この作品でも漸く本格的な戦闘描写が書けそうになってきました。
~夕食の時間~
ずっと泳がされてヘトヘトになった一夏はとまだ元気のあるアブは一緒に夕食の会場へと向かった。
机の上にはお膳が並べられ、刺身などの魚介類が並んでいる。
「こんな豪華な物は久しぶりだな。」
アブはドイツで日本料理を食べた事があったが、ラウラは全く食べたことが無かったので興味津々といった様子だった。
「ねぇ、この緑色のは何?」
不意にシャルロットが緑色の物を指してアブに聞く。
アブは以前寿司を初めて食べたときの事を思い出し、笑顔でこう言った。
「それはわさびだよ。美味しいから食べてみたら?」
「そうなの?じゃあ・・・いただきま~す」
周囲はこの一連のやり取りに対するアブの〝イイ〟笑顔に反応が遅れてしまい、
気付いた頃にはシャルロットの口には既にわさびがまるまる1個入って居た。
「ッ~~~~!?!?!!!???」
悶えるシャルロットと計画通りと何処かの新世界の神の様な顔をするアブ。
そんなアブに、ラウラは深く溜息をついた。
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夕食を終えて自分達の部屋に着いたアブとラウラは扉を板で軽く塞いだ後、
携帯を取り出した。
その画面には旅館の周囲が映っていた。
「ラウラ、どう?」
「今の所こちらの方面に異変は無いです」
アブ達は今年は男性操縦者が居る為、IS学園と旅館の双方の頼みでアブ達が設置した監視カメラで警護を行っていた。
・・・・・。
しばらく静かだったが、不意にラウラが画面を見つめたままボソッと言葉を発する。
「そういえば、束さんが旅館の近くに出現したそうです」
「ブフッ!?!」
アブは突然知り合いが近くに出現したことを聞いて吹き出す。
「・・・アイツの事だし、絶対接触して来るな・・・」
アブが疲れたようにそう言うと、
「その通ぉ~り!!」
接触してきた。
「一応聞く。何故此処に居る?束。」
一気に不機嫌になるアブ。
「束さんが好きな所に好きな様に現れるのは当然の事で、意味なんてないよ~~♪
そんなに不機嫌だと、幸せも遠慮してやって来ないよ~~?」
「ほっとけ」
アブはなるべく束から離れた場所に座り、其処から束を睨み付ける。
「此処に来たって事は、何かしら用件があるんだろ?」
「ん?無いけど「帰れ。今すぐ」酷いよ~~」
世間話をしに来ただけだよ~~と言う束に、断固として束を追い出そうとするアブ。
ラウラはいつもの事なので呆れてしまい何もしなかった為、
時間以外は何も進まなかった。
「最近調子どう?その体にも慣れた?」
「関節技を掛けられているのに普通に喋るな」
少し時間がたった後アブは束を捕まえるが、
束はアブに関節技を仕掛けられても尚自称〝世間話〟をしようとする。
結局ラウラがアブを束から引き離すまで事態は進まなかった。
「じゃあもう帰るね~。折角世間話をしたかったのに結局出来なかったから、また明日くr「来るな」酷いよ~束さん泣いちゃうよ?」
そう言いながら束は窓に向かう。
「あ、そうだ」
そして、
「言い忘れてたけど、
何処かの有象無象共が此処に攻め込む気みたいだよ~。それじゃあまた明日~~」
最後に此処に来た目的をついでの様に話した。
「「っ!?」」
2人は急いで携帯の画面を確認する。
そこには、
生い茂っている木々の傍に微かに動く物体が映っていた。
まだ旅館には到達して居ない様だが、このまま放っておくといずれ旅館に攻めて来る事は明確だった。
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束が窓から去った後、2人は持ってきた大きめのボストンバッグの中身を取り出す。
中にはHK416(1丁)と、USPタクティカル(2丁)と、それに付ける装備が入って居た。
2人は弾倉の中に急いで弾を入れ、装填をする。
「じゃあ僕が排除に向かうから、ラウラは此処で待機、監視カメラで見張っていてくれ。何かあったら無線で知らせて、旅館を防衛してくれ。やむを得ない場合はISを使っても良いから」
「分かりました。では、ご武運を」
アブは先程束が出て行った窓から外へと飛び出す。
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アブはまず監視カメラに映っていた場所へ時に地面を蹴り、時に木を蹴りながら最短ルートで向かう。
「もうそろそろ着く筈・・・」
走るのを止め、忍び足で敵の居るであろう場所に近づく。
すると・・・
太い木の陰から旅館の様子を伺っている集団を見つけた。
(いつもなら撃ち殺すけど・・・今回はこの後も何人攻めて来るか分からないから、ちょっと有効活用させて貰うか・・・!)
アブはその集団に十数メートルの所まで近づく。
(人数は10人、全員男で恐らく日本人・・・都合が良いな)
まずアブはサプレッサーを付けたHK416で男2人の足を撃ち抜く。
その後突然の事に慌てる男たちに向かって突撃し、数人を殴り気絶させる。残った男たちが発砲して来るが、
(・・・・いくら銃で撃ってきても、これ位なら簡単に避けられるんだよね~)
アブは慌てず射線から弾道を予測し、すべて避けきった。
そして、
「リーダー確保♪」
リーダーと思われる男に後ろからナイフを突きつける。
残った男たちもリーダーが邪魔で撃てなくなる。
「駄目だよ~ちゃんと敵の情報は調べなきゃ。
偶然ドイツ軍の兵士が生徒として入学しているかもしれないでしょ?」
軽く笑いながらナイフをリーダーの首に添える。
アブは普段や、束の来た時とは全く違う様子だった。
目も何時もの青よりほんの少しうっすらと赤っぽくなって、いつもより光って居る様に見える。
「本来なら此処で全員あの世への片道切符をプレゼント(強制)するんだけど、今回は取引次第で生かして置いてあげるよ♪」
アブは非常に楽しそうに言葉をつづける。
「取引の内容は、
お前ら足を撃たれた奴以外全員旅館を防衛しろ。勿論首輪(爆弾入り)は付けて貰うから、少しでも裏切ったり僕を失望させたら即爆散だけどね♪」
その条件を飲めないなら、今すぐ楽にしてあげるよ、とケラケラ笑いながら言う。
その様子に男たちは怯む。
「あぁあ~、久しぶりに表に出せたから満足満足♪普段は他の生徒たちが居るからこう言うのは表に出せないけど、お前らが外でモタモタしてくれて助かったよ。」
そう言うと、
アブは、
月を背景に薄く嗤った。
・・・・・その近くにさっきまでにラウラと見ていたカメラがあるのを忘れて。
アブは以前わさびで苦い経験をしています。
そして、
アブ、実は戦闘狂(狂気3割、アブの性格(S)1割配合してあります)だった
表とかのセリフについては、別に多重人格と言う訳では無いです。
武器とかは特に意味はありません。ただドイツ人だからドイツの会社(H&K)だと言うだけです。
次回は連休明けになるかな?
その為恐らく更新速度は遅いですが流石に何週間も開けない(多分)のでご安心ください。