プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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鬼ごっこの時間 2

牢屋に向かってみると殺せんせーは烏間先生と電話をしながらグラビア写真を見ていた。

 

「これは岡島の仕業だな」

 

「そだね。あんなにグラビア写真持ってるの岡ちんだけだし」

 

2人はそう言うと牢屋の中に入って行った。

 

「おや?新しい囚人どもですね。君達は刑務作業をしてなさい…………うひょーこの乳やっぱすげぇー!!」

 

殺せんせーはそう言うとドリルを渡してから再び写真に没頭するのだった。

その後、寺坂組や華鎌&矢田も捕まって牢屋に来ていた。

暫くすると矢田が急に殺せんせーに話しかけてきた。

 

「実はね殺せんせー、弟が重い病気で寝込んでいるの。

ケイドロやるってメールしたら『絶対勝ってね!』……てさ。

捕まったと知ったら……きっとあの子ショックで……」

 

うっ……うっと殺せんせーの背後で嘘泣きをしている矢田を他所に楓は陽菜乃に耳打ちをする。

 

「(あれ全部演技か?)」

 

「(うーん、全部じゃないよ。桃花ちゃんの弟はちょっと病弱気味でよく学校休みがちなんだって。まぁ、連絡はしてないと思うけど)」

 

何て事を話していると殺せんせーはもらい泣きしていた。

 

「行け……本官は泥棒何て見なかった」

 

殺せんせーはそう言うと皆はタッチも無しに牢屋から脱獄していった。

 

「~♪」

 

上手く行って上機嫌なのか矢田は機嫌良く走っている。

 

「流石はビッチ先生の一番弟子……」

 

「ちょっと将来が怖くなってきました。男を誑かさないか心配ですね」

 

「アハハ…………」

 

楓達はそんなことを話しながら裏山に逃げていくのだった。

 

捕獲人数8人→0人……

4人は先程と違った場所で息を潜め隠れながら作戦を練っていた。

 

「烏間先生の索敵範囲はだいたい100メートルだよな……」

 

「そうですね。常に誰か遠目で観察していれば確保される時間も延びるはずです」

 

「でも問題は殺せんせーだよね」

 

「いくら烏間先生から逃げ切れてもラスト1分で全滅しちゃうし」

 

4人はうーんと頭を捻らす。

その間にも確保&脱走の連絡が引っ切り無しに来ており、最早確認すらしていない。

 

「あっ!だったら土の中に潜るのはどうかなぁ?」

 

「流石にそんな大掛かりな事ケイドロじゃ出来ないよ」

 

陽菜乃の思い付いた案を言っていたがそれを矢田が苦笑い気味に言うと陽菜乃はしょぼーんとしているが楓と華鎌は違った。

 

「潜る?」

 

「ありですね……」

 

「「え?」」

 

2人は訳が解らないと言う雰囲気の中、2人はスマホで皆に連絡を入れていた。

 

 

 

 

一方の烏間先生は殺せんせーの所にお怒りの状態で駆け寄っていた。

 

「これじゃあゲームとして成立しない。次逃がしたら俺は降りるぞ」

 

「ええ、もう逃がしません。

ですが烏間先生、ここから先は泥棒の性能も上がってるはずですから気を付けた方が良いですよ」

 

「…………何?」

 

烏間先生は疑問に思ったが考えるのは時間のロスだと判断し裏山に走っていった。

 

 

 

 

 

(……どう言うことだ?生徒達の気配をとらえる事が難しくなった)

 

烏間先生はいくら走るも皆の気配がわからず困惑する。

しかも…………

 

(また糸……これで4ヶ所目だな)

 

行く道行く道に楓の仕掛けたスレッドによる罠に烏間先生は足止めされていた。

しかも途中で生徒達の足跡も見失い追跡が益々、困難になっていく…………

 

(成る程な……恐らくあいつや彼等が生徒達に逃走のコツを吹き込んだのか……

生徒が俺に気付くのも早くなった、これだけ警戒されると俺1人で全員捕らえるのは難しくなったな)

 

コツを教わったとしても短時間でここまで学習していた生徒に烏間先生は素直に感心していた。

烏間先生は糸を避けつつ走り生徒達を次々と確保していく。

すると少し離れた所に華鎌が現れ直ぐ様、踵を返して逃げていくのを見て烏間先生は直ぐに追いかける。

華鎌はスムーズに上下移動をしたり枝に飛び移ったりしめして逃げていく。

 

(やはり彼等は油断できんな)

 

身軽に移動する華鎌を見て烏間先生はそう思うとニヤリと笑いスピードをあげて追いかけると見る見るうちに距離は縮まり、華鎌はタッチされてしまった。

烏間先生が安堵したのも束の間、目の前に楓、前原、木村、岡野、片岡の5人が挑発的な態度で待ち構えていた。

 

(機動力に優れた5人か……面白い)

 

「左前方の崖は危ないから立ち入るな。そこ以外で勝負だ」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

烏間先生の言葉に楓達は顔を見合い頷き返事をすると同時に烏間先生から逃げ出す。

岩を蹴り移動したり、枝を使い逃げ出しているのを見て烏間先生は感心する。

 

(彼等だけではなく皆も良い逃げ足だ。一学期の基礎が身に付いている…………がまだまだ。

本気の俺から逃げ切るには足りないようだ)

 

烏間先生はニヤリと笑いながら走るペースをあげて確保に向かう。

まず最初に目をつけたのは木村。

木村を追いかけるなか烏間先生は最短ルートを即座に見付けていた。

 

(木村君は確かに瞬発力が高い……だが逃げるのに無駄がありすぎる!)

 

木村が5歩で登りきった岩道をたった2歩で渡り、木の蔓を使って移動すると木村の真横についていた。

 

「うおっ!」

 

驚いている木村を他所に烏間先生はタッチをすると即座に反転し他の人の所に向かった。

 

(残り時間は…………5分か)

 

烏間先生は時計を確認しながら片岡、岡野、前原の順に確保していき残るは楓だけとなった。

烏間先生は素早く辺りを見渡して探しているとピィー‼と音の鳴る方に視線を向けた。

其処には楓が指笛で鳴らしながらカモンと挑発のアピールをしている姿があった。

烏間先生は瞬時に走り出すと楓もその場から素早く逃げていった。

木を掴んで縦移動をしたりロングジャンプをして華麗に逃げていく……

楓は逃げながら瞬時に脳をフルに使い逃げ道を模索していく。

 

(さっきとは違いやはり早いな)

 

追いかけながらも烏間先生は楽しんでおり、更に更にペースを上げ徐々に距離を縮めていく。

 

(っち!…………やっぱり引き離せない!)

 

楓はチラッと横目で見て悪態をつくものの足を緩めるのをやめず精一杯足を動かし逃げ切る。

しかしいくら精一杯頑張っても無理なものもある。

烏間先生の圧倒的な力量に敵わず楓は呆気なく確保されてしまう。

疲れからか楓は座り込み、烏間先生も額の汗を拭い時間を確認していた。

 

「ずいぶん逃げたな。だがもうすぐラスト1分、奴が動けば君らの負けだな」

 

「いやいや……この勝負、泥棒の勝ちですよ。

だって烏間先生、殺せんせーと一緒に空飛ばないっしょ?」

 

楓の問いに烏間先生は訳がわからないと言う感じで答える。

 

「当たり前だ。そんな暇があるなら刺してる」

 

その言葉に楓はニヤリとほくそ笑んでいる。

 

「そしたら……ここから1分でプールまでは戻れないよね?」

 

楓は指を差しながら遠くのプールの方を差していた。

 

「しまった!!」

 

烏間先生が気付いた時には遅かった。

殺せんせーがラスト1分になり、殺せんせーが動いて次々と確保をしていたがプールの所で立ち止まっていた。

プールの中には渚とカルマ、杉野の3人がナイフを持ちながら潜っていた。

 

殺せんせーだけでは水底にいる渚達に触れることは難しく、仮に触れることが出来ても動きが鈍ってしまい下手したら殺されてしまう恐れがある。

 

「し、しかしいくらなんでも1分間潜ることは出来ない筈です!」

 

殺せんせーはそう言って待ち構えていて、カルマが殺せんせーの考えが解ったのか水底からあるものを見せていた。

それは小さな球体の物で、その球体の先端の管がカルマだけでなく渚や杉野の口の中にあった。

その球体に見覚えのある殺せんせーは絶句していた。

それは楓のスレッドで編み込んだ簡易酸素ボンベでこれを使っていれば3人でも数分は水に潜っていられる物だ。

プールの底にいる3人と殺せんせーの横にいる茅野はニヤニヤと笑いながら時間は経っていく……

 

「タイムアップ!!全員逮捕ならず泥棒側の勝ちです!!」

 

律の言葉に皆は喜ぶ。

 

「まんまと誘き出されたと言うことか」

 

「えぇ、糸を張った場所もプールから遠ざけるため。桐や岡野、達で更にプールから遠ざける…………失敗しないかハラハラもんでしたけどね」

 

烏間先生の呟きに楓はそう言ってから華鎌とグータッチをする。

烏間先生はやれやれと言った感じで1人先に校舎の方に戻り財布を確認するのだった。

 

(いっそう、必要経費で落としてもらうように頼んでみるか?)

 

烏間先生が財布を確認しながらそう考えてるのに誰も気付かない…………

 


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