プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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水泳の時間

楓と矢田、倉橋は片岡の後をこっそりと追って今はファミレスにいる。

 

「あいつってB組の多川だっけか?」

 

「うん、確かそーだよ」

 

3人は離れた所で片岡を見ていた。

片岡は多川に勉強を教えてるようで文法の間違いを指摘していた。

 

「てか俺達以外にも片岡追ってたやついたんだな…………」

 

「「え?」」

 

楓が指を指すとそこには片岡の席の近くで真剣にジーっとサングラスをかけて見ている渚、茅野、殺せんせーがいた。

 

 

 

「…………ひどい。私の事殺しかけたくせに。あなたのせいで死にかけてから……私怖くて水にも入れないんだよ。支えてくれるよね?一生」

 

その言葉を聞いた楓たちはゾクッと背中に悪寒がした。

 

「なんだ?あの依存ぷりは」

 

「それもだけどメグちゃんが殺しかけたってどういう事なんだろう?」

 

「メグに限ってそんなことする筈はないと思うけど……」

 

「流石にそこは片岡に聞かないとわからんな」

 

3人はそう話してると多川は何やら友人と予定があると言って去っていった。

 

「はぁ…………で、そこの不審者3人組は何か御用?」

 

「おやおや、バレていましたか。九重君達もいるのでしょう?出て来てください」

 

殺せんせーの言葉に渚、茅野、片岡はえ?と言っていた。

倉橋と矢田は申し訳なさそうにして出てきて、楓は何事も無いように出てきてた。

その後、7人はファミレスを出て多川との関係を聞いた。

片岡曰く去年の夏に好きな男子含むグループで海に行くことになり、カッコ悪いとこを見せたくないと言う理由で片岡に指導を頼んだらしい。

最初のトレーニングでプールで泳げるぐらいには上達したが海で泳ぐと聞いた片岡は何回か教える予定だった。

しかし、多川は何かにつけて練習に来なくなった。

案の定、海流に流されて溺れた所を救助される結果になった。

それ以来、“死にかけて大恥かいてトラウマだ”“役に立たない泳ぎを教えた償いをしろ”と要求してきた。

テストの度につきっきりで勉強を教えていたら片岡自信が苦手科目で失敗してE組に来たと言う事だった。

 

「それって言いがかりだよ!」

 

「うん。メグが悪いわけじゃないよ」

 

「それに彼女、片岡さんに甘えすぎじゃない?」

 

「いいよ。こういうのは慣れっこだから」

 

倉橋、矢田、茅野はそれぞれ言うが片岡は苦笑いしながら大丈夫と言っていた。

そこへ殺せんせーが笛を吹いて間に割り込んできた。

 

「いけません片岡さん。しがみつかれる事に慣れてしまうといつか一緒に溺れてしまいますよ…………例えばこんな風に」

 

殺せんせーはそう言いながら素早く紙芝居を書いて俺達に見せてきた。

題名は主婦の憂鬱。

ダメな亭主は堕落な生活をしながら奥さんに依存しており、奥さんもダメな亭主を支えようと依存してしまう物語りだった。

これを読んだ片岡はぞぞっと震わせてありうると呟いたいた。

 

「これってもしかして共依存?」

 

「九重君、正解です。共依存とは自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存しており、その人間関係に囚われている関係への嗜癖状態を指す事です」

 

殺せんせーは顔に丸印がついて共依存の説明をしたあと片岡の方を向いた。

 

「片岡さん。あなたの面倒見や責任感は本当に素晴らしい。ですが、時には相手の自立心を育てることも必要です。“こいつならどんなにしがみついても沈まない”そう思うと人は自力で泳ぐことをやめてしまう。それでは彼女のためにもなりません」

 

「…………どうすれば良いのかな殺せんせー」

 

「決まってます。彼女が自力で泳げるようにすればいい。1人で背負わず先生に任せなさいこのタコがマッハスイミングを教えてあげます」

 

そう言うと素早くライフセーバーの格好になった殺せんせーはヌルフフフと笑っていたのであった。

 

 

その夜、殺せんせーは多川をベットごとE組専用プールに運んで来るまでの間に楓、渚、片岡、茅野、倉橋はコスプレの格好になった。

 

「矢田さんも来れば良かったのに」

 

「桃花ちゃん、予定入ってたみたいだから」

 

「にしても何で男もの1着しかないの?」

 

「しょうがないだろ、原さんが間違って女物の衣装多く作っちゃったんだから」

 

楓は渚にそう言い男物を手に取り着替えようとしていた。

 

「ってちょっと待って!何で然り気無く男物を手にとって着替えてるの!?」

 

「え?何って渚、女装するんじゃなかったの?」

 

「しないよ!?ここは公平に決めさせて!」

 

楓はしゃーないなぁと文句を言う渚に対して溜め息をつきながら呟いていた。

 

「じゃあ、リアルファイト1本勝b「普通にじゃんけん1本勝負にしなさい」……はい」

 

片岡の言葉に素直に返事をした楓。

結果……楓→グー・パー←渚

 

「九重君、じゃんけん弱くない?」

 

「うん、私も思った……何か1回も勝ったところ見たことないかも…………」

 

茅野と倉橋はじゃんけんを傍らで見てそう言っていた。

 

「しゃーないなぁ……着替えてくるか」

 

楓は女装物を持って茂みに行き着替えて戻って来た。

 

「意外に様になってるし……」

 

「まぁ、たまに女装して殺ったこととかあるからな…………誰かピンとゴムある?」

 

楓はそう言うと茅野がはいって渡してきたのでそれを受けとり、ピンで押さえて後ろで髪を纏めていた。

 

「うわぁ、何か楓君が女の子にしか見えない!」

 

「でしょー!」

 

「しかもノリノリだし」

 

倉橋と楓がきゃっきゃっしてるのを渚が困惑した表情で見ていた。

 

「でもさ似合っていてもなりきれるのかな?」

 

茅野の呟きに渚、片岡は確かにと呟いていた。

 

「大丈夫だよ。私だって少しは女の心得を理解してるつもりだし。ほら、渚くんも着替えてきなよ。そろそろ多川さん起きちゃうよ?」

 

「「「(((ノリノリでなりきってる!?)))」」」

 

いつもの男口調の楓のどこにもいなく、渚達の目の前にいるのは1人の女子、楓ちゃんになっていた。

 

「本当、楓君似合ってるね~」

 

「本当~!嬉しい~♪」

 

こんな光景を見ていた片岡は頭を押さえていた。

 

「何か私が夢見てる気分になってきた…………」

 

「大丈夫だよ片岡さん。私もだから…………」

 

 

カオスになりかけた空間に殺せんせーが多川を連れてきて、起きるまでの間みんなで遊ぶのだった。

 

 

 

 

「ここどこ?」

 

多川は目が覚めて起き上がると困惑をしていた。

片岡は多川が起きたのに気付き、近づいて行った。

 

「目覚めたみたいね。えーと、ここは魚の国!!さぁ、私たちと一緒に泳ごうよ!!」

 

「あんたメグメグに似てない?」

 

「…………違うし。メグメグとか知らないし。……魚魚だし」

 

「なにその居酒屋みたいな名前!?」

 

魚の格好をした片岡が恥ずかしがりながら紹介し、多川がそれに突っ込んでいた。

殺せんせーは然り気無く、片岡に近付き注意をする。

 

「(堂々と魚を演じなさい片岡さん。夢の中だと思わせなければ我々の行為は拉致監禁です)」

 

「僕の名前は魚太」(渚)

 

「私の名前は魚子だよ」(茅野)

 

「魚子は魚なのに浮き輪なの!?」

 

「私は来月、刺身になって皆の食卓に逝くギョンコって言うの。よろしく~!(v^ー°)」(楓)

 

「何でそんな悲しい結末を迎えるのにはいテンションなのよ!?」

 

「そして刺身になったギョンコを食べる魚美だよー!」(倉橋)

 

「あんたも食べちゃうの!?て言うか何でギョンコ食べられるのに魚美と仲良いの!?」

 

「そんなことは置いといて、私が魚キング。川を海を自在に跳ねる水世界最強のタコです」(殺せんせー)

 

「タコかよ!!」

 

多川は怒濤の5連続突っ込みをしており、肩で息をしていた。

 

「素晴らしい連続突っ込み。良い準備運動になってますね」

 

殺せんせーはそう言うと多川の髪をツインテールに結ってストレッチを無理矢理させた後、水着着替えさせてプールに突き落とし、殺せんせーのスパルタ指導と片岡の丁寧な指導で多川は無事に泳ぐことが出来るようになった。

 

次の日、片岡は多川が泳げるようになったのを確認しこの1件は無事に終わった。

 

「これで彼女に責任は感じませんね片岡さん。これからは手を取って泳がせるだけじゃなく……あえて厳しく手を離すべき時もあると覚えてください」

 

「はい。殺せんせーも突き放すときあるもんね」

 

片岡と殺せんせーが話してると不意に殺せんせーは水の中に触手を入れた。

するとその触手はふやけていた。

 

「察しの通り先生は泳げません。水を含むと殆ど身動きとれなくなります。弱点としては最大級と言えるでしょう。とは言え先生は大して警戒していない。落ちない自信がありますしいかに水中でも片岡さん1人なら相手できます。ですから皆の自力を信じて皆で泳ぎを鍛えてください。」

 

殺せんせーはそう言うとプールから去って行った。

それと入れ違いで烏間先生と部下の男性がトランクを持ってやって来た。

 

「ここにいたか九重君。頼まれた物ができた」

 

そういって部下の人がトランクを置き皆はその中身を見た。

 

「重量感など殆ど同じようにした。後で確認してみてくれ」

 

「ありがとうございます。かかった金はこちらで払います」

 

「いや、君は払わなくても大丈夫だ。これは必要経費でこちらが払うことになってる。頑張れよ」

 

烏間先生と部下の男性はそういって教室に戻っていった。

楓はそれを持ち渚の方を向きスマホを片手に持った。

 

「渚、律も頼みがある……」

 

「「「「?」」」」

 

渚、律以外の人も楓の頼みが何なのか解らず、頭上に?マークを浮かべていた。


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