問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ? 作:鴉紋to零
ジンと飛鳥が緊張した面持ちで門をくぐる
「大丈夫。近くには誰もいない。匂いで分かる」
緊張をほぐすためなのか、耀から助言が入った
「あら、犬にもお友達が?」
「うん。二十匹ぐらい」
「へぇー、以外と多いんだな」
「でも、大半が野良犬だから」
ああ、そういうことかと頷き、納得した俺は前に向く
「甲さん、耀さん。詳しい位置は分かりますか?」
「ここまで鬼化した植物があると、ガルドのマナだけを探すのは難しいぞ」
「分からない。でも風上にいるのに匂いがないのだから、何処かの家に潜んでいる可能性は高いと思う」
「では、まず外から探しましょう」
森を散策するもあるのは鬼化した木々が飲み込んでいる家ばかりだった
「彼にしてみれば一世一代の大勝負だもの。温存していた隠し玉の一つや二つあってもおかしくないということかしら」
「ええ。彼の戦歴は事実上、不戦敗も同じ。明かさずにいた強力なギフトを持っていても不思議ではありません。耀さんと甲さんはガルドを見つけても警戒は怠らないでください」
「おう。勿論だ」
俺はそう答えると軽く回りを見渡す。すると、耀がいなかった
あれ?と思い上を見上げると耀が近くにあった一番高い木に昇っていた
「……………駄目ねヒントらしいヒントは見当たらないし、武器らしい武器も見つからないわ」
「となると、ガルドの近くにある線が有力か。………耀。そこからガルドがいるか見えないか?」
俺は少し駄目元で聞いてみると、以外な答えが返ってきた
「もう見えてる」
耀は木を飛び降りて答え続ける
「本拠の中にいる。陰が見えただけだけど、目で確認した」
耀は、鷹のような金色の瞳をした状態で言った
「そういえば鷹の友達もいるのね。けど春日部さんが突然異世界に呼び出されて、友達はみんな悲しんでるんじゃない?」
「そ、それを言われると…………………少し辛い」
「飛鳥。それは言ってやるなよ」
俺は、元気ずけるように優しく左肩を叩いた
飛鳥は苦笑しながら右肩を叩いていた
そうこうしながら歩みを進めると、館らしきものが見えてきた
何故らしきものなのかというと、ここも至るところが木々に押し潰され、締め上げられていた
「ガルドは二階に居た。入っても大丈夫」
俺は耀の言葉を聞くと、体内の血中に流れるマナの速度をあげる
早くからしておかないと、大事な時に精霊だけで戦わなければならなくなるのを避けるためにいつも戦闘前にはするようにしている
「この奇妙な森の舞台は……………本当に彼が作ったものなの?」
「……………分かりません。″主催者″側の人間はガルドだけに縛られていますが、舞台を作るのは代理を頼めますから」
飛鳥が質問した
「代理を頼むにしても、罠の一つもなかったわよ?」
「多分、こちらの精神力を削るためじゃないか?
いつガルドが奇襲してくるか分からないっていう状態にして、気疲れさせるって魂胆だろう」
耀がここで声を出す
「でも、本拠を破壊する必要なんてない」
「だな。ま、おいおい分かるんじゃないか?」
俺は周りのマナを調べてみるが、特にガルド以外にはいなかった
「二階に上がるけど、ジン君。貴方はここで待ってなさい」
「ど、どうしてですか?僕だってギフトを持ってます。足手まといには」
飛鳥はジンの言葉を遮る
「そうじゃないわ。上で何が起こるか分からないからよ。だから二手に分かれて、私達はゲームクリアのヒントを探してくる。貴方にはこの退路を守ってほしいの」
飛鳥にそういわれると、ジンはしぶしぶ階下で待つことにしたようだ
飛鳥と耀は静かに階段を登っていった。しかし、俺は虎の聴覚なら聞こえていると悟り、階段を堂々と音を出しながら歩く
「甲。そんなに音を立てたら」
俺は遮るように言った
「いや。ガルドには気づかれてるだろ」
そう言うと、俺は階段を登りきると、二人が来るのを待ってから扉の前に立つ
二人は扉の両側にいるが俺は堂々と扉の前に仁王立ちする
二人は意を決したように互いに頷くと飛び込ーーーーー
「オラァ!」
めなかった
理由は簡単。俺が扉を蹴り飛ばしたからである
扉はガルドがいるでいるであろう方向に飛んでいくと、何かにぶつかり砕け散った
「グッ。ギ………………ーーーー………GEEEEEYAAAAA!!」
人の言葉を失った元ガルドが立っていた