プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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すいません!
囲い混みの時間で★4の倉橋が欲しいのでちょっと更新が遅れるかもです!

申し訳ありません!


捕獲の時間

陽菜乃の家を後にした楓は一旦、家に戻り道具一式を持つと直ぐに家を出て喫茶店“九条”に向かった。

店のドアの前には閉店の立て札が掛けられていたが、楓はそれを無視して中に入っていった。

中に入ると従業員の九条源三郎、石刀ユウに岩倉ニナミ、源三郎の孫娘の唯の他に依頼人の真嶋護警視がいた。

 

「おう、来たか。早くこっち来な」

 

源三郎の言葉に楓は頷き席についた。

 

「久しぶりだね。学校生活はどうだい?」

 

楓が席につくと真嶋がそう聞いてきた。

源三郎からコーヒーを渡された楓はそれを飲みながら口を尖らせていた。

 

「割りと楽しんでますよ。今日だって「こいつ彼女の家に遊びに行ってたもんな」なっ!?誰から聞いた!?」

 

「さっき律から問いただしたんだよ」

 

唯はニシシと笑いながら楓を見ていた。

ニナミと源三郎は何だと!?と驚きながら楓を見ていた。

 

「えっ…………そんな驚くこと?」

 

「そりゃあ、そうだよ!あの楓君だよ!?」

 

「友人との付き合いや学業より仕事を優先するお前さんが彼女とはどういう心境の変化だよ」

 

「真嶋さん、ユウさん…………この人達が酷い」

 

「あはは……ノーコメントで」

 

「同じく」

 

ユウと真嶋に助けを求めたが全く頼りない返事が反ってきて楓はガックリと項垂れていた。

 

「さて……冗談はそれぐらいにして」

 

真嶋がそう言うと皆の緩んだ気持ちがピシッと引き締まった。

真嶋はそれを肌で感じると鞄から封筒を取りだし中から書類が出てきた。

 

「今日、あなた達に頼みたいのは彼等を確保してほしいんだ」

 

「あぁ、世間では英雄達と言われてる奴等か…………」

 

楓がその人達の写真を見てそう言うと真嶋は頷いていた。

 

「こいつ等ってあれだろ?消防士が宅急便と偽って爆発物を家に届けて爆発させてる放火魔だろ?質の悪いことに人も殺してる」

 

「え?それが何で偽りの英雄なの?ただの放火魔じゃん」

 

ニナミの言葉に源三郎とため息を吐いていた。

 

「少しは調べろ。こいつ等は、自作自演の放火をして自分達があたかも自分達で活躍してんだよ。……そうだろ?」

 

「えぇ……僕達も直ぐ様逮捕しようとしたんですが上層部が一向に逮捕の許可が降りないんです」

 

「コイツらが上層部に賄賂を渡して見逃してもらってるでしょ?」

 

楓はそう言うと真嶋は悔しそうにしながら頷いていた。

 

「俺達は後方で支援するからユウ、ニナミ、楓お前らがコイツらを確保しろ」

 

楓達は頷いていいるとニナミは何か気付いたような表情をしていた。

 

「おっちゃん、1人支援足りないけどどうするの?」

 

「そこはお任せください!」

 

突然の声に楓を除いた一同は驚いて警戒していた。

 

「はぁ……律、いたのか」

 

「はい!九重さんの仕事が気になったので、このままスマホで待機してました!」

 

楓はスマホを取り出すと律が元気よく言っていた。

唯は律だと解るとオッス!と挨拶をしていた。

 

「唯ちゃんや九重さん以外の方は始めまして!私は自律思考固定砲台…………律とお呼びください!」

 

律はそう言うとパチン!とウィンクをしていた。

 

「自己AIか?」

 

「はい!ある任務で九重さんのクラスメイトの一員として学校に通っています!私が九重さんのフォローに回れば丁度、3-3になりますが」

 

「この事は他言無用でいられるか?」

 

「解りました」

 

源三郎の言葉に律は真面目に返すと良いだろうと言い書類の1つを手に取ると楓に渡していた。

 

「楓、お前はこいつの所に行け」

 

楓は頷くのを見ると源三郎はユウの方をみた。

 

「ユウ、お前はリーダー格の野郎だ。炎で人を殺して正義の味方ぶってる奴に本当の炎の恐ろしさを教えてやれ」

 

ユウは何も言わなかったが、ユウの体から熱を放出されてるのを確認した源三郎は何も言わずに残りの書類をニナミに渡していた。

 

「ニナミはこいつだ。お前ら呉々も殺るなよ?」

 

一同は頷くと資料を持って喫茶店を後にするのだった。

 

 

 

「九重さん、ユウさんとニナミさんと言う方はどんな方なんですか?あの人達の体温に急激な変化がありましたが」

 

ターゲットの家に向かってる中、律が聞いてきた。

 

「んー、あの人達は俺と同じ、体を弄られた人達だ。

ユウさんは感情が昂ると体内の温度が上昇してニナミさんはじっとしていると体温が下がるって言うヘンテコな体になってるんだよ。

ユウさんは軽い運動しただけでも温度が上がるから普段は無口、無表情を保って冷静にしてるんだ。

ニナミさんは温度を下げないために普段からテンションMAXにしたり激辛唐辛子食べたりして温度を上げてるっていうね」

 

「…………ですがそのような情報は何処にもありません。唯ちゃんの事も聞きましたが、私は半信半疑です」

 

「そりゃあそうだろ。あの人達の体は異常過ぎるんだし…………もし、その事を知ったら研究者達が拉致って人体実験行きになる。

だから唯ちゃんがその情報を全て消して無かったことにしてるんだよ。

殺し屋達の世界でもこの事を知ってるのは極一部の人達だけだし…………って」

 

楓はピタッと立ち止まると目の前の男を見て書類を見ていた。

 

「アイツだな」

 

「彼ですね」

 

貰った書類の写真の男と目の前の男が偶然にも一致していた。

楓は確認のためにその男のもとに近付いて行った。

 

「すいません……ニュースで見たんですが、貴方は消防局に勤めている福田孝さんですか?あの炎の中を勇敢に駆け抜けるって言われてる」

 

「ん?あぁ、そうだけど……サインは辞めてくれよ」

 

福田と言う男は照れたような感じで言うと楓はニヤリと微笑んでいた。

 

「…………いらねーよ。それより寝てくれや」

 

「は?」

 

意味わかんねぇと言おうとした福田だがグラッと体を崩して地面に倒れていた。

 

「ふぅ、一丁上がりだな……」

 

楓はナイフをクルクル回しながら言うと福田を担いで素早くその場を後にした。

 

「…………私いなくても良かったですね」

 

律の言葉に楓は返すことが出来ずにただ、人目にバレないように移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここだな……」

 

楓が福田を捕らえる少し前、源三郎とニナミはもう車で1人の男の家の前にいた。

 

「ったく……無駄にセキュリティが高いな…………っと開いた!行ってこいニナミ」

 

「…………うん」

 

ニナミは頷くと水の入ったペットボトルと薬品のようなものを持って車から降り、2人目のターゲット…………梅木武司の男の家の中に入っていった。

歩いてるなか、水の入ったバケツが置いてあったのだが通り過ぎた時パキパキッと凍っていき水が氷の塊に変化していた。

 

「ッチ!何だよ急に家の電気落ちやがった……ったくついてねーなぁ!」

 

一方の梅木はそう言うと、暗い家の中を壁を這うように歩いていると突如、急激に温度が下がりブルッと震わせていた。

すると梅木の右肩がグサリと何か刺さる感触がしていた。

梅木は慌ててその場を離れ、肩を確認すると氷が肩に刺さっていた。

 

「…………人を不幸にして英雄扱いされて嬉しい?」

 

今は真夏と言う事もありニナミの冷気と真夏の気温が合わさり、白い水蒸気がニナミを包み込んでいた。

その光景に梅木は体を震わせていたがフッと意識を失い倒れ混んでいた。

 

「…………半信半疑だったけど凄い効果」

 

ニナミはそう言いながら凍ったペットボトルを振っていた。

このペットボトルの中には楓から渡された“昏倒蠍毒”が含まれていた。

ペットボトルの水を凍らせて相手に突き刺す、その後溶けた氷が溶けて毒の入った水が体内に入り込んでいた。

 

「さて……この人を持ち運ぶにも凍死させちゃうなぁ」

 

ニナミはそう言うとポケットからブート・ジョロキアを1つ口に入れるとニナミの顔から汗が吹き出していた。

 

「あっつーい、かっらーい!!」

 

ニナミはヒーヒー言いながら梅木の足を引っ張って家を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

「ついたよ」

 

真嶋はそう言うと唯は鼻歌をしながらノートパソコンを操作していた。

 

「……ほい!あの家とこの近辺の監視カメラの細工完了!何時でも行けるぜ」

 

「…………解った」

 

ユウはそう言うと車から降りて最後のターゲット、飯塚洋介のもとに向かった。

 

「…………にしても毎度の事、君達に頼むことになるとは」

 

ユウが車を降りた後、真嶋は溜め息混じりにそう嘆くとガンと額をバンドルにぶつけていた。

 

「でも良い判断だと思うぜ?このまま何もしなけりぁ、コイツらはどんどん被害を増やしてたからな」

 

「はぁ、僕にとっては君達も逮捕する対象なんだけどね」

 

「なら、さっさとトップになって私達を頼らなくても良いように改革するべきだな。

…………まぁ、私らはそう簡単に捕まらないけどな」

 

カラカラと笑う唯を車のミラー越しで見た真嶋はもう1回、深いため息を吐くのだった。

 

「…………にしてもユウの奴大丈夫かな?あいつたまにやり過ぎることがあるから下手したら生きた状態じゃ渡せないと思うぜ?」

 

唯の言葉に真嶋は顔を真っ青にしていた。

コンコン

 

そんな中、真嶋の車を叩く1人の人がいた…………

 

「な、何だよ貴様は!!」

 

飯塚はナイフを持ちながらそう言えば叫んでいたがユウは何も答えずにただ黙って飯塚を見ていた。

 

「ッチ!」

 

痺れを切らした飯塚はナイフで斬りつけてきたがナイフはバターのように溶けていた。

その光景に飯塚は尻餅をついて後退りをしてユウから離れていた。

 

「1つ聞きたい。お前等は何故放火などした?お前等は人を救う為じゃないのか?しかも人を殺めてもいる」

 

ユウの言葉に飯塚はハッと嘲笑うと大声で答えていた。

 

「何故かって?…………この街に相応しくないゴミを片付けてたんだよ!!俺等が殺した奴等はそんな奴等だ!不正献金してる奴や横領してる奴!!そんな恥知らずなゴミは俺等の街には必要ない!だから綺麗にしてやったんだよ!!まぁ…………無関係な奴等も巻き込んじまってるけど、ゴミを片付けるためにはしょうがないんだよ!!」

 

アハハハと笑う飯塚にユウは拳を飯塚の顔に殴り付けていた。

 

「お前等は英雄と言われたいが為だけにやってるだけのただの快楽犯だ。お前の方こそゴミじゃないのか?」

 

そう言うとユウは止めだと言わんばかりに拳を振り上げて、飯塚に降り下ろそうとしていたが拳は飯塚に当たることは無かった。

 

「いやぁ……間一髪。ユウさんそれ以上はソイツ殺しちゃいますよ?俺等の今回の仕事は殺しじゃなくて捕獲でしょ」

 

ユウの拳を止めたのは楓だった。

楓はスレッドをユウの拳に巻き付けて止めていた。

飯塚の方は既に意識が無いのか壁にもたれ掛かっていた。

 

「…………すまない」

 

ユウは落ち着かせると楓にそう言っていた。

楓は気にしないと言うと飯塚を担ぎ上げるとユウと一緒に外に出ようとしていた。

 

「にしてもユウさんの一言は効いたなぁ。俺等も社会のゴミ…………きっと何時かは裁かれる身なんですよねぇ」

 

「お前は若いんだ。彼女も出来たんだからこの業界から抜けて全うに生きても良いんだぞ?」

 

「抜けたいからって抜けて良い物でも無いじゃないですか。でも、今がとても楽しいんですよね…………今後、どうするか凄い迷い中です」

 

楓はそう言うとユウはそうかと簡潔に返していた。

外に出るとニナミがユウに抱き付いていた。

それを他所に楓は担いでいた飯塚を真嶋の車に乗せていた。

 

「気を失ってますが確り生きてる飯塚です」

 

「助かったよ」

 

「それより、コイツらを捕獲したのは良いですがコイツらがやったって言う証拠が無いですよ?」

 

「問題ないよ」

 

楓の問いに返したのは唯だった。

唯は複数のディスクを真嶋に渡していた。

どうやら監視カメラから飯塚の犯行を捉えた映像を映っているものらしい。

それさえあれば真嶋も何とかなると言っていた。

 

後日、飯塚達がディスクを持ちながら不思議と警察庁前に寝ていて聴取をしていた。

その後、ディスクから飯塚達の犯行がバレて直ぐ様逮捕されていた。

 

真嶋からは何とか裁判に漕ぎ着けたと連絡が唯からあったらしい。


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