プロの暗殺者は学生?   作:☆麒麟☆

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転校生の時間

修学旅行が終わり数日がたった。

楓はホットドッグを片手に持ちながらE組校舎に向かうべく山を登っていた。

 

「そう言えば今日は転校生来るんだっけ?」

 

ホットドッグにかぶり付きながら楓はふとそのような事を呟いていた。

昨日、烏間先生からクラスの皆にメールで『明日から転校生が1人加わる。多少外見で驚くだろうが、あまり騒がず接して欲しい』と書かれていた。

 

「恐らく、俺と同類の奴なんだろうけど…………」

 

俺は空いている手でスマホを取りだし、その転校生は顔を見ていた。

 

「こんな奴いたっけか?」

 

楓は首を傾げながら考えていると…………

 

「九重おはよう」

 

「おはー!」

 

と誰かから挨拶されたので振り替えると片岡と倉橋がいた。

 

「よぉ、おはよう」

 

挨拶を返すと2人は俺のところに来た。

 

「ねぇ、今日来る転校生ってやっぱり殺し屋だよね?」

 

「そうだと思うんだけど…………」

 

「けどどうしたの?」

 

倉橋の疑問に俺は歯切れが悪い言い方に片岡は聞いてきた。

 

「昨日、烏間先生にその転校生の顔写真送って貰ったんだよ」

 

楓はほらとスマホの写真を見せた。

 

「可愛い!」

 

「ほんと。でもこの子がどうかしたの?」

 

倉橋、片岡はそれぞれ写真を見てそれぞれ感想を言っていた。

 

「いやさ、俺もプロとして暗殺者やってるけど、この子の事は全く見たこと無いんだよ」

 

「暗殺者になったばかりだから無名とか?」

 

片岡の言い分に楓はあまり納得した感じではなかった。

 

「多分、それは低いと思う。態々、高い金払って無名の殺し屋を国が雇うと思うか?この間の修学旅行だってレッドアイって言うプロが途中で辞退したのに」

 

楓がそう言うと2人は確かにと納得していた。

 

「確かにプロの九ちゃんやビッチ先生でさえ殺せてないのに無名はないか」

 

「グハッ!」

 

倉橋の何気ない一言に楓は膝をついてしまった。

確かに倉橋の言う通り楓とビッチ先生はどの殺し屋よりも近くに居るのに未だに殺すことが出来てない。

 

「まぁ、取り合えず教室に行きましょう」

 

片岡は苦笑いしながらそう言うと3人は教室に向かった。

 

 

 

教室の前では渚、岡島に杉野がドアの前で固まっていた。

 

「お前らどうした?其処に居ると教室に入れなくて邪魔だぞ?」

 

「あっ、3人ともおはよう。それが…………あれ」

 

渚は挨拶をしてから戸惑った様子で教室を指差していた?

 

「「「?」」」

 

3人は訳が解らないまま、渚が指していた教室を見てみると其処には画面のついた黒い箱のようなものが置いてあった。

 

「………………何あれ?」

 

「あれが転校生だとさ」

 

片岡の問に杉野がそう言うと突然、画面がついた。

 

『おはようございます。先程、彼等にも申しましたが今日から転校してきました“自律思考固定砲台”と申します。よろしくお願いします』

 

自律思考固定砲台はそう挨拶すると画面が真っ暗になった。

 

「あれって転校生の扱いになるの?」

 

「「「「「さぁ?」」」」」

 

倉橋の疑問に楓達はそう返すしかなかった。

 

 

 

「皆知ってると思うが転校生を紹介する。ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ。」

 

朝のSHR時に烏間先生から転校生の紹介があった。

 

「烏間先生も良くやるよねー。俺だったら途中で自棄になって放棄するよ」

 

「奇遇だな、俺もそう思うよ」

 

カルマと楓はそんなことを話してい中、烏間先生の説明は続いていた。

どうやら自律思考固定砲台はどうやってか、歴とした生徒として登録されているらしく自律思考固定砲台に危害を加えてはいけないと言っていた。

 

「でも固定砲台って言う割には砲台の1つも無いのは何でですかね?」

 

ふと楓の前にいる奥田がそのような事を言ってきた。

 

「…………嫌な予感しかしない」

 

「奥田さん。やばくなったら九重を盾にすれば何とかなるよ」

 

「おい!?」

 

からからと笑うカルマに楓は突っ込んでいた。

そして楓の予感は見事に当たるのだった…………

 

授業中突然、自律思考固定砲台は左右からショットガンやら機関銃を展開させ殺せんせーに向けて一斉発砲してきた。

しかし、その手の事は何度も皆がやっていること。

殺せんせーも当然、難なく避けており結果は前の人達が被害を被った事と床一面に対殺せんせー弾が散乱するだけだった。

 

「授業中の発砲は禁止ですよ」

 

『気を付けます。続けて攻撃に移ります』

 

殺せんせーに注意を受けた自律思考固定砲台は銃を収納させ、上部だけの謝罪をした後に再び攻撃宣言をしていた。

自律思考固定砲台は弾道再計算、射角修正等と訳の解らない事を述べた後に先程とは違う銃を展開させて再び一斉発砲を始めた。

殺せんせーも余裕で躱わしていると、ふと顔に1発弾が来ていたのでチョークで弾いていたら殺せんせーの指が撃ち抜かれていた。

 

「今の何?」

 

「プラインド…………同じ射撃の後にもう1発追加して撃つ射撃の高難易度の技術だな」

 

カルマの疑問に楓はそう返した。

楓は正直、自律思考固定砲台を甘く見ていた。

分析力が以上で卓越した学習能力、更に武装を自己進化…………多分、これは何処かの軍事技術を使った又は盗んで利用したものだろう。

自律思考固定砲台は何の躊躇いもなく1日中撃ち続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

「もー!何なのあいつ!!」

 

放課後、楓は渚、茅野、カルマ、杉野、岡野、矢田、倉橋、片岡とサイベリアで駄弁っていた。

茅野は此処にいない思考固定砲台に文句を言っていた。

 

「確かに…………」

 

岡野はそれに同意しながらテーブルでだれていいた。

皆は口には出して無いけど内心苛立ちが募っていた。

それもその筈、自律思考固定砲台は撃つだけでその後の掃除は俺達がやらないといけない。

 

「皆大変だねー。俺達は後ろだからまだ被害は軽い方だからまだ安全だな」

 

「良いよなお前たち2人は一番後ろ何だから」

 

杉野はジト目をしながら楓とカルマに悪態をついていた。

 

「明日、糸でぐるぐる巻きにでもしとくよ」

 

楓はやれやれという感じで言っていた。

 

「でも、糸だと切れちゃうんじゃ無いの?」

 

「そこは問題ないよ。この糸は1500℃の熱に600㎏の重量にも耐えれる代物だ。そう簡単には切れないよ」

 

そういって楓はスレッドを見せていた。

 

「九重って他に何かあるの?」

 

「他にもまだあるけど今はメンテに出してるから今はこのスレッドだけだ」

 

楓は溜め息をこぼしながらそう言ってドリンクを飲んでいた。

 

「いや、縛るんじゃなくそのまま粗大ごみに出しておくか?…………即、実行だな」

 

楓はふと思い付いた用に呟き立ち上がろうとしたら渚や片岡達に押さえられた。

 

「ちよっ!何処に行くの!?」

 

「ん?学校。ちょっとスクラップにしてノルウェーに送り付けてく」

 

さらりと言った楓を行かせまいとより、押さえる力を強くした。

 

「待ちなさい。流石にそれは不味いわよ!?明日1日、様子を見ましょう!」

 

片岡にそう言われた楓は渋々と席についてカルマを除く皆は安堵の息を吐いていた。

 

「取り合えず、明日は九重君の糸で巻き付けておきましょ。九重君も絶対にスクラップにしたりしない!良いわね?」

 

「わかったよ。でもせめてハッキンg……じゃなくて無力化は許してくれよ」

 

「ダ メ で す ! !」

 

片岡にダメ出しをされ楓はわかったよと言ってやれやれといった感じになっていた。

 

 

翌日、楓は学校に向かい自律思考固定砲台を縛ろうとしたのだが…………

 

「え?」

 

楓は自律思考固定砲台を見て驚いていた。

 

「やあ、九重。おはよう」

 

「おぉ、竹林。おはよう」

 

竹林が挨拶してきたので俺も挨拶を返した。

 

「なあ竹林。これ誰やったか知ってるか?」

 

楓は自律思考固定砲台を指差していた言った。

自律思考固定砲台はガムテープでぐるぐる巻きになっていた。

 

「あぁ昨日の放課後、寺坂達がやっていたよ」

 

「あぁ、成る程」

 

楓は朝早く来た意味ねぇと呟き席についた。

 

その後、皆も続々と登校してきて8時30分になって自律思考固定砲台も起動してきた。

 

『殺せんせー、これでは銃を展開出来ません。拘束を解いてください』

 

「……うーんそう言われましてもねぇ」

 

自律思考固定砲台はガムテープでぐるぐる巻きにされ銃を展開出来ない事に気付き殺せんせーに解くように言っていたが殺せんせーは困ったような表情をしていた。

 

『この拘束は貴方の仕業ですか?明らかに私に対する加害であり、それは契約で禁じられてる筈ですが』

 

「ちげーよ、俺だよ」

 

自律思考固定砲台は縛った殺せんせーに契約違反だと言っていたが、其処に寺坂が割って入ってきた。

 

「どー考えたって邪魔だろうが。常識ぐらい身に付けてから殺しに来いよポンコツ」

 

寺坂はテープを片手に持ちながらそう言うと村松と吉田は確かにと頷いていた。

 

「ま、わかんないよ機械に常識はさ」

 

「授業終わったらちゃんと解いてあげるから」

 

菅谷と原がそう言うと授業が始まり、安心と安全が確約された1日となった。


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