プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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体育祭の時間2

二人三脚リレーが終わり、その後の借り物競争等が終わって席に戻ると肉塊に成り果てた岡島に楓達はドン引きする。

 

「お疲れさん」

 

そんな岡島を無視するかのように中村は皆に労いの言葉を掛ける。

 

「ほら岡島君、そんなところで寝ないでよ」

 

片岡もいつも通りな感じで普通に岡島にそう言うと岡島はヨロヨロと立ち上がり、その場を離れて自分の席に戻る。

その姿はまるでゾンビの用で作品が違っていたらシャベルで殴り殺されてる程だ。

 

「……ほらボケッとしてないで座りなよ」

 

速水もいたって普通に言ってくるので楓達は岡島は見なかったことにして心の中で棒倒しまでには復活してくれと祈るのだった。

 

E組が次に参加する競技は借り物競争。

参加するメンバーは中村、イトナ、カルマ、寺坂の4名だ。

 

A~E組の人達はスタート地点に向かい審判の掛け声で一斉に走り出してカードを手に取る。

第1走者の中村はカードを手に取るとフムと考えると思い出したかのように手を叩きE組の方へ走り出す。

 

「おっ、中村どうしたよ」

 

村松が戻ってきた中村に声を掛けるが中村はその言葉に軽く手をあげるだけで答えてあるものを抱っこする。

 

「ちょっと借りてくね」

 

そう言うと中村は柚子を抱き抱えて一気にゴールする。

 

「あんたがいてくれて助かったわぁー」

 

ゴールし終わった中村は柚子にそう言って頭を撫でると柚子は尻尾をフリフリと振りながらワン!と元気よく吠える。

中村のお代は“犬(ヌイグルミNG)”だった。

チラッとまだ探し回ってる生徒を見てみると…………

 

「“八卦炉”って持ってる奴いんのかよ!」

 

「俺のは……“ブラ〇ャー(C以上)”変態になれってか!?」

 

「“黄色のタコ”なんているわけねーだろ!」

 

と結構無理難題のお題で多くの人が四苦八苦している姿が目に入った。

ゴールした私にとって意味はないかと考えた中村はそのままE組の皆のところに戻る。

 

続いての走者はイトナでカードを手に取るとまたもやE組の方へ走り出してビッチ先生を指差した。

 

「俺のお題はこいつじゃないとダメだ来い」

 

「何よ……しょうがないわね」

 

口では嫌々着いてくが内心では生徒に頼ってもらえると思い嬉しい気持ちになりながらイトナに着いていく。

ゴールしたら係りの人にカードを見せると係りの人はえ?と首を傾げる。

 

「こいつはもう20だ。周りよりは賞味期限が近づいてるはずだ」

 

そう言ってイトナはビッチを指差す。

イトナのお題は“賞味期限が近いもの”と書かれていてイトナの発言に係りの人も納得したように頷く。

その反面、ビッチ先生はみるみるうちに顔を真っ赤にしてイトナを追いかける。

 

(ビッチ先生より賞味期限が近いのは1人いるけどな……)

 

楓がそんなことを考えてると目の前に兜角が顔めがけて飛んでいて回避出来ずにメキッと直撃して悶絶していると…………

 

「楓~、余計な事考えてると朝日拝めなくなるぞ」

 

咲和が良い笑顔で+どすの利いた声でそう言うと楓は小さな声で「…………すみません」と答えるのだった。

 

3番目の走者カルマもカードを取るとE組の方へ向かって行く。

 

「カルマもこっちに来たのか。お題は?」

 

楓がそう言うとカルマは「んー」と言いながら誰かを探すと「手っ取り早くこいつにしよう」と呟いて華鎌を連れていった。

 

「何で私なんです?」

 

「いやぁ~、お題が“可愛い男の子”だったからねぇ~。渚君や九重でも良かったんだけど着替えの必要の無い華鎌にしちゃった」

 

「そうですか……まぁ、可愛いですし仕方がないですよね~」

 

カルマと華鎌がゴールし終わり2人で戻ってそう話している。

華鎌は自信で可愛いと言い頬に手を当てながら嬉しがっており、対するカルマは物足りないような顔をしていた。

 

(嫌がる反応が見たかったんだけどなぁ……これなら遅くなってでも良いから渚君を女装させて連れてくれば良かった)

 

そんなことを考えながら戻っていると寺坂が走ってるのが目に入りそれを見る。

寺坂もカードを手に取るとE組の方に向かって走ってくる。

 

「おい茅野、ちょっと来いや」

 

寺坂はそう言い茅野を呼びつける。

楓は寺坂の持ってるカードに目をやるとビックリした表情になって頬を引き攣らせていた。

そんなことを知らない茅野は「しょうがないなぁー」と言い寺坂の元に向かいそのままゴールを目指していった。

ゴールした寺坂は係りの人にカードを渡し、親指でクイッと茅野を差す。

 

「お題通りだろ?」

 

係りの人は茅野のある一点を見ると「確かに」と呟きそれを聞いた寺坂は一目散にその場から離れて行く。

 

「お題って結局何だったんだろ?」

 

素早く去っていく寺坂を不思議に思いながらお題の書かれているカードを見てみると茅野はピシッと石のように固まっていた。

“まな板”

お題のカードにはそう書かれている。

 

「…………」

 

ゆら~っと歩き出すと次の瞬間、とてつもない速さで寺坂を追いかけていった。

 

数分間の追いかけっこの末、何処かで男子の断末魔が聞こえており楓は静かに手を合わせて合唱をしていた。

 

「楓君何してるの?」

 

「愚かな選択をしたアホに合唱をしてるだけ」

 

楓の言葉に陽菜乃は「?」と首を傾げているが楓はそれ以上何も言わなかった。

言ったら最悪、寺坂の二の舞になりかねないと思ったから……

 

 

『続いては綱引き!先ずはA組対D組です』

 

 

E組の皆は試合を見てみるとA組の列の後方では明らかに体格がおかしい5人の人間の姿があった。

審判が「レディーゴー!」と言った瞬間…………D組の連中は大きく空に舞い地に落ちた。

 

「フッ……話にならねぇな」

 

「噂通りもろい民族だ」

 

「まぁ……最強過ぎるのも考えものだな」

 

アメリカ人と韓国人、モンゴル人がニヤニヤと笑いながら地面に屈するD組の奴等を見下す。

 

『なんて運が良いのでしょう!!A組はこの幸運に感謝するべきでしょう!!“たまたま偶然”この5人の外国の友人が研修留学に来ていたことに!!』

 

放送のアナウンスは興奮気味に言っていて本校舎の人達はそれに連なって盛り上がっていた。

 

フランスの有名レスリングジム次代のエース、カミーユ

韓国バスケ界期待の星、サンヒョク

ブラジルの世界的格闘家の息子、ジョゼ

全米アメフトジュニア代表、ケヴィン

モンゴル相撲でジュニアクラスの覇者、バータル

 

同じ15歳とは思えない体格にE組の女子達は顔を青褪めながら彼等を見ながら皆は1週間前、録音機を搭載した糸成2号を使ってA組の動向を探った時の事を思い出した。

 

E組をたっぷり痛めつけて今度の中間テストに影響が出るくらいの被害を出す。

 

簡単に纏めると浅野はA組の皆にそう言い、その為に態々5人の外人助っ人を呼んできたのだ。

 

磯貝は強張った表情をしながら浅野を見てポツリと弱音を漏らす。

 

「……殺せんせー、俺にはあんな語学力は無い……俺の力じゃ浅野にはとても及ばないんじゃ……」

 

「…………そうですねぇ、率直に言えばその通りです」

 

肯定の意を唱える殺せんせーに磯貝はやっぱり……と俯き加減で呟く。

そんな磯貝を余所に殺せんせーは口を開く。

 

「浅野くんを一言で言えば“傑物”です。彼ほど完成度の高い15歳はそうそういないでしょう。

君がいくら万能と言えども社会に出れば君より上は沢山います彼のようなね」

 

そんな殺せんせーの言葉を繋ぐように美樹が磯貝に言う。

 

「でもね社会じゃ1人の力じゃ限界があるのよ。

それは表で生きてる奴等も私達のような裏で生きている奴等でもね」

 

「彼女の言う通りです磯貝君。

仲間を率いて戦う力……それはどんなに個が優れても敵うことがなく、君が浅野くんに群を抜いて上回っているものでもあります」

 

殺せんせーは一旦そこで句切り白のハチマキを手に取り磯貝の頭に巻き付けて暇をしている生徒達を呼びつけ磯貝の後ろに付くよう指示をする。

 

「君がピンチに陥ったときも皆が共有して戦ってくれる……それが君の人徳です。

先生もね浅野君よりも君の担任になれたことが誇りに思い嬉しいんですよ」

 

殺せんせーはそう言ってカメラのシャッターを押す。

磯貝の後ろにはクラスの皆が良い笑顔で写っていて殺せんせーも満足そうに頷く。

殺せんせーの励ましで暗い表情をしていた磯貝は嬉しそうにしていて笑顔になる。

 

「よっし皆!!いつも通り殺る気で行くぞ!!」

 

磯貝は元気よくそう言うと男子は「おぉー!!」と声を揃えて叫ぶ。

 

「頑張ってね」

 

「もちろん」

 

陽菜乃の言葉に楓はそう言うと拳を合わせる。

楓はチラッと華鎌の方を見るとこちらと同じく美樹と拳を合わせていた。

 

「さぁーて自身が最強とか抜かした奴等の鼻っ柱へし折りに行きますか」

 

「そうですね。最強名乗るのは10年早いことを咲和さんの代わりに教えてあげましょうか」

 

楓と華鎌がそう言うとニッと笑い合い皆のところに向かう。

 

『両者整列!!』

 

アナウンスの声を聞いてA組とE組が整列する。

両クラスの激突するのは間もなくとなっていた…………


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