皆さんの所はどうですか?
てなわけでケイドロの時間です!
体育の時間、何時ものようにジャージ姿になって烏間先生の元に集まっていた。
「二学期から教える応用暗殺訓練……火薬に続くもう1つの柱がフリーランニングだ」
フリーランニング、その名を聞くと多くの人は聞きなれないのか頭の上に?が浮かんでいた。
すると烏間先生は崖下に生える一本松を指差すと三村に質問してきた。
「では三村君、あの一本松にたどり着くのにおよそでいいからどのくらいかかると思う?」
その問いに三村は立ちあがって、崖下を見つつ言った。
「まず、この崖を這い下りて……そこの小川は狭いところを飛び越えて……茂みの無い方から回り込んで岩場をよじ登るから…………一分でいければ上出来ですかね?」
その答えに木村を始め数人の生徒は頷く。
「では俺が行ってみよう。時間を計っておけ」
そう言って、ストップウォッチを三村に渡して崖の前に立ちつつ言った。
「これは一学期でやったクライミングやアスレチックの応用だ。
フリーランニングで養われるのは自身の身体能力の把握する力・受身の技術・目の前の足場の距離と危険さを測れる力…………これが出来ればどんなところでも暗殺が可能なフィールドになる」
そう言うと烏間先生は崖を飛び降りる。
地面に着地と共に小川の壁を伝って越え、岩場も壁と木の枝を足場にして飛び上がり、一本杉の枝へと掴まる。
「タイムは?」
「じゅ・・・10秒です」
三村が震え声で呟くと烏間先生は服に付いた土埃をはらいつつ言った。
「道なき道でも行動する体術……熟練して極まればビルからビルへ忍者のように踏破することも可能になる」
烏間先生の言葉に皆は楽しそうに話をしていると楓は軽くストレッチをしてから三村にタイム頼むと言って烏間先生と同じく崖から飛び下りていった。
「「「「!?」」」」
皆が驚いて見てるなか華鎌はやれやれと言った感じで見ている。
一方の楓は両手、両足で着地するとそのまま小川に向かって走っていった。
烏間先生は小川の壁を使っていたが楓は小川の中にある大きな岩を足場にして小川を突っ切って木の枝に飛び乗り、岩の壁を蹴って松の木にタッチしていた。
「14秒……」
「アイツも大概だよな」
三村は驚いたように言うと吉田はそう言って皆はウンウンと頷いて賛同していた。
「華鎌君も出来るの?」
「まぁ、烏間先生や楓みたいにあんなに早くはたどり着けませんがね」
(充分凄いけどね)
華鎌の言葉に渚は内心でそう言ってると楓は烏間先生に注意されていた。
「いくら出来るからって勝手な真似はするな。
これも火薬と同じく初心者のうちに高等技術に手を出せば死にかねない危険なものだ。
危険な場所や裏山以外で試したり俺の教えた以上の技術を使うことは厳禁とする」
「「「「はーい」」」」
皆の返事を聞いた烏間先生は楓と共に皆のところに戻り、基本の受け身から教えるのであった。
そんな様子を殺せんせーは遠目でうずうずと見てるのであった。
その2日後、楓は寝坊してしまい走って登校してると目の前に不破の姿があった。
「おっす不破」
「おはよう、遅刻なんて珍しいね」
「寝坊しちゃった。そう言う不破はどうしたんだよ?」
「いやぁ~、ジャンプがどこも売り切れててね……探してたら遅刻しちゃった」
なんとも不破らしい…………
理由を聞いていた楓は苦笑いしながら教室に入ると手錠をかけられた。
「遅刻ですねぇ、逮捕する」
悪徳警官みたいなコスプレをしながら言う殺せんせーに何かイラッとしながらも楓は何て事を無いように手錠を壊して理由を聞いていた。
「朝っぱらから何の真似だよ」
「九重君は普通に手錠を壊すのを辞めてください。それ本物なんですよ?
…………まぁ、理由ですがフリーランニングをやってますね。
折角なのでそれを使ったケイドロをやってみませんか?
皆さんには泥棒役になってもらい身に付けたら技術を使って裏山に逃げて潜んでください。
追いかける警官役は先生と烏間先生「何……!?」1時間以内に皆さん全員を逮捕出来なかった場合、先生が烏間先生の財布で全員分のケーキを買ってきます「おい!!」その代わり全員捕まったら宿題2倍!!」
「ちょっと待ってよ!!」
「殺せんせーから1時間も逃げられるかよ!!」
皆から猛抗議の声があがっていた。
それもその筈、マッハ20の殺せんせー相手に1時間も逃げるなんてムリゲーなのだから。
しかし殺せんせーヌルフフフと笑い口を開いた。
「その点はご安心を……最初は烏間先生のみ追いかけて先生は牢屋スペースで待機します。
ラスト1分で先生は君達を捕まえに行きます」
「なるほど、それならなんとかなるか……」
「よっし、やってみるか皆!」
磯貝の言葉に皆はおーう!!と意気込んでるなか楓は華鎌の所に向かい話していた。
「(どう思う?)」
「(はっきり言ってムリゲーです。これ1度でも捕まればアウトですよ)」
2人は周りにはバレないように溜め息を吐きケイドロの準備をするのだった。
裏山…………
楓は華鎌と陽菜乃、矢田の4名で行動を共にしていた。
「あの木の上で身を潜めましょう」
華鎌は指差したのは大きめで4人が上っても葉も鬱蒼としてバレなさそうな木であった。
華鎌は素早くジャンプすると枝に掴んですいすいと木を上っていく。
楓もそれに続いた後、残りの2人も木に上っていくのであった。
「楓、糸は?」
「ここに来るまでに簡単にだけど仕掛けてきた」
楓はそう言うと華鎌は頷いて辺りを警戒していた。
「2人に言っとくけどこのケイドロ捕まったら助けること出来ないからな」
「「え?」」
楓の言葉に陽菜乃と矢田は何故?と言った感じで聞き返してくると華鎌が理由を説明する。
「簡単です。牢屋には殺せんせーがいるんですよ?あの先生のスピードを掻い潜って助けるなんて無理に等しいです。
と言うか出来てたら最初っから殺してます」
華鎌の言葉に2人は確かに……と呟いていると律から連絡が入った。
「5分経ちましたのでケイドロスタートします!皆さん武運長久を祈ります」
律はそう言うとスマホ画面から消えて変わりに確保人数0人と表示されていた。
「皆さん、ここからは気配をなるべく隠すように心掛けて下さい」
華鎌はそう言うと一同は頷き、じっと身を潜めるのであった。
すると烏間先生が少し離れた所にやって来ていた。
皆は双眼鏡で烏間先生を捉えることが出来、緊張が走っていた。
仕切りに辺りを見渡していると烏間先生は素早くその場から離れていった。
その数秒後…………
「岡島君、速水さん、千葉君、不破さん確保されました」
律からの報告後、確保人数が0→4人と表示が変更されて4人の顔写真が掲載されていた。
たった数秒で電光石火の如く泥棒を捕まえた烏間先生に楓達は戦慄するのであった。
「それにしてもどうやって烏間先生は見付けたの?」
「双眼鏡越しからじゃ凛香ちゃん達見えなかったのに…………」
「多分、足跡ですね。4人の足跡がくっきり残ってます」
「それと折れた枝も見てた。後は微かにだけど耳が動いてたから喋り声で正確な位置と距離を計ったんだろ」
楓と華鎌は女子2人の質問に双眼鏡で見渡しながら答えていた。
その直後、菅谷とビッチ先生の確保報告があり早くも6人捕まってしまった。
「…………どこにいる?」
一方の烏間先生は楓と華鎌が未だに見つからないことに少々焦りを感じていた。
気配の隠し方が上手い2人だと下手したら逃げ切れる可能性もある。
ラスト1分になったら殺せんせーが動いて皆を確保し、警察側の勝利になるものの烏間先生のプライドがそれを許さなかった。
(あいつの手を借りずとも全員確保して見せる)
既に開始から8分が経過しておりその間にも8人確保している。
このペースで行けばラスト1分を待たなくても全員確保できる。
最大の敵は楓と華鎌であり、その2人を確保すれば勝ちは決まりだと烏間先生は考えていた。
するとふと、何かを察知したように一方の大きな木を見つめていると躊躇いもなくその木目掛けて走っていた。
「やべ!見つかった!」
「二手に別れましょう!私は矢田さんと逃げますので楓は倉橋さんを!」
そう言うと楓は陽菜乃を連れて、華鎌は矢田を連れて素早くその場から逃げていった。
当然、烏間先生もそれには確認できており素早く1組の獲物に目を付け確保しに向かうのであった。
ターゲットは…………
「……っ!こっちに来たか!陽菜乃急いで逃げるぞ!」
「まっ、待ってぇ!」
楓・陽菜乃ペアーだ。
烏間先生が迫ってくる中、楓は陽菜乃を背負って逃げていた。
「しっかり掴まってろよ?」
「うん!」
楓の言葉に陽菜乃は頷くとぎゅっと掴んでいて楓は素早くその場から逃げた。
木から木へと移り、更に素早く地上に下りて走っていた。
陽菜乃を背負いながらも素早く移動している楓に烏間先生は感心していた。
(良く動く……だが!)
烏間先生は少し本気になりスピードをあげて先回りして楓の前に先回りしてタッチしていた。
「九重君、倉橋さん確保ー!」
律の言葉を聞きながら楓は陽菜乃を下ろして地に座り込んでいた。
「良くこれだけ動けたな。だがまだ甘いぞ」
烏間先生はそう言うとその場を去って新たな獲物を狩りに行った。
「すまんな陽菜乃。かなり揺れただろ?」
「大丈夫だよ。寧ろ楓君大丈夫だった?私背負ってたから重かったでしょ?」
「重い?全然大丈夫だよ。陽菜乃は軽いから苦じゃなかった」
楓は立ち上がって陽菜乃の頭を撫でると一緒に牢屋に向かっていた?
すると律からの報告があったので誰か捕まったのか?と思いスマホを手に取って見ると…………
「脱走成功です!ただいまの捕獲人数10→2人です!」
と律は泥棒衣装になりながら喜びの連絡が来ていた。
2人と言うのはその場にいなかった楓と陽菜乃の2名。
「「え?」」
2人は驚きが隠せない感じでスマホ画面を見るのだった。