作者が念願のパソコンを買ってからネットゲームのWOTにはまり込んで今日まで感想も放置してしまいました。
今回はそのWOTと今月の27日に発売する劇場版ガルパンのDVDにちなんだ番外編となります。
今回は前編で次回の後編は劇場版の販売である27日に投稿する予定です。
ではどうぞ!
放課後のある日、今日は放課後の訓練が休みなので皆は荷物を纏めて話をしながら教室を出て行く。
曰く、寺坂と竹林はメイド喫茶に行くとか、前原は街に出向き女性をナンパすると意気込んだりと既にやる事を決めている人もいるようだ。
神崎もそれに倣うようにカバンを持ち教室を後にしようとした時、律が神崎に声をかけてきた。
「神崎さん今日の夕方、お待ちしてます」
「うん、楽しみにしてるね」
神崎と律が楽しそうに話してるのを遠巻きに聞こえていた渚達は神崎に声をかけた。
「神崎さん、律と何か約束してるの?」
「うん。今日、これから律とオンラインゲームをしようって約束してるの」
「へぇ、そう言えば神崎さんってゲーム好きだったね。因みにどんなゲームなの?」
「
「あぁ……あのゲームか」
「知ってるの楓くん?」
楓の呟きに渚は聞いてみると首を縦に頷き、神崎に変わって説明をする。
「日本、中国、アメリカ、イギリス、ソ連、ドイツ、フランスと多くの国に多種に渡る戦車が使えてやりごたえのあるゲームだ。
操作も簡単だから誰でも気軽にする事が出来るぞ」
「良かったら皆さんチームを組んでやってみませんか?」
楓の説明の後に律からの提案されその場にいた渚や杉野、千葉、速水、不破、倉橋は考え込む。
そんな中、楓は疑問が覚えたのか首を傾げながら律と神崎に質問をした。
「あれ?ちょっと待ってくれ。あのゲームって1小隊、3人までしか組めないんじゃなかったか?この人数を誘っても余裕で定員オーバーするぞ」
「それなら大丈夫だよ九重くん。この前、大型アップデートで1小隊、最大で10人まで組む事が出来るようになったんだよ」
「現在、私達で9人ですので余裕でチームを組む事が可能です」
「ふーん。ここ最近、全くインしてなかったから知らなかったな」
「まぁ、実を言うと作者さんが『どうせ二次小説なんだし少しぐらい改変しても問題ないだろうと』仰ってました」
「堂々とメタい発言をすんの辞めい」
律の言葉に楓は本体に向かって軽くチョップを入れながら突っ込む。
すると、そんな会話をしているとカルマが興味津々な様子で楓達に近寄ってきた。
「へぇ〜、皆でWOTでもするの?なら俺も混ざっても良い?」
「カルマくんもやってるの?」
「割とやり込んでるよ。弱者を狩るのが面白くて辞められないんだよねぇ〜」
渚の言葉にカルマはケラケラと笑って答える。
そんなカルマを見て一同はあぁ、今日もカルマは平常運転なんだと思っているとカルマは口を開く。
「まぁ、それは置いといて俺も参加させてよ。さっきも言ったようにやり込んでるから腕には自身あるよ。初心者をカバーするぐらいなら訳ないけどどう?」
「うん、私はいいよ。渚くん達はどうする?」
神崎の言葉に皆はやる事も無いと言う事で皆でWOTをする事になった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ここはWOTゲーム内の仮想世界。
雲1つない青空、機械特有のオイルや油の匂い、の下で楓は渚達と会うために、待ち合わせの空き倉庫の前で自慢の
「楓くーん!」
声をした方を向くと其処には倉橋を筆頭に渚や杉野、千葉、速水、不破が楓の方を向かって歩いていた。
「おう、無事にログイン出来たか」
楓はそう言うとキューポラPティガーから降りて皆を出迎える。
「なんか凄い戦車ね」
「これはドイツの
速水の言葉に楓は自慢そうに説明をすると杉野が何度も周囲を見渡していた。
「な、なあ。神崎さんはまだ来てないのか?」
「あぁ、神崎さんなら律とカルマの3人で一足先に戦闘してるよ」
杉野の言葉に楓はそう言うと手に持っていたタブレットを皆に見せていた。
タブレットの画面にはソ連の重戦車、IS-2に乗ってるカルマが楽しそうな表情で敵チームの戦車をばかすかと砲撃していた。
「カルマくんかなり楽しんでるね」
「けど、あれだけ撃ってるにも関わらず相手の戦車はやられて無いんだな」
「もしかして、かなり堅いのかな?」
渚、千葉、杉野はタブレットを見ながらそう呟くが、楓は苦笑いしながらそれを否定する。
「いや、相手の戦車が堅いんじゃ無くて敢えてダメージが通らないように撃って相手を嫌がらせてるんだよ」
楓はそう言うと続け様に説明する。
曰く、カルマは履帯を撃って動けなくした所を追撃するかの様に砲塔にも撃ち込んでカルマに砲身を向けない様にすると後はそれの繰り返様に続けて撃ってると楓は皆に説明する。
「でも何の為にそんなことするの?相手を倒しちゃえば手っ取り早のに」
「陽菜乃の言うのも最もなんだけど、相手の戦車を故障させると経験値のボーナスが貰えるんだよ」
「という事はカルマくんは経験値稼ぎにやってるって事?」
「まぁ、カルマの場合それだけじゃ無いだろ。実は故障する度に戦闘終了時に貰える金が修理費に回されて取り分が減っちゃうんだ。
恐らくカルマは何度も故障させて相手プレイヤーを大赤字にさせるのが魂胆なのかもしれない」
倉橋と不破の質問に楓はそう返すと皆は哀れむ様にタブレット越しで相手プレイヤーを見つめる。
タブレットにはカルマがキューポラから上半身を出しながら良い笑顔で笑ってる声と相手プレイヤーの悲痛な叫びが無残にも響き渡るのであった。
「さて、神崎さん達が戻って来るまでにある程度、戦車の事を説明しするか」
楓は思い出すかのようにそう言うとタブレットを仕舞ってカタログ雑誌を取り出し皆に手渡す。
「戦車には軽戦車・中戦車・重戦車・駆逐戦車・自走砲の5つのグループがあるんだ。簡潔に言うと……」
楓はそう言うと、各グループの長所と短所について説明した。
曰く……
・軽戦車……長所は機動力が高く、視界範囲が広い。更に、隠蔽率が高く車体も小さいので隠密行動に長けている。
短所は装甲が薄く耐久力も低く、それに加えて火力も高く無いので正面切っての戦闘は不向き。
更に車両も軽いのが基本なので体当たりによるダメージも大きい。
・中戦車……長所は機動力、火力、装甲、視界がそれなりにあって、臨機応変に何でも熟す事ができる。
短所は機動力、火力、装甲、視界が他の車種に比べて秀でた部分がない……簡単に言うと器用貧乏である。
・重戦車……長所は耐久力、火力、装甲が高く、正面戦闘に秀でてる。
短所は機動力と視界が低い。なので、サポートがいないと袋叩きされる事がある。更に車体がでかいのが多いため、隠れる事が苦手で見つかれやすい。
・駆逐戦車……長所は高威力の火力と精度、標準速度を持っている。更に隠れる事が得意で前者と合わせて後方で狙撃をすることに秀でている車種。
短所は装甲と耐久が低く、戦車によっては1激でやられることもしばしばある。更に視界も低いので戦車によっては近寄られても気付かない事もある。そして駆逐戦車1番の短所は砲塔が無いと言う事。砲塔が無いと言う事は砲身が回す事が出来ず、近寄られると側面や背面に回られて一方的に倒される事も良くある。
・自走砲……長所は駆逐や重戦車よりも高い火力を備えている物が多い。更に爆発範囲が広いので直撃しなくてもダメージを与える事が出来る。
短所は機動力、視界、耐久、装甲、昇順速度、装填速度が他のどの車種に比べても劣っているのに加えて駆逐と同じように砲塔を持たない物が多く使い勝手が悪い。
「………って感じかな」
完結に説明した楓は渚達を見渡す。
渚達は楓の説明を聞いて「「「うーん」」」と唸りながらカタログに目を通す。
「ねえ、質問だけど駆逐戦車は視界が悪いって言ったけど、そしたらどうやって撃つの?」
「そこで偵察に長けてる軽戦車の出番だ。軽戦車が他の戦車達の視界代わりになって確保してもらうんだ。それなら目の悪い駆逐でも撃つ事が出来るって感じだな」
不破の質問に楓はそう返す。
「でも、だいたい解ったけど………」
「(値段)高いね」
杉野と渚は小さく呟く。
初心者の渚達は所持金も少なく、レベルの高い戦車を直ぐに買うのは無理な状態だった。
「あぁ、それなら問題ねぇよ。さっき神崎達と話したんだけど資金面をこっちで工面しようって事になったから、余程レベルの高い戦車じゃなければ直ぐに用意出来るぞ」
楓の言葉に杉野と不破は嬉しそうな表情をする反面、倉橋と速水は申し訳なさそうな表情をしながら口を開く。
「え、それじゃあ悪いよ」
倉橋の言葉に速水は同意だと言う感じに首を縦に振る。
「いやぁ~、実は金があり過ぎて使い道に困っってるんだよ。リアルマネーに還元出来ないから貯まる一方で……出来れば貰ってくれると有り難いんだ」
「う~ん、それじゃあ………」
「お言葉に甘えて」
倉橋と速水の言葉を皮切りに杉野と不破を始め、皆は乗りたい戦車を選んでいき楓はタブレットを操作していく。
暫くすると、大型トレーラーが大小様々な戦車を乗せてやって来た。
その数は6両もあり、トレーラーにすれ違った他所のプレイヤーはその光景に驚いていた。
トレーラーが楓達の前で停止するとNPCの運転手が降りてきて楓の前に現れる。
楓は右手を軽く振るとウインドー画面が現れ、ピッピと操作すると大量の金が入った麻袋を手に持ちNPCに手渡す。
「まいど~」
金を受け取ったNPCは帽子を脱いで軽く礼をするとトレーラーに乗せていた戦車を降ろしてその場を去って行った。
「さて、後はカルマ達が戻って来るのを待つか」
楓はそう言うものの、殆どの人が戦車に夢中になっていて楓の話を聞いていなかった。
「よしよし~」
唯一、聞いていた倉橋が楓の背中を撫でて慰めていた。
「あぁ……陽菜乃の優しさが身に染みる」
楓の呟きに倉橋は苦笑いをしながらカルマ達が戻って来るのを待つのであった。