プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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邂逅の時間

「おはよー」

 

水色の髪をピッグテールのような髪型をした少年……潮田渚は教室に着くなり友人に挨拶をする。

 

「おー、渚」

 

「おはよー」

 

返ってくる返事を聞きながら自分の席についてカバンを置いた。

 

「おっ、渚。見てみろよ、また起こったらしいぜ蜘蛛事件」

 

渚の友人、杉野がそう言うと新聞を広げて見せてくる。

 

何でも横領や着服、横流し等、不正を行って罪から逃げていた政治家達が糸に巻かれて死体となって出てくると言う事件が時折、出てくる。

メディアからは蜘蛛の糸に絡まったみたいだと言うことで蜘蛛事件と言われているのだ。

怪事で犯人の手がかりが一切出てこないと言うことで警察も捜査は難航してるとの事だ。

一部の人達からは愉快犯だろと声を聞くも渚達一部のE組の人達は首をかしげる。

 

「これってさ愉快犯の犯行だって言うけどプロの暗殺者の仕業だよな」

 

「手掛かり0らしいからね」

 

「どんな人なんだろう」

 

「ビッチ先生見たいな人かな?」

 

「もしかしたらゴリラ見たいながたいじゃね?」

 

「意外に僕達のような子供って言うことも」

 

「「いやいや、それは流石に無いでしょー」」

 

隣にいた茅野も話しに加わって盛り上がっているとドアが開く。

 

「さぁ、SHRの時間だ。皆、席に着くように」

 

烏間先生が来てそう言うと皆は自分の席に戻って行った。

 

「さて、今日はクラスに転入生が来る」

 

烏間先生がそう言うと皆はざわめきだした。

「どんな人かな~?」「この時期に?」「可愛い女子だとうれしいぜ!」等と教室内では転入生の話題で持ちきりとなる。

 

「では入ってきてくれ」

 

騒然としているなか烏間先生はそう言うとドアから渚と同じ背丈の人が入ってきた。

 

「元A組の九重楓。皆よろしくー」

 

そういって彼、九重君は挨拶をしていた

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

「かったるい……これから毎日この道を往き来しなきゃなんねーのか……」

 

少年……九重楓はそんな事をボヤきながら山道を進んでいくと楓の目の前にスーツを着ている男の人が目に入る

 

「君が九重君だな。俺は防衛省の烏間だ。E組の教師として君達のサポートもしている」

 

「元A組の九重です」

 

楓は軽く挨拶をすると頭を下げる。

 

(この人、かなり出来るな…………隙が全くない)

 

烏間先生を見て率直な感想がそれだった。

 

「君の事はこちらでも調べてる。これだけは約束しろ。暗殺をする時、生徒に危害を加えるようなことはするな。…………もし、危害を加えるなら」

 

「お前を殺す」と言って殺気を放つ。

冗談ではなく本気で殺ると言うのが嫌でも解る。

楓は敵意は無いと両手を上げると口を開く。

 

「勿論です。俺だってプロを名乗らせて貰ってます。対象者以外は決して手を出しません」

 

楓はそう言うと「ならいい」と言い、教室を案内してくれた。

教室の前に着くと烏間先生は「其処で少し待ってくれ」と言って1人、教室の中に入っていった。

 

(あれ?そう言えば対象者のタコは何処なんだ?

もしかして、何時も此処にいる訳じゃ無い?

だとしたら昨晩、頑張って準備してきたの無駄になったかな…………)

 

「では入ってきてくれ」

 

楓がドアの前でそんな事を考えていると烏間先生の言葉が聞こえドアを開ける。

 

「元A組の九重楓。皆よろしくー」

 

楓は教壇に立って皆の方を向くと簡単に自己紹介をした。

 

「ヌルフフフ。君が九重君ですね。楽しい1年にしていきましょう」

 

「!?」

 

突然聞こえてきた声に楓は思わずその場から距離を取る。

楓が見る方には黄色の顔に無数の触手が生えた奇妙な生物がいた。

楓は昨日、防衛省の園川が言った暗殺のターゲットだと直ぐに気づく。

 

「すげぇ、全然気が付かなかった……」

 

「ヌルフフフ。これで驚いていたら持ちませんよ?」

 

「へぇ、まぁよろしく」

 

楓は挨拶をしようと右手を出すと先生はサッと距離を取ってしまった。

 

「えっ?まさか握手してくれないの?」

 

「先生は騙されませんよ!その右手で握手したら先生の触手を破壊するのでしょ!?」

 

「ねぇ、あの先生かなり疑心暗鬼になってるんだけど何時もああなの?まさかの俺ってハブられてるの?」

 

楓は思わず前の席に座っている人に聞いてみると前に座っていた人は「あれでも面倒見の良い人だよ?」と苦笑いしながら答えてくれた。

 

「あーあ、可哀想に……俺の時は普通に握手してくれたのにねぇ」

 

一番後ろの席に座っている赤髪の少年がわざとらしく大きな声で言うと周りからも「せんせーってそんな人だったんだ」「何か軽蔑です」「せんせーはそんな人じゃ無いって信じてたのに……」等々、色んな声が聞こえてきた。

 

「にょわ!?そ、そんなつもりは無かったんですよ!?ただ、つい最近その手の殺り方で…………と、兎に角立ち直ってください!?皆さんもそんな目で見ないでください!?」

 

先生はテンパりながらしどろもどろして教室を動き回って生徒1人1人に弁明していた。

「あの時カルマ君がしたの見たでしょ!?」や「せんせーだって間違えの1つや2つあります!!」等の声が聞こえる。

 

「せんせーが悪かったです!さぁ九重君、握手しましょう!」

 

そう言ってせんせーは俺の手をガッチリと掴んでブンブンと握手してきた。

 

「ところでせんせー、先程かなり教室の中を動き回ってましたが気を付けた方が良いですよ?…………何たって」

 

俺はニヤリと口角をあげた。

 

「この教室は俺のテリトリー何ですから」

 

そう言うと楓は左手をポケットに手を入れてあるもののスイッチを押した。

すると教室の至るところに細い糸のようなものが張り巡らされており、せんせーの体に巻き付いていた。

 

「「「な!?」」」

 

これにはクラスの人達は愚か、烏間先生や対象者のせんせーも驚いていた。

楓はすかさず、せんせーに向かってナイフを振りかざした。

がこの時、楓は間違って対せんせー用のナイフではなく通常のナイフで切りつけてしまった。

ナイフはせんせーの体に触れると溶けた様に刃が折れてしまい逆に楓が驚いてしまう。

せんせーはこの気に乗じて糸から脱出してしまい、絡め捕った糸は重力によって地に落ちていく。

 

「しまった……いつもの癖で本物のナイフ使っちゃった。」

 

しょうがないと呟いた楓はスレッドと言う武器を取りだし再びスイッチを押すと教室に張り巡らされた糸がスレッドにしゅるしゅると収納されていく。

 

「いつそんなのを仕掛けた?教室に入って不審な行動はしていなかった筈だが」

 

烏間先生はそう聞いてきた。

クラスの人達もウンウンと頷いていたのを横目で見た。

 

「昨日の真夜中に仕掛けたんですよ。でもまさかせんせー自ら嵌まってくれるとは思いませんでしたよ」

 

楓はそう言うとせんせーはプルプルと震えていた。

 

「彼はこう見えてもプロの暗殺者だ。コードネームは蟲と言われている。彼も皆と一緒に奴を暗殺してくれる」

 

「よろしくね」

 

楓はそういって手を振った。


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