ペルソナQ ~資質ゼロだったはずの少年の物語~   作:甲斐太郎

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放課後悪霊クラブ編―③

□陽介□

 

里中の活躍によって強敵と思われた金色のシャドウが星になるのを見届けた俺と総司はその場に崩れ落ちた。疲労のピークに達していたということもあるのだが、里中の問答無用のクリティカル攻撃に呆れて気が抜けた感じだ。

 

ただ総司の疲労は半端なものではない。シャドウへの攻撃や味方に対する補助・回復スキルを使い続けて精神力はほとんど空っぽだろう。それでも善や完二が倒れた後も武器を構え、ずっと際限なく現れるシャドウを相手に戦い続けた。

 

「……どうやら、さっきのシャドウで終わりだったみたいだね。……隣の部屋に戻って助けを待とう」

 

「ああ、そうだな。ま、里中は暴れ足りないだろうけれどな」

 

「いや、まぁ私もやりすぎっちゃったかなぁとは思わないこともないけどさ……」

 

肩で息をしている総司が完二や玲ちゃんたちがいる部屋へと続く扉のドアノブに手を掛ける。しかし、ガチャガチャと動かすだけで扉は一向に開く気配がない。

 

先ほどまで問題なく開閉できていたのだ、立て付けが悪いのだと思い、俺と里中も一緒に扉を開けようと奮闘する。ギシギシと扉が鳴るがあともう少しというところで開かず、シャドウとの連戦で疲労している俺と総司のフラストレーションはマックスに達する。

 

「ああもう、こっちは疲れてんだよ!」

 

「バラバラじゃ駄目だ。タイミングを合わせよう!」

 

「じゃあ、行くよ!せーのっ!!」

 

里中の掛け声に合わせて力を入れた俺たち。その成果もあって、扉は大きく開かれたのだが、扉の先にあったのは完二や善たちの姿ではなく、真っ暗な闇。勢いがついていたこともあって、踏みとどまることもできず俺たちはそのまま闇に向かって踏み出してしまった。

 

里中は悲鳴を上げて縮こまり、俺は仰け反ってしまったものの、離れ離れになることはない。何せ、里中の尻尾と俺の胸倉を掴むのっぺらぼうの総司がいたから。

 

 

 

パチパチと何かが燃えるような音と仄かな温かさを感じながら身体を起こそうとすると腕の中に狸の耳を生やしたままの里中がいた。黙っていれば可愛いじゃんと思った辺りで視線を感じてそちらを向くと、火に照らされながら総司が見ていた。のっぺらぼうであるが、本物の顔は確実にニヤニヤしていそうな雰囲気なのが、分かって腹立たしい。

 

「……起きたみたいだね、陽介」

 

「総司」

 

「周囲を少し調べてみたけれど、壁や床の雰囲気が一変している。恐らく1階ではないね」

 

「総司」

 

「うろついているシャドウも一癖二癖ありそうな奴らばっかりだ。ここもいつまで安全か分からない」

 

「総司」

 

「……別に他意はなかったよ。僕は“主花”よりも“花千枝”を推しているけれどね!」

 

「やっぱり手前かぁ!!確信犯じゃねぇかぁ!!」

 

気を失っている状態の里中をそっと寝かせた俺はのっぺらぼうの下でほくそ笑んでいるだろう総司に向かって斬りかかった。ちなみに俺と総司の攻防は物音に対してうるさいといいながら起き上がった里中に注意されるまで続いたのだった。

 

 

 

総司の鞄に入っていた非常食で腹ごしらえをした俺たちは階段を探して動き始める。

 

当初はカエレールを使って入り口まで戻ろうとしたのだが、反応しなかったのである。これによって里中の目尻に涙が溜まるのを見た俺は総司に考察を頼んだ。

 

「恐らく僕ら自身が、“ここがどこであるのか”を理解できていないことに起因するんじゃないかな?ヤソガミコウコウとダンジョンは一見すると同じ空間にあるように見えて、明確な意識の境があるんだ。僕はその意識の境のカラクリを突いて、皆に隠れてレベル上げやお金稼ぎをしていたんだし。今頃、ナビの山岸先輩や久慈川先輩も僕らのことを見失っていると思うよ」

 

「要するに救援は絶望的って訳だな」

 

「そう悲観することもないよ。携帯食もまだあるし、最悪“美味しそうなシャドウ”を捕まえて調理すれば、飢えはしのげるだろうしね。ブラックレイブンの焼き鳥とか良くない?」

 

「「良くないよ!!」」

 

嬉々としながらダンジョン飯という恐ろしい提案をしてくる総司に対して俺と里中は同時にツッコミを入れる。総司は肩を竦めながら『冗談だよ』というがのっぺらぼうという最強のポーカーフェイスの所為で表情が見えない。マジでそんな恐ろしいことを考えているのか、それとも本当に冗談で言っているのか、判別が出来ない。

 

「ちえきちもツッコミに参加できるくらいの元気も出てきたことだし、皆と合流するために動こう。先頭は僕が行くから、真ん中がちえきち。陽介は殿をお願い。雰囲気的に廃病院っぽいから、血の跡とか、叫び声とか聞こえてくると思うから気構えだけはしっかりね」

 

「……うぅ、分かった」

 

里中はそう言うと部屋の扉へ向かっていく総司の服の裾を掴んでついていく。

 

俺も2人の後を追いながら、総司が一緒にいてくれたことに感謝する。もしも、里中と俺だけでこんなところに飛ばされていたら、早々にパニックを起こしシャドウに殺されていただろう。

 

もし、パニックを起こしていなくても、仲間と連絡を取ることができない、篭城するにも食料が心許ない、最悪を想定するには十分すぎる。恐怖心が勝る里中を抱えて、俺一人で未知のダンジョンを走破するなんて不可能だ。闇雲に突破をしようと里中共々シャドウの餌食になっていた可能性すらある。

 

「陽介、隣の部屋に早速シャドウがいる。『変容の彫像』と『トランスツインズ』が2体」

 

「トランスツインズは風スキルが弱点だったよな。あの部屋に流れ込んで来ていたシャドウはこの階層から来たってことなのか?」

 

「さて、それを考えるには情報が少ないけれどね。もう1体のシャドウの変容の彫像は氷結スキルが弱点だから、総攻撃を狙おう。行けるよね、ちえきち?」

 

「お化けじゃないなら大丈夫!」

 

総司は里中に確認し、俺に目配せをしてくる。

 

俺たちは大きく頷き、隣の部屋になだれ込むと同時にそれぞれがスキルを発動させる。総司のペルソナによるブフーラと俺のマハガルーラが部屋の全体に吹き荒れて、もう吹雪のようだ。吹雪が吹き止んだ後に残ったのは気絶して部屋の床に無防備な状態で転がるシャドウの群れ。

 

俺たちは各々の武器を構えて気絶しているシャドウたちをタコ殴りにする。初戦はこうして特に反撃を受けることもなく終了。おかげで心細くておどおどしていた里中の気分も上昇し、明るい笑顔を振り撒くまでになった。

 

「総司、サンキュ」

 

「うん?どうしたの、陽介」

 

「いや、俺じゃあ里中をこんな短い時間で元気にすることは出来なかったはずだ」

 

「そんなことはないよ、陽介。今回は僕がいたからこんな方法になったけれど、陽介もちゃんとちえきちとの2人だけでも乗り越えることが出来ていたはずだよ。だって、2人とも優と一緒にテレビの世界でシャドウと戦って、苦楽を共にしてきた最初の仲間なんだしさ」

 

総司はそう言うと部屋の2つある扉のうちの右側へと向かっていく。

 

里中は俺たちの会話の内容は聞こえなかったみたいで、首をかしげながら総司の後を追った。俺は変なモニュメントを被ることとなった頭部に手をやる。ザラザラとした手触りしか伝わってこないが、俺はその下で本当の目から涙がこぼれ落ち続けていることを自覚する。

 

なんで……、どうして……、総司の時間軸では会った事も喋ったこともない俺に全幅の信頼を寄せてくれるのだろう。俺ならばリーダーである優を支え、里中をはじめとした仲間を励ますことが出来るって、信じてくれるのだろう。

 

「総司、頼む。生きて俺と出会って親友になってくれ。……俺、お前と一緒に馬鹿がやりたいよ。拳をつき合わせて、色々な思い出を作りたい」

 

 

 

 

□千枝□

 

優の口から総くんが死んだ事実を聞かされた時、私は思わず『そんなはずはない』と叫びたかった。

 

私と総くんとの出会いは小学生になる頃まで遡る。雪子から預かったムクの散歩をしている際、いつもの散歩コースから外れてしまい、稲羽町で生まれ育った私も知らない場所に来てしまい途方にくれていた時に声を掛けて来てくれたのが総くんだった。その時にムクの「リードを長くし過ぎ」とか、「怒る時はデレデレとするのではなくしっかりと怒れ」とか、私が説教されることになったのだけれどそれは置いておこうかな。

 

総くんの親は転勤族で、春休みや夏休みといった長期休みの時にしか稲羽町に来ることが出来なかった彼だけれど、この町に住んでいる私よりも仲の良い人が多かった。仕事に困っている大人に何かと提案したり、相談を受けたり。同年代の子たちに新しい遊びを教えたり、勉強の楽しいやり方を伝授したり。いじめられている人を助ける為に大立ち回りをして、総長なんてあだ名をつけられたりして、私も含めて皆を笑顔にしてくれるそんな優しい幼馴染が、死んでしまったなんてそんな話、すぐに受け入れることは出来なかった。

 

 

 

第3の迷宮はあろうことかお化け屋敷が元となったダンジョン。

 

それだけでも嫌なのに、迷宮に足を踏み入れてすぐに私たちは姿形が変わってしまった。私や雪子なんかは可愛いものであったが、月高の先輩たちはおっかない牛男や狼男に変身してしまった。優も機械仕掛けの身体に変貌した。安定の花村は残念妖怪になってオチをつけてくれたのだが、幽霊とかお化けが苦手な私には迷宮を進んでいく勇気はなかった。

 

まぁ、それの所為で更にややこしい状態に陥ってしまったのは反省点だ。

 

のっぺらぼうという表情すら読み取れない姿へと変貌してしまった総くんであったが、纏う雰囲気は優しいまま。メンバーが3人となった今だって進んで先頭を歩き、周囲の警戒を一手に引き受けてくれている。花村は私の後ろで後方の警戒を務めているけれど、総くんのような安心感はない。とはいえ、2人に守られた状態の私が言えたことではないのだけれど。

 

「2人ともストップ。次の部屋は『完全に真っ暗』な状態かつ強敵の気配がする。……固まって移動しよう」

 

私と花村は総くんの話を聞いて進む予定の次の部屋を確認する。総くんの言う通り、次の部屋は自分の足元すらおぼつかない真っ暗闇の中を移動しなければならないらしい。私は咄嗟に真後ろの扉を見て、この暗闇の中を突っ切るのはやめようと提案しようとしたのだが、それよりも前に花村が口を開いた。

 

「総司、暗闇の中でその強敵に襲われでもしたら俺たちは全滅してしまう。他の道もあるようだし、一旦あっちに行かないか?」

 

「……そ、そうだよ。総くん」

 

「んー……。別にいいけど、たぶん“ここに戻ってくる”ことになるよ」

 

私と花村はその場で顔を見合わせて首を傾げる。総くんのやけに確信めいた言葉が気になったけれど、花村と私の意見を採用した彼は振り返ってまだ行っていない扉の先へと向かった。

 

その先にあった開かずの扉と意味深なワードを見て謎解きの必要があることが分かったのだけれど、必要な情報は私たちが行ける部屋の中になかったのだ。行っていないのはあの真っ暗な部屋だけ。

 

「2人とも覚悟は決まった?」

 

扉の前で振り返った総くんが尋ねてくる。私も花村も彼を見ながら大きく頷き、真っ暗な部屋へと足を踏み入れる。『一寸先も闇』ということわざを思い返すくらい、その部屋は真っ暗だった。総くんと花村の手を繋ぐ真ん中の立ち位置でなければ、その場に竦んで動けなくなっていたと思う。

 

「怖くない……、怖くない……。総くんと花村が一緒なんだから……」

 

私は手を離さないようにしっかりと手に力を篭める。すると総くんも花村をギュッと握り返してくれる。2人に守られてばかりで申し訳なくて、情けなくて涙が出そうになる。

 

そんな時、先に進んでいた総くんが足を止めた。何かと思って前を見れば、天井から吊り下がる形で日本人形のような巨大な物体が私たちを見ていたのである。

 

「ひぃっ!?」

 

足がガタガタ震えて私は思わず叫びそうになった、けれど。

 

「大丈夫だ、里中。そいつは見てるだけっぽい」

 

「……そ、そうなの?」

 

「それに見てみろ、総司は全然警戒していないだろ?」

 

「言われてみれば……」

 

後ろにいた花村が私の頭をポンポンと撫でながら優しい声色で告げてきた。確かにその日本人形っぽい大きなやつはその場から動こうとしないし、総くんも特に何とも思っていないようでシャドウをただの置物同然に見ている。

 

「どうやら、この部屋にいるシャドウはこの手の奴みたいだけだから落ち着いていこうぜ」

 

残念妖怪の被り物をしている花村のドヤ顔が思い浮かんで無償に殴りたくなったけれど、両手は完全に塞がっていたので私は小さく呟くだけにした。

 

「花村のばーか。……格好いいとこあるじゃん」

 

「……ん?何か言ったか、里中?」

 

「べっつにー」

 

あー。この部屋が暗闇で良かった。きっと今頃、私の顔は真っ赤に染まっているだろうし、こんなの花村に知られたら絶対に微妙な空気になること間違いなしだもん。この部屋から出るまでに心を落ち着かせなきゃ。そう思いながら先導する総くんについていくこと暫し、右手で壁を伝いながら先を行っていた彼が急に壁に引きずり込まれてしまった。気付いた私と花村が抵抗するには反応するのが遅かった。

 

真っ暗な部屋から明るい場所へと出た私たちはチカチカする視界に戸惑いながらも周囲を見る。すると、総くんが呟いた。

 

「あ、“上にのぼる階段”だ」

 

私と花村は勢い良く立ち上がると総くんの視線の向こう側へ走った。そして“曲った先にあった階段”を見て思わずハイタッチをする。これが下に降りる階段だったらどうしようかと思ったが杞憂だった。いきなり壁をすり抜ける形になり、床にうつ伏せで倒れていた総くんも合流し、私たちは満を持して階段を駆け上がった。

 

階段を上がった先は床や壁が古い学校の雰囲気に変わっていた。つまり迷宮の1階層と同じになったのである。相変わらず薄暗いけれど、大分気持ちが楽になった私であったが、

 

『この反応って……間違いない!花村先輩に千枝先輩!!』

 

「うっひゃあぁーっ!?って、りせちゃんかい!」

 

いきなりの大音量で聞こえてきたナビで後輩の声にびっくりして飛び上がってしまった私は、気を取り直してツッコミを入れたのだが。

 

「今までで一番の驚きようだったね、ちえきち」

 

「いや、今まで怖いのを我慢してきたんだから、いいってこのくらい」

 

総くんと花村から向けられた生易しい視線が逆に辛い。

 

『漫才をしている場合じゃないの、千枝先輩!お姉ちゃんたちが大変なのっ!!』

 

仲間の危機を聞きつけた私たちはりせちゃんのナビに従って迷宮内を駆ける。

 

そして、何故か灯りの下には入れないとはいえ、多くの大きくて不気味な赤ん坊に周囲を固められて身動きひとつ取れなくなってしまった仲間たちの下に辿り着いた。

 

その時、私たちの目に映りこんだのは浅い呼吸を繰り返す、月高のリーダーたちと口元についた赤いナニカを拭う優の姿。私は拳を握り締め、花村が武器を取り出す。そして、シャドウたちへ襲い掛かろうとした時、ぞわりと身体の芯から凍えるような殺気が背後から放たれた。

 

「てめぇら、“俺”の“湊”と“妹”に何をした?」

 

底冷えするような声色に、私と花村はその場から飛び退いて壁際で恐怖心を誤魔化すように抱き合った。ギリギリと歯を軋ませながら、一歩ずつシャドウに向かう総くんから放たれる覇気はとてつもなく、紅黒く、怨霊よりも恐ろしいものに見えた。

 

事実、負傷している仲間たちのいる灯りの下に入らずに機を窺っていたシャドウたちは、私たちの登場に嬉々としながらこちらに向かって歩みを進めていたのにも関わらず、魔王を降臨させた総くんを見て踵を返して逃げ始めている。

 

「俺の湊を傷つけておいて、逃げ果せられると思っているのかぁあ!!来い、ノブナガぁああ!!」

 

総くんが金色の縁のカードを握りつぶすと同時に現れたのは西洋甲冑のような曲線のある鎧を来た筋肉隆々の大男。その眼差しは鷹の様に鋭く、目の色は血のような紅。第六天魔王と呼ばれるに相応しいフォルムに、その場にいる全員が頬を引き攣らせる。

 

「お前らなんか潰れてしまえ!!天魔王の剛腕!!」

 

総くんの背後に浮かび上がっていた魔王が大きく腕を振りかぶると、天井が消えうせ、代わりに超巨大な拳が私たちのいる部屋に降ってきた。私と花村は一瞬で事態を把握し遠い目になる。

 

大丈夫、味方の攻撃だし、なんともないさ。そんな楽観的なことを思い浮かべながら、ぎゅっと抱き締めあい。その瞬間を耐えた。

 

地面が爆発するような轟音、命を磨り潰されるような断末魔、身体が内側から破壊されてしまうのではないかと思えるくらいの衝撃。

 

 

 

気付けば私たちはヤソガミコウコウの廊下に放り出されていた。心配そうに見つめてくる視線はナビを務める後輩のりせちゃんと月高の山岸さん。私はあの後、どうなったのと尋ねようとしたのだが、彼女たちはそっと指差していた。

 

彼女たちの指差した方向を見れば、放課後悪霊クラブと書かれた教室に入るための扉の前に、『修理中につき、暫くお待ちください』という張り紙が貼られていた。

 

「……あれが、噂の『総長モード』かぁ。あんなのに睨まれたら、ヤクザも暴走族も大人しくなるのが当たり前だよね」

 

ぽてりと廊下で仰向けになるとジャージの中に違和感があり、手を突っ込んでみる。

 

するとカードが入っていた。こんなものいつの間にと思い、絵を見れば、先ほど見たばかりの巨漢の男を背後に浮かび上がらせた灰色の髪に銀色のメガネをつけた青年と一緒に背中合わせに拳を突き出す自分の姿が描かれていた。

 

『これが私と俺の殺劇舞荒拳!』

 

敵に対して私がゴッドハンド、総くんが天魔王の剛腕を発動した際に発生するスキルで、一発でも強力でオーバーキルなパンチを計16発もお見舞いする恐ろしい技のようだ。

 

しかも、止めでゴッドハンドによるアッパーで打ち上げられ、天魔王の剛腕で磨り潰されるという怒涛の鬼コンボが待っている。

 

「……ごくり。なにこれ、怖い」

 

私はそっと、そのカードを見なかったことにしてジャージのポケットの中に入れなおすのだった。

 


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