プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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期末の時間

イトナの件から2日が経った。

あれから寺坂達も前よりかは積極的に勉強や暗殺に取り組むようになり、クラスの人達ともちょくちょく話してる姿が見えた。

今回の寺坂のやったことはお世辞にも許されるものではない。

なので皆で話し合った結果、罰として壊れたプールの修理をすると言う事になった。

流石に寺坂1人はキツいだろうとのことでマッハを使わないと言う条件で殺せんせーもヘルプに入った。

更に、吉田と村松もプールを壊したと白状し自らプールの修復に入っていた。

そんなこともあって、プールの外壁は昨晩の夜に完成して今は水を溜めてる最中である。

 

 

そしてE組は現在、期末テストに向けて猛勉強に励んでいた。

前回の雪辱、晴らすため烏間先生にテスト期間中の訓練を一時、中止させてくれと申し出た。

それには烏間先生も首を縦に振ってくれており、一言頑張れよと言っていた。

 

この日はとても良い天気で、教室に籠って勉強するのは勿体ないとのことで外で勉強をしていた。

殺せんせーは前回の時と同様、分身を使って生徒1人1人マンツーマンで勉強を教えていた。

 

「ヌルフフフ。皆さん一学期の間に基礎がガッチリ出来てきました。この分なら期末の成績はジャンプアップが期待できます」

 

「殺せんせー、また今回も全員50位以内を目標にするの?」

 

渚はふと思い出したかのように殺せんせーに聞いたが、殺せんせーはその問いに首を横に降っていた。

 

「先生あの時は総合点ばかり気にしていました。生徒それぞれに合うような目標を立てるべきです。そこで今回は……この暗殺教室にピッタリな目標を設定します!」

 

殺せんせーの言葉に皆は問題を解くのをやめて殺せんせーの方を向く。

 

「前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うと動きが落ちます」

 

そう言うと殺せんせー銃を取りだし躊躇なく自分の触手を1本撃った。

 

「ご覧なさい。全ての分身が維持しきれず子供の分身が混ざってしまった」

 

「「「「「分身ってそういう減り方するもんだっけ!?」」」」」

 

「更に1本減らすと…………子供の分身が更に増えて、親分身が家計のやりくりに苦しんでます」

 

「何か切ない話になってきたぞ…………」

 

「更にもう1本減らすと、父親分身が蒸発して母親分身が女手1つで子を養っています」

 

「「「「「重いわ!!」」」」」

 

「色々と試してみた結果、触手1本につき先生が失う運動能力はざっと20%!…………そこでテストについて本題です。前回は総合点で評価しましたが……今回は皆さんの得意科目も評価に入れます。強化毎に学年1位を取った者には答案の返却時、触手を1本破壊する権利をあげましょう」

 

「「「「!?」」」」

 

「チャンスの大きさがわかりましたね。総合と5教科全てで誰かがトップを取れば6本の触手を破壊できます。これが暗殺教室の期末テストです。賞金100億に近付けるかどうかは……皆さんの成績次第なのです」

 

殺せんせーがそう言うと皆は先程よりもやる気になってよりいっそう、勉強に励んでいた。

 

「おい、タコ。5教科のどれかでも学年1位を取れば良いんだな?」

 

寺坂が確認のためか殺せんせーにそう尋ねていた。

 

「えぇ、そうですよ。ですから寺坂君にもチャンスがあります」

 

殺せんせーがそう言うと寺坂がニヤリと笑いそうかよと言っていた。

 

「(寺坂の奴、何か良からぬ事を企んでるな…………)」

 

「(うん、でもプールの時みたいにとんでもない事はしないんじゃないかな?)」

 

楓と渚はこそこそとそんな話をしていた。

授業も終わり皆は教室に戻ってる最中、寺坂は吉田と村松、狭間を連れてプールの方に行った。

 

「まじで、今度は何をやらかす気だあいつは?」

 

「九重は警戒し過ぎだろ。流石の寺坂もこの間の事で反省したみたいだし皆の迷惑になるような事はしないだろ」

 

楓はプールの方に向かった寺坂達を見てそう呟いていたが磯貝からは少し信用してやれよと言われ皆もウンウンと頷いていた。

 

「…………まぁ、良いか。それよりも今度のテストはガチで学年1位を狙ってみるか」

 

「おぉー!九重が堂々と1位宣言した」

 

「ワースト1位だけは勘弁してくれよ」

 

楓は磯貝と前原と話してアハハと笑っていた。

 

「あっ、そう言えば放課後空いてるか?」

 

「?まぁ、訓練も休みだから特に無いけどどうした?」

 

「期末狙いでずっと予約してた図書室の使用許可が降りたんだ。俺以外にも7人誘えるから、お前も誘ってみたんだけどどうだ?」

 

「おっ、いいな。OK、放課後だな?他に誰いるんだ?」

 

「これから誘うところだ」

 

そんな楓達が話してる場所から少し離れた所に倉橋と矢田、中村がいた。

 

「ねぇ、陽菜ちゃん。プールの時から妙に楓君と距離を取ってるみたいだけどどうしたの?」

 

「…………あの時、助けて貰ったときに思いっきり楓君に抱き付いちゃって」

 

「あぁ…………なるほどね。後々になって気恥ずかしくなって顔を合わせづらいと?」

 

中村がそう聞くと倉橋は小さく縦に振っていた。

プールの出来事の次の日から、倉橋は楓に妙によそよそしくなっており、一部の人達は不思議に思っていた。

当初、楓がなにかやらかしたんじゃ無いのか?と思ったのだが、いくら鈍感な楓でもそんな理由もなく傷付ける事はないと判断していた。

実際に矢田は然り気無く楓に聞いてみたが本人も心当たりはないと言っていたので、こうやって本人に聞いていたのだ。

 

「初いねぇ~」

 

「陽菜ちゃんらしくて可愛いー!」

 

矢田と中村はニヤニヤしながら倉橋を弄っていた。

 

「倉橋ちゃん、さっさとあいつに告っちゃえば良いのに……あいつなら1つ返事でOK言いそうなのに」

 

「え、だって……恥ずかしい…………」

 

倉橋の言葉を聞いた2人は小動物を見るような目で見ていた。

 

 

 

放課後。

磯貝、楓、渚、茅野、神崎、奥田、中村、倉橋の8名が図書室で勉強をしていた。

 

「…………渚、そこの英文スペルがミスってる」

 

「え?あっ、本当だ!」

 

「いやぁ、全教科出来る九重君がいてくれて助かります」

 

奥田は尊敬する眼差しで楓を見ているが、楓は苦笑いしていた。

 

「そうでもないさ。実際、国語は苦手で前回の中間はそれでカルマと同じ順位だったし。…………あぁ、古文が訳わかんねぇ……」

 

楓はそう言うと頭を抱えていた。

 

「ふふ、そこの文章の意味は…………あったここを使えば良いんだよ」

 

「更にここはこう言う意味だね」

 

楓の前にいる神崎と隣の茅野がそれぞれ教えてくれて、楓はなるほど……と呟いてペンを走らせていた。

 

「神崎は国語得意なのは知ってたけど茅野は意外だ」

 

「あ゛?」

 

「いえ、何でもありません」

 

楓が立ち上がって茅野に謝罪していた。

 

「「「「「「九重(楓くん)が素直にあやまった!?」」」」」」

 

何てこともありながら皆は黙々と勉強をしていた。

 

「おや?E組の皆さんじゃないか!」

 

急に声をかけられた楓達はそちらを振り向くと、A組の五英傑と呼ばれてる奴等4人がいた。

五英傑、成績優秀者を選りすぐった特進クラスのA組から更にトップ5人をそう言われている。

中間2位の荒木、中間3位榊原、中間6位の小山、中間7位の瀬尾が楓達の前に立ち塞がった。

 

「勿体ない。君達にこの図書室は豚に真珠じゃないかな?」

 

荒木が嫌味ったらしく言ってるなか楓は渚達に口を開いた。

 

「ほら、お前さんたち手が止まってるぞ。折角の図書室での勉強なんだ……そんなの放っておいて勉強に集中しなって」

 

楓の言葉に渚達は苦笑いしていた。

 

「ギシシ、誰かと思ったら元A組の九重じゃないか。随分な口で言ってくれるじゃないか」

 

「…………あぁ、誰かと思ったら中間で俺とカルマより低かったワカメヘアーか」

 

楓は小山を見て暫くしてから思い出したかの用に言っていた。

最も、名前までは思い出せなかったようで中村はツボだったのか笑いを堪えていた。

一方の小山は名前を覚えて貰えなかったこと、順位の事を言われてプルプルと震えていた。

 

「落ち着け小山。取り合えずザコ共はどけよ。そこ俺らの席なんだから、とっとと帰れ」

 

「ここは俺達がちゃんと予約取った席だぞ」

 

「そーそー、クーラーの中で勉強なんて久々でチョー天国」

 

瀬尾の言葉に磯貝と中村は言っていたが、小山が笑いながら口を開いた。

 

「君達は本当に記憶能力無いなぁ。この学校じゃE組はA組に逆らえないの!成績が悪いんだから」

 

「さっ……逆らえます!!私達次のテストで全科目で1位取るの狙ってるんです!!そしたら大きな顔させません」

 

引っ込み思案の奥田が面と向かって小山に楯突いた事に楓達は驚いていた。

 

「そーだよ!それに前回の中間で4位だった楓くんだっている。十分にあなた達を下に下す事だって可能な範囲にいるんだから!」

 

奥田に続いて倉橋も立ち上がってそう発言していた。

その言葉に楓は驚いた表情で倉橋を見ていた。

 

「面白い、じゃあこう言うのはどうだろう?俺等A組と君等E組、5教科でより多く学年トップを取ったクラスが負けたクラスにどんなことでも命令出来る」

 

荒木の言葉に瀬尾が渚の肩に手をのせて喋った。

 

「どうした?急に黙ってビビったか?何ならこっちは……命かけても構わないぜ」

 

そういった瞬間、渚、中村、神崎、磯貝はシャーペンや物差し、指わ瞬時に首元に当てていた。

楓もやろうと動こうとしたが茅野、倉橋、奥田の3人にがっしり押さえられていた。

 

「命は……簡単に賭けない方がいいと思うよ」

 

渚がそう言うと五英傑は負け犬みたいにきゃんきゃん吠えながら図書室を後にした。

 

「てか3人は何故、俺を押さえてんの?」

 

「(その袖にいれてるものナイフでしょ!?)」

 

「(流石にここじゃ不味いですよ!?)」

 

「(少しは自嘲してよねー;)」

 

3人は周りに聞こえないように小声で楓に言っていた。

 

「そんな物騒な物じゃないってただ、カッターを当てようと……」

 

「「「「「「「アウト!!」」」」」」」

 

7人は楓に向かって思いっきり突っ込んでいた。

 

図書室での勉強が終わった楓達は学校を後にして其々の家に帰宅していった。

楓は倉橋と同じ方向ということもあって一緒に帰っていた。

 

「いやぁ、にしても陽菜乃がまさか俺の名前を使うとは思わなかった」

 

楓はクックックッと笑ってるなか倉橋は申し訳なさそうな顔をしていた。

 

「ごめんね。あの時、カァーっとしちゃってつい……」

 

「気にしてないさ。それに今回は本気で1位狙ってるからな。陽菜乃も頑張ろうぜ?」

 

楓はそう言って拳を出すと倉橋はうんと頷いて拳を出しトンと合わせていた。

その表情には既に気恥ずかしさはなく何時も通り接しており楽しく帰宅していた。

 

 


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