問題児たちと地球の理が異世界から来るそうですよ?    作:鴉紋to零

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地球の理が箱庭の中に入るようですよ?

俺たちは石造りの通路を通って箱庭の幕下へ来た。のだが………

 

『お、お嬢!外から天幕の中入ったのに、御天道様が見えとるで!』

 

俺の疑問は先に三毛猫に言われたようだ

 

「………本当だ。外から見たときは箱庭の内側なんて見えなかったのに」

 

そこで、ジンの解説が入った

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの巨大な天幕は太陽の光を直接受けられない種族のために設置されていますから」

 

すると、飛鳥は皮肉を混ぜて一つ質問した

 

「それはなんとも気になる話ね。この都市には吸血鬼でもすんでいるのかしら」

 

ジンは当たり前だと言わんばかりの顔をして、返答した

 

「え、居ますけど」

 

「………。そう」

 

そんなことをしている間に三毛猫は耀から降りると

 

『しかしあれやなあ。ワシが知っとる人里とはえらい空気や。まるで山奥の朝霧が晴れたときのような清み具合

ほら、あの噴水の彫像もえらい立派な造りやで!お嬢の親父さんが見たらさぞ喜んだやろうな』

 

「うん、そうだね」

 

「あら、何か言った?」

 

「…………。別に」

 

俺には、筒抜けなんだけどな。まあ、いいか

 

「耀のお父さんって彫刻家だったのか?」

 

「そうだけど、何でわかったの?」

 

「三毛猫との会話を聞いた」

 

「三毛猫の言葉、分かるの?」

 

「まあな、地球上に存在した生き物ならすべて分かるぞ」

 

まあ、一応、幻獣のほうも分かるんですけどね

 

「え!?私と同じ」

 

「でも、耀のギフトのほうが凄いと思うけどな。俺の場合は種族が種族だし。しかも、一度でも地球にいないとダメ出し」

 

「春日部さんに甲君、会話もそこまでにして、そろそろお店に行きましょう」

 

「うん」

 

「おう」

 

俺達は近くにあった″六本傷″の旗を掲げるカフェテラスに座った

 

座ると直ぐ様、猫耳の少女が注文を取りに来た

 

ていうか、考える時間をくれよ。まあ、いいけどさ

 

「いらっしゃいませー。御注文はどうしますか?」

 

「えーと、紅茶を3つと緑茶を一つ。あと、軽食にコレとコレと」

 

え、なんか、勝手にチョイスしちゃいましたけど、ひどくないか

 

『ネコマンマを!』

 

「はいはーい。ティーセット3つにネコマンマですね」

 

ジンと飛鳥が………ん?という風に首を傾げる。しかし、それ以上に驚いていたのが耀だった。ん?俺はどうかって?驚くわけないじゃん。俺っていう存在のほうがレアだもん

 

「三毛猫の言葉、分かるの?」

 

「そりゃ、分かりますよー私は猫族なんですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここはちょっぴりサービスさせてもらいますよ!」

 

『ねーちゃんも可愛い猫耳に鍵尻尾やな。今度機会が会ったら甘噛みしにいくわ』

 

「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」

 

そう言われた、猫耳娘は嬉しそうに店内へ戻った

 

三毛猫、お前は女たらしかよ!

 

「………箱庭って凄いね、三毛猫。私以外に三毛猫の言葉が分かる人が二人もいたよ」

 

『来てよかったなお嬢』

 

「ちょ、ちょっと待って。貴方もしかして猫と会話が出来るの?」

 

あ、これは、長くなる会話だな。今のうちに注意しとくか

 

てなわけで、俺は小声で三毛猫に耳打ちした

 

『三毛猫。お前、耀と俺にしか分からんからいいけど、普通に聞いたら女たらしのセリフだぞ』

 

『でも、旦那。これが猫の中の普通ですぜい』

 

旦那って………まあ、いいか

 

『まあ、耀が許してるならいいが。あんまりやり過ぎるなよ』

 

『へい旦那!』

 

「まさか、もう一人って。甲君?」

 

「ん?生き物と会話できるって話なら、俺は地球上の生き物全てと会話ができるぞ。一応、幻獣とも少しなら可能だし」

 

「す、凄いですね。全ての種と会話が可能なら心強いギフトですね。この箱庭において幻獣との言語の壁というのはとても大きいですから」

 

「そうなんだ」

 

そういや、親父が「俺達の能力は凄いんだからな」って言いながら、二、三時間聞かされたな。もう、二度とやりたくはないが

 

「はい。一部の猫族やウサギのように神仏の眷属として言語中枢を与えられていれば意志疎通は可能ですけど、幻獣達はそのものが独立した種の一つです。同一種か相応のギフトがなければ意志疎通は難しいというのが一般です。箱庭の創始者の眷属に当たる黒ウサギでも、全ての種とコミュニケーションを取ることは出来ないはずですし」 

 

「そう………………春日部さんと甲君は素敵な力があるのね。羨ましいわ」

 

「まあな」

耀は、困ったように頭を掻く。対照的に飛鳥は憂鬱そうな声と表情で呟く。俺は、後は耀に任せようと思い。傍観することにした

 

「久遠さんは」

 

「飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん」

 

「う、うん。飛鳥はどんな力を持っているの?」

 

「私?私の力は……………まあ、酷いものよ。だって」

 

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ″名無しの権兵衛″のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」


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