私がボッチなのはどう考えても『神(アイツ)』が悪い!   作:ふぬぬ(匿名)

3 / 9
仲良しドラゴンな第三話

 ▼ぼっちと転校生達

 

 

 このクラスは転校生が多い。

 異常なほど多い。

 普通、他のクラスにもいかないか? どうなってるんだ一体。

 

 春のはじめにやってきたのは、アーシア・アルジェント。

 美人というか、かわいらしくてクラスでも人気者。癒し系なんだそうな……ちっ。

 まわりの話を聞く限りだと、毎日のように兵藤と合体しているらしい。

 なんてやつだ! なんてやつだ! おなかが変形してしまうぞ!

 アバズレの分際で清純派ぶりやがって、なにが「はぁううー」だ! 

 ドジっ子の演技うまいですね。

 くそが、ブリブリしやがって!

 ときどき(アイツ)に祈りを捧げやがるのも気に入らない。

 次だ次。

 

 夏のちょい前にやって来たのが、ゼノヴィア。

 苗字は知らないゼノヴィアだ。

 顔がよく、スタイルもよく、運動が得意……。うらやましくなんて……うらやましくなんて……。

 こいつ相手だったら、もしかしてファーストネームで呼び合ったり出来るんだろうか? みんな名前だけで呼んでるしな。

 まぁ、こいつもアルジェントと同じで(アイツ)に祈るんだが、話しかけてきたら名前で呼んでやってもいいな。うん。

 こいつも兵藤に突かれているらしい。公開授業のときの避妊具事件もあるし、事実なんだろうな。

 なんでアレがいいんだろう……。ああ……アレがいいのか。

 

 二学期の最初にやってきたのが、ヴァーリ君。

 苗字で呼ばれるのは慣れていないから名前で呼べって言ってたし、ヴァーリ君……うへへへ。

 イケメン。頭いい。運動できる。

 ときどき目が合う……気がする。

 私の命の恩人だしな、劇的な出会いだったから気になってしまうのも仕方ないな。あのトラックはいい仕事をした。

 まだ、話したことはないんだけどさ。

 そういえば、ヴァーリ君も兵藤とよく話している気がするけど……。まさかね、そんなことないよね?

 兵藤のヤツときたら余所のクラスのイケメンやら、一年生の男子までも餌食にしているとか聞いたけど……まさかね?

 もしも、この想像が当たっていたならば……ぶち殺すぞエロ魔人め!!

 

 最後のは、ヴァーリ君のちょっとあとにやってきたやつで……。

 美人で、スタイルが……ゼノヴィアの仲間だな。

 うん、なんかそんな感じのヤツだ。

 正直、ヴァーリ君のことでいっぱいいっぱいなので最後のはどうでもいいや。

 

 というかヴァーリ君以外はどうでもいいのだが……。

 なんでどうでもいいヤツラの席が私の周りに集まっているんだ。

 コイツら騒がしい上に、無意味に人を集めるせいでちょっとトイレ行って来ただけで私の席が占領されるんですが……。

 どけよ! どけよ。どけよ……。

 私が所在無さげに佇んでいるだろ!

 昼休みなんだぞ、そこを抑えられたらどこで食べればいいんだよ。

 言わなきゃわからないのかよ。

 

「あの、そこ……私の……」

 

 聞けよ!

 頑張って話しかけてるだろうが、私が話してるんだから静聴しろよ。

 くそっ!

 もういい、どこか別のところで食べよう。

 

 屋上とかいいよな。

 なんかかっこいいし。

 うん、そうしよう。

 

 

 

 おー、まだちょっと暑いけど悪くないな。

 人を見下ろしながら食べるというのもオツなものだな。

 

「くくっ……。人がゴミのようだ……」

 

 なんちゃって。

 っと、なんか後ろで物音が……。

 

 ヴァーリ君!!?

 屋上へと出るためのドアの上にある場所、学園モノで定番のその場所を使用するとは! なんて素晴らしいんだ。

 

「ゴミ、か……」

 

 あれ? 今の聞かれました?

 いや、違いますよ? ちょっとした冗談ってやつでして……。

 

「あ、ちが……」

 

 バタムと響くドアの音。

 

 …………。

 

 ハハッ……外国からいらした方には、わからないのかな?

 

 

 

 

 ▼ぼっちの体育祭

 

 

 おおおおおおおおおおおおん……。

 瓦礫の神殿の上、異形の龍が咆哮する。

 

『イッセー! お願い、元に戻って!』

『イッセー! アーシアは無事だったんだ。だから……だからもういいんだ!』

 

 声は届かず、ただ滅びへと向かう。

 

『困っているようだな?』

『ヴァーリ!』

『赤の覇龍か……。会談の際は、お互い寝込んでいたようで機会が無かったからな、楽しめそうだ』

『ヴァーリ! あなたイッセーを……!』

 

 〝我、目覚めるは、覇の理に――〟

 

『安心しろ、殺すつもりは無い。殺さずに制する。そのくらいのハンデがあったほうが面白い』

 

 暴走する赤、制するは白。

 赤と白、覇と覇、龍と龍。

 二者の激突が冥界を震撼させた!

 

 

 

 

 自主的な急病により、体育祭を休むこととなってしまった。

 残念だな。

 楽しみにしていたのにな。

 ヴァーリ君が活躍するところが見たかったのに、怪我で入院してるって言うし……。

 あーあ。

 つまんねーの。

 私がいても邪魔って言うか、成績下がるだけだしな。

 参加しないことで貢献しているんだよ、うん。

 あーあー。

 みたかったなー。

 

 

 

 

 ▼ぼっちの修学旅行前

 

 

『そういや、もうすぐ修学旅行だぜ。班を決めないとな』

 

 昼休み。

 またもや席を追われた私に、追い討ちの声が聞こえてきた。

 修学旅行。

 班決め。

 聞きたくなかった。

 思い出したくなかった。

 なんでそんなことを思いださせるんだよ。元浜ぁぁぁ!

 

『えっと、3、4名で組むんだっけ?』

『そうそう。泊まるとこが、4人部屋らしいからな。ま、俺ら三人で組むしかない。嫌われ者だからな、俺ら』

 

 はぁぁーーー!??

 組む人がいる。

 ただそれだけで幸せだって、知らないのかよお前らは!

 私なんてな! 私なんてな。 私なんてな……。

 

『ふふふ、俺とアーシアは一心同体! 常に共にあるのさ。な?』

『はい。イッセーさんとずっと一緒です』

 

 嫌われ者は、松田と元浜だけだったな……そういえば。

 

 兵藤め……リア充め……。

 ウワサのエロエロ催眠術教えてくれないかな……。

 なんでも目を合わせるだけで、狙った相手を落とす事が出来るとかどうとか……。

 教えてくれたら“師匠”と呼んでやってもいいんだが……。

 

 いや、いまはそんな場合じゃない。

 大事なのは、迫り来る修学旅行(きょうふ)をどうやってやり過ごすかだ。

 好きなやつ同士で組めよーと言う言葉が与える恐ろしさを、教師どもは知らないのか?

 おまえらだって学生時代あったんだろ?

 教師になるようなやつはコミュニケーションばっちりで、困った事がないのだろうか?

 マズイ、マズイ、マズイ。

 班決め、部屋割り、座席決め。

 自由行動、夜間トーク、テンションの高まったクラスメイト共。

 ダメだ……。

 ついていける気がしない、組んでくれる相手がいない、無事に過ごせる気がしない。

 

 ああ、でもヴァーリ君と旅行。

 旅行、旅行。

 いっそ私とヴァーリ君以外休めばいいのにな。

 

 二人だけで秘密の修学旅行……ああ、どこまで行っちゃうの私たち!!

 

「くふふ……」

 

 妄想をおかずに一人メシが旨い!

 

 

 

 

 

 

『兵藤! グレイプニルとヴリトラに力を譲渡しろ』

『そうかッ! わかったぜ、ヴァーリ』

『そして、これで決める!』

 

 魔王の力を受け継ぐヴァーリの魔力、それを受けたミョルニルが一気に巨大化する。

 

 ――Half Dimension!

 

 あらゆるモノを半分にする能力の発動。

 戦場を飲み込むほどの影を落としていた神雷の鎚。それが一気に縮小し、白龍皇の握った拳の中へと納まってゆく――。

 

『――ロキ。本来ならば力を込めるほどに巨大化してしまうミョルニルだが……。威力をそのままにサイズだけを圧縮したこの一撃、受け止められるか?』

『白龍皇と赤龍帝が連携だと! この我が……。なぜ……聖書の神は神滅具(ロンギヌス)などを残したのだ……』

 

 

 〇外なる神『乳神』なんて出てきませんでした。




〇現在までの状況

イッセーとヴァーリは、三すくみ会談を欠席。赤白対決が発生していない。ヴァーリは禍の団(カオス・ブリゲード)に入り損ねた。

イッセーは夏休みを寝込んで過ごした。イッセーの修行イベント無し、白猫フラグ発生せず、シトリー戦で早期にリタイヤしたため“おっぱいドラゴン”が生まれなかった。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告