暫く違和感があると思いますが其処のところよろしくお願いします!
寺坂の悲鳴が室内で響き渡っているその間、楓と倉橋は子供たちに囲まれながら楽しげにしていた。
「こうやって優しく喉を撫でてあげてね~」
倉橋はそう言うと1人の子供は仔猫の喉付近を優しく撫でるとグルグルと目を瞑りながら気持ち良さそうに喉を鳴らしている。
「グルグル言ってる~!」
「ネコちゃんが気持ちいいって言ってるんだよ~」
猫の仕種に倉橋はそう説明すると子供は「へぇー!」と言いながら撫で続ける。
「ネコって他にどんなしぐさがあるのー?」
「そしたらこのお兄ちゃんに教えてもらおうか~!」
子供の1人がそう聞いてくると倉橋はそう言い子供達の視線が一斉に楓に向く。
唯のニヤニヤした視線に若干イラっと来るものの子供の前で怒るのも大人気ないとグッと堪え指笛で猫を呼び膝の上で座らせると説明する。
「そうだなぁ……そしたら代表的な仕種を皆に教えてあげよう。
先ず1つ目は猫が甘えて欲しいって言う時は……」
楓は子供たちに見えやすいように猫が見えるように抱え直し優しく尻尾をピンと真っ直ぐ伸ばす。
「こんな感じでお尻が丸見えになるぐらいに尻尾を伸ばしながら近付いて来るときは猫が甘えて欲しいっておねだりしてる時だ」
「じゃー怒ってる時は~?」
「怒ってる時はな……」
子供の質問に楓は真っ直ぐ伸ばしていた尻尾と背中の毛を逆撫でして毛を立たせる。
「こんな感じで尻尾を上げながら毛を逆立ててフーとか鳴いてるときには怒ってる仕草だ。
更に怖い時の仕草はできるだけ自分を小さく見せようとして、尾を股の間にしまう仕種をして、イライラしている時の仕草は1秒間隔くらいでブンブンと左右に振っているんだ」
楓はそう説明しながら逆立てていた毛を優しく撫でて綺麗に整える。
子供達は「へー」等と呟きながら猫を再び抱いたり撫でたりしている。
「聞いちゃいないと思うけど猫のゴロゴロって鳴くのは必ずしも気持ちいいって訳じゃ無いんだがな」
「確かご飯が欲しいとか遊んで欲しいって言うおねだりだよね?」
「そう、普通はニャオやニャーでおねだりするけど、それの更に興奮した時に鳴らす事があるらしい」
楓と倉橋はそう話しているが案の定、子供達は猫に夢中になっており聞いていない。
因みにだが猫がゴロゴロ鳴くのにもう1つ理由があると言われている。
それは具合の悪い時だ。
その理由自体は、はっきりしていないが苦しい時に自分を安心させる為にゴロゴロと喉を鳴らすと言われている。
他にも、緊張している時にも喉を鳴らして自分を安心させる場合もあると言われている。
後は、親猫が子猫をあやす時に「安心して」とか「大丈夫だ」という意味で喉をゴロゴロと鳴らす場合もあるらしい。
そして、このゴロゴロと喉を鳴らす音には驚く効果があることが最近の実験で分かるようになってきたらしい。
その驚く効果というのはケガや骨折を治す力があるということだ。
実証したアメリカにある研究所によると猫のゴロゴロと鳴く周波数は27~44ヘルツあって、その周波数が骨の組織の形成を促進・強化する周波数とほとんど同じだと言われている。
実際にゴロゴロの音で骨の強度が上がったというデータ結果が出ているそうだ。
「まぁ、カーミングシグナルは一杯あるからなぁ」
「それわかる~!モネやゆずがたまに何を表現したいのかわからない時あるなぁ~」
楓と倉橋は楽しげに話していると1人の子供がジッと見つめているのに気づく。
「おにーちゃんとおねーちゃんって付き合ってるのー?」
「「ひゃい!?」」
子供の発言に2人は揃えて変な声を出す。
他の子供達はその反応を見て猫から2人に視線を移して「付き合ってるの?」「LOVEなの?」と目で訴えかけていて2人は思わずたじろぐ。
「そうだぜぇ。この2人はとても仲良くて付き合ってるんだよ」
すると唯がいい笑顔で爆弾を投下する。
すると女の子達から「きゃー」と女子特有の声を出していて男の子達からは「ヒューヒュー」と囃し立ててくる。
「何余計な事言ってんだよお前は」
「え?違ったか?そーなのかー2人は付き合って無かったのかー
それは悪いことしたなー」
「…………間違っていない」
「おい!聞いたか?今、この兄ちゃん認めたぞ」
唯に咎めようとしたものの認めた楓に唯は子供たちにそう言うと「わぁー!!」とはしゃぎ回る。
これには流石の倉橋も…………
「/////」
誰が見ても解るぐらいに真っ赤な顔をして俯いている。
その後、楓と倉橋は子供達から旦那と奥さんと呼ばれるのに時間はかからず暫くの間、子供たちに弄られるのであった。
楓と倉橋が弄られてる同時刻、施設の中では成績上位者達によるマンツーマンの勉強会が行われていた。
「助かるわ~~、名門中学の生徒さん達が勉強見てくれるなんて」
「あーいやいや、うちら落ちこぼれの部類ですんでご期待せずに」
わかばパークの従業員の言葉に中村は愛想よくそう答えながら子供に勉強を教える。
そんな中、渚は困り気味な感じでさくらを見る。
学校には録に行かずにわかばパークで勉強をしていたからか年の割りに勉強がかなり遅れていた。
渚は参考書を片手に解りやすく説明するにはどうしたらいいか悩ませていると……
「渚はーやーくー!!あたしを東大に連れてってくれんじゃなかったの?」
「う、ごごめん!」
痺れを切らしたさくらが机をバンバン叩きながら渚にキレ気味に言う。
渚はビクビクしながらもさくらに質問をしてみた。
「ね……ねぇ。さくらちゃんはどうして学校に行かなくなっちゃったの?」
「あ?……イジメだよイジメ!典型的な程度の低いやつ!」
さくらはそう言うと横目で外で遊んでいるさくらより小さい子達をチラッと見る。
「あの子ら位の歳のころなら無邪気なのに……何で人間ってちょっと成長して力つけたら他人傷つけんのに使うんだろーね」
さくらはそう言い終わると手に持っていた鉛筆の芯を折り溜め息を吐く。
一方の話を聞いていた渚は耳が痛いもので思わず目を反らしてしまう。
「どーせあんたも思ってんでしょ?“逃げるな”って」
「え?」
情けないと思って渚が目を反らしたと思い違いをしたさくらは冷たい視線を向けながら淡々と答える。
「“悔しかったら自分も学校に行って力つけろ”ってあんたもパパやママみたいに言うんでしょ。
ま、あんた私よりひ弱そうだからわかんないか」
そう言い終わると外で何やら慌ただしく動きがあるのに2人は気付き外を覗いてみると、そこには仔猫が木に登って降りれなくなってしまったらしく、その下で楓や倉橋と子供達が心配そうに見つめていた。
「仔猫だったから木登りの経験がなかったんだな」
「ちょっと目を離した隙に登ってたなんて……」
木の下で話している楓と倉橋の話を聞いたさくらはふんと鼻で笑いながら降りれない猫を指差しながら渚に言う。
「ほら見なよ。
勇気を出したらあのザマ……
高い場所に行けば行くほど危険になる……安全安心な地べたにいて何が悪いの?」
「……さくらちゃん、あそこにいるお兄ちゃん達をよく見ててごらん」
渚はそう言って楓達を指差す。
そこには軽く屈伸をする楓がいて遠くに見ていた岡島や菅谷達に「下の安全確認頼む!」「オッケー!」「足場いるか?」「いや、大丈夫!」等と言葉を交わしていると楓は木目掛けて走りだし、そのまま木を蹴って跳躍し枝を掴む。
足場の悪い枝をスルスルと難なく進み怯えている仔猫の所までたどり着く。
「ほーら大丈夫だ」
楓はそう話しかけながら仔猫を抱き上げ下を確認する。
下には菅谷達が問題ないと手で大きな○をつくり合図をしていると楓は来た道を再び辿り降りていき皆の元に戻っていった。
一連の動きを見て驚いていたさくらに渚はゆっくりと口を開く。
「あの木が学校だとして地べたが学校外だとするならばお兄ちゃん達は皆、地べたの上で力をつけたんだ。
木上の人を見上げながら、木上の人から見下ろされながらも高い所の怖さをいっぱい学んでから登り始めた。
だからこそ高い所も自在に動ける……まぁ、たまに高い所の怖さを忘れちゃって地べたに落ちちゃうこともあるんだけどね」
渚は自嘲気味に笑い、一旦区切るとさくらの前に立って手を握り頭を撫でる。
「ここで学ぼう。学校に行くのは作戦を立ててからであい。
ここだけの秘密の勉強を教えてあげるから、地べたで満足しないで少しでも高い所に登れる努力をしてみよう」
「う……うん」
優しく言う渚にさくらは頬を赤らめながら俯くものの返事をする。
(……おい、あれって犯罪なんじゃないか?)←楓
(……な、渚に限ってそんな筈は)←杉野
(11歳と15歳ってセーフだろ?)←木村
(でも中学生と小学生って……)←岡野
(やるな……まさか小さい子供に手を出すとは……)←岡島
(あなたは黙ってください)←華鎌
(なんか犯罪臭が漂ってくるわね……)←中村
(にしても渚君って女装癖にロリコン趣味あったなんてねぇー)←カルマ
(渚に限って……渚に限ってそんな筈ないよ!)←茅野
(でもロリコンどうのは置いといて……あれって)←千葉
(うん……私も思った。あの子落ちたよね?)←速水
(本人も無自覚でやってるのが恐ろしい……)←片岡
さくらの頭を撫でている渚を他所に、皆は遠巻きでこそこそと話し込む。
さくらを見ていると満更でも無さそうに頬を赤らめ嬉しそうな笑顔をしている。
一同は改めて頷きあれは確定だと口々にそう言う。
「あれ?そんなところで皆どうしたの?」
遠巻きで皆がこちらを見ているのに気付き渚は声をかける。
「な、何でもないわよ」
「あっ、そろそろ夕飯の支度しなきゃ。奥田さん手伝ってもらっていい?」
「は、はい!勿論です!」
「そしたら俺達はもう1回演劇でもしてみる?」
「良いですね。茅野さんと寺坂君も良いですね?」
「う、うん勿論!」
「おらはやらね「やりますよね?」……やりゃあいいんだろ!」
「そしたら俺達は木材をちゃっちゃと運んじゃうか」
等と皆はそう言うと蜘蛛の子を散らすかのように、その場から離れて各々の持ち場に戻っていった。
「「?」」
いったい何だったんだ?と言わんばかりに渚とさくらは首を傾げるが、いくら考えても解る筈ないのでその思考を放棄し再び勉強を始めるため机に戻るのであった。
2週間後…………
園長の松方は予定通り退院し、殺せんせーと共にわかばパークを目指して歩いていた。
「さて、私の生徒は良い働きをしましたかねぇ」
「フン、何人いようと所詮は烏合の衆だ。
ガキ共の重みで施設が潰れてなければ上出来だろ」
「ヌルフフフ、私の生徒達を侮っては行けませんよ」
松方の言葉に殺せんせー口角を上げて自慢気にそう言う。
「フン…………」
対する松方は納得いかないと言わんばかりの態度を見せながら施設を目指し、辿り着くと…………
「なんということでしょう!!」
松方はこれでもかと言うぐらいの声で驚いていた。
それもその筈、松方の目の前にはおんぼろの施設などどこにもなく目の前には3階建ての立派な木造建築が聳え立っていた。
楓「作者が頑張って知識披露してんな」
倉橋「なんか専門時代のノートを引っ張ってネコのカーミングシグナルとか書いてたよ」
楓「つか大掃除しろよ」
飽きた・疲れた
楓・倉橋((あんな大人にだけはなりたくない))