問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ?    作:鴉紋to零

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今回は少々短めです


地球の理は地雷を踏み抜くようですよ?

悠雷の次に素早く行動を起こしたのは十六夜だった

 

「逃げるぞッ!!」

 

「逃がすかッ!!」

 

「え、ちょっと、」

 

「早いな!?」

 

十六夜は隣にいた飛鳥を抱き抱えて目下に広がる町へ飛び降りた

 

耀は旋風を巻き上げて空に逃げる、が、黒ウサギの脚力の方が優秀だったようだ

 

アスリートさながらの大跳躍で耀のブーツを捉えた黒ウサギはそのまま器用に空中で抱き締める

 

「わ、わわ、………!」

 

「耀さん、捕まえたのです!!もう逃がしません!!!」

 

壊れた人形よろしく、不気味すぎる笑みを浮かべる黒ウサギ

 

「甲?君は逃げなくていいのかい?」

 

俺の行動を不信に思った真が真横から顔を出す

 

「お前から逃げるとか、どんな無理ゲーだよ」

 

「そうか、それなら「でも挑戦するけどな」」

 

俺が狙っていたのはこれだ

 

一瞬の隙をついて真の視線に入らないところまで一気に移動する

 

すまない、耀。だが、後から絶対に助ける!

 

淡い期待を胸に秘めて、無限の空へ飛び………

 

「残念だったね」

 

立つ前に捕獲された

 

いつの間にか真は(ゲート)を2つ同時に使うことが出来るようになっていたようだ

 

親友の進化を知れて嬉しいのだが、いかんせん、こんなところでは知りたくなかった

 

「さてと、じゃあ甲。僕の話をキイテクレルヨネ?」

 

「あっ、はい。勿論っす」

 

胡麻すり位しか出来ない俺は、もうやけだった

 

答えを聞いた真は、全力で俺を投げた

 

投げた先にも恨みが有ったのだろう、俺というボールの到着点は白夜叉の顔面だった

 

美しく三回転しながら白夜叉の顔面へ迫る

 

どうやら耀も同じように投げられたようで、同じ場所に投げられていた

 

だが、到達が同じならば怪我をする可能性がある

 

なので、この程度の回転に慣れている俺は耀を掴んでこっちに引き寄せる

 

一蓮托生となった俺と耀は協力者(白夜叉)に思いっきりぶつかった

 

「いって」

 

思うほど俺自身の被害は少なかった、しかし

 

「グボハァ!お、おいこら黒ウサギに真!最近おんしらは些か礼儀を欠いておらんか!?コレでも私は東側のフロアマスター_______!」

 

「二人のこと、頼みましたよ?白夜叉様」

 

何だろう、真は確かに笑っている。笑っているのだが、その笑みの陰りが凄すぎる

 

目が反論、異論を一切許さないと宣告している

 

隣の黒ウサギも同じく、目からハイライトが消えていた

 

「わ、分かった。がんばれー」

 

フロアマスターですから形無しにするくらいのキツい笑みを浮かべていた二人は、何時ものように明るい返事を返し

 

黒ウサギは空へ、真は(ゲート)へと向かった

 

本気のツッコミカップルに彼等は生き残れるのだろうか

 

「甲ッ!?」

 

「ん?どうしかしたか?」

 

唐突に腕の中にいる耀が俺を呼ぶって、ああ。そういうことか

 

「すまん。強く抱き締めちゃったか」

 

抱擁を解くと、耀は無言で立ち上がる

 

だが、何故だろう。物凄く嫌な予感がする

 

「甲。気付かなかった?」

 

「何かしたか?俺」

 

「そう………………」

 

俺も立ち上がり、ふと耀の顔を見た

 

その時、耀の目のハイライトが消えていることに気づいた俺は、予感が的中していることを悟った

 

「………………」

 

「グォ!?」

 

割りと洒落にならない威力のストレートが俺の鳩尾に突き刺さった

 

誰が殴ったのかは、言うまでもない………………


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