プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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訪問の時間

新学期が始まるまで残り1週間。

烏間先生から今朝、LINEで残り1週間は訓練を休みとするという連絡が一斉に送られていた。

その後、陽菜乃から今日家に来ない?と誘われて現在は倉橋家の家の前にいた。

緊張からかインターホンを押そうと思っても思っても中々指が動かなかった。

 

(ここ程度の困難、暗殺に比べたら難てこと無いだろう!)

 

心のなかで自分にそう叱責していると背後から声をかけられた。

 

「ん?あんた俺の家の前で何してんの?」

 

振り替えって見ると楓より幾つか年上の男性が立っていた。

 

「家に用でもあるのか?」

 

「は、はい」

 

「なら、其処に突っ立ってないで入れば良いじゃん!」

 

男の人はそう言うと楓の横に立ってドアを開けていた。

 

「ただいま~!おぉーい、何か客来てるぞぉ~!」

 

男の人は大きな声で言うと家の中からパタパタと慌てて歩いてくる足音が聞こえてきた。

 

「あぁ!楓くんようやく来たぁー!」

 

家の中で陽菜乃がそう言うと男の人がじろじろと楓の事を見ていた。

 

「ほぉ、お前が陽菜の彼氏さんかぁ……俺は兄の陽翔だ。ほら、入れよ」

 

「あっ……俺、九重楓です。そしたらおじゃまします」

 

楓はそう言うと陽翔と陽菜乃に案内されてリビングに進んでいた。

リビングに進むと陽菜乃の母親がニッコリと笑顔でお茶を飲みながら楓を見ていた。

 

「あらあらぁ~、いらっしゃい」

 

「どうも、おじゃまします。あっ、これケーキ皆で食べてください」

 

「そんな良かったのに、態々ありがとう。後で皆で食べましょう?」

 

母親はそう言うと箱を受け取って冷蔵庫の中に入れていた。

「とりゃぁー!」

 

「ぐほっ!?」

 

突然、背後から声が聞こえると同時に尻にブスリと言う音と同時に楓は床に倒れていた。

楓は尻を抑えながら後ろを恐る恐る振り替えって見ると小学生位の男の子がヘヘッと笑いながら指をカンチョーの形にしていた。

 

「コラッ!陽太」

 

陽菜乃は叱りつけると陽太と言われた子供は一目散に逃げていった。

 

「大丈夫か?」

 

「強烈な一撃でヒリヒリします」

 

楓の言葉に陽菜乃と陽翔は苦笑いしていた。

その後、楓達はリビングで話をしていた。

陽翔は椚ヶ丘高校の生徒らしく、楓達の事は耳に入ってるらしい。

 

「にしても今年のE組は凄いらしいな?男子は球技大会に勝ったらしいし、期末は五英傑を下したらしいじゃん」

 

「楓君凄いんだよ~!中間は4位で期末は1位だったんだよ!」

 

「へぇ、凄いじゃない!陽翔、うかうかしてると楓君に学力負けるんじゃないの?」

 

事を話しているのを楓は恥ずかしそうに聞いていた。

そんな中、倉橋家のペットだろう猫が楓の膝の上に飛び乗ってリラックスしていた。

 

「あら?モネ珍しいわね。結構、人見知りで他所の人には近付かないのに」

 

「楓君って本当に動物に好かれやすいんだね~」

 

陽菜乃にそう言われながら楓はモネの首元を指で撫でていた。

モネは気持ち良さそうにゴロゴロと鳴らしながら目を細めていた。

 

そんな中、玄関のドアが開く音が聞こえ「ただいまぁ」と言う声が聞こえてきた。

その言葉に倉橋家の3人はえ!?と驚いた顔をしていて、驚いている様子だった。

声の主はどうやら陽菜乃の父親の用で、リビングに着き楓を見るとドサッと鞄を落としてドタドタと何処かの部屋に行っていた。

 

「や、やべぇぞ!?親父の奴もしかして……おい楓早く帰るんだ!じゃないと不味いことになる!!」

 

「え!?ちょっと、どう言うことですか!?」

 

陽翔の言葉に楓は驚いていると父親はリビングに戻っていた。

その手に散弾銃を持って…………

 

「なぁ、陽菜乃……あれってモデルガンか?」

 

「残念ながら本物だよ…………お父さんクレーン射撃の名手なんだ。他にも色々格闘技もやってるよ」

 

陽菜乃の言葉に楓はゲッと言っていると、父親は口を開いていた。

 

「……君は陽菜乃のなんだ?」

 

「え、えっと…………お付き合いさせていただいてます」

 

楓はしどろもどろ言うと父親は散弾銃のスライドを引いていた。

 

「……そうか。ならこの愛銃、セバスチャンの餌食になれぇ!!」

 

「ちょっと!お義父さん落ち着いてください!!」

 

「貴様にお義父さんと言われる筋合いはなーい!!」

 

父親はそう言うと楓に散弾銃を向けていたがゴン!と言う音が聞こえると父親は倒れていた。

 

「ごめんねぇ?家の人、ちょっと過保護なところあって」

 

母親はそう言言いながらフライパンを降ろしていた。

 

(あれ?あのフライパン妙な赤い染みがあるような…………)

 

「楓君妙な詮索はダメよ?」

 

「は、はい!」

 

母親の妙な迫力に押し負けた楓は返事をするしか無かった。

そんな中、陽翔は慣れた手つきで父親を背負い何処かの部屋に移動したり母親や、陽菜乃は何事も無かったかのように再びお茶を飲んで話していた。

その後、陽菜乃から宿題を教えてほしいと頼まれた楓はそれを了承し、陽菜乃の部屋に移動するのだった。

 

陽菜乃の部屋は女子らしく可愛い小物類やヌイグルミが置かれているが綺麗に整頓されていた。

本棚には少女漫画の他にイヌ・ネコ図鑑やファーブルの昆虫記がおかれていた。

その内の1冊を取りページを開いてみると、相当使い込んだのかページが破れかけたりボロボロになっていて、

陽菜乃が生物好きが窺えるものだった。

更に本棚にはノートが数冊あり、興味本意で中身を見てみると今まで飼っていたペットの観察日記が記されていて、その内の1冊にはゆずの観察日記もあった。

 

「…………ほぉ、小まめに書いてんなぁ」

 

楓は感心したように呟きながらペラペラとページを捲って読んでいたら陽菜乃が飲み物とお菓子を持って部屋に戻ってきていた。

 

「楓君何読んでるの?……って!恥ずかしいから読んじゃダメー!」

 

陽菜乃はそう言うとバッと楓から素早く奪って本棚に仕舞っていた。

 

「恥ずかしいって……しっかり、その日の体調や様子が記録されてて読んでて面白かったんだけど」

 

「ダメな物はダメなのー!」

 

陽菜乃の言葉に楓は解った解ったと言ってなだめた後に宿題を見るのだった。

宿題を見ると言っても殆ど終っていたので教えるのも数問程度と非常に楽で、そこまで時間を掛けずに陽菜乃の宿題は終るのであった。

あまりに早く終わったので見直しをしていると外から消防車のサイレンが聞こえてきた。

 

「あぁ~、また放火魔かな?最近、多いよね~?」

 

「ただの放火魔ならマシなんだけどな……」

 

楓の呟きに陽菜乃はどういう事か聞こうとしたら、スマホが鳴り出した。

 

「九重さん!メールみたいですよ!」

 

「サンキュー律………………ん?何でお前がここにいるの?」

 

楓はメールを開く前に律にそう問いかけていた。

 

「すいません。何やら面白そうな展開になるかと思ってずっと九重さんのスマホで待機していました!」

 

テヘと舌を出して謝る律にイラッときた楓に陽菜乃は落ち着くように言っていた。

1つ深呼吸をして楓は律に質問を問い掛ける。

 

「この事は他の奴には知られてないよな?」

 

「残念ながらまだお伝えしてません。何かおもし……ニュースになるようなことがあれば直ぐにお伝えしようと思ってます」

 

「OK。もし、伝えてみろ。明日にはお前の本体がスクラップになって粗大ごみに投げ棄てられるからな?」

 

悪びれる様子もなく言う律に楓は有無を言わさない圧力で言うと律は御手上げと言った感じで両手をあげていた。

 

「解りました。それよりメールを開いた方が宜しいですよ?差出人は唯ちゃんのようですし」

 

唯からのメールと聞くと楓は真剣な表情でメールを開いて読んでいた。

 

『真嶋から依頼が来てる。夜7時に店に来い』

 

楓はマジか……と呟きながらスマホを仕舞っていた。

 

「もしかして……」

 

陽菜乃の言いたいことが解った楓は首を横に振って違うと言う。

 

「暗殺じゃないよ。俺って時おり、警察の人から犯人の捕縛を依頼されることもあるんだよ」

 

「警察の人が?何で?」

 

「法の網を掻い潜って悪事を働く奴を捕まえるのにさ。

俺等が失敗しても警察は特に痛手でもない……逆に警察の手伝いをする代わりに俺の事は見逃してもらうって言う、持ちつ持たれつの関係なんだよ」

 

「でもそれって警察の方はご存知なんですか?」

 

「勿論、全員じゃないさ。ごく一部の人達しか知らない」

 

「殺めたりしないんだよね?」

 

「勿論!今回の依頼人は犯人をどうやってでも法廷に引っ張って法の裁きを受けさせたいって言う人だからな。………………まぁ、そんな暗い話は辞めて明るい話でもしよう!」

 

楓はパン!と手を叩き、その話は打ち切りとなった。

その後、律を交えて3人でワイワイと話してから帰宅するのだった。


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