問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ? 作:鴉紋to零
「赤壁と炎と………ガラスの街………!?」
飛鳥が感極まった顔で眼下に広がる街を見渡した
「凄いな。東とは全然風景が違う」
東側には全くない様式を見て、柄にもなく心が踊る
イメージとしては城下町というところだろうか、周りを囲む赤壁の壁がそのイメージ造りに一役買っていた
「へぇ………!980000㎞も離れているだけあって、東とは随分と文化様式が違うんだな。歩くキャンドルスタンドなんて奇抜なもの、実際に見る日が来るとは思わなかったぜ」
「ふふ。しかし違うのは文化だけではないぞ。其処の外門から外に出た世界は真っ白な雪原でな。それを箱庭の都市の大結界と灯火で、常秋の様相を保っているのだ」
白夜叉はまるで自分がこの地を作ったかのように胸を張る
「ふぅん。厳しい環境があってこその発展か。ハハッ。聞くからに東側より面白そうだ」
「………むっ?それは聞き捨てならんぞ小僧。東側だっていいものは沢山あるっ。おんしらが住む外門が特別寂れておるだけだわぃ」
子供が拗ねた時のように口を尖らせる白夜叉
これでフロアマスターなのであるから驚きである
「まあ、そういうことにしとくよ」
珍しく悠雷が苦笑いを浮かべ、また視線を眼下の街に向ける
「信じておらんじゃろ、悠雷!」
プンスカという効果音が聞こえそうな怒り顔で白夜叉が悠雷をしかる、のだが、やはり本人は全く気にしていなかった
そんな漫才染みたことをしていると、飛鳥がもう待ちきれないと言わんばかりの表情で、白夜叉に催促を申し出る
「今すぐ降りましょう!あのガラスの歩廊に行ってみたいわ!いいでしょう白夜叉?」
飛鳥のテンションははち切れんばかりに高まっている
「ああ、構わんよ。続きは夜にでもしよう。暇があればこのギフトゲームにも参加していけ」
白夜叉が着物の袖から一部のチラシを取り出した
五人はそのチラシを覗きこんだのだが、
「見ィつけたーーーのですよおおおおおおおおおおお!」
黒ウサギは小規模ながら俺達のすぐ近くの地面にクレーターを造り、ドップラー効果を最大に効かせた悲鳴にも近い何かの音をたてながら、俺達の目の前に現れた
「ふ、ふふ、フフフフ………………ようぉぉぉぉやく見付けたのですよ、問題児様方………………!」
淡いというか、闘志か何かでもう紅にしか見えない気もするが兎も角、緋色の髪をたなびかせて俺達の前に君臨する
「黒ウサギ!?いつからお前は仁王の関係者になったんだよ!?」
ツッコミ不在のため、いやもうそんなことはどうでも良い。だが、黒ウサギはどうしても仁王の眷族にしか見えなかった
だが、もっと気掛かりなことがある
ツッコミの代表格とも言える彼奴がこの場にいないということはつまり
「!?ヤベぇ!!」
電の如く反応速度で、この場を離れる悠雷
流石ボケ担当、ツッコミの気持ちがよく分かっているようだ
真がいない=ガチで殺りにきてるということである
俺自身、マナが感知出来るといっても空間跳躍をされてしまえば気付けるわけがない
そして、どれだけ反応速度が速かろうと零距離から捕まれたのではどうしようもないのである
問題児集団、箱庭に来て初の大ピンチである