど考える余裕が無い。おまけにシールドエネルギーは少ししかなく、チャンスは一回きり。

 

 

 

「この一回を無駄にはしない」

 

俺には真耶と千冬姉、クラスの皆がいる。

 

箒とセシリアは考えるとして。

 

俺は一人で戦っていないんだ。

 

「準備は良いか鈴?」

 

「OKよ!」

 

「よし、行くぞ!」

 

俺は地上で謎のISに接近し注意を引きつける。俺の予想通り、謎のISは俺に反応して攻撃を仕掛けようと腕を俺に向けた。謎のISの背後に鈴がいる事を確認した俺は合図を送った。

 

「鈴!」

 

「分かってるわよ!」

 

鈴は謎のISの足元に龍咆を撃ち込んだ。突然の爆発に謎のISの動きが止まり、鈴の方を向いた。

 

「うおぉぉぉぉぉ!」

 

俺は瞬時加速(イグニッションブースト)で謎のISの懐に潜り込んだ。そして零落白夜を発動しようとしたが・・・

 

 

 

「ぐはっ!」

 

 

 

 

突然謎のISが消えた。それと同時に俺の脇腹に激痛が走った。

 

何が起こったのか分からなかったが、この作戦の欠点が分かった。

 

この作戦は、囮と錯乱が決め手となる。相手にしてみれば力を余計に使い、判断を遅らせ混乱させることができる。

 

 

 

相手が人間ならば・・・

 

 

 

謎のISは無人機、つまり機械である。力の加減も無ければ、混乱することも無い。

 

そう俺は・・・

 

謎のISの腕が鈴の方に向いてる時に零落白夜で斬りかかろうとした。だけど謎のISは回し蹴りで俺を蹴飛ばしたんだ。

 

だから突然消えたように見え、それと同時に脇腹に激痛が走ったのか・・・

 

 

 

でも理解した時には遅かった。さっきの回し蹴りが効いたのか激痛が走って思うように動けない。鈴も謎のISにやられ、フィールドの上で倒れたまま動かない。

 

「くそ・・・!」

 

謎のISは鈴の所へ歩み寄って来てる。

 

『一夏君!もうすぐ教員のISがアリーナに来るから、鈴音さんを連れて逃げて!』

 

そうか。なら鈴を連れて逃げないと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前、ブリュンヒルデの弟のくせに強くないんだな』

 

この声は・・・

 

『ブリュンヒルデの弟なら掛かって来いよ!』

 

中学の時に俺が喧嘩で初めて勝てなかった相手・・・

 

『お前は、ブリュンヒルデのダメなオマケだなぁ!』

 

違う、俺は一人で戦ってるんじゃない!

 

『どうした?その程度なのか、ブリュンヒルデの弟さんよぉ?』

 

違う!俺は・・・

 

『あ、そっか。お前はブリュンヒルデの弟じゃなかった。ブリュンヒルデの不純物だったな。あはは!』

 

俺は・・・!

 

『お前のお姉さんは可愛そうだな。こんな出来損ないの弟をもらってよぉ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はぁぁぁ!」

 

俺は脇腹の激痛など忘れ、謎のISに斬りかかった。

 

「うおぉぉぉぉぉ!」

 

謎のISは俺の声に反応し、直ぐにカウンターの準備に入ろうとしたが、

 

「させるかぁぁぁ!」

 

俺は零落白夜で謎のISの右腕を切り落としたが、謎のISは動じることなく左腕で強力なボディーブローをかました。

 

「ぐはっ!このやろぉぉぉ!」

 

血を吐いたが問題ない。俺は相手の懐にまだいる。片腕を切り落とされ行動は制限されてる。後は・・・

 

「叩き切ってやる!」

 

俺は雪片弐型で謎のISを切り刻み始めた。相手もカウンターを入れて俺を突き飛ばしたが・・・

 

「俺は・・・俺は・・・強くなければならないんだぁ!」

 

そうだ、相手を完膚無きに倒せばいい。二度と立ち上がらず、這い上がらず、出しゃばらないように倒せばいい。

 

誰にもブリュンヒルデの弟なんか呼ばせない。俺は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『い・・・く・・・!いち・・・くん!一夏君!』

 

「・・・はっ!」

 

 

 

気付いた時には俺は満身創痍で倒れていた。スラスターは原形を留めてないほど壊れ、腕の装甲は剥がれ落ちて右腕の出血が止まらない。脚部もヒビだらけで立てるのがやっと。おまけに俺の足元は血でいっぱいだった。

 

「ぐっ・・・」

 

今更全身に激痛が走って体が動けない。謎のISはボロボロなのに止まる気配が無い。

 

『一夏君!逃げて!』

 

真耶が涙交じりで叫んでるけど駄目だ。体が動かない。とういうより体の感覚が無くなってる。

 

「真耶・・・」

 

『一夏君!?』

 

「俺・・・また力を求めてた。こんな求め方をしても・・・どうにもならないって分かってるのに」

 

『分かって・・・くれただけで・・・嬉しいよ・・・だから一夏君・・・鈴音さんと一緒に・・・逃げて・・・』

 

「真耶・・・」

 

真耶は泣くのを堪えて俺に撤退を呼びかけたけど、謎のISは俺に傷だらけの左腕を向けた。どうやら俺を撃つ準備ができたみたいだ。

 

「くそ・・・こんなところで・・・俺は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ていっ!」

 

突然の叫び声に謎のISがアリーナのモニター上部を見つめた。そこには打鉄を纏った人物が立っていた。分かってるあれは・・・

 

「行く手に危険が待ち受けようと、心に守るものあるならば・・・」

 

しかも、ギターとトランペットのメロディーが流れてるし・・・

 

「例え、己の命尽きるとも、体を張って守り通す」

 

謎のISはモニター上部にいる人物に照準を向けた。

 

「人、それを男と言う・・・!!」

 

何も言わないよ、千冬姉。

 

そして謎のISは千冬姉に向かって撃った。

 

「とあああっ!」

 

しかし、高らかにジャンプして避けた。

 

「バァァァストキック!」

 

飛び蹴りが命中して謎のISは吹き飛ばされたけど、技の名前を叫ぶ必要はあるのか?

 

「とおああーーっ!」

 

後、拳の連打を繰り出してるけど打鉄の拳が壊れるから。

 

「奥義を受けろ!ゴッドハンドスマッシュ!」

 

右腕で謎のISの体を貫通させるって・・・

 

「成敗!」

 

火花をまき散らしながら謎のISは爆発した。もう、千冬姉一人で学園の安全は守れるんじゃないか?

 

「大丈夫か、一夏?」

 

なんか安心・・・したら意識が・・・

 

「千冬姉・・・その・・・ご・・・め・・・」

 

俺の意識はそこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ここは?」

 

意識を取り戻した時、目の前には白い天井が広がっていた。純白のベッドが幾つも並んでいて、俺はここが病室だと理解した。右腕には輸血用の管が刺さっていた。左腕には・・・

 

「真耶・・・」

 

真耶が俺の左腕を握ったまま寝ていた。真耶の目元には涙の跡がうっすらとあった。

 

「真耶、ごめん。俺は真耶の約束を破ってまで戦いに挑んで、真耶を悲しませる様なことをして」

 

俺は真耶の手を解き、左手を見つめた。

 

「これじゃあ、鈴の事なんか言えないや。結局昔と・・・変わらないじゃないか」

 

「いや、お前は変わった」

 

「え?」

 

声がした方を向くと、誰かを担いでる千冬姉がいた。

 

「千冬姉・・・」

 

「お前は変わった。誰かを愛し、その者の為に戦いに臨んだ。昔のお前からは想像もできない変化だ。昔だったら、全てを守ると言い張って力を振り回していたからな」

 

「だけど・・・」

 

それでも俺は自分が許せない。自分の感情を抑える事も出来ずに、怒りに身をまかせて戦ったんだ。

 

「過ちに気づき、そして過ちを省みる事は、新しい地平を開く力になるだろう。だが、そのために失うものの重さを忘れるな」

 

千冬姉・・・

 

「人、それを『戒め』と言う・・・」

 

それを聞きたかった訳ではないんだが。

 

「ありがとう。少し気が楽になったよ」

 

「そうか。では、私はこの侵入者と戯れてくる」

 

その侵入者、千冬姉にそっくりな気がするんだが。

 

「あと、山田君にちゃんと謝るんだぞ。ずっと心ここに在らずの状態だったからな」

 

「分かった」

 

「では失礼する」

 

そう言って、千冬姉はその場から風の如く消えた。千冬姉、弟の前だからって人間離れした技を使わないくれ。

 

「んん・・・」

 

空気を読むように真耶が目覚めた。

 

「真耶」

 

「・・・」

 

真耶は何も言わず俺を抱きしめた。だけどその抱擁には、悲しみが籠っていた。

 

「私がちゃんとした作戦を立てれば・・・一夏君が大怪我しなくて済んだのに・・・ごめんね・・・私が・・・一夏君を・・・助けに行けば・・・うぅ・・・」

 

真耶は涙を流しながら、俺に謝っていた。

 

「謝らなくていいよ真耶。俺が悪いんだ。真耶の言う通りに鈴を連れて避難すれば、こんな事にはならなかったし。力の使い方を間違えたからこうなったんだ。自業自得だよ」

 

「違う・・・私が・・・私が一夏君を・・・助けに行けば・・・」

 

「いや、あの時真耶が助けに行っても、俺はなりふり構わず突撃していたよ。それに、俺は真耶に助けられたから大丈夫だよ」

 

「・・・え?」

 

「こうして俺の手に触れてるだけで心が落ち着くんだ。大したことじゃないと思うけど」

 

「ううん。それで落ち着くならずっと握ってあげるから」

 

真耶は俺の左手を指を絡めて優しく握ってくれた。心が落ち着く

 

「一夏君、怪我が治ったら一緒に映画館に行かない?」

 

「ああ。真耶のデートを断る理由なんてないさ」

 

「ありがとう」

 

「だから真耶。またISの練習してくれないか?過去に囚われずに強くなって、真耶を守りたいんだ」

 

「いいよ。でも、ちゃんと先生の言う事を聞いてね」

 

いつの間にか真耶の笑顔が戻り、俺は一安心した。

 

「あっ!もう夕食の時間だ。夕食持ってくるから待っててくれない?」

 

「ああ、待ってるよ」

 

「じゃあ、行ってくるね」

 

そう言い真耶は夕食を取りに病室を後にした。

 

「そう言えば、鈴はどうなったんだ?」

 

左手を見つめながら、俺はセカンド幼馴染の安否を気にした。

 

「後で千冬姉に聞くか」

 

俺は真耶が夕食を持ってくるまで、窓の景色を見ることにした。

 

 

 

「一夏、夕食を持って来たぞ」

 

「一夏さん、夕食を持ってまいりました」

 

 

 

三秒で見終わるとは・・・

 

 

 

「箒、セシリア。どうしたんだ?今日は休んでいたんじゃないのか?」

 

「お前が大怪我を負ったんだ。体調不良など寝れば治る」

 

「そうですわ。一夏さんの看病と思えば、体調など問題ありません」

 

もう、鈴と違うベクトルでストーカーより性質が悪い。

 

「安心しろ一夏。あまり体の負担が掛からないメニューにしてあるから、心置きなく食べてくれ」

 

「一夏さん。ちゃんと私の夕食を食べてよく寝てください」

 

「山田先生が夕食を持ってくるから・・・」

 

「お前は山田先生以外の料理は食べれないと言うのか?」

 

「一夏さん。山田先生の夕食もいいですが、他の方の料理を食べないというのは失礼ではないのですか?」

 

「気持ちはありがたいけど・・・」

 

「なら食べろ。一応、量は少なめにしてある。食べても腹が減ったら山田先生の夕食を食べればいい」

 

「わたくしも、一口サイズにしてありますのでご安心を」

 

二人の食べたら、十分お腹いっぱいになる量だぞ。

 

「いや、山田先生が来てからでも・・・」

 

「一夏。いつまで山田先生に甘えるんだ。山田先生だって忙しい身の上である事は分かってるはずだ」

 

「山田先生がカバーできない所は、わたくし達がフォローしますわ」

 

良いセリフだけど邪念が籠りすぎ。

 

「さあ、一夏。遠慮せずに食べろ」

 

「一夏さん。はい、あーん」

 

「なあ、二人とも・・・後ろ・・・」

 

「「え?」」

 

二人は俺の言葉通り後ろを振り返ったら・・・

 

 

 

「病人を困らせるとは・・・大した根性の持ち主だな」

 

 

 

不機嫌な千冬姉がいた。

 

「お、織斑先生。これは一夏に夕食を持って来ただけで・・・」

 

「わたくし達は別に怪しいことなど・・・」

 

「ほう・・・一夏」

 

「なんですか?」

 

「お前の夕食を持ってくるのは誰なんだ?」

 

「山田先生です」

 

「だそうだ。箒の夕食は私が食べる。さっさと部屋に戻って治療に専念しろ」

 

「先生!わたくしの料理を忘れています!」

 

「オルコット。自分の料理を食べてみろ」

 

「ど、どうして・・・」

 

「いいから食べろ」

 

千冬姉の脅迫(?)にセシリアは自分の夕食を食べた。ちなみにセシリアが作った夕食は一口サイズのサンドイッチだった。

 

 

 

「ぐふっ!」

 

セシリアが倒れた。

 

「「・・・」」

 

「セシリアは私が責任を持って部屋に戻す。箒、お前は夕食を置いて部屋に戻れ」

 

「・・・分かりました」

 

箒は見てはいけない物を見たような顔をして部屋に戻って行った。

 

「ふぅ・・・」

 

「千冬姉、どうしてここに?」

 

「お前に二つ用件があってな。一つは凰鈴音に関してだ。重傷ではないが、別の部屋で安静にしている。途中、一夏は私がいないとダメだと駄々をこねてたから少し眠らせたけどな」

 

やり方がバイオレンスな物しか想像できない。

 

「次にお前のISだが、修理に早くて1週間、遅くて2週間は掛かるそうだ。その間に体を休めるんだな」

 

「分かった」

 

だとすると、映画館のデートはその間にするべきか・・・

 

「一夏君、待たせてごめんね」

 

そんなことを考えてるうちに、真耶がちょっと大きな弁当箱を持って戻ってきた。

 

「あれ?夕食って・・・」

 

「はい。真耶特製の鮭定食です」

 

そう言い弁当箱を開けると鮭の塩焼きに、煮物、ほうれん草の胡麻和え、冷奴に味噌汁など、栄養バランスが偏ることなく構成された定食だった。

 

「真耶、わざわざ俺のために・・・」

 

「本当は部屋でクラス対抗戦のお疲れ会をしたくて、作ってたんだけど・・・」

 

「大丈夫だよ真耶。真耶が俺のために美味しいものを作ってくれたんだ。それだけでも嬉しいよ」

 

「一夏君・・・」

 

「真耶・・・」

 

俺と真耶は鮭定食を無視して互いの顔を・・・

 

 

 

「お前達、私に何を見せつけているんだ?」

 

 

 

近づけなかった。千冬姉がいることを忘れてた。

 

「じゃ、じゃあ一夏君、私が食べさせるから何か食べたいものを言って」

 

「分かった。けど・・・」

 

「一夏君、どうしたの?」

 

真耶と一緒に夕食だけど・・・

 

「千冬姉、いつまでいるの?」

 

「お前達二人を邪魔する者が来ないと分かるまでだ。それに・・・」

 

「それに?」

 

「お前達がどういう風に食事をとってるのか気になってたからな。私の事は気にせず二人仲良く食事をしたらどうだ?」

 

 

 

その後、俺と真耶は千冬姉にニヤニヤ観察されながら夕食を食べた。




次回は映画館デートを執筆する予定です。

前回のデートみたいにお邪魔虫が活躍する予定はありません。

更新のペースですが、遅くなるかもしれませんが生暖かい目で見守ってください。

ご意見、ご感想、お待ちしております。



オマケ

※このお話は、織斑マドカ視点のお話です。このお話を読まなくても、次の話に支障はありませんが、キャラへの理解が深まる・・・はずです。






私の名は織斑マドカ。私は織斑一夏の監視を行うべく、IS学園に向かってるが問題が発生した。



お金が無い


なぜそうなったのかは簡単だ。

中野ブロードウェイ4階のゲームセンターで遊んでたら、財布が無くなっていた。

大会で優勝したのに財布を盗まれるとはとんだ失態を犯したものだ。

どうやってIS学園に侵入する。

幸い地図は手元にあるし、金が無いと言っても300円はある。

こうなったら・・・



IS学園まで泳ぐしかない



クラス対抗戦当日

「ぜえ、ぜえ、ぜえ」

なんとか学園に着いた。ここに来るまでの間に何台の自販機の下を探ったんだろう。そんなことはどうでもいい。今は乱入者のおかげでアリーナまで行くのは容易だ。その前に、悪魔二匹に定時連絡を・・・



「貴様、そこで何をしている?」



この声は千冬姉さん!良かった、シスコンではなく千冬姉・・・さ・・・ん・・・

「・・・マドカ」

嘘だ・・・姉さんが・・・

「話したいことはたくさんあるが、まずは身柄を確保させてもらう。悪く思わないでくれ」

「姉さんが・・・」

「どうした?」



「悪魔に魂を売ったなんてぇ!」



「は?」

「くそっ!これも越えなければならない試練だと言うのか!」

「何を言っている?」

「なら超えてみせよう!その試練を!」

「おい!人の話を」

「マドカ!」

私は掛け声と共に空中へ高らかに飛んだ。

「あの技は・・・!」

そうだ、この技は悪魔に破られたことも無い・・・

「断己相殺・・・」

「招雷!」

「え?」

突然私の頭上に雷が落ちた。

「ぐへっ!」

私はそこから意識が途絶えた。



「これで落ち着いたか。後は一夏の所に戻らないとな・・・」

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