プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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楓「遅かったな何してた?」

夏バテ……暑くて執筆の意欲が落ちてた。
それに世間では夏休み入ったから仕事が忙しかった。
後は最近、ファーブルの昆虫記に興味もってそれ読んで更に遅くなってた。

楓「ッチ!最近3DS買ってゲームに熱中していたからとかほざいたらブッ飛ばそうと思ったのに」

そ、そんな訳無いじゃないか!


逆襲の時間

「さて……先ずは九重と華鎌の情報を整理しよう」

 

教室で待機している皆は有効活用しようと作戦会議をする。

磯貝と片岡が教卓の前に立ち皆に聞く。

 

「渚は何かメモってる?」

 

片岡がそう聞くと渚はメモを取りだしうーんと困ったような表情をしていた。

 

「あの2人の事はそこまでないよ?コードネームが蟲と華蟷螂でどんな武器を持ってるか位だから……」

 

申し訳なさそうに言う渚に片岡はそう……と呟くと矢田がそう言えばと呟いていた。

 

「楓君や華鎌君って昆虫になりきって戦闘とかしてるって言ってたよね?」

 

そう言うと皆は一斉に陽菜乃の方を向いた。

 

「へっ?」

 

「生物の生態に詳しいのは倉橋だけだ」

 

「覚えてる範囲で良いから教えて」

 

磯貝と片岡がそう言うと陽菜乃はう、うんと頷き指を顎に当てながら思いだし口にしていた。

 

「えーっと……先ずは華蟷螂から説明するね。

華蟷螂は花を真似て外敵や獲物を欺く虫で、色彩や形状だけじゃなくて動作や芳香まで完璧に擬態するんだ。

そして近付いて来た虫を捕食する……って感じかな」

 

陽菜乃の口からスラスラと出てくる説明に皆は思わずおぉ~と関心の声を出す。

 

「でもよ、花に擬態して虫を捕食するって言ってたけど、そう簡単に虫が近付いて来るものなのか?

擬態してる周りに花があったらそっちに行くかも知れないだろ?」

 

杉野の言葉に前原や村松は頷く。

 

「擬態するって言っても周囲の花より、より鮮やかにより美しく花より華となって、獲物から近付いて来るように演じる虫だよ。

ある意味、周囲より目を引くようにする演技の達人の虫って感じかな?」

 

「そしたら次は楓君ね」

 

「えーっと…………主にカブトムシに芋虫、ディアポネラ、ゴキブリ、クモだったよね」

 

片岡が促すと陽菜乃は思い出すように呟いていた。

 

「でも手甲や槍は使わないことになってるし、その……ディアポネラって蟻だろ?それに芋虫やゴキブリ、クモとかも俺らも知ってるから大丈夫じゃないか?」

 

「だな……どーせアイツの事だ糸で周囲を張り巡らして姑息に狙ってんだろーよ」

 

村松と寺坂の言葉に周りもちらほらと賛同するような声が出てきていた。

 

「んー、じゃあ説明はいらないかな?」

 

陽菜乃の言葉に多くの人が首を縦に振ったので陽菜乃は大人しく席につく。

 

(あれ?そー言えばクモには糸を使わないで狩りをする種類がいたような…………)

 

陽菜乃は何だったかなぁー?と考えていたが周りは既に楓達をどう追い詰めるか話し合っていた。

 

(まぁ、良いか~)

 

陽菜乃の自身、思い出せなかったこともありこの事は一旦保留することにした。

 

「皆さん!時間に鳴りました!」

 

律の言葉に皆は立ち上がり、裏山に向かって行った。

 

「ヌルフフフ、皆さん頑張ってますねぇ」

 

皆が出ていく姿を見て殺せんせーは呟く。

 

「生徒達の成長のためにと思い烏間先生に相談してみましたが良い感じですねぇ」

 

烏間先生はふんと鼻を鳴らしながら本体の律を見ていた。

 

 

 

 

 

渚達は再び、山の中に入り楓達を探す。

今度は先程と違い、グループを作り探索することにした。

因みに1班……磯貝、木村、矢田、倉橋、千葉、岡島

 

2班……片岡、岡野、前原、竹林、速水、不破、三村

 

3班……カルマ、渚、奥田、茅野、杉野、神崎、菅谷

 

4班……寺坂、村松、吉田、原、狭間、イトナ、中村だ。

 

渚達は生い茂る草木を掻き分けていると突如静止した。

茅野や杉野が不思議そうにしているとカルマが指をちょいちょいと差していた。

指を差した方には華鎌が銃を持ちながら周囲を警戒し探っている姿が目に入った。

 

「おっ……華鎌1人か」

 

すると其処に1班の磯貝達もやって来て華鎌を見ていた。

 

「挟み込んで撃破しようと思うけど良いか?」

 

磯貝の言葉に渚達の班も頷き、作戦を決行しようとしたとき、陽菜乃があっ!と声を出していた。

 

「思い出したぁ~!」

 

「どうかしたのか倉橋?」

 

「んーっね~、クモの中に糸を使わないで狩りをするのなんだっけなぁ?ってずっと思い出してたんだぁ~」

 

「カニグモとかそうだろ。あのクモは花に隠れて蜜を取りに来た蜂とかを獲物にするクモ」

 

「そうそう!糸を使わないで素早く相手の脛椎にガブッて噛みついて毒を使って相手を仕止めるんだよ~」

 

陽菜乃の言葉に渚達はへぇーと関心の声を上げたと同時にん?と疑問の声が出ていた。

 

「今、誰がクモの種類を言った?」

 

菅谷の言葉に一同は首を横に振った。

すると次の瞬間、千葉の背後に楓が現れてナイフで首筋を切り、隣にいた矢田と奥田もナイフで切っていた。

 

「千葉君、矢田さん、奥田さんアウトー!」

 

律の宣言がした瞬間には楓の姿は何処にもなかった。

 

「楓ばかりに気をとられては行けませんよ」

 

そう声が聞こえてハッとするといつの間にか華鎌が近付いてきて矢田、岡島、菅谷、神崎を銃で撃っていく。

磯貝達も銃で撃とうとするが華鎌の行動の方が早く一目散に皆から距離を取っていった。

 

「よ、容赦ねーな」

 

「だって手加減したら皆の為にはならないじゃん」

 

杉野の独り言に離れた所から楓がそう返事をしていた。

皆は一斉に銃を構えたが、ただ無闇に撃っても意味がないと判断し考えあぐねていると渚が皆の前に出てゆっくりと楓に近づいていった。

 

「僕が引き付けるから皆はその後に撃って」

 

渚は手にナイフを持ち、予備にもう一本のナイフを腰に差してそう言っていた。

皆は渚が何をやるのか悟り銃の照準を楓に合わせる。

ゆっくり…ゆっくりと楓に近づき、ロヴロから教わった猫だましで楓を怯ませる。

そこで皆の射撃で楓を倒す……上手く行けばこれ以上の被害がなく倒せる……最悪、相討ちを覚悟する気持ちの渚。

楓との距離がかなり縮まり、今だ!と思った渚はナイフを手放し猫だましをしようとした瞬間…………

 

「キシャァアアア!!」

 

楓は突然、大声を出していた。

これには渚もかなり驚いていて、銃を構えていた皆も驚いて体が硬直していた。

その隙を楓と華鎌は逃さず、楓は渚を華鎌は磯貝達をナイフで切り刻んでいた。

 

「1班、3班全滅ー!」

 

律の言葉に皆は我に返っていたが未だに楓の予想外の反撃に驚いていた。

 

「か、楓君何をしたの?」

 

「何ってただ単純に大声を出しただけだよ」

 

渚の質問に楓はクックックと笑いながら答えていた。

熱帯大蟻は獲物を見つけたら甲高い金切り声を出す。

その金切り声の意味は威嚇なのか仲間に合図をしているのか……それとも生理的な要因が関係するのかは分かっていないと言われてる。

だが、楓の大声によって渚や磯貝達は動きを止めて楓と華鎌を自由にさせてしまいやられてしまった。

 

「まぁ、渚の猫だましは使いどころ間違うとこんな感じでカウンターを喰らうから気を付けな」

 

「う、うん」

 

渚は吃りながら返事をすると楓と華鎌はその場を離れていった。

その後も楓と華鎌による無双により復活しては死んでの繰り返しで皆のジャージは真っ赤に染まっていった。

 

 

 

 

 

「………………どうやって攻略するか」

 

ポツリと呟く磯貝の言葉に皆は返すことはなかった。

 

「九重と華鎌がどこにいるか全然分かんない」

 

「ビッチ先生はぶらりと歩いてる」

 

「でも狙おうとしたら九重と華鎌に殺られる」

 

皆はポツリポツリと覇気の無い声で呟く。

 

「どうしますか?このまま敗けを認めて大人しく宿題を2倍にしますか?」

 

殺せんせーは縞々の顔になりながら皆に問いかける。

その言葉に皆はピクッと反応しポツリポツリと口を開いた。

 

「…………せめて1人は殺りたいよね」

 

「…………そうだねビッチ先生なんて何もしてないんだし」

 

「つーか九重と華鎌も遠慮なしに殺りやがって」

 

「アイツ等も一泡吹かせるか」

 

「…………よし殺ろう」

 

皆の殺る気が漲ってきて作戦を考える。

すると陽菜乃が思い付いたような表情をして殺せんせーに質問をしていた。

 

「せんせー、クラスの皆でやって良いんだよね~?」

 

「?勿論ですよ。ですがもう皆さん参加してるじゃ無いですか」

 

殺せんせーはそう言うと陽菜乃はふふーん♪と上機嫌になっていた。

 

「何か案あるの?正直言うと僕らじゃ楓君達に近づいても直ぐに返り討ちになるよ」

 

「大丈夫だよ~!少なくとも楓君は絶対に手が出せない筈だから」

 

そう言うと陽菜乃は思い付いた事を皆に言って作戦に移すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラスト15分か…………ここからは別行動するか?」

 

「そうですね。皆さんもここまで来ると最後まで一緒にいると思ってるはずですから」

 

裏山のとある場所で楓と華鎌は木上で話をしていた。

華鎌は素早く離れて行くと楓は残り時間を木上で過ごす事にしていた。

 

「ビッチ先生確保~!」

 

突如、律の言葉に楓は「ビッチ先生活躍0じゃん」とケラケラ笑っているのだった。

 

 

 

時間は遡る事数分前…………

 

「そう言えばビッチ先生ってさ何もしてないよね」

 

唐突に楓はそう言うとビッチ先生は鼻で笑っていた。

 

「ガキ相手に私が出る幕じゃ無いのよ」

 

「でもここでビッチ先生が凄いって所を見せれば皆もビッチ先生を馬鹿に出来ないと思うんだけどなぁ~」

 

「そうですね。それにここで活躍したら烏間先生の評価も上がりますよね」

 

楓と華鎌の言葉にビッチ先生は妄想に更ける…………

 

『イリーナ、お前がここまで凄いとは思わなかった…………このままお前と将来のパートナーになってくれないか?』

 

『カラスマ…………』

 

『ちょうど良いホテルを予約しておいた。今夜はそこで語り合おう』

 

「グヘヘ…………ジュルリ」

 

ビッチ先生は都合のよい妄想から我に返り涎を拭く。

 

「いいわ、ここは1つ大人の出来る姿をあんた達にも見せてあげるわ」

 

ビッチ先生はそう言うや否や素早く楓達から離れていった。

 

「あの行動力には見習わなきゃ行けませんね」

 

「下心丸見えだけどな」

 

2人は苦笑いをしその場を後にするのだった。

一方、ビッチ先生は銃を構えながら森の中を宛もなく歩いていくと…………

 

「イリーナどこにいる」

 

突如、烏間先生の声が聞こえてドキッとする。

 

「すまないが話がある。ここに来てくれないか?」

 

「え、えぇ……わかったわ」

 

ビッチ先生は疑いもせず声のする方を歩く……が一向に烏間先生の姿は見当たらない。

 

「カラスマァ、どこにいるのよ」

 

「ここにいる」

 

その声の所を振り向いてもあるのは木だけ…………

ビッチ先生はその木の周囲を見渡すとスマホが木にくくりつけられていた。

 

「イリーナどこにいる。すまないが話がある。ここに来てくれないか?」

 

先程と同じ台詞が再生されており、ビッチ先生はここで漸く罠に嵌まった事に気付くが時既に遅し…………

ビッチ先生の背後にいた皆から猛烈な射撃を浴びて轟沈するのであった。

 

「あんた達!こんなの卑怯よ!」

 

「いや……俺らもまさかあんな手に引っ掛かるとは思わなかったんだけどさ」

 

ビッチ先生の言葉に前原はそう言うと皆は苦笑いを浮かべる。

 

「ほら皆!ビッチ先生とのお喋りはそれぐらいにして本命の2人を探すわよ」

 

片岡は手をパンパンと叩き、皆にそう言って促す。

 

「よぉーし!ゆず探せ!」

 

陽菜乃の言葉にゆずは元気よく走り出すそれに続くように皆も後を追うのであった。

 

「にしてもまさかゆずを使うとはねぇ~」

 

「倉橋さんらしい発想だね」

 

ゆずの嗅覚で楓と華鎌を探す。

犬は人間の4千倍~6千倍といわれる。

いくら気配を消せても匂いまでは消すことは出来ない。

警察では犬の嗅覚を使って足跡追求や臭気選別等、捜査活動でも使われることがある。

 

「それにしてもどうしてゆずが出来るんだろう?」

 

「楓君、何かあったときのためにって暇な時ゆずに訓練してたんだよ。他にも災害救助犬の訓練や多芸も教えていたよ」

 

渚の疑問に答えたのは陽菜乃のだった。

何でもとても賢い犬にさせたいと言う願望があるのだとか…………

それを聞いて渚は苦笑いしていた。

 

「でも、九重のおかげで探し出せるかもだから、たーっぷりとお礼をしなきゃね~」

 

カルマがそう言うと周りにいた人達は当たり前だと言わんばかりにナイフや銃を取り出す。

残り時間10分……これが渚達の最後のチャンスだ。

 

「ワン!」

 

ふとゆずがスピードをあげて茂みの中に突っ込んでいた。

暫くすると……

 

「あれ?何でゆずがここにいるんです?…………アハハ擽ったいですよ!」

 

と聞き覚えのある声が聞こえて来た。

皆は息を潜めて覗いてみるとゆずに顔を舐められている華鎌の姿があった。

磯貝はハンドサインで指示を出すと皆は足音を殺して華鎌を囲む。

一方の華鎌は突然のゆずの登場に驚き、突撃され顔を舐められたからか周囲の警戒を怠ってしまった。

しかしふと我に返ると沢山の人に囲まれてる気配があった。

華鎌はコホンと咳払いをすると何事も無かったかのようにゆずを座らせて急いでその場から逃げようとしたが…………

 

「総員確保ー!!」

 

磯貝の言葉に皆は逃がさんとするべく華鎌を押さえ込もうとしていた。

華鎌は必死に逃げようとするも……

 

「逃がさねぇーぞこらァ!!」

 

「ぐへぇ!?」

 

寺坂ののしかかりで華鎌は潰されて逃げることも出来なくなっていた。

端から見たら1人の少女を多人数の人達が虐めてる風景にしか見えないがそんなのお構いなしと言わんばかりに皆は引き金を引いたりナイフで当てたりするのだった。

 

 

 

「華鎌君確保ー!」

 

律の言葉に楓はあり得ないと言う表情をする。

だが現実に華鎌までやられてしまった事に楓も危機感を覚えていて反撃の準備をするために残りの弾数を確認していた。

 

「…………残り10発」

 

少なすぎると楓はごちる。

しかし、ごちても仕方がないと割り切り弾を装填させてナイフを手に持つとしたからワンワン!と犬の鳴き声が聞こえて来た。

 

「…………なるほどね」

 

楓は冷や汗を流しながら下を覗く。

其処には尻尾をブンブンと振っているゆずの姿があり少し離れた所では「其処にいたぞ!」と言う声も聞こえていた。

 

「残り時間は5分切ったか」

 

楓は時間を確認すると相手にしないで逃げ切ろうと判断し素早く移動しようとしたが…………

 

「見つけた!」

 

楓の目の前に岡野の姿がありナイフを振るって来た。

岡野の攻撃を躱わすと後ろを向き反対に逃げようとしたが其処には木村とイトナが逃がすまいとナイフを構えていた。

 

「素早い3人で逃げ道を塞ぐ…………成る程良い判断だ」

 

「褒めるならそのまま大人しく殺られろ」

 

「だが断る」

 

イトナの言葉にキッパリとそう返すと木村とイトナは楓目掛けてナイフを振るってくる。

しかし楓は落ち着いてナイフを持ってる手を掴み、自身に当たらないように軌道を反らし2人のバランスを崩すようにしていた。

パパァン‼

突如離れた所から聞こえた発砲音は楓目掛けて放たれたがバランスを崩している木村とイトナの胸ぐらを掴み動かすと銃弾は2人に当たってしまった。

 

「良い狙いだけど気配が駄々漏れ」

 

楓は楽にそう言うと2人を離して銃を取り出し発砲してきた場所を素早く正確に撃ち抜いていく。

 

「イトナ君、木村君、千葉君、速水さんアウトー!」

 

どうやら射撃をしてきたのは千葉と速水のようで2人は律の宣言の後、ガサガサと茂みから現れていた。

 

「射撃のトップ2人を殺れてラッキーだな」

 

楓は岡野の攻撃を捌きつつそう言う。

 

「随分、楽そうだね!」

 

「まさか!桐まで殺られたから結構焦ってるよ!」

 

ナイフだけではなく蹴りまでしてくる岡野に楓は苦笑いしながら捌く。

岡野が大振りに足を開くと楓はその足を押さえてナイフを手に持ち岡野の腹部を突き刺した。

 

「岡野さんアウトー!」

 

律の宣言を聞くと楓は岡野の足を離してふぅと息を吐く。

 

「ってあれ?てっきりこの後も誰か仕掛けてくるのかと思ったけど誰も来ない?」

 

楓は拍子抜けと言った感じで呟く。

周囲には気配をするから他のメンツもいるのは分かる。

 

「まぁ、何もしてこないなら逃げ切るかな」

 

楓はそう言うと移動しようとしたが突如、ガシッと羽交い締めされてしまい移動することが出来なくなった。

楓は後ろを振り向くと渚がいた。

 

「ッチ…………気付かなかったな」

 

「アハハ、一か八かの賭けだったけどね」

 

楓の独り言に渚はそう返すと羽交い締めしたまま木の枝から落ちて楓を地面に倒す。

それを合図かのように隠れていた皆が一斉に出てきて銃を構えていた。

 

「どうかお手柔らかに」

 

「却 下」

 

楓の頼みに中村はハッキリとそう言うと皆からの一斉射撃が始まった。

 

「九重君アウトー!よって生徒チームの勝利です!」

 

皆の一斉射撃により全身真っ赤に染まった楓を他所に皆は喜びのハイタッチをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

その後、制服に着替えた皆は真っ赤に染まったジャージを洗い外に干し、疲れた表情で席についていた。

 

「さて九重君、華鎌君敗けた罰として宿題を2倍にしておきましたよ」

 

殺せんせーはそう言うと何時もより分厚い宿題の束を差し出して2人はゲッと嫌そうな表情をする。

 

「皆さんもどうでしたか?手加減されたとはいえプロを名乗る殺し屋と対峙してみて」

 

「これが実戦じゃなくて良かったとつくづく感じたよ」

 

「じゃなきゃ私達なんてもう10回以上は死んでることになるしね」

 

前原と岡野がそう言うと殺せんせーは頷く。

 

「えぇ、そうでしょうね。現に九重君は糸すらも使わないで君達を相手していました。もし糸を使われていたら君達は今以上に悲惨な結果になっていたでしょう」

 

殺せんせーの言葉に一同は想像したのだろうハハハと乾いた笑いをしていた。

 

「でも何で九重は糸を使わなかったんだ?」

 

「んー……多分、皆は俺がスレッドを使ってくると判断して余計な警戒をしてくるだろうと思ったんだよね。

スレッドを使わなくても何時かは使ってくるかもって言う疑念が生まれてくるかもしれない。

それだけで十分、心理的に辛いかなって思ったんだ」

 

一同は確かにとと思う。

山の中に進む時、糸に警戒していると狙撃されていた。

 

「でもまさかゆずを使ってくるとは思わなかったなぁ」

 

「クラスの皆でって言ってたからねぇ~♪一時的とは言えゆずはクラスの一員だから何の問題も無いからね~」

 

「これには先生も驚きました。やはり皆さんの発想力は侮れません」

 

殺せんせーの誉め言葉に一同は頬が弛む。

しかしその雰囲気をぶち壊した1人の女性がいた。

 

「ちょっと待ちなさい!カラスマの声を使うのは卑怯よ」

 

そう言ってきたビッチ先生だったが烏間先生は首を横に振った。

 

「俺はこの時間、生徒達に一切話しかけていない」

 

「大分前にビッチ先生に悪戯しようと思って烏間先生に吹き替えしてもらったんだ」

 

「ごめんねビッチ先生」

 

中村と矢田の言葉にビッチ先生はキーっと悔しそうに地団駄を踏む。

こうしてプロの殺し屋VSE組生徒の戦いは生徒の勝利で幕を下ろすのだった。




放課後…………

ビッチ「ちょっと!?どんだけ食べんのよこのタコ!!」

殺せんせー「それは私が満足するまでですよ。ルールにもこれだけ御馳走するとは言ってませんし~♪」

烏間先生「俺はこれで失礼する」

殺せんせー「烏間先生は遠慮ガチですねぇ」

ビッチ「あれが普通なのよ!!少しは自重しなさい!!」

その日ビッチ先生の財布は急激なダイエットで軽くなりビッチ先生は赤い涙を流すのだった。

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