問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ? 作:鴉紋to零
隣から感嘆の声が響く
「凄い!これなら生活以外にも水を使えるかも……………!」
「ん?水で商売でもするのか?」
「なんだ、農作業でもするのか?」
「農作業に近いです。例えば水仙卵花などの水面に自生する花のギフトを繁殖させれば、ギフトゲームに参加せずともコミュニティの収入になります。これならみんなにも出来るし…………」
「ふぅん?で、水仙卵花ってなんだ御チビ」
十六夜が嘲笑と尊敬の混ぜた言い方でジンを呼ぶことにジンは驚く
「す、水仙卵花は別名アクアフランと呼ばれ浄水効能のある亜麻色の花の事です薬湯に使われることもあり、観賞用にも取引されています。確か噴水広場にもあったはずです」
そこまでは聞いていたのだがその後は聞けなかった理由は簡単
「甲お兄ちゃん!行こう!!」
とまあ、このように下で子供達が俺を引っ張っているのである
「分かった分かった。それじゃ、行こうか!」
子供達に言われるまま、俺は本拠へ向かった
あの後、ひたすら子供達の相手をした俺は、疲れを感じることもなく一区切りついたところで別館からこっそり抜け出してきた
外から話し声が聞こえてくる
俺は他の皆より先に移動して遊んでいたため、他の皆は後から到着したのである
「遠目から見てもかなり大きいけど…………近ずくと一層大きいね。何処に泊まればいい?」
「コミュニティの伝統では、ギフトゲームに参加できる者には順列を与え、上位から最上階に住むことになっております………………けど、今は好きなところを使っていただいて結構でございますよ。移動も不便でしょうし」
飛鳥が屋敷のすぐ近くにある別館を指さす
「そう。そこにある別館は使っていいの?」
「あれ、子供達の館だぞ。まあ、いくつか空き部屋があったから泊まろうには泊まれるけど、ジンにかけ……………」
「遠慮するわ」
即行で言われた
もうちょっと考えろよといいたい
「それより今はお風呂に入りたいわ」
「私も」
「分かりました!少々お待ちを」
黒ウサギはそう言うと大浴場へと向かった
しかし、大浴場を見た黒ウサギは唖然とする
長い間使っていなかった大浴場は汚れに汚れまくっていた
「一刻程お待ちください!すぐにきれいにいまたしますから!」
その待ち時間に俺達は宛がわれた部屋を物色のち来客用の貴賓室に集まった
『お嬢………………ワシも風呂に入らなアカンか?』
「駄目だよ。ちゃんと三毛猫もお風呂に入らないと」
「……………ふぅん?聞いてはいたけど、オマエは本当に猫の言葉が分かるんだな」
「うん」
『オイワレ、お嬢をオマエ呼ばわりとはどういうことや!調子に乗るとオマエの寝床を毛玉だらけにするぞコラ!』
「駄目だよ、そんなこと言うの」
『それに三毛猫。十六夜にそれしたら一瞬でオマエは原型を保てなくなるぞ』
飛鳥が聞きにくそうに耀に問う
「出すぎたことを聞くけど…………………春日部さんに友達ができなかったのはもしかして」
「友達は沢山いたよ。ただ人間じゃなかっただけ」
拒否の意思がこもった声で耀は言った
その空気を壊すように黒ウサギが登場する
「ゆ、湯殿の用意ができました!女性様方からどうぞ!」
『や、やっぱりイヤやー!』
そう三毛猫は叫ぶと耀の腕の中から脱獄のち逃走を開始する
「こら、三毛猫」
そう言うと耀は三毛猫を追いかけだした
「おい、耀!」
耀はそのまま視界から消えた
全く、しょうがないやつだな
「黒ウサギ。先に風呂入っとく方がいいだろ。耀なら後から入るだろうし。後俺、寝るから。異論は認めん」
そう言うと、俺は自分の部屋に戻った