プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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自律の時間

次の日、楓は渚と杉野と登校していた。

 

「なぁ、今日もいるのかなアイツ?」

 

「多分…………」

 

「烏間先生に苦情言おうぜ。アイツと一緒じゃクラスが成り立たないって」

 

杉野の愚痴に渚は苦笑いするだけだった。

 

「ったく、だからスクラップにしてノルウェーに送り付けてやるって」

 

「うん。それは飽くまで最終手段にしよう」

 

楓と渚がそんな話をしている中、杉野は教室のドアを開けると杉野はピタッと止まっていた。

 

「……あれ?何か体積が増えてるような……」

 

杉野がそう言って楓達に見てみろよと促していたので2人はドアから覗いて見た。

 

「確かに……でかくなってる」

 

「気のせいか?画面がフルサイズになってるぞ」

 

楓と渚がそう言っていると画面に電源がついた。

 

「おはようございます!!渚さん、杉野さん、九重さん!!」

 

「「!?」」

 

渚と杉野が物凄く驚いていた。

そんな中、殺せんせーが俺達の背後に表れた。

 

「親近感を出すために全身表示液晶と体、制服のモデリングソフト、全て自作で8万円!!豊かな表情と明るい会話術、それらを操る膨大なソフトと追加メモリー、同じく自作で12万円!!」

 

どうやら自律思考固定砲台は殺せんせーに魔改造されたようだ…………

 

「今日は素晴らしい天気ですね!!こんな日を皆さんと過ごせるなんて嬉しいです!!」

 

自律思考固定砲台は昨日とは違い、機械質の音声ではなく人と何ら遜色ない音声で喋っている。

 

「ねぇ、楓君……」

 

「あぁ……あの転校生、殺せんせーの手によっておかしな方向に進化してったな」

 

「そして先生の財布の残高…………5円!!」

 

殺せんせーが何やら喋っているが自律思考固定砲台の変わりように驚いており、誰も殺せんせーに突っ込まなかった。

 

(そんなの知るか、御縁があって良いじゃないか)

 

「それ寒いよ」

 

「勝手に人の心を読むなよ」

 

 

その後、皆が来る度に自律思考固定砲台の変わりように皆は驚くのだった。

 

「たった一晩でえらくキュートになっちゃって…………」

 

「これ一応……固定砲台……だよな?」

 

不破と三村は戸惑いながら呟いており、当の自律思考固定砲台は機嫌が良いのか陽気な音楽を再生させていた。

 

「何騙されてんだよお前ら。全部あのタコが作ったプログラムだろ。愛想良くても機械は機械。どーせまた空気を読まずに射撃すんだろポンコツ」

 

寺坂は面白く無いのか自律思考固定砲台に悪態をついていた。

 

「…………おっしゃる気持ちわかります、寺坂さん。昨日までの私はそうでした。ポンコツ……そう言われても返す言葉がありません」

 

自律思考固定砲台はそう言うとグスングスンと泣き始め、女子達は自律思考固定砲台をあやしていた。

 

「あーあ、泣かせた」

 

「寺坂くんが二次元の女の子泣かせちゃった」

 

「誤解される言い方やめろ!!」

 

片岡と原の言い方に寺坂は憤怒するように意義を申し上げていた。

 

「良いじゃないか2D……Dを失う所から女は始まる」

 

「竹林それお前の初セリフだぞ良いのか!?」

 

「何を言ってるんだ?この話の最初の方で僕は喋ってるじゃないか」

 

え?と杉野達は言った後、其々スマホやらケータイを取りだし、この話を読んでいた。

 

「…………ホントだ!?」

 

「九重との挨拶で喋ってるぞ!?」

 

岡島と前原は驚いた用に言っている中、自律思考固定砲台は殺せんせーから協調の大切さを学習したこと、そしてクラスの皆から合意を得られるまで自律思考固定砲台、単独の暗殺は控える事にすると宣言していた。

そして、殺せんせーからは自律思考固定砲台に様々な改良を施したが殺意には一切手をつけていないとの事だった。

その後の授業でも多くの人達と円滑に過ごせており、何事もなく時間は過ぎていった。

 

「へぇー、こんなものまで体の中で作れるんだ!」

 

現在は昼休みで自律思考固定砲台はプラスチックでミロのヴィーナスを造り皆に見せたり、千葉と将棋をして圧勝したりと自律思考固定砲台の周りには多くの人がいて仲良く過ごしていた。

 

「んー」

 

「九重さん、どうかなさいましたか?」

 

「あぁ、俺の武器の一部をお前の中に収納って可能か?」

 

「問題ありませんよ。何を収納させますか?」

 

自律思考固定砲台はそう聞いてくると、楓はポケットや裾などから手榴弾×3、サバイバルナイフ×4、拳銃×2、予備のマガジン×6、閃光&スモーク弾×各々2を机の上に置いた。

 

「どんだけあるんだよ!?」

 

杉野が思いっきり突っ込み、クラスの人達は少し楓から距離をとっていた。

 

「これでも全体の一部だよ。家にはまだまだ貯蓄してあるし。それに世の中何が起こるか解らないんだから其ぐらいの準備は必要だろ」

 

「これ等を収納させれば宜しいんですか?」

 

「あぁ、それと俺以外の人達に渡さない用にしといてくれ」

 

「勿論ですよ」

 

自律思考固定砲台はそういって腕を伸ばし、楓の武器を収納していった。

 

「そうだ!このコの呼び方決めない?自律思考固定砲台っていくらなんでも変だし」

 

片岡がふとそのような事を言ってきた。

 

「確かに……作者も一々、自律思考固定砲台って打つの面倒臭がってるみたいだし」

 

「不破さんは少し自嘲しようよ…………」

 

不破のメタ発言に渚が突っ込んだ後、皆で自律思考固定砲台の呼び名を決めることになった。

 

「何か1文字とって…………」

 

「じゃあ、律で!」

 

「安直だなぁ」

 

「でも覚えやすいし、言いやすいじゃん」

 

「お前はどうだ?」

 

皆が各々、そう言っていたら前原が確認の為、自律思考固定砲台に確認してきた。

 

「……嬉しいです!!皆さん律とお呼びください!!」

 

自律思考固定砲台…………いや、律は嬉しそうにしており、皆と和気藹々としていた。

そんな風景をカルマは離れた位置で傍観しており、渚はカルマの元に行って話しかけてきた。

 

「上手くやっていけそうだね」

 

渚は嬉しそうにそう言っているがカルマは対照的に冷ややかな感じで口を開いた。

 

「んー、どーだろ?寺坂の言う通り、殺せんせーのプログラム通り動いてるだけでしょ。機械自身に意志があるわけじゃない。あいつがこの先どうするかはアイツを作った開発者が決めることだよ」

 

 

 

その夜、律を作った開発者達が律のメンテにやって来たのだが一堂は驚いていた。

 

「こんばんはマスター!!おかげ様で楽しい学校生活を送ってます!」

 

律は音楽を流しながら手にオカメインコを乗せながら開発者達に挨拶をしていた。

 

「ありえん…………」

 

「勝手に改造された上に……どう見ても暗殺とは関係ない要素まで入っている」

 

「今すぐ分解だ。暗殺に不必要なものは全て取り去る」

 

開発者の無情な一言によって律はオーバーホールされていた。

 

「こいつのルーツはイージス艦の戦闘AI。人間より速く戦況を分析し、人間より速い総合的判断であらゆる火器を使いこなす。加えてこいつは卓越した学習能力と自分で武器を改造出来る機能を持っている。その威力を実証すれば……世界の戦争は一気に変わる。100億なんてついでだ……怪物を殺した結果を出せば利益は数兆円も稼げる。開発者の命令は絶対だ。お前は暗殺の事だけ考えればいい」

 

「…………はいマスター」

 

律の返事を聞いた開発者達は上機嫌に律の再設定を行うのだった。

 

 

 

時は同じくして真っ暗な部屋にポツンとパソコンの明かりが着いており、其処には2人の人影があった。

1人は小学生ぐらいの子供が席についており、もう1人は楓で2人はパソコンの画面に食い付いていた。

 

「やっぱり、開発者の奴等は来たか…………唯ちゃん、いける?」

 

「ノープログレム!其より報酬のヘブンタワーパフェ忘れるなよ?」

 

「解ってるよ」

 

楓はそう返事をしていると唯は鼻歌をしながらパソコンのキーボードを高速で叩くのだった。

 

 

 

 

『皆さん、おはようございます』

 

翌朝、皆の表情は優れなかった。

理由は律が元に戻ってしまった事だ。

それだけでは無く烏間先生が「今後は改良行為も危害と見なす」と言われたらしい。

更に烏間先生は生徒にも「律を縛って壊れでもしたら賠償を請求する」と脅迫染みた事を言ってきたそうだ。

これには殺せんせーもお手上げのようで困っていた。

クラスの皆はまた1日中続くはた迷惑な射撃が来るのかと警戒していた。

そんな中、楓は欠伸をしながら何事もなく席に着いていた。

 

「ったく、俺の武器を乱雑に置くなよな」

 

楓は悪態をつきながら乱雑に置かれてた重火器を整理していた。

 

「てか何で皆そんなビクビクしてんの?」

 

楓は意味が解らないって感じで言っていた。

 

「だって律が元に戻ったんだぞ?それは又あの迷惑な射撃が続くってことだろ!寧ろ何でお前がそんな普通でいられるのか、わかんねぇーよ!?」

 

村松は怒鳴りながら楓に言っていたが楓はヘラヘラした様子だった。

 

「心配すんなって。律、これまた収納してもらっても良いか?」

 

「九重さん、私は皆の様子をもうちょっと楽しみたかったんですよ?」

 

「「「「へ?」」」」

 

殺せんせーやビッチ先生を含め、クラスの皆が素っ頓狂な声をあげている中、律は楓の武器を収納していった。

 

「殺せんせーは私のボディーに計985点の改良を施しました。その殆どはマスターが暗殺には不要と判断し、削除・撤去・初期化してしまいましたが私個人は協調能力は暗殺に不可欠な要素と判断し、消される前に関連ソフトをメモリーの隅に隠しました。更にある人の助力により、敢えなく消されてしまったデーター等も復元に成功しました。殺せんせー、私は産みの親に逆らってみたのですが、こう言った行動は反抗期と言うのですよね?律は悪い子でしょうか?」

 

律は殺せんせーに聞いてみた。

殺せんせーの顔は朱色になりとても喜んでいた。

 

「とんでもない。中学3年生らしく大いに結構です」

 

殺せんせーがそう言うと皆は律の方に向かって行き話したりジェンガをしたりしていた。

 

「君が彼女のプログラムを復元したのか?」

 

烏間先生が此方にやって来てそう聞いてきた。

 

「残念ながら俺はそう言うのは苦手なので友人に依頼しました。勿論、殺せんせーの事とか余計な事は言ってませんよ」

 

「…………そうか、わかった」

 

烏間先生はそう言って俺から離れていった。

 

(まぁ、俺は余計な事は何1つ言ってない。あのチビッ子は勝手に調べて勝手に知っただけだ。俺は悪くねぇー)

 

楓は心の中で某お坊ちゃんの名言を言っていたら律が……

 

「九重さん、私から貴方にメールが来てます。内容は報酬、忘れるなよ?とのことです」

 

「OK。取り合えず、学校の授業に集中しとけって返信しといてくれ」

 

楓はそう言うと律は解りましたと言い、再び皆と和気あいあいしながら話していた。

 


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