部活が終わり教室で待っている川崎を呼び一緒に下校する
「それで結局どうなったの?」
「ああ、取りあえず様子見だと」
興味無さそうに川崎が相槌を打つ
「ふ~ん」
「・・・・・・」
これどうやってさっき決まった話題切り出すんだよ・・・・
「じ、実は俺ロングのストレートが好きでさ・・・」
「は?何いきなり・・・」
俺の突然のカミングアウトに川崎は少し引いてるようだった
くっ・・・ここで負けたらダメだ・・・
「いや、沙希はロングのストレート似合いそうだなって・・・」
我ながら上手いこと言った!日頃やっているギャルゲは無駄では無かったようだ
川崎が少し頬を染める
「ふ、ふ~ん・・・ほ、他に八幡の好みとかあるの?」
「えーとそうだなぁ・・・言葉遣いとか仕草とかもう少し女の子らしい方が好きかな」
「へぇー」
「服装とかも大人しめで素朴な方が」
「そうなんだ?」
これは好感触?って好感触じゃダメだろ
「何俺の好み聞くってことはやってくれるの?」
「は?何で?やるわけないじゃん」
「・・・・・・」
ですよねぇ・・・これ拒否られたらそこで終りじゃん・・・
でもまぁマイナス印象には繋がったのか???
・・・・・・
「じゃー私こっちからのが近いから、また明日ね八幡」
「おぉう、またな」
川崎は俺と違う道に進むと振り返って小さく手を振った後帰路へと進んでいった
「ただいま~・・・」
はぁどっと疲れた・・・早く風呂入って飯食って寝たい・・・
「おかえり~お兄ちゃん」
二階から小町が笑顔で降りてきた
「おぅ小町何か楽しそうだな」
「そーゆーお兄ちゃんはお疲れのようだねぇ・・・帰りは沙希さんと一緒だったんじゃないの?」
「おぅまぁそうなんだが・・・」
「???初めての彼女と帰って来たら楽しもんじゃないの?まぁいいや、お兄ちゃんに良いものをあげよう」
「ん?何だ?」
「じゃじゃーんはいコレ☆」
と言って渡してきたのは鍵だった
「は?何だ?俺別に鍵無くしてねーぞ?」
「違うよ沙希さんのだよ・・・」
小町がジト目で俺を見る
「?何でお前が川崎の家の鍵持ってるんだよ」
「違くて!沙希さんの分のウチの合鍵に決まってるじゃん!もうバカなんだからお兄ちゃんは」
「バカなんだからって・・・いや、なんでウチの鍵を川崎に渡さないとならないんだよ・・・」
「だって合鍵って男のロマンじゃないの?良くドラマで渡してるじゃん」
「・・・変なドラマの見過ぎだバカ、しかもそれは一人暮らしの場合だろ・・・」
うちの小町ちゃんは普段どんなドラマみてんの?てゆーか勉強しなさい受験生
「えー別に実家のでも良いじゃん」
「はぁ良いわけねーだろ・・・それに川崎には・・・」
「ん?沙希さんには?・・・」
「あ、いやなんでもない・・・」
やばっ危なく口が滑る所だった・・・嫌われようとしてるなんて言ったら小町に口撃されるのは必至だ・・・
「・・・お兄ちゃん?小町に何か隠し事して無い?」
小町が睨みながら俺ににじり寄って来る
「い、いやだなぁ小町ちゃんお兄ちゃんが小町ちゃんにそ、そんな事するわけないだろ・・・ははは」
疑いの眼差しで小町が見つめる
「・・・・・・」
ゴクリ・・・
小町が背を向けたと思うと少し俯き必殺の一撃を放った
「なーんか小町お兄ちゃんの事嫌いになっちゃいそうだなぁ~・・・」
くっ、そのセリフは反則だぞ小町、だがお兄ちゃんはそんなことでは!
「分かった全てを話そう」
凄くちょろかった・・・いやまぁ仕方ないだろこれは・・・仕方ないよね?
小町に事の経緯を話すと小町は呆れ顔で言った
「はぁ~ほんとにごみいちゃんはごみいちゃんだなぁ」
くっ・・・全面的に俺が悪いので何も言い返せない・・・
「沙希さんってのが意外だったけどそんなことがあったなんて」
意外って何だよ意外って・・・それ以外に何かあんの?
「で?ごみいちゃんはそれで良いの?」
「ん?それでって?」
「だから雪乃さんとか結衣さんの言ってるようにするの?」
「沙希さんはお兄ちゃんの事好きなんだよ?」
「朝お兄ちゃんのこと起こして朝食作ってくれたし、お昼もお弁当貰ったんでしょ?」
「ああ、だから俺が嫌われて済むだけならそれにこしたことは無いだろ」
・・・
「小町的にはこのまま沙希さんがお義姉ちゃんになってくれた方が良いんだけどなぁ・・・他にお兄ちゃんの貰い手がいないし」
「くっ・・・まぁ俺も他に誰か付き合ってくれる人が出来るとは思わないが・・・」
はぁ・・・と小町が俯きながら頭を振った・・・
何その分かってないなぁってポーズは・・・俺の事は俺が一番良く知ってるんだが・・・
「お兄ちゃんだって別に沙希さんが嫌いってわけじゃないんでしょ?」
「む・・・それはそうだが・・・」
「だったら良いじゃん、付き合ってから愛が育つなんていくらでもあるよ?」
「・・・・・・」
小町は俺を見つめ答えるのを待っていた
ふとその時部室で雪ノ下に言われた事の何に引っかっていたのかが判った
確かに川崎を傷つけたくないという思いもあったが、始まりからして間違っているこんなものは俺自身が認められなかったのだ
だから俺は川崎の為では無く俺の為に小町に言った
「でもダメだ、こんな始まり方から間違っているものは俺が認められない」
小町は俯き心底面倒くさいという顔になる
「はぁ・・・ほんとめんどくさいなぁこの人・・・」
小町ちゃん!?他人のように話すのはやめてくれるかな?お兄ちゃん泣いちゃうよ!?
「沙希さん良い人なのに・・・もったいないもったいないなぁ・・・でもねそんなお兄ちゃん小町嫌いじゃないよっ、あっ今の小町的にポイント高い☆」
と小町がいきなり顔を上げニッコリ微笑んだ
最後のが無ければ俺的にもポイント高いんだがな・・・最後のがあっても十分高いが八万ポイントには届かないな
「ああ、俺もそんな自分が超好きだぜ」
「でもこんな面倒くさいお兄ちゃんを一度好きになった人が、そのお兄ちゃんの行動や言動で嫌いになるのかな?」
「小町ーそれどういう意味だ?」
そんなに面倒くさいを連呼されると本当にお兄ちゃん泣いちゃうよ?
「んーなんでもない、小町は勉強に戻るね、鍵はお兄ちゃんの好きにしていいよ」
「おぅがんばれ」
「うん、お兄ちゃんもね」
小町の背中を見送りながら俺は鍵の処遇を決めかねていた
小町可愛いよ小町
TV二期での小町の八幡のモノマネは思いの他上手かったです(笑