プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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殺しの時間

海底洞窟を抜け暫く待つと後続の人達も次々とゴールしていた。

皆の表情は怯えよりも呆れ顔になっており、殺せんせーが海底洞窟から出ると問いただすために皆で殺せんせーを囲い込んでいだ。

 

「ハッ!リアル囲い込みの時間だ!なんコンボ行けるんだろ!」

 

「……訳が解んない」

 

不破の言葉に速水は何言ってんのこいつ?見たいな目で見ていた。

 

「何でも作者が囲い込みの時間やってるらしいんだけど、最近放置気味なんだって。

000815047217……これが作者のIDだって。

因みにトップは天真爛漫の陽菜乃ちゃんだって……フレ登録したい人は是非って言ってたよ!」

 

「メタ過ぎる!?そして作者は何、然り気無く宣伝してんのさ!?」

 

不破の言葉に渚は作者と不破に突っ込みをせずにはいられなかった。

 

「で?何でこんなくだらない事をしたの殺せんせー」

 

「だってだって、夏頃にはボチボチカップルが出来ると踏んでたのに君達ときたら暗殺に夢中になって、てんで浮いた話が無いんですもん!!

だから先生がここらで1発、恐怖で君達の背中を押して男女をくっつけさせようとしたんです!」

 

片岡の問に殺せんせーは地面に俯せになってじたばたと触手を暴れさせながら動機を言っていた。

 

「結果を急ぎすぎなんだよ」

 

「怖がらせる前にくっつける方に入ってるから狙いがバレバレ!!」

 

前原と矢田がそう言うと殺せんせーは顔をバッとあげ泣きながら生徒達の方をみた。

 

「だって見たかったんだもん!!手ぇ繋いで照れる2人をニヤニヤしたいじゃないてますか!!

そして確実に一組ぐらいはくっつけさせたかったんだもん!!」

 

「泣きギレ入った」

 

「ゲスい大人だ……」

 

矢田と木村はそんな殺せんせーを見て言うなか、中村は呆れながら口にした。

 

「殺せんせー、そういうのはそっとしときなよ。

うちら位だと色恋沙汰とか突っつかれるの嫌がる子多いんだから…………まぁ、一部さっさとくっつかないかなぁって思うペアーもいるんだけどね」

 

中村は最後にチラッと楓と倉橋に目をやった。

当の本人達はドキッとしながらも平静を保とうとしていた。

 

「(あれ?ねぇ、華鎌君……)」

 

「(はい。明らかに楓も動揺してましたね……)」

 

「(えっ!?って言うことはもしかして殺せんせーの目を盗んでどっちかコクったの!?)」

 

「(そう判断するのは難しいですけど、肝だめしの間に何か進展があったのは確実ですね)」

 

矢田と華鎌、岡野はコソコソと耳打ちをしながら楓と倉橋を見ていた。

別の所で中村がニヤニヤと見ていたり、渚も不思議そうに見ていたりと一部の人達には勘付かれていた。

 

(もうちょっと平常心でいてくださいよ…………)

 

華鎌は情けないと言う風に同い年の殺し屋を見て溜め息を吐かずにはいられなかった。

 

「何よ結局誰もいないじゃない!!怖がって歩いて損したわ!!」

 

不意に聞こえた女性の声、皆はその声に聞き覚えがあり振り返って見ると案の定、ビッチ先生だった。

ビッチ先生は烏間先生の腕にしがみ付いてギャーギャーと文句を言っている傍ら、烏間先生は鬱陶しそうに顔を顰めていた。

 

「だからくっつくだけ無駄だと言ったろ。

徹夜明けにはいいお荷物だ」

 

「うるさいわね、男でしょ!!美女がいたら優しくエスコートしなさいよ!!」

 

そんなことを言っていると不意に生徒達とビッチ先生の目が合い、そそくさと烏間先生の腕から離れていた。

 

「……なぁ、薄々思ってたけどビッチ先生って」

 

「……どうする」

 

「明日の朝、帰るまで時間はあるし…………」

 

((((((くっつけちゃいますか!?))))))

 

生徒全員は一瞬でゲスくなり、目を輝かせていた。

 

 

一同はビッチ先生を連れてホテルのロビーで作戦会議を行った。

 

「意外だよなぁー、あんだけ男を自由自在に操れんのに」

 

「自分の恋愛にはてんで奥手なのね」

 

木村と茅野は苦笑いしながら言うとビッチ先生はクワッと2人の方を向いた。

 

「仕方ないじゃないのよ!!あいつの堅物ぶりったら世界クラスよ!!

私にだってプライドがあるわ。

男をオトす技術だって千を越える……だからムキになって本気にさせようとしてる間に……そのうちにこっちが」

 

ビッチ先生の照れて言う姿に一部の男子がキュンとしていた。

 

「可愛いと思っちまった」

 

「それは重症だな」

 

「どういう事よ九重!?」

 

磯貝の呟きに楓はそう呟くと、ビッチ先生がギャーギャー文句を言っていた。

 

「まずさぁビッチ先生、服の系統が悪いんだよ」

 

「そーそー、露出しときゃいーや的な。

烏間先生見たいなお堅い日本人の好みじゃないよ」

 

「もっと清楚な感じで攻めないと」

 

岡野、中村、矢田が次々と言うとビッチ先生は難しそうな顔をしながらウ~ンと頭を捻っていた。

すると中村は何か思い出したかのようにポンと手を叩いて神崎の方を向いた。

 

「清楚つったら、やっぱり神崎ちゃんでしょ。

昨日着てたの乾いてたら貸してくんない?」

 

中村の言葉に神崎は二つ返事で快く承諾して服を持って来てビッチ先生に渡していた。

 

「ほら、服ひとつで清楚に…………」

 

(((((何か逆にエロい!!)))))

 

ビッチ先生が着替え終わって出てくると皆は内心で突っ込みをしていた。

服のサイズが合ってなくてピッチピチだった。

神崎は顔を赤くして恥ずかしそうに顔を手で隠しているなか、岡島は鼻の下を伸ばしながら神崎があの服を着ているところを想像していた。

其処に茅野と岡野が備え付けのイスで岡島を殴り付けて黙らせた後、岡野はしょうがない!と口を開いていた。

 

「エロいのは仕方ない!!大切なのは乳より人間同士の相性よ!!」

 

岡野の言葉に茅野は同感だと言わんばかりにコクコクと素早く頷いていた。

 

「そーいや、烏間先生の女性の好みって知ってる人いんの?」

 

楓の質問に皆は同時に顎に手を当てて考える仕草をしていた。

正直、烏間先生は自分の事を話すタイプの人では無いし、聞いてもそんなに答えてくれない人なので烏間先生の情報は無いに等しい状態だった。

 

ロビーのテレビであるCMが入ると矢田はアッと声をあげていた。

 

「そう言えばさっき!!テレビのCMであの女の人をベタ誉めしてた!!“俺の理想のタイプだ”って!!」

 

矢田の言葉に皆は素早くテレビの方に視線を移した。

そのCMは…………

 

『1、2、3、4ア〇ソック!日本の平和にア〇ソック!ーー♪ーーーーーー♪』

 

今ではお馴染みのセキュリティ会社のCMだった。

 

「“彼女は……いいぞ。顔つきも体つきも理想的だ。おまけに3人もいる”って言ってた!!」

 

「「「「それは理想の戦力じゃねーか!!」」」」

 

矢田の言葉に何人かが突っ込みを言わずにはいられなかったようだ。

 

「じ、じゃあ手料理とかどうですか?

ホテルのディナーも豪華だけどそこを敢えて2人だけは烏間先生の好物で」

 

「名案ですね。

私は来て間もないので解らないんですが、烏間先生は何が好物なんですか?」

 

奥田と華鎌はそう言うと皆は再度、考える素振りをして各々が口を開いた。

 

「赤いキツネのウドンを食べてたのは見たよ」

 

渚が……

 

「俺は緑のタヌキを食べているの見たぜ」

 

杉野が……

 

「私はラ王食べてるの見た」

 

不破が……

 

「俺はマックのテリヤキ食べてるの見たなぁ」

 

カルマが……

 

「あっ、俺は海老バーガー食ってるの見たぜ!」

 

岡島が……

 

「私は日清のシーフー「ジャンクフードから離れろぉー!!」……アハハ」

 

我慢の限界だったのか、茅野の言葉を遮って楓は大きな声を出して中断させていた。

 

「何なんだよ!烏間先生は!少しはジャンクフードから離れろよ!!」

 

「と言うか楓は私より長くいたんですよね?何で知らないんですか!?」

 

「逆に何で知らなきゃならないんだよ!?それにあの先生は学校でジャンクフードしか食べて無いんだよ!?」

 

「だから入念に調べて下さいよ!!これだから脳筋は…………」

 

「何でそこで脳筋が出てくるんだよ!其処まで言うならお前が前もって調べれば良かっただろ!」

 

つけ入る隙が無せいなのか楓と華鎌はイライラが募って2人で怒鳴りあっていた。

 

「お、落ち着け!?」

 

「冷静になるんだ!」

 

磯貝達は楓達の間に入り、止めに入っていた。

 

「なんか烏間先生の方が原因あるように思えてきたぞ」

 

「でしょでしょ?」

 

「これだから仕事一筋の人は……」

 

前原がそう言うとビッチ先生は促すようにそう言い、冷静差を戻した華鎌もディスり始めていた。

 

「と、とにかく……ディナーまでに出来ることをしましょう。

女子は堅物の日本人が好むようにスタイリングの手伝いを……男子は2人の席をムード良くセッティングです」

 

殺せんせーの言葉に皆ははーい!と返事をして行動を移した。

 

「さて……セッティングと言われてもどこにセッティングをするか」

 

「時間は余り無いから簡単にしか出来ないな」

 

磯貝と前原はウ~ンと悩んでいると華鎌が提案してきた。

 

「外はどうですか?」

 

「月明かりも出てるし風もない……外でもありだな」

 

華鎌の言葉に楓も良い顔で頷き外でベストポジションを探すことにした。

見付けた場所は楓達が夕食を食べる会場から近いところだった。

ただ…………

 

「枝が多くて月明かりが遮られているな……」

 

杉野がポツリと呟いたように木が覆い茂っていて辺りが暗い感じだった。

 

「それなら軽く枝を伐採するか……」

 

「そうですね」

 

楓がナイフを持ち、華鎌が鎌を持って枝を伐採していった。

磯貝が枝を伐採するところを指示し寺坂と吉田、村松がテーブルやイスを用意していき、残った渚達が楓と華鎌が伐った枝を回収して見えないところに投げ捨てて行った。

 

「うーん、月明かりだけだとちょっと寂しいな」

 

「それなら光の強くない……ツリーとかに飾る蛍光灯を周囲に飾れば月明かりをメインとした感じで良い雰囲気になるんじゃないか」

 

前原が呟いてると菅谷が鞄から出しながら呟いていた。

 

「それ持ってきてたの?」

 

「ちげーよ、売店で売ってたから買ってたんだ」

 

「何で売店でそんなの売ってたんだろ……」

 

渚の疑問に杉野は「別に良いじゃん!」と言い飾りつけをするのだった。

その後、楓や華鎌の指示のもとテーブルの設置や皿やフォーク、ナイフの配置をしていき、準備を整えて行った。

女子の方も準備が出来たみたいでビッチ先生は席についていった。

ビッチ先生の髪は後ろに縛って、赤のドレスを着ていてショールを羽織っていた。

 

楓と華鎌は烏間先生が食堂に来たのを確認し話しかけていった。

 

「烏間先生」

 

「む、君達か……どうかしたのか?」

 

「今回、烏間先生やビッチ先生には大変お世話になりましたからホテルの支配人に無理を言って特別に外で景色の良い場所に用意してもらったんです」

 

「ですので、ビッチ先生と是非夜景を楽しんで夕食を楽しんでください」

 

「そうか。では君達の好意に甘えるとしよう」

 

烏間先生がそう言うと楓は場所を案内し歩を進めていった。

皆は烏間先生が出ていくと夕食を其方退けでビッチ先生と烏間先生の恋の行方を見ていった。

楓も戻ってくると皆と同じように夕食を其方退けで見ているのであった。

 

「ビッチ先生、柄にもなく緊張してたぜ」

 

戻って来た楓はクククと笑いながらそう言うと皆もムフフと笑っているのであった。

 

「あのショールはどうしたんですか?」

 

「売店で布生地を買って、ホテルの人からミシン借りて……ネット見ながらブランドっぽくアレンジしたんだ」

 

「原さん、家庭科強いもんなあー」

 

華鎌の疑問に原は笑顔で答えると菅谷は感心した感じで答えていた。

 

 

(こんなショール、社交界じゃ使い物にならないし……テーブルセッティングも雑、フォークやナイフの向きぐらいしっかり揃えなさいよ。

しかもプライバシーもへったくれも無い野次馬ども)

 

ビッチ先生は内心で文句をガンガン言っていたが口許には笑みを浮かべていた。

 

(……何よコレ。

楽しいじゃない……ちょっとだけ大好きよアンタ達!ヤッテやろうじゃない!この堅物オトして見せるわ!!)

 

ビッチ先生が意気込んだ時、烏間先生はコーヒーを飲みながら口を開いた。

 

「……色々あったなこの旅行は。

だが収穫もあった……思わぬ形だが基礎が生徒に身に付いているのが証明できた。

この調子で2学期中には必ず殺す……イリーナ、お前の力も頼りにしているぞ」

 

烏間先生の言葉にビッチ先生のやる気が冷めていった。

烏間先生はこういう時にもプロとして発言しているのに悲しくなっていった。

 

「……?どうした?」

 

そんな様子に気付いたのか、不思議そうに烏間先生は聞いてきた。

 

「……昔話をしてもいい?

私が初めて人を殺したときの話……12の時よ。

私の国は民族扮装が激化しててね……ある日、私の家にも敵の民兵が略奪に来た。

親は問答無用で殺されて……敵は私の隠れたドアを開けた。

殺さなければ殺される……父親の拳銃を至近距離から迷わず撃ったわ。

敵の死体を地下の蔵に押し込んで……奴等が去るまで死体と一緒にスシ詰めになって難を逃れた。

一晩かけてぬるくなってく死体の温もり、今もはっきり覚えてるわ」

 

ビッチ先生は一旦区切るとナイフで髪を縛っていたゴムを切っていた。

 

「ねぇ、カラスマ。

“殺す”ってどういう事か本当にわかってる?」

 

ビッチ先生の質問に烏間先生は何も答えずにいた。

フゥと息を吐くとビッチ先生は席を立って烏間先生に近付いていった。

 

「湿っぽい話しちゃったわね。それとナプキン適当につけすぎよ」

 

ビッチ先生はそう言うと烏間先生がつけているナプキンの端を持ち、自分の口を拭くとそのまま烏間先生の口を拭っていた。

 

「好きよ、カラスマ。おやすみなさい」

 

ビッチ先生はそう言ってその場を後にした。

戻って来たビッチ先生に待っていたのは生徒からのブーイングの嵐。

会話が聞こえなかったから仕方ないとは言え、ビッチ先生からしたら堪った物ではなかった。

湿っぽい雰囲気だった物を吹き飛ばし、何時ものノリでて生徒達をシバキ倒していた。

烏間先生はそんな光景を席で見ながらも、先程のビッチ先生の行動について考えていた。


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