問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ? 作:鴉紋to零
金髪少年もとい、十六夜が苛立たしく発言する
「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいねえんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
「そうね。何の説明もないままでは動きようがないもの」
「同感だな」
「………。この状況に対して落ち着き過ぎているのもどうかと思うけど」
おいおい、軽く茂み動いてるぞ。隠れるならビクッとすんなよ
「ま、深く考えなくていいんじゃないか、耀」
「えっ」
「ん?どうかしたか?」
「名前で呼ばれたから」
「あー、嫌ならやめるけど?」
「ううん、いいよ。名前で呼んでも」
「そうか。ま、俺も適当に呼んでくれて構わねえから」
「わかった」
そんな会話をしていると、十六夜が行動を開始した
「ーーー仕方がねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」
ん、また、茂みが動いた。というか、動揺し過ぎだろ、隠れてるなら、動揺すんなよ
「なんだ。貴方も気付いてたの?」
「当然。かくれんぼじゃ負けなしだせ?そっちの猫を抱いてる奴とぼさっと立ってる奴も気付いてたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「ぼさっと立ってるとは失礼な。ただ周りの音を聞いてただけだ。それと、」
俺は、言葉を句切り、茂みの方へ向く
「出てくるなら、早い方がいいぞ。ウサギさん」
また、茂みが動く。動揺し過ぎだって
ま、俺は俺は気にしてないが、他の三人は、冷やかな視線で見てるし、しかもそのうち飛鳥と十六夜は軽く殺気も入ってるから可哀想だしな
すると、茂みから隠れていたウサギが姿を現しながら言った
ただし、人型だった
「や、やだなあ御三人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいまよ?ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じて、ここは一つ穏便に御話を聞いて頂けたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「めんどくさいからパス」
「あっは、取りつくシマもないですね♪」
バンザイをする黒ウサギ
しかし、同時に四人の事を値踏みしていた
(肝っ玉は及第点。この状況でNOと言える勝ち気は買いです。まあ、一人だけ、桁違いの人もいますがどうにかなるでしょう。)
などと、黒ウサギが考えていると
「えい」
「フギャ!」
消えるかの如く移動した耀が、力いっぱい黒ウサギのウサ耳を引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか、初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはいったいどういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由にも程があります!」
そう言いつつ耀の魔の手から脱出した黒ウサギ。しかし、ついた先は更なる問題児たちの元だった
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
「………。じゃあ私も」
そう言いながらウサ耳を掴む二人
「ちょっ!ちょっと!」
黒ウサギが助けを求める視線を俺に向けてくる
だから、優しい俺はこの期待に………もちろん答えなかった
「んじゃ、二人が終ってからウサ耳で遊ぶとするか」
「この、問題児様方ー!」
叫びが途中で悲鳴に変わったのは、言うまでもない