月に1度の全校集会…………
E組のほぼ全員は憂鬱な気持ちで体育館に向かっていた。
理由は此処、椚ヶ丘中は全校集会を5時間目に行っているのでE組は昼休みを返上して本校舎の体育館館に移動しなければならない。
そしてE組の差別待遇はここでも同じで、E組は集会が終るまで長々と耐えなければならないのだ……
「渚くーん」
「おつかれ~」
「わざわざ山の上から本校舎まで来るの大変でしょ~」
「「ぎゃははは!」」
渚は何やらそばかすのぽっちゃり君とガリ勉眼鏡に絡まれており、顔を俯かせていた。
他の人達も周囲の学生や先生からクスクスと陰で笑っていたりとされており、皆はそれを耐えていた。
「……要するに君達は全国から選りすぐられたエリートです。この校長が保証します。…………が慢心は大敵です。油断していると……どうしようもない誰かさん達見たいになっちゃいますよ」
校長の下らない長話に周囲の生徒はE組をみて嘲笑っていた。
この状況に我慢出来なかった者がいた。
「さっきから五月蝿いな…………」
「五月蝿いって楓君、これが当たり前の現状でしょ?」
「いやぁ、集会とか良くサボってたり仕事でいなかったりで全くという程、参加してないんだよな。…………にしてもガチで五月蝿い。バレない用に2~3人を殺るかな?」
楓がそう言うと殺気が漏れており如何にも怒ってますよというアピールを醸し出していた。
「いやいや!流石にそれはダメだよ!?」
「そうだよ。せめて病院送りにしないと」
「ん。わかった」
後ろにいる渚に前にいる倉橋にそう言われ楓は簡潔に答えると渚は慌てていた。
「わかった…………じゃないよ!?全然ダメだからね!?」
「冗談に決まってるだろ。な?倉橋」
楓はけろっと返すと倉橋とねえーって言いクスクスと笑いあっていた。(勿論、小声で)
「楓君がそう言うと冗談に聞こえないよ……」
渚は顔を俯かせて溜め息を吐いていた。
でもその顔は先程とは違い少しスッキリした表情になっていた。
「そう言えばカルマは何処だ?さっきから姿見えないんだけど」
「さっき菅谷にも言ったけどサボるってさ。集会フケて罰喰らっても痛くも痒くも無いってさ」
「私はてっきり九重君もサボるかと思ってたよ」
「いやぁ、俺も出来ればサボりたかったんだけど、4月の始業式からこの間E組に来るまで1ヶ月以上休んでたからね。流石にサボるのはヤバイかなって思って参加したんだよ」
楓がそう言うと前後の2人は「あー、そう言えばそれでE組に来たんだっけ」と声を揃えて言っていた。
『続いては生徒会からの発表です。生徒会は準備を始めてください』
3人がこそこそと会話しているうちにいつの間にか校長の話は終わっていた。
それに合わせたかの用に烏間先生が体育館に来ており、表向きE組の担任として他の教師に挨拶していた。
「烏間先生~」
不意に倉橋が烏間先生を呼び出し中村と一緒にナイフケースを取り出していた。
「ナイフケース、デコってみたよ」
「かわいーっしょ?」
「…………ッ!かわいいのは良いがここでは出すな!!他のクラスには暗殺の事は秘密なんだぞ!!」
「「はーーーい」」
烏間先生は焦ったのか2人に詰め寄り周囲には聞こえない声でしまうように言っていた。
2人は烏間先生の気迫に押されたのかそそくさとナイフケースをしまい列に戻っていた。
「武器をデコる意味ってあるのか?」
「さぁ?女の子だからね。可愛くしたいんじゃないかな?」
「…………成る程。女子の渚が言うと説得力が違うな」
楓がボソリと呟いていると渚が不機嫌そうに睨んでいた。
そんな話をしていると今度はビッチ先生はがやって来て、烏間先生の横についた。
どうでも良いが、E組以外の男達がビッチ先生を見ており鼻の下を伸ばしていた。
「何しに来たイリーナ!?」
「うるさいわね。次の計画への情報収集よ。…………それに、今までの4話の話!私、名前しか出てきてないのよ!?ここで出てこないと次はいつ作者が書いてくれるかわからないのよ!?」
(((…………ビッチ先生メタいぞ!?)))
ビッチ先生はキーキー喚いておりE組は苦笑いしながら見ていた。
「まぁ、いいわ。渚」
ビッチ先生が落ち着き、渚を呼び出した。
「あのタコの弱点、全部手帳に記してたらしいじゃない?その手帳、おねーさんに貸しなさいよ」
「ビッチ先生、かなり上から目線の物言いだな」
「まぁ、あれでも来た時より少しは丸く?なったんだよ」
ビッチ先生の物言いに楓と倉橋はこそこそと話し、苦笑いしていた。
「えっ……いや、役立つ弱点は全部話したよ!」
「そんな事言って肝心なとこ隠す気でしょ」
「いや、だから……」
渚とのやり取りに埒が明かない事に苛立ちを覚えたのか、ビッチ先生は強引に自分の胸に渚を押し付けてきた。
「いーから出せってばこのガキ!窒息させるわよ!!」
「苦るしっ……!胸はやめてよビッチ先生!!」
渚はビッチ先生の胸に埋もれながらじたばたと踠いていた。
「ほんと、ビッチ先生ってビッチだよね」
「絶対あれは夜、<放送禁止>してニャーニャーやってるんな」
楓はそう言うと溜め息を吐きながら額に手を当てていた。
そんな中、他のクラスの人達は生徒会行事の詳細が書かれたプリントが配られていた。
「アレ?俺達の分は?」
プリントを貰って無いことに疑問を持った岡島は後ろを見たが岡野は持ってないとアピールをしながら首を横に振っていた。
「…………すいません。E組の分、まだなんですが」
「え、無い?おかしーな……」
磯貝は恐る恐る手を上げプリントが無いことを言うと生徒会は棒読みで恰も困ったかの用な仕草をしていると……
「ごめんなさーい。3-E組の分、忘れたみたい。すいませんけど、記憶して帰ってくださーい」
そう言うとE組を除く全生徒及び教師の笑い声が体育館を包んでいた。
生徒会は「E組は記憶力を鍛えた方が良いと思うし」とついでの用に言うと一部からは「無理に決まってんだろ」等と中傷等も飛んできた。
流石にこの出来事を見ていた烏間先生やビッチ先生は眉を顰そめていた。
するとその瞬間、E組生徒に生徒会の手書きプリントがマッハで渡された。
「磯貝君。問題無いようですねぇ?手書きのコピーが全員分あるようですし」
いつの間にか殺せんせーが烏間先生とビッチ先生の間に居ており、ペンをくるくると回しながら言っていた。
磯貝はプリントがあったことを生徒会に報告すると生徒会はあからさまに顔を顰めながら行事に関することを言っていた。
「助かったけどさ、アレ変装したつもりなのか?」
楓は横目で殺せんせーを見て呟いた。
殺せんせーの変装はお世辞にも上手いとは言えなかった。
指がふにふに動いており関節も曖昧でかえって目立っていた。
「うん。まぁ、何かあれば烏間先生が退場させるよ。…………きっと」
「あっ、ビッチ先生がナイフで刺してる」
「いやいや、此処ではアウトだろ」
「みたいだね。殺せんせーよりも先にビッチ先生が退場されてったよ」
楓と渚、倉橋は苦笑いしながら見ており、E組の他の生徒達も呆れや笑っていた。
もはや周りの嘲笑う声や中傷等を気にするE組はこの体育館にはいなかった。
集会が終わり生徒達は各々の教室に戻っていった。
「ジュース買ってこ」
楓はそう一人言を呟きながら自販機に向かうと渚がガリ勉眼鏡とそばかすぽっちゃりに絡まれていた。
「何とか言えよE組!!殺すぞ!!」
そばかすぽっちゃりが渚の胸ぐらを掴みながら叫ぶと渚の空気が変わった。
「殺そうとした事なんて無いくせに」
渚はクスッと笑いながら2人にそう言うと、2人はビビって退くと渚は何もなかったかの用にその場を後にした。
「あっ、楓君もジュース買いにきたの?」
「あ、あぁ」
先程とは打って変わって何時もの渚だった。
楓は返事をしジュースを買うと渚と一緒にE組校舎に向かっていった。
(渚は明らかに殺気を放っていた…………)
楓は先程の渚の事を考えており、ふと右手を見てみるとじわっと汗をかいてることに気付いた。
「…………末恐ろしいな」
「何か言った?」
「何でもない。さっさと戻ろうぜ?」
楓はそう言うと渚と一緒にE組校舎に戻っていった。