プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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死神の時間4

ビッチ先生を救出しに来た筈が裏切りによりピンチに陥ってしまった生徒達。

顔を赤らめさせながら膝をついている生徒たちの反面、ビッチ先生は妖美な笑みを浮かべながら見下ろしている。

 

「………私達に何をしたのか…ちょーっと聞きたいんだけどさ」

 

「相手にあんまり手の内を曝したくないんだけど………良いわ、教えてあげる」

 

中村の問いにビッチ先生は顎に人差し指を当てながら考える素振りを見せるもすんなり承諾し説明を始めた。

 

この部屋に入る前に小さな小部屋で嗅いだ香水の匂い。

あの香水には微量ながらも強力な媚薬を混ぜており、その部屋に入って嗅いでしまった為に媚薬が体内に入り込み体が火照ってしまい蹲っていると言う、聞いてしまうと単純な物であった。

 

「そう言えばあんた達に私の2つ名をまだ言ってなかったわね。私は麝香猫(シベット)って言うの」

 

「し、麝香猫(シベット)って」

 

シベット………ジャコウネコ科の動物で猫よりイタチに近い風評を持つ猫の祖先と言われている。

ジャコウネコの最大の特徴は芳香………体内で香りを生成しその主成分はシべトンと呼ばれる性的興奮を促す化学成分、即ち媚薬を生成している。

かのローマの英傑を次々に籠絡し栄華を極めた古代エジプトのクレオパトラ7世もこの物質を全身に塗り行為に及んだとと言われている。

 

「ハニートラップにはね九重の制止世界みたいな高度なスキルなんて要らない。ただ、相手を油断させて()の抜けた瞬間を見逃さなければ問題ないのよ」

 

そう言うとビッチ先生を「さて」と言うと皆の所に近づいていく。

 

「そろそろ捕まってもら………ん?」

 

ビッチ先生は言い終える前にふと岡島に視線を移した。

 

「はぁ……はぁ………」

 

他の人よりも呼吸が荒く体をガタガタと震わせている光景にビッチ先生は首を傾げていた。

 

「あら?岡島どうしちゃったのかしら?」

 

余裕のあるビッチ先生は悪戯をしようと岡島に近づこうとした瞬間、蹲っていた岡島がビッチ先生目掛けて飛び掛かって来た。

 

「ちょ!?何なのよ急に!!」

 

そう叫びながら急いで体を捻らせて躱すと岡島の方に視線を移す。

荒い息遣いに血走っている目、岡島の様子にビッチ先生は気圧されており生徒達もドン引きの目を向けていた。

 

「欲望に忠実になること10年。エロに関する事はエース級!罵られ馬頭されボコられても色んな所が勃ち上がれば……俺の勝ち!!俺を誰だと思っている!!」

 

岡島は指を上にあげてそう叫ぶと再びビッチ先生に向かって突撃をかます。

手の指はワキワキと厭らしく動いており、鼻の下を伸ばしながら突撃する様は変態その者でこれには生徒達も必死にビッチ先生に向けて叫ぶ。

 

「逃げてビッチ先生!!」

 

「犯されちゃう!!」

 

「むしろ見てみたい!!」

 

「もっとやれ岡島!!」

 

「男子は黙ってなさい!!」

 

ビッチ先生を助ける事が目的だったのだが、この場にいる生徒たちはその目的を忘れておりこの空間内は混沌となっていた。

 

「うひょよよよよ~」

 

「あんたキモ過ぎるのよ!?」

 

君の悪い笑い方をする岡島にビッチ先生は逃げながらも突っ込みを入れる。

すると足を躓いてしまいビッチ先生はその場に転んでしまう。

 

「チャーンス!」

 

岡島はそう叫ぶとビッチ先生に向けてルパンダイブをする。

動けない皆はビッチ先生を叫び、岡島にむけて罵声を飛ばすもののそれはただ時間の無駄であり、着実に2人の距離が縮んでいく。

するとビッチ先生は不敵に笑みを浮かべダイブしてくる岡島を抱きとめると首筋に注射器のような物を刺す。

すると先程まで気狂いのように暴れまわっていた岡島が嘘のように崩れ落ち気を失った。

 

「………え?」

 

「注射器なんていつの間に?」

 

ついさっきまで起きていた馬鹿みたいな展開がビッチ先生の行動によって吹き飛ばされ、動けない皆は驚いていた。

 

「逃げ回っている振りしてる間に取ったのよ」

 

「ず、ずるい」

 

矢田の言葉にビッチ先生はフッと笑う。

 

「どんなに訓練で良い動きをしても実践で出来なければ意味ないのよ。手段がどうあれ、私は結果を残しあんた達は失敗した。これが経験の差よ。あんた達とは修羅場を踏んだ数が違うのよ」

 

愉悦感に浸りながら生徒達を見下ろしているとビッチ先生の背後から死神が現れた。

 

「………なんだ君1人に負けちゃったのか」

 

「最初は良い動きをしてたけど、あんたの言う通りこの子達とは組む価値がないわ」

 

「そういうこと。君と彼等とでは住んでいる世界が違う。この子達が澄んだ空気を吸っている間、僕等は血煙を吸って生きて来たんだから。

だが、それにしてもあっけない。もう少し戦術や用意があったと思ったんだが………期待はずれだったな」

 

死神はそう言い終えると残ったC班の所に向かった。

C班の所に辿り着くと原や不破、狭間が倒れており、残ったメンバーは寺坂とイトナを筆頭にある生徒と対峙している最中だった。

 

「お前これは何の真似なんだよ、おい………華鎌ぁ!!」

 

寺坂が吼えたその先には同じ仲間の華鎌が両手にスタンガンを持った状態で不敵に笑みを浮かべていた。

 

「ふふ、言ったじゃないか………裏切者がいるよって。人の忠告を聞くものだよ」

 

死神の言葉に寺坂は更に苛立ち、華鎌に怒鳴りつける。

 

「なんでテメェーは裏切ったんだよ!!」

 

「なぜ?それは私が殺し屋だからですよ。いつまで経っても成果が実らない貴方たちより確実な彼等に就くのは常識な事じゃないですか」

 

寺坂の言葉に華鎌は如何にも可笑しそうに笑いながら答える。

その仕草が余計に寺坂の癪に触ったらしく、怒りでプルプルと震えていた。

 

「怒るのもいいけど、残りは君達だけで他の班は全員捕らえた。正直、君達じゃ練習相手にもならない。それでも残った君達で僕らに挑んでみるかい?」

 

「………上等だよ。俺達でお前ら裏切り共とも叩きのめしてやる!!」

 

死神の挑発に寺坂は怒鳴りながら挑もうとしたがイトナがそれを制止させていた。

 

「降伏だ。………俺達が束になって挑んでも負けるだけだ。今日敗北してもいい。いつか勝つまでチャンスを待つんだ」

 

イトナの言葉に寺坂は構えていた拳を下ろす。

こうしてA・B・C班全員死神に一矢報いることも出来ず捕まってしまう結果になってしまった。

 

◇◆◇◆◇◆

 

捕まってしまったE組の皆は最初に閉じ込められていた部屋とは別の場所に閉じ込められていた。

 

「この牢屋はさっきの所とは違って脱出不可能だ。そこで大人しく人質でいればいいよ」

 

捕まった皆は首輪と手枷を填められながら死神の話を聞く。

 

「でもさ、どんな方法で殺せんせーを殺そうとしてるのか知らないけど、そう計算道理に行くのかな?」

 

そんな中、カルマが呟くと全員の視線がカルマに向く。

 

「だってあんた超体育着の情報を知らなかったから俺等に大したダメージを与えられなかったじゃん。この計算違いが俺等じゃなくて殺せんせーだったら、あんた返り討ちでやられてるよ」

 

カルマはそう牢屋越しにいる死神に言うも死神は笑顔を崩すことなく口を開く。

 

「………で、結果はどうだい?君等は牢屋にいるじゃないか。情報なんて不足して当然、ましてやあの怪物はどんな能力を隠し持っているのか誰も知らない。たとえどんなに情報不足でも結果を残す………それが世界一の殺し屋だよ」

 

死神の言葉に誰も言い返せない。

もしこれが実践なら気絶した時点で自分たちは生きていないと察したからだ。

そんな最中もどこに隠れていたのかローブで身を隠した連中が死神の背後に現れる。

 

「彼等は僕が選び抜いた殺し屋達だよ。次は彼等と一緒に烏間を狙う。彼を捕らえれば色々とメリットがある。計画の下準備の仕上げと行こうじゃないか」

 

死神の言葉に皆が驚く中、カルマ1人は設置されている監視カメラのモニターを見ていた。

 

「死神さーんモニター見てみ。あんたまた計算違いしたみたいだよ」

 

「………何故ここがわかった?」

 

カルマに指摘された死神の笑みが消えた。

画面には烏間先生と犬の恰好をした殺せんせーが皆のいる倉庫の入り口前にいる姿が映し出されていた。

 


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