プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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カルマの時間

カルマは躊躇なく観葉植物をグリップ目掛けて大きく振るが、グリップはそれを難なく右手で掴むと自慢の握力でメキメキと握り潰していた。

 

「柔い。もっと良い武器を探すべきだぬ」

 

「必要ないね」

 

カルマはそう言うと観葉植物はもう使い物にならないと判断し即座に放り投げていた。

グリップは素早くカルマに近づき、掴んで握り潰そうとするがカルマはグリップの手に捕まれないように払い、必用最低限の動きで避けておりグリップの攻撃を捌いていた。

 

(1度捕まれたらゲームオーバー、普通に考えたら無理ゲーだけど……立場が逆なだけでいつもやってんだよねその無理ゲー)

 

カルマはそんなこと考えながらグリップの攻撃を捌いてるなか烏間先生は驚きを隠せない表情で見ていた。

 

(殺し屋にとって防御技術は優先度が低い。だから授業で教えた覚えは無いが……目で見て盗んだな。俺が生徒のナイフを避ける動きを…………)

 

その後もカルマはグリップの攻撃を次々と捌いていたが、肝心の攻めることが出来ていなかった。

グリップはピタッと動きを止めてカルマに問い掛けていた。

 

「……どうした?攻撃しなくては永久にここを抜けれぬぞ」

 

「どうかな~、あんたを引き付けるだけ引き付けといて、その隙に九重に決めてもらおうってのもアリかと思って」

 

「…………」

 

「……安心しなよ、そんな狡いことは無しだ。今度は俺から行くからさ……あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着つけるよ」

 

「「…………」」

 

カルマはそう言いながら手をボキボキ鳴らしてファイティングポーズを構えてるなか寺坂と吉田は「え?コイツなに言ってんの?」見たいな顔でカルマを見ていた。

 

「良い顔だぬ、少年戦士よ。お前とならやれそうぬ……暗殺家業では味わえないフェアな闘いが」

 

グリップはフッと笑いそう言うと手を前に出して構えていた。

カルマは勢い良く走り出すと跳び蹴りを繰り出したが、グリップに難なく防がれてしまう。

着地後も右ストレートをお見舞いしようとするが防がれ直ぐ様、左手でグリップの目を潰そうと人差し指と中指をグリップの目に突き刺そうとするがこれも顔を反らして空を切ってしまった。

しかし、カルマの表情はこれで良いと言わんばかりの笑顔をしながら左足でグリップの右足の向こう脛を思いきり蹴っていた。

 

「くっ……」

 

弁慶の泣き所を蹴られたグリップは体勢を崩してしまい、カルマに背中を見せていた。

 

「チャンスだ!」

 

渚は思わず声に出してカルマのチャンスに喜んでいたが華鎌は表情は険しかった。

 

「チャンスなんかではありません。危険です」

 

華鎌の言葉に渚達はえっ?と何を言ってるんだ言う表情で華鎌を見ていた。

対するカルマはそのまま駆け出し、グリップに殴りかかろうとした次の瞬間、グリップは左手でポケットからあるものを素早く手に取り、後ろを振り向きながらカルマに至近距離でガスを吹き付けていた。

ガスを至近距離で浴びたカルマはふらっと力無く倒れようとしたとき、グリップはカルマの顔を掴んだ。

 

「一丁あがりぬ。長引きそうだったんでスモッグの麻酔ガスを試してみることにしたぬ」

 

「き……汚ぇ。そんなもん隠し持っといてどこがフェアだよ」

 

吉田の抗議にグリップはフンと鼻で笑っていた。

 

「青臭いぬ。それに俺は1度も素手だけで戦うとは言ってないぬ。拘ることに拘り過ぎない、それもまたこの仕事を長くやってく秘訣だぬ。至近距離のガス噴射……予期してなければ絶対に防げぬ」

 

グリップは勝ち誇ったように言っているが楓は我慢できなくなったのかクククと笑いが漏れていた。

 

「何がおかしいぬ?」

 

「まだ気付かないの?」

 

何?とグリップが言おうとした瞬間、ブシュッ!とグリップの顔に勢い良く煙を浴びていた。

 

「奇遇だね。2人とも同じこと考えてた」

 

口に当てていたハンカチを投げ捨てながらカルマはニヤァっと笑いながらスモッグが持っていたスプレーを持っていた。

 

「カルマのやつ、スモッグってやつのポケットとか物色してくすねてたんだよ」

 

楓はクククと未だに笑いながら言い、渚は気が付いたように楓に聞いていた。

 

「カルマ君が言ってた秘策って!」

 

「多分、これの事だな」

 

渚の言葉に楓は1つ頷いてそう言っていた。

グリップに膝をガクガクと震わせながら、胸ポケットから折り畳みナイフを取りだしカルマ目掛けて刺そうとしていた。

しかし、麻酔ガスを浴びた事による麻痺と動揺で冷静さを欠いたグリップの攻撃はカルマに取って躱わすのは造作もなく躱わし、それだけでなく腕を掴んで組伏せていた。

 

「ほら寺坂、早く早く。ガムテと人数使わないとこんな化けもん勝てないって」

 

グリップの関節がメキメキと言ってるなかカルマがそう言うと寺坂は溜め息を1つ漏らしながら皆に来いと指示を出していた。

 

「テメーが素手でタイマンの約束とかもっと無いわな」

 

皆がグリップの背中にのし掛かるとグリップの肩はとうとうミシッと鳴ってはいけない音が鳴っていた。

それでもグリップが何とか打開しようともがいてるグリップの目の前に楓が立っていた。

 

「寺坂、そいつの頭を押さえてる手を退けて」

 

「?あぁ」

 

寺坂は訳も解らず取り敢えず楓の言われたとおり、手を退けると楓は兜角を展開させて、そのままグリップの頭目掛けてガン!と振り落とし気絶させていた。

 

「対した事無いって言った罰だ」

 

((((どんだけ根にもってんの!?))))

 

楓の一言に皆は声を出さないで突っ込みをしていた。

その後、烏間先生の指示のもとガムテでぐるぐる巻きにしているなかでグリップが目を覚ました。

 

「何故だ……俺のガス攻撃……お前は読んでいたから吸わなかった。俺は素手しか見せてないのに……何故……」

 

「とーぜんっしょ、素手以外の全部を警戒してたよ。あんたが素手の闘いをしたかったのはほんとだろうけど、この状況で素手に固執し続けるようじゃプロじゃない。俺等をここで止めるためにはどんな手段でも使うべきだし。俺でもそっちの立場ならそうしてる…………あんたのプロ意識を信じたんだよ。信じたから警戒できた」

 

カルマはしゃがみながらグリップに言っていた。

 

「……大した奴だ少年戦士よ。負けはしたが楽しい時間を過ごせたぬ」

 

「え?何言ってんの?楽しいのはこれからじゃん」

 

カルマはそう言うとワサビとカラシを取り出していた。

 

「さっきまではきっちり警戒してたけどこんだけ拘束したら警戒もクソもないよね。これ鼻の穴に入れたら専用クリップで鼻塞いでぇ……口の中に唐辛子の1000倍辛いブート・ジョロキア、ウンコ(偽)、奥田さん特製の悪臭化合物をぶちこんだらその上から猿轡して処置完了!さぁ、おじさんぬ。今こそプロの意地を見せるときだよ!」

 

カルマはそう言うと鼻に練りワサビとカラシをグリップの鼻に入れていた。

カルマの顔はとてもニコやかで楽しそうにしていた。

 

「か、カルマさんってこう言う人なんですね」

 

楓の後ろでガタガタと震わせながら華鎌は呟いていた。

 

「まぁ、こう言う事させると右に出るやつはいないな…………「!?」」

 

楓がそう華鎌に返すと何か気配を感じたのか2人は素早く展望回廊を見渡していた。

 

「……気のせいか?」

 

「いえ、確かに人の気配を感じました」

 

楓と華鎌は辺りを見渡し、更にスレッドを使って探知していたが何も感知出来ずにいた。

楓はグリップに聞こうとしたが、生憎グリップはカルマの弄られの対照となっており、聞ける状況ではなかった。

 

「……取り敢えず警戒して進もう」

 

「そうですね」

 

楓は華鎌にそう言うとカルマのイタズラを見るのであった。

 

 

 

 

6階……

 

「ぐふっ……あいつ凄く柔らかそうだった……この手で壊してみたい……ぐふふ」

 

ローブを来た巨漢の男が薄気味悪い笑い声をしながら歩いていた。

巨漢の男の周りには人も歩いていたが、驚くことに周りの人は巨漢の男に気づかず目もくれずに通りすぎていた。

男の笑い声にも目もくれずと言う以上な光景がそこにはあったのだった…………。


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