問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ? 作:鴉紋to零
「なっ!?」
ホント、どれだけ時間がたとうと状況が変わろうと悠雷はぶれないな。俺が餓鬼の頃に宣言してたまんまだ
「へぇ。………悠雷。お前、タケミカズチか?」
お、十六夜も大分洞察力と観察力があるみたいだな
動体視力は桁外れ過ぎるが
「このランスの主成分って鉄かよ!?」
粉となった鉄が悠雷が纏う雷にくっつきそうになるので悠雷は慌てて、雷を空気中に流す
しかし、体に少量の鉄屑がついてしまっていて、聞いていないようなので、俺が十六夜の質問に答える
「悠雷は、タケミカズチじゃなくて、その息子だ」
タケミカズチ。確か、雷と剣の神だったっけか?悠雷はその神の血を受け継いでる。しかも、悠雷の母のほうも十分に。いや、十二分に凄い。だってタケミカズチもといタケさん倒したのだ
悠雷から聞いた話だが、
「長い間、刀を降振ってなかったから、稽古がてら地上に下りて、剣道最強と呼ばれる人のところに行って相手をしてみたら、剣の腕は俺の最盛期と同じか、それ以上の腕の持ち主だった」
と、タケさんは悔しそうに言っていたらしい
失礼な話だが、きっと悠雷の母は人間を止めてると思う
まあ、どちらにせよ、悠雷の性格はともかくセンスはどっちに転んだとしても半端じゃないのだ
その上、体質が洒落にならない
だが、その事は一度控えておこう
「レティシアさんは鉄屑付かなかったか?」
悠雷は十六夜の質問を華麗にスルーもとい無視してレティシアへ話しかける
「ああ。だが、…タケミカズチの息子とは?」
「ん?そのまんまの意味だけど?」
「…………そ、そうか」
「あ、そうだ。黒ウサギ?」
「は、はい。どうかしたのでございますか?」
まあ、始めてみればリアクションはこんなところだろうか。普通の時は只の一般人にしか見えないしな
「お前が視線を釘付けにしていた物があるんだけどいる?」
「あ!?こら!返せ!」
悠雷、能力の悪用は止めようか
悠雷は、ギフトカードを黒ウサギへ投げ渡す
「ギフトネーム・″純潔の吸血姫″…………やっぱり、ギフトネームが変わっている。鬼種は残ってるものの、神格が残っていない」
黒ウサギはカードを受け取り、震える声で真相を語った
「っ……………!」
レティシアはさっと目を背ける
十六夜が呆れた表情で言った
「なんだよ。もしかして元・魔王様のギフトって、吸血鬼のギフトしか残ってねえの?」
「…………はい。武具は多少残してありますが、自身に宿る恩恵は…………」
十六夜は不満を隠さず堂々と舌打ちした
悠雷は、「箱庭の吸血鬼の腕力はそのくらいなのか」と解析していた
「ハッ。どうりで歯ごたえが無いわけだ。他人に所有されたらギフトまで奪われるのかよ」
「いいえ……………魔王がコミュニティから奪ったのは人材であってギフトではありません。武具などの顕現しているギフトの違い、″恩恵″とは様々な神仏や精霊から受けた奇跡、云わば魂の一部。隷属させた相手から合意なしにギフトを奪う事は出来ません」
「ということは、レティシアさんはノーネームを守るために自身のギフトを差し出したってこと?」
レティシアは、ひたすら目を背け続ける
「レティシア様は鬼種の純血と神格の両方を備えていたため″魔王″と自称するほどの力を持っていたはず。今の貴方はかつての十分の一にも満ちません。どうしてこんなことに…………」
黒ウサギは苦い顔で言った
「…………それは」
レティシアは言おうとしたり、止めたりを繰り返す
「はいはい。一旦この話題はおしまい!本人が言いたくも無いことを言わせるのはよくないだろ」
俺もそれに便乗して言う
「ああ。まあ、どちらにせよ一度屋敷に戻って話そうぜ」
「ああ。」
「………そう、ですね」
少し歩くといきなり、レティシアが叫んだ
「あの光…………ゴーゴンの威光!?まずい、見つかった!」
レティシアは俺達の前に庇うように立つ
「ゴーゴンって事は石化の関係か、悠雷………」
「もうためてる…………よしたまった」
右腕が雷に包まれた悠雷は、庇うように立つレティシアの横に立ち、右拳を弓を引くように構える
「悠雷!私の後ろに………」
「いやだね!仲間を盾にするとか、俺は絶対にごめんだ!」
ゴーゴンの威光の到達まで2秒、ここで悠雷は動いた
「一発食らっとけ!ミョルニール!!」
悠雷は拳を前につき出す
すると、腕の五倍は在るであろうサイズの雷が発射された
雷はゴーゴンの威光にぶつかりそのまま互いに消失した
レティシアのキャラが子供っぽいのは、私目の実力不足です。レティシアファンの方々、申し訳ありません