男性操縦者2人目はラウラの上官   作:ゆっくり分隊長

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今回は、題名の通り、原作だと一夏と千冬が担当するシーンも出て来ます。

※今更感が半端ないですが、アブとラウラが泊まって居るのは普通と違う部屋です(有事に対応出来る様に)。
その為部屋の構造も違います。

てっきり既に説明を書いていたと思っていました・・・今までで一番の大失態です・・・
では本編をドウゾ~


後始末と勘違いと鬼教師(笑)と

88mmとは比較にならない砲声が辺り一面に響く。

0距離から128㎜のIS改修ver.を食らった福音は活動を停止し、強制解除される。

 

「よっ・・・と」

福音の操縦者と待機形態になった福音を抱え、同時に展開していた砲を全て量子化して収納する。

 

「軍用ISなだけあってかなり高性能だったな・・・・・・・。

こっそり持ち帰って軍上層部に解析させようかな(ボソッ」

 

「そんな事してもIS学園に見つかりますよ」

待機状態の福音を見つめながら呟いたアブにそう釘をさすラウラ。

 

「・・・紛失したとか「駄目です。何にせよバレます」アッハイ」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

花月荘の近くの浜辺に降り立ちISを解除したアブは、ぜぇぜぇと息を切らせながらセシリア達&不明機の女性とISの乗っている船をロープで引っ張って来た一夏を無視し、そのまま花月荘に入ろうとする。

しかし、

 

「・・・・ッ!」

突如として現れた右足の痛みに顔を顰める。

 

「・・・流石にあの薬で誤魔化していたとはいえ、無茶し過ぎたか・・・・」

そう言いながらも強引に花月荘へと足を進めようとするアブだったが、急に目の前が暗くなる。

 

「思った・・・ッ以上に・・血が出ていたか・・・これじゃあ当分右足は・・・・」

時々苦痛に顔を歪めながら呟くアブだったが、次第に意識が薄れていく。

 

「・・・うわぉ・・・これ・・・はッ・・・意外・・・・だ・・・ハハッ」

自らの後ろを確認したアブは、自分のISを解除した場所から今居る場所まで、

夥しい量の血で道が出来ているのを見たのを最後に、バタリと倒れこんだ。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

アブが次に目を覚ましたのは、自分達の部屋だった。

 

「起きましたか?」

仰向けに寝かされていたアブの隣には、包帯などを沢山持ったラウラが居た。

 

「あぁ・・・・って何やってるんだ!?」

アブは返事を返す・・・と同時に自分のが勝手に上半身裸にされているのに気付き、慌てる

 

「何って・・・・自分の体を良く見て下さいよ」

言われるがままに、アブは自分の身体を見つめる。

其処には、大小様々な傷が無数に出来ていた。

 

「・・・・・あっ」

 

「あっ、じゃないですよ。倒れているのを見つけた時にどれだけ心配したと思ってるんですか!」

ラウラは、アブの体に素早く包帯を巻きつけながら怒る。

 

「わ、悪かったって・・・」

そう言いながらアブは上半身を軽く起こす。

 

「・・・で、でも、怪我なんていつもの事じゃないか」

アブの謝罪で機嫌が良くなったラウラだが、続くアブの言葉に再び機嫌が悪くなる。

 

アブの右足は、骨折している上にかなりの量出血していた。ラウラは、不用意にアブの足が動かない様に、添え木と共に包帯を巻いていく。

 

「昔から、作戦に負症は付き物だったじゃないか・・・って痛い!」

その言葉を聞き、ラウラは包帯を巻く手を強める。

 

「ぅ・・・ぐぅ・・・ちょっと締め付けがキツすぎないか?」

 

「・・・気のせいです」

 

「そんな訳・・・痛ッ!」

 

「私だって(心が)痛いです」

そう言ったラウラは更に包帯をキツく巻く。

 

「ぐァ・・・更にキツく・・!」

 

ギギギ、

そう聞こえて来る程にキツく巻く・・・いや、縛っていくラウラ。

 

「ちょ、ちょっと待って!(血が)出る!出ちゃうからぁ!色々とグロ映像になるから!」

 

「・・・知りません」

傷口を強く抑えれば止血出来るんです、と軽く言い訳をするラウラ。

 

「ちょ!?逝くッ!!?(物理的に)逝っちゃうからァ!?ラウラは上官を殺す気か!?」

 

プシュッ。

元々傷が酷い所を現役軍人による物凄い力で巻いた為、アブの足から血が出る。

 

「・・・・あ。」

そんなラウラの声も空しく、包帯が赤く染まっていく。

 

それと同時に扉が空き、セシリア達が雪崩れ込んでくる。

 

「ぅぁ・・・・ぁ・・・っ」

元々気絶していた時点でかなり血を流して居た為、応急処置を行った現在も貧血状態のアブ。その状態で、足からはまたもや大量の血。

 

アブは血がどんどん無くなっていく中で今にも死にそうにプルプルとラウラに向かって

手を伸ばす。

 

 

「ぇ・・ぁ・・・衛生兵・・・メディック・・・メディ――――ック!!!!!」

混乱したラウラは、居る筈もない衛生兵を呼ぶのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

~数分前~

 

「アブさんは大丈夫でしょうか・・・・」

あの後、近くに居たラウラによって花月荘に運び込まれたアブは、現在2人の部屋で軽い処置を受けていた。

セシリアは意識を取り戻してから、その事を聞くや否やすぐにアブの所に向かって居た。

 

アブとラウラの部屋までたどり着いたセシリアは、ノックして中に入ろうとする。

しかし、それを何者かに邪魔されてしまう。

 

「(しっ!静かにして!)」

セシリアを邪魔したのは、部屋の扉に張り付いていた鈴であった。

 

「(・・・一体どうしたのですか?)」

小声の鈴に、なんとなく空気を察したセシリアは、小声で尋ねる。

 

それに対し鈴は、扉をクイッと指をさし、ジェスチャーで中の声を聞く様に伝える。

 

そこにセシリアと同じ様に、アブを心配してやってきたシャルロットも加わる。

 

シャルロットも鈴に言われるままに、扉に耳を近づける。

しかし、中に居る2人は扉から遠い所に居るのか、断片的にしか聞こえなかった。

扉に張り付いた3人は、神経を研ぎ澄ませて扉の向こう側の声を聞く。

 

『ぅ―――――ぅ・・・ちょ―――締め付けが―――キツ―――』

 

(((!?!?)))

中から聞こえて来たのは、呻くアブの声だった。

 

「(あの2人部屋の中でナニしてるのよ!?)」

それが〝アレ〟の最中の様に聞こえてしまった鈴達は、顔を真っ赤にさせる。

 

「(ねぇ、これって・・・お楽しみ中のやつ?)」

シャルロットは鈴に聞く。

 

「(・・・いや・・・まだ断定は出来ない。もっと詳しく情報を集めないと・・)」

3人の中でリーダー的な立場になった鈴は、他の2人に指示を伝える。

 

「(いい?絶対に音を出さないでね。中で何が行われているかを確かめるまでは、絶対に此処に居るのがバレちゃ駄目だからね?)」

 

「「(りょ、了解!)」」

 

再び扉に耳を近づける3人。

 

『―――・・・痛ッ―――』

 

『私だって痛いです―――』

アブの声と、いつもとは少し違うラウラの声が聞こえた。

 

「(ねぇ!?は、初めての時は痛いって言うじゃない!?それにラウラの声もいつもとなんか違うし、まさか本当に―――)」

 

「(いやまだ確証は・・・)」

「(そうですわ・・・まだ確証は・・・)」

 

『更にキツく・・・!』

 

「(まだ・・・確証は・・・・)」

 

『―――待っ――、出る!―――色々――ロ映像になる―――!』

 

「「「(アウトッ!!!!)」」」

 

「(フ―――フフフ、―――)」

 

「(―――鈴・・・?)」

 

「(流石はアブね・・・お楽しみ中なのに、そんな時でも小説のR18化を心配するなんて―――)」

 

「(何訳の分からない事言ってるの鈴!?)」

 

「(シャルロットさん、鈴さんが―――鈴さんが壊れてしまいましたわ!)」

 

『―――ぃク―――イッちゃ―――ラウラh――――す気か!?」

 

「(・・・うん?)」

他2人が顔を真っ赤にしている中、鈴はアブの会話の中に可笑しな点を見つける。

 

(ラウラの後・・・なんて言ってた・・?【『ラウラは』、〇〇『す気か』】・・・?普通〝お楽しみ〟中にそんな事・・・)

鈴は、もしかすると我々が勘違いしているだけなのかと思い始める。

しかし、

プシュッ―――

 

(いやいやアウトォ!!!)

何かが出た音に、そんな考えは吹き飛ぶ。

 

そして―――、

 

ガチャ

 

「「「あ」」」

 

3人の中の誰かがバランスを崩したのが原因で、扉が開いてしまう。

 

 

3人が見た光景は、

 

今にも天国へ旅立ちそうなアブと、慌てているラウラだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「全く馬鹿共が・・・」

 

ラウラの叫びによって部屋に来た千冬は素早くアブを医務室に運ぶと、ラウラを始めとした4人を正座させた。

 

「私は今後処理で忙しいんだ。余計な騒ぎを起こさないでくれるか?」

 

そう言う千冬の鋭い眼光に、4人はすっかり萎縮してしまう。

 

「ボーデヴィッヒ」

 

「は、はいっ!?」

 

「貴様はまさか軍で応急処置の方法を習わなかった、とほざくんじゃないだろうな?」

 

「いや・・・その・・・」

 

「ハァ・・・アイツは貴様の上官で、何よりも重症患者だろうが・・・少しの感情で上官に危害を加えようものなら、私が許しても軍が許さんぞ」

 

「はぃ・・・・」

 

千冬は深いため息をつく。

「そして其処の逃げようとしている女子3人」

 

「ギクゥッ・・・」

 

「や、やだなぁ先生。逃げようだなんて・・・」

 

「そうですわよ。逃げようだなんて「今更そんな事言っても凰が擬音を声に出している時点で言い逃れは出来ないぞ?」ちょ、ちょっと鈴さん!?」

 

千冬は、今度は3人に攻撃を開始する。

「それで、3人は何故此処に居たんだ?」

 

「え、えぇと、アブの様子を見に」

 

「私も」

 

「私もですわ」

 

「・・・で、貴様等は中の声を如何わしい物と勘違いしたと。」

 

「い、いやそんな事は・・・」

それでも尚反抗しようとする鈴。

その様子に2人は希望を持つが、

 

「・・・・ほう」

 

「いゃ、あの・・・はい、そうです・・」

千冬から殺気が溢れた瞬間に降参する。

 

「「鈴!?」」

 

「ハァ・・・・」

この短時間でどれだけため息をついたか・・・と愚痴をこぼす千冬に3人は過剰に反応する。

 

「貴様らは言われたくないだろうが、敢えて言わせて貰おう。

 

 

想像力が豊か過ぎだ、この万年発情ウサギ共」

 

 

「「「グゥ・・・ッ!!」」」

 

「じゃあそう言う貴女はどうなんですか?〝ミス〟織斑。」

千冬は突如聞こえたその声に、ため息を付きつつも振り返る。

 

「・・・また不毛な争いをしようと言うのか、カーティス」

 

其処には、最初に倒れた時よりも更にげっそりとしたアブが松葉杖を使って立っていた。

 

 

 

 

 

「カーティス、福音と不明機の操縦者の両方が目を覚ました。私はこの馬鹿共の説教で忙しいから代わりに行け」

 

「はいはい、了解しました~」

一時はアブの登場で助かったかのように思えた鈴達だが、アブは千冬に用事を言いつけられ、早々に退場していった。

 

「―――さて、説教はまだこれからだぞ?」

 

「誰か・・・助けて・・・」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

旅館のとある一室。そこには福音の操縦者であるナターシャ・ファイルスが座って居た。

 

「やぁ軍人さん、元気かな?」

其処に、IS学園の制服の上にレッグホルスターを付けたアブが堂々と入って来た。

 

「・・・何の用かしら?」

不機嫌そうに言うナターシャに、アブはあるものを投げ渡す。

 

「ほい」

 

「これは・・!?」

 

「アンタが不機嫌な理由ってそれだろ?」

アブが投げ渡したのは、待機状態の福音だった。

 

「何でこの子を貴方が・・・?」

 

「元々はウチに出来たら解析させようかなって思ってたからな。」

 

「・・・感謝はする。けど、「あぁそれともう一つ。」・・?」

さっさとアブを追い返そうとするナターシャだったが、アブに言葉を遮られる。

 

アブはナターシャの近くに行くと、いきなり抱きしめる。

 

「ちょ、い、一体何を」

アブはナターシャ〝だけ〟に見える様に後ろを指さす。

其処には小型の監視カメラが分からない様に隠されていた。

 

「(・・・ナターシャ、だったな?)」

アブは監視カメラにばれない様に、抱きしめたままナターシャの耳元で囁く。

 

「(え、えぇ)」

 

「(・・・・ナターシャ、お前、〝途中から意識あったろ〟?)」

 

「(・・・は?貴方、何を言って「(途中から・・・そうだな、僕が不明機を墜とした頃からおかしい所が何か所かあった。

機械音声なのになぜか〝焦った〟様な音をだしたり、新武器に動揺したり、被弾した時に余りに〝人間らしい〟声を出したり、な)」・・・。)」

 

暫く沈黙した後、ナターシャは諦めたように小声で話し始める。

 

「(・・・全く、我ながら結構上手く演じきれたと思ったのにね。

流石は〝ドイツ軍人〟さんね)」

 

「(それはどうも。・・・あと、一つ提案なんだが)」

 

「(・・・何かしら?)」

 

「(このままだと恐らく福音は凍結される。どうだ?福音と一緒に〝ウチ〟に来ないか?)」

その言葉を聞き、ナターシャは若干不機嫌になる。

 

「(・・・私が簡単に国を裏切るとでも?)」

 

「(まぁ、そう言うのは分かってたさ。・・・・さて、)」

アブは用事は済んだとばかりに立ちあがる。そして、

 

チュッ

 

「・・・え?」

ナターシャにキスをした。

 

「じゃあ、もう他の用事があるから、またな!あ、後ドイツ軍入りの件もお願いな!」

アブは監視カメラにも聞こえる程の大きさでわざと言う。

 

「え・・・えぇ・・・ま、前向きに検討しておくわ」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

とある2人が、監視カメラを見ていた。

 

「・・・・なぁ、ボーデヴィッヒ」

 

「・・・なんでしょう教官」

 

「アイツは、カーティスの知り合いなのか?」

 

「はい(きっと大佐は何か考えあっての事の筈・・・ここは話を合わせないと)」

 

「随分と抱き着いている時間が長かったが、何かしていたのか?」

 

「・・・・大佐は案外寂しがりやで、甘えん坊だから、久々に会った友人に感情が抑えきれなくなったんでしょう(棒)」

 

(恐らく大佐は抱き着いてるなかで、最後我々に聞こえる様に言っていた

ドイツ軍入りも含めて何か話していた筈・・・

 

でも、いくら優秀な人材の引き抜きの為といえ、〝初対面〟の女性に抱き着いて

キスまでするなんて・・・ハァ・・・というかいくら大佐の容姿が優れているからとは言え、男が色仕掛けとか・・・・というか実際に効果あったっぽいし)

 

 

アブがナターシャに抱き着いた結果は成功で、実際に千冬相手に情報を隠す事が出来た

・・・のだが、それと同時にカメラで見ていた2人に精神的なダメージも負わす事になった。

 

 

 

 




今回はアブとラウラの絡みを中心とした話でした。

取り敢えず、アンケートにあったナターシャと絡ませてみました(最も、アブの策略の為ですが)
ナターシャの気持ちは兎も角、アブは現時点では(←此処重要)ナターシャを都合の良い駒と言うような考えです。

今後ナターシャとの絡み次第で、今後のアブ、そしてドイツの今後が決まります。

ドイツはアメリカとより〝親密な関係〟になるか、それとも事実上の〝宣戦布告〟になるか、今後をお楽しみに~

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