問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ?    作:鴉紋to零

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理はいけないながらも胸が踊るようですよ?

六人は噴水広場を抜けてペリベッド通りを駆け抜けて(なお、悠雷は「おっそーい」と叫んでいたので全員一致の意見で引きずっている)゙サウザンドアイズ゙の支店の前で急停止した

 

桜と同種だと思われる木が並ぶ街道に建つ店前で前の店員さんにあった

 

店員さんは竹箒で掃除をしていたようで、こちらを見つけると、恭しく一礼、そして

 

「お帰り下さい」

 

「まだ何も言っていないでしょう?」

 

「あれ?今のそういう流れじゃないよな?」

 

門前払い。まさかの出落ちである

 

多分であるが第一印象が悪かったのであろう。そうに違いない、というか、それしかない

 

飛鳥は髪を掻きあげ、口を鋭くしながら反論

 

悠雷も悠雷で、上半身を芋虫のように反らしながら反論する

 

「そこそこ常連客なんだし、もう少し愛想よくしてくるてもいいと思うのだけれど」

 

「あまり突っぱねてると、白夜叉に減給されるぞ。ついでにこの位置どり最高ですな」

 

「常連客というのは店に金を落としていくお客様の事をいうのです。何時も何時も換金しかしない者は、お客様ではなく取引相手と言うのです。それと、下の者は死になさい」

 

悠雷の後頭部を踏みつけながら説明する店員

 

悠雷は何か言っているようだが、顔が地面にめり込んでいるため全く何を言っているのか分からない

 

飛鳥は納得したように手を叩いた

 

「それもそうね。じゃあ悠雷君は任せて、お邪魔します」

 

悠雷、お前は犠牲になったのだ

 

お前の努力、三秒ほどは忘れはしない

 

しかし、現実は無情であった

 

店員さんは竹箒を巧みに使い、片足を悠雷の後頭部に置いたままこちらの行く手を阻んだ

 

「だからうちの店は!゙ノーネーム゙御断りです!オーナーがいるときなら兎も角、今は」

 

「やっふぉおおおおおお!ようやく来おったか小僧どともおおおおお!」

 

これこそ現実は無情である瞬間だった

 

店員さんの努力も空しく、親方!空から女の子(ロリ)が!と言わんばかりに白夜叉が降ってきた

 

実際は、こんな空中でスーパーアクセルを決める幼女を受け止めるのは御免だが

 

いつの間にか縄をほどいていた悠雷は、その白夜叉(幼女)の着弾点から大急ぎで離れる

 

ズドォン!と戦車の大砲のような音と共に、土煙が盛大に巻き起こる

 

不幸にも前にいた俺と十六夜と飛鳥はその土煙の全てをこの身で受ける羽目になった

 

「ぶっ飛んで現れなきゃ気が済まねぇのか、ここのオーナーは」

 

「これが東のフロアマスターでいいのかという気がしてきた」

 

俺と十六夜は土煙を払いながら呆れ気味に言った

 

痛烈に頭が痛そうな店員さんを見て、この人も真と同じ(苦労人)だなと思った

 

土煙を払う俺の代わりに、俺の後ろにいた耀が招待状を見せる

 

「招待、ありがと。だけどどうやって北側に行くのかわからなくて………」

 

「だから招待者の白夜叉にヘルプを求めたんだが」

 

「よいよい、全部分かっておる。まずは店の中へ入れ。条件次第では路銀は私が支払ってやる。………………秘密裏にしておきたいこともあるしな」

 

太陽の化身らしく、太陽のような笑顔から一転、最後の所のみとても真剣な顔をした

 

俺たち六人は顔を見合わせ、悪戯っぽく笑うと

 

「それ、楽しいこと?」

 

「魔王ってやつに会えたりするのか?」

 

「さて、どうかの。まあおんしら次第だな」

 

意味深な笑顔を浮かべ、店内に入っていく白夜叉

 

地球の理としてはよくはないのだが、少しだけ魔王に会える可能性があるとなると、胸が踊った


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