プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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過去の時間

「あれ?ここ家?」

 

楓が目覚め起きたら自室のベッドだった。

 

「…………何があったんだっけ?まぁ、良いや取り合えず腹へったし飯でも食おう」

 

楓はそう言ってベットから降りてキッチンに向かった。

 

「あっ九重起きたんだ」

 

「よう、中村…………何でいんの?」

 

中村に軽く挨拶をし冷蔵庫を開けようとしたがピタッと止まり、聞いてきた。

 

「私だけじゃ無く、他のやつもいるよ」

 

中村の言葉にリビングにいると一部を除いたE組の皆と殺せんせーがケーキやらプリンを食べて楽しんでいた。

 

「おっ、漸く起きたな。これ烏間先生の驕り何だぜ!」

 

「楓君も食べよう!」

 

倉橋に促され、座りケーキを受け取るとそれを食べていた。

 

「あっ、思い出した。鷹岡をブッ飛ばそうと意気込んだは良いけど寝不足とかで最後は倒れたんだ」

 

楓はケーキを食べながら思い出したかのように呟いていた。

 

「そのあとの約束も覚えてるよね?」

 

「あぁ、大丈夫だって。その前に確り食べさせてくれ。昨日の夜から何も食わずにスパルタ稽古してたから」

 

楓はそう言って暫く黙々とケーキを食べるのだった。

それから10分後…………

 

「はぁ食った食った。御馳走様です烏間先生」

 

ここにはいない烏間先生にお礼を言った楓はお茶をすすっていた。

 

「で、皆には何処から話せば良いのかな」

 

「出来れば最初から頼む…………鷹岡が言ってたが親に売られたって本当なのか?」

 

「あぁ、当時は何が何だか全く解らなかった。知らない奴に腕を引っ張られ、助けてと叫んでも親だった奴等は渡された金に夢中になって俺の事なんて見向きもしなかった…………あれは本当にショックだったよ」

 

何時もならチャチャを入れるカルマや中村もこの時は静かに座って楓の話を聞いていた。

 

◇◆◇◆◇◆

 

楓は連れ去られて見知らぬ建物に入れられた。

 

「ねぇ、ここは何処なの!?家に帰してよ!!」

 

連れ去られた最中も楓は泣き叫びながら大人にすがるように言っていたが誰も見向きもせず無視を決め込んでいた。

 

「こいつはまた元気なガキじゃないか。おい、五月蝿いから騙させろ!」

 

白衣を来た1人の男がそう言うと科学者とおぼしき人が注射器を取りだし楓の腕に注射していった。

楓は唐突に意識を失い目の前が真っ暗になった。

次に目を覚ました楓は体を動かそうにも体中が拘束され、動かす事が出来なかった。

 

「――?――――!!!」

 

叫ぼうにも楓の口に猿轡がされており何を言ってるか全くわからない。

辛うじて顔を動かせるので周りを見渡すと白衣を来た人達がニヤニヤとこちらを見ていた。

 

「お前はこれから優秀な兵士を作る為の礎になるんだ。簡単には壊れないでくれよ?おい、開始しろ」

 

1人の男がそう命令すると複数の注射器を取りだし1本ずつ楓に注入していった。

 

「――――!?―――!!」

 

激痛に叫ぼうとしたが声が出せず、逃げることも出来ない楓はただひたすら訳の解らないんだ薬を混入されるのだった。

 

数時間後、注入が終わった楓は鉄格子の部屋に投げられていた。

 

「暫く休んでろ」

 

男がそう言うとその場から去って行き、楓は踞りながら泣いていた。

何れぐらい経ったか解らないが突然男が出ろと言ってきた。

楓は嫌だと抵抗したがやはり大人の力には敵わなく、無理矢理引きずられて行った。

楓が連れて来られたのは広い部屋だった。

そこには楓と同い年か少し年上の少年が立っていた。

 

『ここから出たいのなら殺し合いなさい。どちらかが先に死んで、生きた方がこの部屋から出られる』

 

突如、聞こえたスピーカーからの声、相手はそれを聞くと同時に楓に向かって殴りつけて来た。

 

「やめてよ!こんなのおかしいよ!」

 

しかし、相手の攻撃は止まらなく一方的に殴り付けて来た。

 

(このままじゃ死ぬ……嫌だ嫌だよ!)

 

楓はそう思ってると不意に少年の動きが遅くなるのを感じた。

 

(殺らなきゃ殺られる!)

 

そう思った楓は少年の腕を持ち関節を決めた。

そのまま、力を加えるとゴキッ!と嫌な音が聞こえ少年の腕はブランと力無くぶら下がっていた。

 

「くっ!」

 

少年はもう片方の腕で殴り付けようとしたが楓は同じく関節を決め少年の腕をへし折った。

その後少年を地面に押し倒すと楓はその少年の上を取りクビを絞めた。

 

「あっ―――がっ!!」

 

少年は苦しそうにしていたが楓は躊躇無く力を加えると少年は力無くぐたっとして抵抗しなくなった。

 

『終了だ。部屋に戻りたまえ』

 

研究者に腕を引っ張られ、元の部屋に戻された楓は我に返り自分が何をしたのか理解した。

 

「僕は…………殺しちゃった。人を……うっ…………ゲホッゴホッ!」

 

楓は思い出すと胃から込み上げてくる吐瀉物を吐き出し、そのまま意識を失った。

 

それから3年が経つと薬を混入される痛みも人を殺す罪悪感も無くなった。

そして体の見た目には特に変わりは無いけど、見た目以上に腕力が上がっており、脚力や瞬発力も上がっていた。

なので基本的には両手には手錠をされており、足にも重りをつけられて生活をされていた。

唯一、解放されるのは殺し合いの実戦のみだ。

この日も殺し合いは行われた。

楓はこの3年間でもう1つ気が付いた事がある。

それは集中していれば相手の動作が遅くなる事だと。

相手は鋭い突きを放っているが集中してる状態の楓にとって止まってるのと変わらないものだった。

楓は何事も無かったかのように相手の懐に入り首を掴んで勢い良く捻った。

すると、相手の首からボキッ!という音が聞こえると同時にその場に倒れ、動かなくなってしまった。

 

楓はそのまま、連れていかれ部屋に戻されようとしたのだが突如、爆発が起こった。

研究者2人が慌ててるのを見た楓は瞬時に2人を殴り付けて意識を奪った。

 

「…………これで漸く出れるか」

 

楓はそう呟くと腕を強引に引っ張って手錠を壊しその後、足の重りも外していた。

楓は研究者のポケットを探ってると銃を見付けたのでそれを奪ってその場を後にする。

そして次々と檻を壊して中にいる奴に声をかけていた。

 

「…………でたいやつはここから出な」

 

楓はそう言うと直ぐにその場を後にした。

楓が去った後に、人体実験をさせられてた子供たちが次々と出てきて研究者達はパニックになっていた。

 

「こうなったらやむを得ない…………抵抗するモルモット達を処分しろ!!侵入者達もだ!!」

 

偉いやつの命令によって研究所は戦場と化してしまった。

100人にも及ぶ実験体の子供ちに数人の侵入者を相手する研究者達。

楓も銃を向けてくる奴等に躊躇無く眉間に向かって引き金を引いていた。

楓の周りには白衣が真っ赤に染まった人達が倒れており、その人達から銃などを拝借していた。

すると目の前から数人の歩く足跡が聞こえてきた楓は銃を構え、じっと待つとそこには槍を持った女性がいて後ろにはショートヘアーの女性の計2人が楓の前に現れた。

その人達は白衣では無く、普段着だったのには驚いたがそんなのは関係ないと考えていた。

 

「ここに倒れてる奴等はあんたが殺ったの?」

 

「…………」

 

槍を持った女性が聞いてきたが楓は答えなかった。

それを見て女性はまぁ、良いわとため息を吐きながら答えていた。

 

「その服装から見てあんたはここで実験されていた子供ね。私達は研究者じゃなく侵入者…………あんたの敵じゃ無いの「いたぞ!!こっちだ!!」…………話の腰を折るんじゃ無いわよ!」

 

研究者達は楓達を見付けて直ぐに発砲を開始した女性達は壁に隠れて様子を伺っており、楓はポケットから丸いものを取り出した。

その丸い物は先端にピンがあり、そのピンを抜いた楓は研究者達に向かってぽいっと投げると強烈な閃光を発していた。

 

「うわぁ!!」

「目が……目があぁ!!」

 

視覚を潰された研究者達はパニックになってる間に楓は直ぐ様、その人達を撃ち殺していた。

 

「このガキ!!調子にのるな!!」

 

楓は近付いていた奴に気付かずに、その研究者に殴られ、首を絞められていた。

 

「こいつ!!よくも……よくも!!「隙だらけよ」な……ガハッ!!」

 

男が顔を上げると槍が迫ってきており、そのまま顔に直撃して吹き飛ばされていた。

楓は起き上がると銃を拾い再び女性に向けて構えた。

 

「辞めましょう。私は君を殺しに来た訳じゃなくて君達を助けに来たのよ」

 

「…………信用出来ない。そう言って油断したところを狙って殺すんだろ」

 

「そう…………なら」

 

女性はそう言って槍を放り投げて両手を挙げていた。

 

「私はその武器を貴方に預けるわ。もし不審な行動を取ったと思ったら躊躇い無く殺りなさい」

 

女性の言動に楓は訳が解らなくなっていた。

 

「意味がわからない」

 

「誠意を見せたのよ。私は君に攻撃を一切しないって。それに対象者以外を狙うのは私達のルールに反するの」

 

暫く考えていた楓は槍を掴み女性に投げ渡した。

 

「どういうこと?」

 

「ここで問答してる時間が惜しい。…………それに、解んないけど何でかあんた達は信頼出来る気がするから」

 

「解ったわ、ここを出るまでは私達は確りあなたを守るわ」

 

槍を持った女性がそう言うとショートヘアーの女性がやって来た。

 

「兜蟲さん、芋蟲さん達から対象者を全員殺ったと…………それと生存者の子供達を保護したそうですよ」

 

「と言うことは後は君を外に送るだけね」

 

女性2人の会話を聞いていた楓は安堵の息を吐いた途端、体の力が抜けて倒れていた。

女性2人が慌てて駆けつけ様子を見たとき、楓の顔には涙が流れており、気を失っていた。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「その後、俺は3日間寝込んでいて気がついたらここの家にいて、アリス姉達と話し合った結果俺はここに住むことになって今に至るって訳。俺が殺し屋になる辺りは…………疲れたからまた今度で!」

 

「そりゃあ無いぞ?ここまで来たら話せよ」

 

「そうも言えんのさ。見てみろ…………」

 

前原の言葉に楓は指を指した。

指した方には女子達が何人か気分を悪くしている。

 

「こんな状況じゃ話す訳にもいかないだろ?」

 

「そ、そうだな……わりい」

 

前原はばつが悪い感じで皆に謝っていた。

暫くすると皆は何とか立ち直り、表情だけは何時も通りに戻っていた。

 

「ねぇ、楓君はご両親の事どう思ってるの?」

 

「殺したいぐらい憎い」

 

渚の質問に即答える楓。

楓はだってと口を開いた…………

 

「されたくもない実験を3年間もされてそう思わない筈が無いだろ?…………でもその反面、有り難いと感謝もしてるけど」

 

「「「「え?」」」」

 

「だって親が俺を見捨てなかったらアリス姉達、師匠は愚かここにいるE組の皆にも会うことは無かったかもしれない。そう考えると感謝も感じるんだよな」

 

楓は余ってるケーキを1つ取り口に運びながら答えていた。

 

「てかさ…………何時まで殺せんせーはメソメソ泣いてんだよ!?」

 

楓はナイフ投げ突っ込んでいた。

 

「だって、九重君は幼い頃からそんな大変な目にあってたんですよ!?」

 

殺せんせーは泣きながらハンカチでナイフをキャッチし投げ返していた。

 

「同情してほしくて話した訳じゃ無いんだ。…………まぁ、良いや殺せんせー、1つ聞いて言い?子供なら多少のやんちゃをしても良いもんだよね?」

 

「?えぇ、子供はそう言う物です。大いにやんちゃをして下さい」

 

殺せんせーは泣き止んでニコッと笑いながら言っていた。

 

「じゃあ、5歳からいじられて異常になった体を思いっ切り使っても良いんだよね?」

 

楓はそう言うと殺せんせーに近付いた。

 

「もちろん、伸び伸びと思いっ切り体を使って先生を暗殺して下さい」

 

「と言うことだ。今度から俺も少し本気で殺ってみるよ」

 

楓はそう言うとクラスの皆は喝采していた。

 

「こりゃあ、こころ強い!!」

 

「いっちょう殺ってやろうぜ!!」

 

「これで暗殺の幅が格段に広がるぜ!!」

 

皆がギャーギャー騒いでいるのを楓は楽しそうに見ていた。

 

「頑張ろうね楓君!」

 

「あぁ、もちろん」

 

倉橋の言葉にそう返してお互い笑っていた。

 

すると玄関からドンドンとドアを叩く音が聞こえてきた。

楓は何事かと玄関のドアを開けると…………

 

 

「もう、時間も遅いのに何時まで騒いでるの!!近所迷惑を考えなさい!!お姉さんが働いて家に居ないからって、羽目を外すのは辞めなさい!!」

 

「あぁ、すいません。以後、気を付けます。…………はい、はい…………」

 

御近所さんが騒音の注意にやって来たらしく、楓はペコペコ謝っていたいた。

 

「(殺せんせーも謝った方が良いんじゃ無いの?)」

 

「(にゅや!!でも先生、人前には出れませんし…………)」

 

「(と言うか俺らも謝った方が良いんじゃない?)」

 

皆がこそこそと話してる中、楓は御近所にガミガミ叱られていた。

 

「(にしても、ああして見ると楓君って殺し屋じゃ無くて普通に私達と同じ年の子供に見えるよね)」

 

「(アハハ……)」

 

倉橋の言葉に渚は苦笑いしていた。

 

「聞いてるの!?さっきから、はいはいばかり言って!!」

 

「は、はい!勿論、聞いてます!!」

 

その後30分間、楓は御近所に説教されるのだった…………


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