問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ?    作:鴉紋to零

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ギフトゲームの幕が切られるようですよ?

「あ、皆さん!見えてきました…………けど、」

 

黒ウサギがいつものように元気な声で言うがその勢いが途中で弱まる

 

それもそうだ、ここが居住区だと言い張れる奴がいるならそいつの顔を拝んでみたい

 

ツタが門に絡まり、木々は鬱蒼と生い茂り、しかも、どの木々を見ても動脈のようなものが脈を打っているここを居住区だと言えるなら

 

「…………。ジャングル?」

 

「むしろ、密林か?」

 

「虎の住むコミュニティだしな。おかしくはないだろ」

 

「いや、おかしいです。″フォレス・ガロ″のコミュニティの本拠は普通の居住区だったはず………………それにこの木々はまさか」

 

ジンは木に手を当てる

 

「やっぱりーーーー鬼化してる?いや、まさか」

 

ジンが呟いている近くで飛鳥が門柱に張ってある″契約書類″を見つけた

 

「ジン君。ここに″契約書類″が貼ってあるわよ」

 

『ギフトゲーム名

 

 ″ハンティング″

 

・プレイヤー一覧

 

久遠 飛鳥 

 

春日部 耀 

 

城崎 甲

 

ジン=ラッセル

 

・クリア条件

 

ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐

 

・クリア方法

 

ホスト側の指定した特定の武具でのみ討伐可能。

 

指定武具以外は″契約″によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能

 

・敗北条件

 

降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

・指定武具

 

ゲーテテリトリーにて配置。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、″ノーネーム″はギフトゲームに参加します。

 

″フォレス・ガロ″印』

 

″契約書類″を見たジンと黒ウサギは驚愕した

 

「ガルドの身をクリア条件に……………指定武具で打倒!?」

 

「こ、これはは不味いです!」

 

飛鳥は心配そうに二人に問う

 

「このゲームはそんなに危険なの?」

 

「パット見た感じじゃそんなに難しそうではないけど?」

 

「いえ、ゲームそのものは単純です。問題はこのルールです。このルールでは飛鳥さんのギフトで彼を操ることも、耀さんや甲さんのギフトで傷つける事も出来ないことになります………………!」

 

飛鳥は黒ウサギに険しい顔で問う

 

「………どういう事?」

 

「″恩恵″ではなく″契約″によってその身を守っているのです。これでは神格でも手が出せません!彼は自分の命をクリア条件に組み込むことで、御三人の力を克服したのです!」

 

「すいません、僕の落ち度でした。初めに″契約書類″をつくった時にルールもその場で決めて置けば良かったのに……………!」

 

十六夜が楽しそうな声色で言う

 

「敵は命がけで五分に持ち込んだって訳だ。観客にしてみれば面白くて良いけどな」

 

「気軽に言ってくれるわね……………条件はかなり厳しいわよ。指定武具が何かも書かれていないし、このまま戦えば厳しいかもしれない」

 

険しい表情をする飛鳥の手を耀と黒ウサギが包み込む

 

「だ、大丈夫ですよ!″契約書類″には『指定』武具としっかり書いてあります!つまり、最低でも何らかのヒントがなければなりません。もしヒントが提示されなければ、ルール違反で″フォレス・ガロ″の敗北は決定!この黒ウサギがいる限り、反則はさせませんとも!」

 

「大丈夫。黒ウサギもこう言ってるし、私も頑張る」

 

「…………ええ、そうね。むしろあの外道のプライドを粉砕するためには、これぐらいのハンディが必要かもしれないわ」

 

その近くで十六夜はジンに何かを言っていた

 

しかし、俺は少し疑問に思っていた

 

「…………ハンディね。これをハンディと呼べるか?」

 

「どういう事ですか、甲さん?」

 

黒ウサギが驚愕の表情で尋ねる

 

「いや、ここまで分かりやすく指定武具についての大ヒントを出してるのにハンディって言うべきだろうと思ってな」

 

「そ、そうなの?」

 

今度は飛鳥が驚愕の表情である

 

「ああ。この木々が鬼化しているところから見るとあのエセ紳士は吸血鬼になっている可能性が高い。

多分、この木々が鬼化しているのはガルドを鬼化させた奴がしたものであろうと推測できる。

さて、ここで問題だ、吸血鬼が苦手なものもしくは、討伐できるものは何?」

 

「ニンニク」

 

これは予測通り、耀が即答した

 

「当たりだ。だが、今回はニンニクの線は薄い。他には?」

 

「十字架……かしら?」

 

「当たり。あと2つは何かわかるか?」

 

「銀でしょうか?」

 

「正解。ラスト一個だ」

 

「トネリコの杭だろ」

 

「正解。でも、杭の線も薄い」

 

「順番に解説していくと

・ニンニクは植物が鬼化してるってことはニンニクも鬼化してることが予測されるから可能性小。

・銀は破魔の力が強いから可能性大。

・十字架は多分、武器としては出てこないだろうと予測されるからまあ可能性は半半。

・トネリコの杭は第一にトネリコの木がないから可能性ゼロ。

ってところだ」

 

「後、場所についてだが」

 

「場所にまで推測が出来ているのでございますか!?」

 

「それぐらい楽勝だぞ。で、続けるが、可能性は2つ」

 

俺は右手の指を2つ立て、一本の先の部分を掴む

 

「一つは単純に森の中。これはどうしょうもない」

 

俺は、残っている指を掴む

 

「もう一つは、ガルドのすぐ近くにある」

 

「何故すぐ近くなの?」

 

「何処か適当な場所に隠すより自分で取られないようにすれば安心出来るだろ?そういうことさ」

 

「ま、どっちに転ぶにせよ、行ってみなくちゃ分からないからな」

 

「じゃあ、そろそろ行きましょうか」

 

「おう」

 

「はい」

 

「うん」

 

こうして俺たちのギフトゲームは幕を切った


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