フーと散歩   作:水霧

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おわり:あかいうみ

「はっ」

「どうかしましたか?」

「……これ、かけてくれたのか……?」

「どうやって肩にかけるのですか? 寝ぼけて自分でかけましたよ」

「……そっか。あれは夢だったのかな……?」

「きっとそうでしょうね。“カレーがいいなぁ”と寝言を言っていましたから」

「うわ……恥ずかしいな」

「存在自体が羞恥物ですものね」

「砂に埋めるぞ」

「今回は壮大な宝探しを企画しているのですか? これだけ広いと掘り当てるのにすごく苦労するでしょうね」

「…………そ、それじゃあ、テント片付けたら行こうか」

「もう行くのですか?」

「……さすがに早いか」

「もう少しだけ、この海を眺めませんか?」

「なんだ? 懐かしいのか?」

「違います。日の出の光が海に反射して綺麗なので、もう少し見たいのです」

「そうか。……」

「どうしました、ダメ男?」

「……眩しい……」

「そうですね」

「なんだろう……胸が込み上げてくる」

「不思議なものですね」

「そうだな。……よし、こうなったら海賊になっちゃおっかな」

「やめてください。現実逃避をしないでください」

「オレには向かないっか……」

「そうですよ。ダメ男は争い事より、くだらないことをぐだぐだ話している方が性に合います」

「だな。……褒め言葉としてありがたく頂戴しとく」

「はい」

「それにしても……温かいな」

「温かいですね」

「……セーター」

「そうですか」

 

 

 


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