プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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会議の時間

昆虫採取をしていた楓達はE組を後にして楓の家にいた。

その地下訓練所にホワイトボードを設置したりとしている内に楓のスマホがなった。

 

「皆さんがお越しになりました!」

 

スマホの中で律がそう言うと楓は頷き、地上に出るとE組の皆や烏間先生と烏間先生の部下の人がいたので皆を出迎えて地下訓練所を案内していた。

 

「今日は烏間先生だけじゃなく部下の人も来てもらってすいません」

 

楓はそう言うと軽く頭を下げた。

 

「いや、構わない。奴を暗殺するためならば、こちらも出来る範囲で手伝うことになってるからな」

 

烏間先生がそう言ってるのを聞いて楓は「そうですか」と言った後、磯貝と片岡の方を向いた。

 

「そしたら学級委員の2人は進行役頼むよ」

 

楓がそう言うと2人は頷き、ホワイトボードの前に立った。

 

「皆、聞いてくれ。今日は8日後、離島での暗殺プランを決めるために此処に集まって貰ったんだ」

 

「幸いにもクラスにプロの殺し屋もいるから、その2人の言葉を聞きながらプランを決めたいと思ってるの」

 

磯貝と片岡は一旦、ここで区切り渚の方を向いた。

 

「渚、これまでの殺せんせーの弱点をメモったんだよな?もしよければホワイトボードに書いてもらっても良いか?」

 

磯貝の言葉に渚は解ったと言い、ホワイトボードに記入していった。

・カッコつけるとボロがでる

・テンパるのが意外と早い

・器が小さい

・パンチがやわい

・おっぱい

・上司には下手にでる

・知恵の輪でテンパる

・乗り物で酔う

・枕が変わると眠れない

・世間体を気にする

・猫舌

・しける

・下世話

・ベタベタで泣く

・噂に踊らされる

・脱皮直後

・再生直後

・特殊な光を浴びると硬直する

・シリアスの後、我に返ると恥ずかしい

・安い絵しか描けない

・夏バテ

・プールマナーにやたらと厳しい

・泳げない

・夢をすぐ諦める

・オカルト、怖い話しに弱い

 

の25項あげられた。

 

「4月からの3ヶ月間でよくもまーこんなに出てきたな…………」

 

渚が書き上げた物を見て杉野は呆れながらそう言っていた。

 

「うーん、やっぱり水責めは必須だよね」

 

「でも、どうやって殺せんせーに水をかけるかだよなぁ」

 

「おっ、そうだ!殺せんせーを精神的に追い詰めてから水をぶっかけるのはどうだ?」

 

皆が考えてるなか、岡島が勢いよく立ち上がり、そう言ってきた。

 

「殺せんせーを揺するネタを皆の前で暴露させるんだよ!そしたらあの先生もかなりテンパるから水をかけやすいだろ?」

 

岡島の言葉に皆はなるほど……と考えているなか三村がそれならと言ってきた。

 

「どうせなら、上映会見たいにしてみないか?殺せんせーを座らせて俺らがその回りを囲むようにして逃げさせないようにする。殺せんせーがそれを見て動揺したところを水をかけて暗殺…………みたいなの」

 

「うーん、いくら動揺してるからって水をかける行為を見す見すさせてくれるかしら?」

 

「もう一工夫欲しいよなぁ」

 

岡島と三村の案をより一層、生かすためにはどうするか一同は頭を捻らせながら考えていた。

そんな中、楓と華鎌はお互いブツブツと何かを喋りながら普久間リゾートをネットで検索したり、パンフレットを見て考え込んでいた。

 

「九重や華鎌は何か案はあるか?」

 

磯貝が2人に声をかけてみると2人は頷いて少しと言い、説明をした。

 

「まず岡島と三村の案は言いとおもう。ただ、水をかけるんじゃ無くて、気付かれないように床を浸水させて触手をふやけさせるのはどうだろうか?」

 

楓は一旦、区切って律を呼んだ。

すると皆のスマホの画面がパッと変わり、水上チャペルの建物が写っていた。

 

「このリゾートはどうやら結婚式とかでも良く使われてるみたいでホテルから離れたところにチャペルがあるんです」

 

「それは解ったけどよ、どうやって浸水をさせんだよ?」

 

「落ち着けって寺坂。この島の海域って夕方を過ぎると満潮で水位は上がるらしいんだ。このチャペルの柱を20センチぐらい短くしただけで床一杯に浸水は出来る」

 

「なるほどねー、でもさいくら恥ずかしい映像を見て動揺してるからって流石に気付くんじゃない?」

 

「僕もそう思うよ。あと1つ何か欲しいところだね」

 

華鎌と楓の説明に中村と渚はそう言っていたが楓はそれも考えてあると言って華鎌が説明していた。

 

「ここは船上レストランもやってるみたいなんです。ですので、殺せんせーをそこで着実に船酔いにさせてから映像を見せてからの満潮による浸水、からの9人による触手を破壊…………それで殺せんせーの注意力と判断力、行動力を鈍らせようと考えています」

 

「これなら岡島と三村の案も十分に生かせるし、態々殺せんせーに水を無理矢理浴びせなくても良いと思ったんだがどうだ?」

 

2人の案に皆は納得したように頷いており、ここまでの流れはこれで行くことになった。

 

「でも、この後が問題なんだよな…………どうやって殺せんせー殺るのか、殺せんせーは脱皮もあるから上手くいっても回避されるし」

 

「1つよろしいですか?」

 

楓がそう呟くなか、律が何か気が付いたのか皆に説明をした。

 

「今まで、皆さんの発砲を見て気が付いたのですが殺せんせーは当たる攻撃には物凄く敏感な気がします。…………これを見てください」

 

律は皆のスマホに動画を流していた。

そこには律から見た皆の一斉射撃の動画がスローで流されていた。

そこには殺せんせーが当たりそうな時だけ通常よりも早く反応しており、他の弾よりも早く体を動かして回避をしていた。

 

「おいおい、こんなの見せたってあのタコには射撃が通用しないって言う立証だけじゃねーか」

 

寺坂が呆れた感じで言うのを律は頷いていた。

 

「はい、ですので敢えて殺せんせーには当てない射撃を行い、殺せんせーの退路を断つ案を進言します」

 

「でも、それだけじゃ物足りないよな」

 

律の言葉に木村がそう言うと岡野が「それならさ」と言って提案をしてきた。

 

「あれ……えっと、フライボートだっけ?それを使って水の檻を作って、殺せんせーを空からの逃亡を阻止するって言うのは?」

 

「それ良いかも。殺せんせーって環境の変化に弱い所があるから、より動揺させれるし全身を濡らすことも出来るよ」

 

岡野の言葉に渚が賛同するように言っていた。

 

「でもよ、チャペルの建物があるからあんまり意味無いよな」

 

吉田がそう言うと皆は確かに…………と言い、この案は無しになるのかと思ったが竹林が……

 

「ならチャペルごと壊せば良いじゃないか」

 

と、眼鏡をクイッと上げながらとんでも発言をしていた。

 

「で、でも、流石に余所の建物を壊すのは不味いですよ!?」

 

奥田の発言に皆はウンウンと頷いていたが竹林は続けざまに言った。

 

「なら、買えばいいんだよ」

 

「「「「「簡単に言うな!!」」」」」

 

竹林の言葉に一同は突っ込みを入れるなか、華鎌と楓は自分達の通帳とにらめっこしていた。

 

「律、そのチャペル買い取るとしたら幾らかかる?」

 

「そうですね…………確定では有りませんが恐らく、最低でもこらぐらいはすると思います」

 

そう言って、律が金額を標示すると其処には1200万ととんでもない金額が標示された。

 

「そんな金、ポンと出せるか!」

 

寺坂はそう怒鳴りながら言うが、楓と華鎌はそれをスルーしながら話し合っていた。

 

「桐と俺で合わせれば買えなくはないな…………」

 

「そうですね。仮に高くなってもある程度なら問題無さそうですね」

 

2人の言葉に一同は言葉を失い、唖然としていた。

 

「このチャペルが買えるならフライボートの作戦もいけるんだよな?」

 

楓の問いに磯貝はあ、あぁと空返事をしており、楓はスマホで電話をしようとした。

 

「ま、待ってくれ。こう言う費用は政府が受け持つ。こちらで連絡をしてみるから暫く待ってくれ」

 

烏間先生がそう言うと部下の人が電話を急いでかけて話をしていた。

そんな中、千葉は思い出したかのように口を開いた。

 

「なぁ、九重やビッチ先生は暗殺にはいくつものプランを用意してるって言ってたよな?なんパターンか決めといた方が良いんじゃ無いのか?」

 

千葉の言葉にあっ!と言う声が聞こえたが、そこに楓が首を横に振って答えた。

 

「確かに千葉の言う通り、いくつかプランを用意をするんだが今回は余りにも時間が無さすぎて、用意出来る案は1つだけだ。今から仮に複数のプランを用意してもどれも疎かになりかねない」

 

「ですので、皆さんで協力して何としてでも1つのプランを貫き通して見ませんか?」

 

楓と華鎌はそう言ってる中、烏間先生が間を入って言ってきた。

 

「チャペルの買い取りは何とかなった。8日後、壊すなりなんなりしても誰からも文句は言われなくなった」

 

「ありがとうございます。そしたらこの案を通すことにしても良いか?」

 

楓は烏間先生に礼をすると皆に聞いてみた。

皆からは否定の言葉はなく、このプランで行くことに決定した。

 

「あっ!私も案があるんだけど良いかな~?」

 

倉橋は手を上げながら言うと片岡はどうぞと言い発言を許可した。

 

「もしかしたら殺せんせー水の中に逃げるかもしれないでしょ?だからイルカを使って水場の逃走を防ごうと思うんだけどどうかな~?近場の水族館にそう言うの教えてくれるところあるし」

 

倉橋の言葉に楓達は何とも言えなかった。

 

「案としちゃ良いけど、イルカの操りかたを8日以内に学ぶのはかなり大変だぞ?」

 

「すまないが、8日も期間は無さそうだ」

 

楓の言葉に烏間先生がそう言ってきて皆は烏間先生の方を振り向いた。

 

「明日から2日間、ロヴロさんが訓練を来てくれることになった」

 

「ということは実質、旅行の準備も含めて個人の練習は4日か5日しかないのか…………」

 

「逆に考えると4日か5日もあるってことだよな?」

 

楓の独り言に杉野が言ってきた。

 

「お願い楓くん!是非やらせて!」

 

手をパンっと合わせながら頼み込む倉橋を横目に楓はチラッと皆の方を向いてみた。

皆は首を縦に振っていて問題ないとアイコンタクトをしていた。

楓は解ったといい、この案も取り入れることになり倉橋はやったー!と喜びながら矢田とハイタッチをしていた。

 

「ところでさぁー。ここまで、プランは解ったけど肝心の殺せんせーに止めを刺すのは誰が殺るの?」

 

カルマの言葉に全員は楓の方を向いていた。

 

「この役割は…………って俺が仕切ってるけど良いのか?」

 

「うん。気にしないから言っちゃって」

 

片岡は早く早くと促し楓は続きを言った。

 

「千葉と速水の2人に頼もうと思う。2人はどうだ?」

 

楓の言葉に千葉と速水は驚いていて千葉は理由を聞いてきた。

 

「ちょっと待ってくれ。俺達よりお前や華鎌の方が成功率は高いんじゃないのか?」

 

「俺と桐は皆が一斉射撃をしている間に殺せんせーを近接で攻撃しようと思ってる」

 

「目的は脱皮と言うのを使わせるのと、触手の破壊、加えて更に動揺させるのが目的です」

 

「多分、これで上手くいったら殺せんせーとの力量差を互角に出来ると思うんだ」

 

楓と華鎌の説明の後に渚が手を挙げていた。

 

「でも、殺せんせーは意外と嗅覚と気配には敏感だよ?千葉くんと速水さんが居なくなったら警戒されると思うけど」

 

「それならさデコイを使うのはどうかな?菅谷を手伝わせて2人の人形を何処か狙撃の位置に適当に置いといて殺せんせーにミスリードさせるんだよ。それなら2人が途中で隠れても問題無く行動出来るんじゃない?」

 

渚の疑問をカルマがイタズラを思い付いたような表情をしながら言っており、楓は頷いていた。

 

「俺も同じことを考えていた。上映の途中で2人は海の中で待機して機会を伺うんだ。そしてチャンスと思ったところを引き金を引く…………って考えたんだけどどうだ?2人の射撃力なら行けると思ったんだが。…………嫌なら無理をしなくても良い。そのときは別の方法を考えるし」

 

楓の言葉に2人は考える仕草をしていた。

暫くすると頷き、楓の方を向いた。

 

「その役割、是非やらせてくれ」

 

「確実に成功させるわ」

 

2人の言葉を聞いて楓は頷くと、その後も皆で詳細なプランを練るのだった。

 

 

「…………すげぇ、大規模なプランだな」

 

「こんな大がかりな殺しをするのは初めてですよ」

 

数時間後、プランが出来上がり皆が帰った後、楓と華鎌は確認しながら苦笑いしていた。

今回、準備期間が短いこともあって1つしかプランを用意していなかったのだが、学生らしいと言うか楓と華鎌が思い付かないのもあったりと、こんな暗殺方は恐らくE組だけだろうと考えながら見ていた。

 

PPP!

 

突如、スマホからメールが来たので開けてみると其処には送り主は楓の師匠でもある兜蟲からであった。

 

『明日、暇だからあんたのクラスに遊びにいくから。楽しみに待っててね!カブちゃんより』

 

と簡潔に書かれてたメールを見ていた。

 

「やべぇ、俺等リゾートで暗殺する前に死ぬかも…………」

 

メールを見ていた華鎌も楓の呟きに何も返せず、石のように固まってるのであった。

 


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