やはり俺のネタは間違っている?   作:kue

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魅惑? のお泊り会

 いくら千葉には雪が降らないと言っても台風や落雷、大前・暴風などのありきたりな自然現象が発生しないという事ではない。

 そう、この時期はよく台風がやってきて暴風警報で休みか否かの瀬戸際の戦いが各地で繰り広げられているのだ。まさにハリケーン・ウォー。

 今日だってそうだ。午後から台風の影響を強く受けるとは言われていたがまぁ、今年もそんなこと言って逸れるだろうなと思っていたんだがまさかの直撃ルートに来てしまい、俺と由比ヶ浜、雪ノ下の三人はあまりに強い暴風と大雨、そして落雷のせいで帰れなくなってしまった。

 

「どうしようか」

「どうしようもないだろ。この大雨じゃバスも電車もストップだ」

「そうね。公共交通機関は全て止まっていると見た方が良いわ」

 

 まぁ、頑張れば歩いてでも帰れるだろうが事故にでも遭えばそれはそれで本末転倒だ。なので俺達はどうしようかという事を奉仕部の部室で考えていたんだが考えは全く出てこないどころか雨風の勢いがさらに強くなってしまった。

 

「お、君たちもいたか」

「先生。ノックを」

「あぁ、すまん。まさかいきなりこんな強い雨風になるとは思わなかった。今日は休みにすべきだったな」

「仕方ないっすよ。流石にゴッド・平塚といえど自然現象には勝てないっす」

「私はいつ神に進化したんだ」

 

 本当はバーサークとしたかったんだが下手したらジャンナックルならぬシズナックルが飛んできそうなので胸の中にとどめておいた。

 ただこんなに強い雨風だと本気で帰れない。

「よし、今日はここに泊まるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで平塚先生の提案により急遽、決定した『ドキッ! 学校泊まり!』により、俺達は宿直室にあった布団を奉仕部に持ってきて遊んでいた。

 雪ノ下は勉強、由比ヶ浜は携帯、俺はボーっとしている。ちなみに平塚先生はいっぱい酒をひっかけているらしくさっきからビールを飲みまくりだ。

 

「なんだかお泊り会みたいで楽しいね!」

「お泊り会と言えば怖い話だな。よし、比企谷! 何かしろ!」

 完全に出来上がっている先生はやんわりと無視しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ?」

 数時間後、夜も深くなったので眠りにつき、爆睡していた俺だったが何かに揺さぶられている感覚を抱き、目を開けるとそこに由比ヶ浜の顔があった。

 

「なんだよ」

「……そ、そのトイレについてきて」

「お前は子供か。一人で行け」

「だ、だって怖いし」

「……はぁ」

 

 放っておいたらずっと起こされそうなので仕方がなく布団から立ち上がり、由比ヶ浜と一緒に特別棟にある教員用のトイレへと向かう。

 こんな真夜中になっても雨風は弱まるどころか強まっており、しきりに窓がガタガタと揺れ、叩きつけられる雨の音がやけに廊下に響く。

 

「ここで待ってるから」

「えぇ!? な、中まで」

「いいから行って来い」

 

 そう言い、俺は女子便所の入り口付近で待つ。

 流石に誰もいないところとはいえ、男子が女子便所に入るのにはかなり抵抗がある。そういや小学校の頃、間違って女子トイレに入って学級会議が行われたな。

 その時は何とかなったが下手すれば六年間、いや中学含めて九年間もの間、変態という称号で生きなければいけなかったぜ。

 

「お、お待たせ」

「おう」

 

 ということでようやく部室に戻り、布団に横になったはいいが変な時間帯に起こされたせいかさっきまであった眠気がきれいさっぱり無くなってしまい、意識がハッキリとしてしまった。

 はぁ、由比ヶ浜に起こされたせいだ……っていうか当の本人はもう寝てるし。人の苦しみも知らないこいつは熟睡しやがってこの野郎。

 短時間で爆睡した由比ヶ浜の頬を結構、深めにぶっさしていると急にくるっと彼女がこちらを向く。

 こ、怖い。

 

「…………」

「…………サブレ~」

 

 そう言いながら由比ヶ浜は俺の頭をなでなでしてくる。

 ……ま、まぁ悪い感じはしない。

 と、思っていた時、何故か髪の毛をガシッと掴まれる。

 

「サブレ~。チュ~しよ、チュ~」

「お、おい」

 

 口を三角にして近づいてくる由比ヶ浜のお凸を手で押さえ、どうにかして押さえつけている時に後ろで布団の擦れる音が聞こえたので腕は由比ヶ浜を抑えたまま、そちらを向いた瞬間、雪ノ下が俺に抱き付いてくる。

 …………な、なんだこれは。

 

「んん……パン……さん……」

 

 おい、俺はパンさんか。

 片手で何とか雪ノ下を引きはがすが腕に抱き付かれてしまい、とれなくなってしまった。

 左腕は由比ヶ浜、右腕は雪ノ下……はぁ……は?

 そんなことを考えていると今度は平塚先生が俺の足元に立ち、ジーッとこちらを眺めているがどうやら寝ぼけているらしい。

 

「あ、あの先生?」

「ねえ、どうして電話でてくれないの」

「は、はい?」

「でも許す……私に会いに来てくれたしな」

「え? ちょ!」

 

 そう言いながら膝を曲げ、四つん這いになって俺に口を近づけてきたので先生の胸のところに足を置き、どうにかして押さえつけるがどこにそんな力があるんだというくらいの力で近づいて来ようとしてくるし、由比ヶ浜はキスしようと近づいてくるし、雪ノ下はパンさんだと思って俺の腕をギュウギュウに閉めつけてくるし。

 こ、こいつら寝相悪すぎるだろ!

 

「サブレ~チュ~」

「パン……さん」

「はやく……早く貴方が欲しい」

 だ、誰か助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んんんん~! よく寝た~おはよう! ゆきのん!」

「ええ、おはよう。由比ヶ浜さん」

「イタタタタ……飲み過ぎてしまった……ん? 比企谷は?」

「あれ? いない」

「カバンも無いですし、一足先に帰ったんでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶえっくしょん!」

「お兄ちゃん、なんであんな雨風の強い中帰ってきたの?」


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