やはり俺のネタは間違っている?   作:kue

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すみません。久しぶりの戦闘描写なので描写が薄いかもしれないですが勘弁を。



ボッチ+電王

 イマジン……それは人間のイメージ=記憶により怪人としての肉体を得た姿で過去を都合の良いように改竄し、現在や未来を変えることを最大の目的とする……らしい。

 らしいっていうのは俺も人から聞いた話なのでそれが本当なのかは知らない……ただ。

 

「ちょっと先輩! それ僕の!」

「良いんだよ! プリンは全部おれさまのもんだー!」

「おいおいモモの児! そんな男らしからぬことすんな!」

「やーい! モモタロスが怒られた~!」

 

 ……こんな騒がしい4人と一緒なんて俺は絶対に嫌だ。ていうか俺の日常を返してくれ。

 ふと窓の外を見てみると一面砂漠が広がっており、建物などは一切見当たらないし、そらはずっと青い空が広がったままで雲ったりしない。

 今俺がいる場所はデンライナーという時を超えることができる電車の食堂室だ。一番初めにイマジンと遭遇したのは俺が中学1年の時。学校からの帰り道でパスを拾い、そこでモモタロスに最初は声をかけられたんだがそのまま無視していると他の人間のイメージから肉体を得たイマジンが暴れているのに遭遇し、なんやかんやあって俺は電王になり、モモタロスの力を借りてイマジンを撃破した……のはよかったんだがそのまま次々とイマジンに遭遇し、こうなってしまった。

 

「そう言えば八幡君、今日高校の入学式なんじゃないんですか?」

 デンライナーの客室乗務員のナオミさんに喋りかけられるが今までボッチだった故にボッチの性質が発動し、ソソソと距離を離してしまう。

「え、ええまあ」

「行かなくていいんですか?」

「まぁ……行くか」

「お!? 出かけるのか!? じゃあ俺もつれてけ!」

「お前を連れて行ったら喧嘩するだろ。その所為でガラの悪い兄ちゃんにどんだけ絡まれたか」

「じゃあ僕を」

「お前連れてったらナンパするだろ。その所為でどんだけ面倒なことになったか」

「じゃあ俺やな」

「お前連れてったらいろいろ壊すだろ。何回自転車買い変えてると思ってんだ」

「じゃあ僕は僕は!?」

「お前連れてったらはしゃぐだろ。勝手に催眠かけて踊るし。その所為でどんだけ引かれたか。ていう事で全員今日はダメ」

 

 そう言いながら腕を交差させてバツ印を作ると各々、ブツブツ不満不平を言いながら座席に座ったので食堂車から出て出口で待っていると停車したのか一瞬、体が揺れ、自動でドアが開かれた。

 ドアを降りるとデンライナーが発車し、時間の中へと消えていく。

 

「……まだ1時間も早いし」

 時計を見てみると入学式が始まる1時間前であることに気づき、慌ててデンライナーヘ戻ろうと考えたがすでに発車してしまっていたのでため息をつき、学校へ向かう事にした。

 朝の7時30分ということもあってか犬の散歩をしている女の子がいるくらいでほとんど外を歩いている人は見かけないし、車も少ない。

 

「ねえねえ。こんな朝早くから1人でいると危ないよ~?」

 そんなイラつく声が聞こえ、そちらの方を向くと犬の散歩をしている女の子に3人のチャライ格好をした男どもがナンパという名の絡みをしていた。

「そこまで送ったげるから」

「い、いいです。あ、あたし1人で」

「良いから良いから」

『おい八幡! 変われ! あんなやつ俺がぶっとばしてやる!』

 お前が来たら警察沙汰になるだろ。ここはウラタロスだ。

『オッケー。じゃってちょっと先輩!』

「おいてめえらぁ!」

 ってお前まさかモモタロスか!?

「あ? なんだてめえ」

「今ナンパしてるからすっこんでろ!」

「今俺はむしゃくしゃしてんだ……行くぜ行くぜ!」

 もう知らね。

 

 

 

 

 

 

 

「す、すみませんした」

「い、行くぞほら!」

 

 モモタロスに憑依した俺にボコボコにされた連中は痛む個所を抑えて涙目になりながらすたこらさっさと仲間と共に帰っていく。

 はぁ……また変な噂が立つぞこれ。

 

「ふぃ~。朝の喧嘩一発は良いな!」

 朝の一服みたいに言うな……もうやだ。

「あ、あの」

 女の子が喋りかけてきた瞬間、モモタロスは何も言わずに俺の中から離れてしまった。

 んの野郎……女は俺任せか。

 

「あ、えっと……」

「あ、ありがとうございました! 助けてもらって」

「は、はぁ」

「あ、怪我してる」

 

 よく見るとさっき殴った際に出来たものなのかは知らないが確かに俺の拳に何か固いものでも殴ったのかちょっ

と赤くなって腫れ上がっている。

 まぁ、動かせるし骨折してるわけじゃないからただの打ち身だろ。

 

「あ、大丈夫です。ただの打ち身みたいなんて」

「だ、だったら冷やさないと……確かってサブレ!」

 

 女の子がポケットから何かを取り出そうとリードを逆の手に持ち替えようとしたその時、さっきまで大人しかったはずの犬が急に何もないところに向かって駆け出し、やたらと吠えはじめる。

 な、なんだなんだ?

 そんなことを思っていると向こうの方から黒塗りのいかにも高そうな車が結構な速度でこっちに向かってくる。

 

「サブレ! 早くこっち来て!」

 そうこうしているうちに黒塗りの車は近づいてくる。

 なんでいつもいつもこんな感じで面倒事が次から次へと舞い込んで来るんだ! キンタロス!

『よっしゃ! 任せとけ!』

 キンタロスを俺に憑依させ、体を任せると俺の体が勝手に動く。

「どすこい!」

 

 

 …………ってアホォォォォォォォォォォォォォ!

 キンタロスは犬を連れるのではなく、向かってくる車に思いっきり張り手をかまして無理やり車を止め、未だに道の真ん中で吠えている犬を助けた。

 黒塗りのいかにも高そうな車のボディは見たことがないくらいに凹み、運転席にいる運転手さんも驚きに満ちた表情でこちらを見てくる。

 

 

「俺の強さにお前が」

 泣くわぁぁぁぁぁぁ! ある意味で泣くわぁぁぁ! もうお前帰れ!

「お、おう」

 

 そう言い、キンタロスが帰ったのを確認した俺はすぐさま車の凹みを見るが明らかに修理でどうにかなるようなレベルの凹みじゃない。

 おいおいおい! どうすんだよ! 一般家庭の比企谷家にこんな高そうな車を修理できるほどの資金力なんてありませんけど!?

 そんなことを思っていると車のドアが開かれ、運転手さんが出てくる。

 

「すみません! 車に穴開けてしまいました」

「い、いえ……こちらこそ犬を轢いてしまう前に助けていただきましたし」

「え、えっとこれって……べ、弁償ですよね?」

「今回は未然に事故を防いでいただきましたので……私の方から旦那様に言っておきます」

 そう言うおじさんの顔は明らかに血の気が引いている。

「……な、なんかすみませんでした」

 人生で一番、深く頭を下げた日だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局その後、車に関してはもう忘れてくれていいと言われたので俺は学校へと向かい、気が気でない状態で入学式を終えた後、不機嫌な状態で家に向かって歩いている。

 最悪だ……マジで最悪だ。

 

『まあ気にすんなや。向こうさんももうええって言ってくれてるんやし』

 そういう問題じゃなーい! また俺にあらぬ噂が建てられる……はぁ。モモタロスがヤクザに喧嘩売って事務所に乗り込んで全部ぶっ潰して警察に感謝状送られるはウラタロスが女口説いて中学では男子から目の敵にされるはキンタロスが自慢の怪力で何でもぶっ潰すはリュウタロスが催眠かけて勝手にダンスするは……俺の人生踏んだり蹴ったりだ。

 

 

『まあまあいいじゃない。僕が女の子を釣ったおかげで友達も増えたんだし』

 あれは友達じゃない。ていうか俺の記憶にないから友達じゃねえし。

『八幡……イマジンだ。近いぞ』

「……はぁ。分かった、行くぞモモタロス」

 

 そう言うや否やモモタロスが俺に憑依し、イマジンの場所へと向かう。

 たっく……何でこんなことになったんだかな。

 そんなことを考えていると爆発音が聞こえ、人々の叫びが聞こえてくる。

 

「あいつだ! どりゃぁ!」

「ぐおぉ!?」

 

 人々が逃げ惑う中にイマジンの姿を見つけるや否や飛び上がってイマジンめがけて飛び蹴りを食らわせるとイマジンが軽く吹き飛んだ。

 ライオンみたいな顔に西洋の騎士のような鎧を纏い、左手はかぎ爪のイマジン。

 あれ絶対俺がやっても飛ばないよな。

 

「へっへ。行くぜ、八幡!」

『了解』

 

 ベルトを取り出し、腰に巻き付けてポケットからパスを取り出し、バックルにある赤いボタンを押すとバックルの中央の部分が赤くなり、待機音声が鳴り響く。

 

「変身!」

『ソードフォーム』

「うぉ!? 電王!」

「っしゃぁ! 行くぜ行くぜ!」

 

 ベルトの横の部分に収まっているパーツを手に取り、走りながら組み立てて1本の剣にすると勢い任せに剣を振りかざし、相手を切り裂くと今度は腹部に蹴りを入れる。

 

「くぅぅ! 今はお前と戦っている場合ではないんだ! はぁ!」

「こっちはお前と戦っている場合なんだよ! どおりゃぁぁ!」

「ぐぁ!」

 相手が飛ぶのと同時にこちらも跳躍し、背中を思いっきり剣で切り裂いて地面に叩き落す。

『契約を完了して過去に飛ばれる前に潰すか』

「おうよ! 行くぜ行くぜ!」

 

 相手が剣を防ごうとかぎ爪を振り上げるがそんなもの関係なしに、モモタロスが振り下ろす剣はかぎ爪ごとイマジンを切り裂く。

 

「おら! おら! おらおらおら!」

「ぐおぁぁ!」

 モモタロスが剣を振り下ろして奴を切り裂くたびに火花が散り、蹴りをぶちこんで壁を突き破る勢いで相手を蹴り飛ばす。

『止めだ』

「おうよ」

『フルチャージ』

 

 パスをバックルの中央部のかざすとそんな音声が流れるとともに剣の刀身が赤く輝きだし、刀身がすっぽりと抜けて空中へ上がっていく。

 

「俺の必殺技・パート1! おらぁ!」

「うぉぉ!」

「どおらぁぁ!」

「がぁあ!」

「どらぁぁぁぁぁ!」

「うあぁぁぁぁぁ!」

 

 モモタロスが持ち手の部分を振るう軌道に沿って刀身が意思があるかのように動き出し、相手を右に左に切り裂き、最後に大きく振り下ろした瞬間、刀身が上空から凄い勢いで急降下し、相手を真っ二つに切り裂いた瞬間、大爆発を上げた。

 

「へへっ。やったぜ」

『珍しく過去に行く前に潰せたな』

「俺の手にかかりゃこんなもんよ」

 そう言うとモモタロスは満足げ気に俺から離れ、デンライナーヘと戻った。

「…………ていうかここどこ?」


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