コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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小俣。

はい、過激派大虐殺まで秒読み始まりました。


これだから【イケメン】は!!

時刻は午前0時をまわり、日付が変わる時刻に、私は執務室にて傍目からすれば珍しく残業していた。

 

隣のデスクにはクレアも座っており、今日の分を終えて明日に片付けるべき案件に手をつけていた。

 

残業、というのは傍目からすればの話、私とクレアはともに本命は別にあった。

 

しばらく紅茶を飲んで刻を待つ。

 

ふと窓から外の景色を見てみれば、曇天の雨雲からザァザァという音を立てて雨が窓ガラスを叩きつけていた。

 

昼間はやや肌寒い程度の曇り空だったのだが、いつのまにか、豪雨となっていたようだ。

 

ぼんやりと、そんなことを考えていると…………執務室に男が入って来た。

 

「カーライル様、夜分遅くに失礼いたします」

 

「おお、君か……………世間話という風には見えんな、何があった?」

 

入ってきたのは猟犬部隊の副隊長、療養中の隊長に変わって部隊を管理する男だ。

 

副隊長は敬礼を示すと緊張に汗を滲ませながら話し出した。

 

「…………例の地域に……侵入者が」

 

「っ…………規模は?」

 

反応を抑え冷静に対応するように心掛けているように見せつつ、平静を装って聞く。

 

「およそ100ほど、工作員としてみれば大部隊です」

 

「監視塔から迎撃の射撃はなかったのか?」

 

「監視塔はすべて沈黙しております、事前に手を回されていたものと考えます」

 

「なんたる無様か…………!」

 

静かな怒りを燃やす様を見せつけつつ、しかして冷静に対応せんとする様子をアピールする。

 

「…………準備出来次第、私に連絡したまえ」

 

「KMF部隊は如何しますか?」

 

「出来る限り全部だが…………最低でも3小隊は動員せよ、足りなければ…………新型戦車を出せ」

 

「例の……『アノ』戦車を、ですか……」

 

怪訝な表情をするのもわかる、正直言って信用ならんところがあるからな…………。

 

歴史の浅い二足歩行の兵器より、歴史ある戦車の方が信用ならないなんて、この世界の住人でなければ失笑していただろうな。

 

「砲台にはなる、火砲も強力だ、足りなければ惜しまず出せ」

 

「しかし新型戦車は上が煩いのでは?アレは開発停止による処分品とカーライル様は仰られておりました、破損させた場合の刑罰は……」

 

「そんなこと、私が黙らせるから気にせずにやれっ!!」

 

「は……はっ!」

 

剣幕で強引に通す、余裕がないように見せるためだ。

 

「総督には伝えるな」

 

ここ貴重な保身アピール。

 

「ですがカーライル様、我々だけでは数が足りません!グラストンナイツとまではいかずとも、コーネリア様配下の部隊の動員を乞うべきでは!?」

 

副隊長のいっていることはもっともだ。

 

がしかし、本隊の連中は少数での奇襲に向かない貴族上がりだ、暗闇の戦闘では役に立たん。

 

「本隊の連中は貴族上がりのボンボンだ、いっそ中央(帝都)の親衛隊や憲兵あがりの奴等のほうがまだ役に立つ…………ここにいる部隊で夜戦で連携が取れるのはグラストンナイツくらいだ」

 

「では!」

 

「総督は今、中華連邦と本国の板挟みで体調を崩し気味だ、余計な問題で頭痛の種を増やすなどできるか!」

 

その時、予定通りに電話がかかってきた。

 

私と副隊長、クレアはいきなりの電話に一瞬固まり、すぐにクレアが応対した。

 

「こちらツキト・カーライル執務室…………ゼロ?」

 

「なに?………………代われ」

 

「は、はい」

 

クレアから電話機を受け取り耳を当てる。

 

「夜分遅くに直通電話とは呑気なものだな、ゼロ」

 

そう言いつつスピーカーモードにし、ゼロの声をクレアと副隊長にも聞こえるようにする。

 

『耳が痛いな…………急を要する案件だ、君と、猟犬部隊の助けが必要だ』

 

「話たまえ」

 

『我々、黒の騎士団のおよそ半数が離反した』

 

「それで?貴様の求心力が地に落ちたから亡命したいと?」

 

『そうではない、離反した者たちは武器を奪い、2代目の【日本解放戦線】を名乗って君達が厳重な警備を敷いている【ある区域】に進出した』

 

「………………どこで知ったかは今は聞くまい、して、貴様は何を言いたいのだ?」

 

『弁明は後でする…………離反者を【日本解放戦線】とするなら、おそらく、去年のビル占拠と同じかそれ以上のテロを行いかねないと判断し、我々は殲滅に向け部隊を編成中だ』

 

「ほう……読めたぞ、つまるところ貴様は……」

 

『そうだ……………頼めるだろうか?』

 

「死人を出さないと誓えるならば、な…………帝国としても、日本エリア防衛の要たる猟犬部隊の損失は認められん」

 

『ゼロの名において誓おう、我が黒の騎士団の団員も、猟犬部隊の勇士たちも、誰一人として失わせはしないと』

 

受話器を耳から離し、マイク部を指で押さえて音を遮断する。

 

副隊長のほうを向いて聞く。

 

「だそうだ、ゼロは我々に離反者の殲滅に手を貸せと…………ようは尻拭いの手伝いをしろと言ってきた」

 

嘲笑交じりに続ける。

 

「まったくだらしがないにもほどがある、かつての解放の英雄『ゼロ』も落ちたものよ…………副隊長」

 

「ハッ!」

 

「此度の出撃、如何する?」

 

副隊長は今一度姿勢を正して息を吸った。

 

マイク部から指を離す。

 

「無論、黒の騎士団と連携し、全力をもって叛逆者の殲滅に当たります」

 

即答だった、覇気に満ちた表情は強力な味方を得られたことによるものか。

 

やる気は十分、それが一目でわかるほどだった。

 

「ふっ…………君もなかなか、気持ちの良い阿呆であるな」

 

「ありがとうございます!」

 

「…………だそうだぞ?ゼロ」

 

『猟犬部隊の副隊長殿、貴公の協力に感謝する』

 

「我々とて日ノ本の防人、手を組むことに矛盾も異論もない」

 

「目指すべき場所は定まったか…………副隊長、先の言葉に虚偽が無ければ、我らが勇士達に出撃を命じよ」

 

「目標は如何に?」

 

「例の地域周辺2kmに散開して配置、それで良いだろう?ゼロ」

 

『異存はない』

 

「ならば、我らブリタニアのケツの青い貴族上がりを震え上がらせた貴様の指揮、今一度私に見せてみるがいい」

 

『望むところだ、共に勝利を』

 

そう言うとゼロは電話を切った、受話器からはツー、ツーという電子音が鳴っている。

 

「征くぞ副隊長、車を用意させろ、英雄ゼロ殿の指揮だ、特等席で見ねばならん」

 

「ハッ!」

 

「カーライル様、私もお供いたします」

 

「良いぞ、貴様も奴の指揮を見るといい、前菜には持ってこいの代物だ」

 

話しながら部屋を出て廊下を歩く、久しぶりの戦闘に高揚しているのか、歩みはいつのまにか早くなっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間ほどかかったが、所定の位置に部隊は配置され、黒の騎士団と無線の共有、敵の情報の共有を行い、ゼロと副隊長両名の主導の下、攻撃開始を待っていた。

 

土砂降りの中でテントを張り、灯りを最小限にして暗視スコープで敵を確認していく。

 

当初の予定通り、離反者数百名にKMFが数十機、装甲車も複数見えた。

 

満足な装備もないのか、カッパをつけずにKMFの股下で雨宿りする者もいた。

 

内心ほくそ笑みながら暗視スコープから目を離し、テントの中心…………作戦を練るゼロと副隊長、スザクに寄った。

 

「雨でぬかるんだ窪地状の地形を加味すれば、あなたたち黒の騎士団と我々の射撃による打撃の後に、白兵戦による掃討が理想だ」

 

「この暗闇で敵が一箇所に固まっているのなら、特別気にかけることもないでしょう、それにこの雨、敵の足は完全に止まる…………白兵戦よりも、火力を集中させ一気に数を減らすほうが賢い方法だろう」

 

「ならば、戦車と小型迫撃砲が役には立つだろう」

 

「ある程度大まかな射撃を行なった後、サーチライトで照射して狙撃するのはいかがか?」

 

「白兵戦を挑むよりかは被害は減るだろう…………向こうに赤い機体はいないよな?」

 

「赤い機体は私の親衛隊の者だ、裏切ることは決してない、離反者たちは全員平の団員で突出した能力もない」

 

「敵KMFはすべてグラスゴー(旧型機)で考えて問題はないと?」

 

「問題ない、装甲車も装甲板を貼り付けただけのちょっと頑丈な乗用車だ…………我々としては貴重な戦力であり、壊すのは勿体無いが、この地域に入ってしまった以上、すべて破壊する方向で行く」

 

「話しはまとまったな…………カーライル様」

 

おや、どうやら終わったようだな。

 

「どうした副隊長?」

 

「作戦が定まりました」

 

「聞かせろ」

 

「はい、初めに我々全軍による一斉射撃を行います、続き、サーチライトで照射して狙撃、以上になります」

 

「よろしい、攻撃を許可する」

 

「ありがとうございます!」

 

「全隊および騎士団に伝えよ、『くれぐれも落ちないように、蜂の巣になるぞ』と、そう留意させよ」

 

「イエス、マイロード!」

 

そう言って副隊長は無線機を握って作戦内容を指示していく、データによるブリーフィングも同時に行なっているようだ。

 

「ツキト」

 

「ん?スザク……どうした、そう怖い顔をして」

 

先ほどまで案山子のように突っ立っていたスザクが急に話しかけてきたと思ったら鬼神がごとき形相でちびりそうになった。

 

お前、顔立ちすごくいいんだからそういうのやめてくれよ…………怖いんだよ……。

 

「あぁ、ごめん…………ちょっと、納得できないことがあるだけだから」

 

私にはお前のイケメンフェイスのほうが納得いかんわ。

 

「騎士団のことか?」

 

「…………うん……僕の中では、彼らはまだテロリストみたいだ」

 

「納得はせんでも良い、目の前にある事実として、彼らと私たちの目指すものは同じで、あそこにいるのは、日本解放戦線の同類のロクデナシ共、それだけだ」

 

「うん…………そう、だね」

 

「スザク、覚悟しておいて欲しい、いずれお前にとって身近で親しい人物が、道を違えてしまうことがあるかもしれない」

 

「そんな…………僕たちの親しい人たちは、みんな僕たちと同じものを目指してる、道を間違えてしまうことなんて……あるわけないよ」

 

「そうそうあるものではない、だが…………些細な意見の食い違いで、そうなることだってある、些細な事で正義の味方にも、テロリストにもなってしまう、ということを覚えておいて欲しい」

 

「………………わかった」

 

「そんなことそうそうありはせんだろうが、まあ警戒するという意味で頭の片隅にでも入れておけば良いさ…………問題は目の前の事態だ」

 

「うん…………それと、本当に事前に話した通りでいいんだね?」

 

「あぁ、遠慮はいらない」

 

招集の前にスザクにのみ話した最終計画、もし、猟犬部隊と黒の騎士団の戦力で敵を潰しきれなかった場合の策。

 

現状切り札的存在であるスザクの搭乗機、ランスロット・コンクエスター…………の、発展途上型とも言うべき形態の現在のランスロットを、【試験】目的で突入させるのだ。

 

コンクエスターと呼ばないのは、キャヴァルリーに比べ燃費は改善したが未だ本領を発揮し得ないためだ。

 

コード名で呼ぶのが筋ではあるが、キャヴァルリーとコンクエスターのどちらで呼んでも微妙な性能のため、ランスロットと呼んでいる。

 

それに…………どうにも私のガウェイン に手間取っているのか、ハドロンブラスターの未完成状態からくる開発の遅延が理由らしく、私からは強く言えないのだ。

 

ジークフリートの件もあるし、ここのところロイドには迷惑をかけ過ぎたから少し間を置かせるのがよいだろう。

 

ついでにキャヴァルリーではなくエアキャヴァルリーなのだが…………それでも私は騎兵(キャヴァルリー)と呼びたい。

 

「問題ない、むしろここで1人でも逃せばゴキブリのように増えるだろう……もしもの場合も起こさず、確実に殲滅する」

 

「そっか…………あれ?じゃあツキトのガウェインを使えばいいんじゃないのかい?」

 

「あいにく改修が長引いてな…………クロヴィス殿下によるデザイン監修というのもあって予想外に圧力がかかってな……」

 

「納得いくものじゃ無いとダメってことか……」

 

「それにな…………」

 

「それに?」

 

「作りかけを持ち出したら、ロイドに殺されてしまうだろ?」

 

「ぷふっ…………たしかに、ロイドさんなら大激怒すること間違いなしだね」

 

広域殲滅はガウェインの十八番、本来はそっちを持って来るべきなのだが…………改修中のものを持ち出せばロイドは必ずキレるからな。

 

キレたロイドを言いくるめられるほど頭も良く無いからな、私は。

 

立場を使っても良かったが、こんなことで関係に亀裂など入れたく無い、今後ともよろしくやっていくためには、そして、今後の特派の運びのためにも。

 

「これはまだロイドしか知らないんだが…………」

 

「なに?」

 

「近いうちに、特派を解体して別組織を作る」

 

「…………ということは」

 

「ようやく、カタチができる、ということさ」

 

そう、特派の解体と同メンバーによる再結成された組織、原作においてナイトオブセブンとなったスザクの専門技師的な存在となる、『キャメロット』の発足だ。

 

今まではスザクをラウンズにするのは難しいため、どうにも特派のキャメロットへの移行計画が難航していた。

 

しかし、日本エリアのトップであるアッシュフォードは既に我が手中にあり、裏で取り仕切ってきたキョウト側も自治区化への本格的参入によって下拵えはすんだ。

 

あとはそう、『キッカケ』さえあれば良かったのだ、特派の解体と再結成に伴う、『そうしたほうが楽でいい』と本国の腰だけは重い重鎮どもを納得させられるのなら良かったのだ。

 

その理由も、よもや天から降り注ぐ太陽の恵みが如く、勝手に降り立ってくれたのだから…………もう私は踏ん反り返ってほくそ笑んでもいいんじゃなかろうか?

 

いっそ供物を捧げるが如くといっても良いだろう、なにせあの中華連邦が我々に回答を示してくれたのだから。

 

故にすぐに書状を送った、今頃は議論(茶会)でもして、文字通りお茶を濁すつもりだろうな。

 

もちろん、マリアンヌへも送ってあるぞ?いやまあ、やりすぎ感はあるが………………重鎮どもが皇帝陛下に書状を通そうとは思わんだろうし、マリアンヌが会話の途中で少しでも言ってくれればそれでいい。

 

それで陛下がこちらにコンタクトを取るようであればよし、私を召喚しようと書状を送ってくるのなら尚のこと良しだ。

 

どう転んでもグッドかベリーグッドしかないこの状況、イージーモードで草はえる。

 

「でもツキト、ここの地域は特別なものがあって立ち入り禁止なんだよね?ヴァリスなんか撃ったら危ないんじゃ?」

 

「それなんだが…………実はウソでな」

 

「ウソって……資料にはちゃんと【神聖ブリタニア帝国皇帝直轄管区】ってあったよ?」

 

「それも全部ウソだ、ここは【神聖ブリタニア帝国皇帝直轄管理区】なんて大層な名前なんてついてないし、監視塔は物見櫓程度のものだし、有刺鉄線も廃棄処分のものを適当に張り巡らせただけの『何もないただの盆地』なのさ」

 

「ってことは…………」

 

「この地域そのものが、地形や建造物に至るまで何もかもがハリボテで、名前だってただの仮りの名前だ」

 

「そんな…………でも、皇帝陛下の名前を使っても大丈夫なの?不敬罪とかにならないかな?」

 

「本当の名前が決まるまでの仮名称として『たまたま』そう呼んでいただけさ、資料についても、私がそんなことを言った時に、書記が書き留めたものがそのままクレアらへんが資料として纏めてしまったのだろうさ」

 

「全部偶然、ってこと?」

 

「まあ、あくまでそういうことにしておいてくれ、あくまで偶然、そう、偶然なら仕方ないのさ」

 

クレアは真相を知っててやっているがな、さすがのあいつも苦笑いだったな。

 

不敬罪ギリギリをやらかしているわけだから、正直あまり良くないんだが…………大仰な名前をつけておけば、後々のプロパガンダとして使えるからな。

 

「ふぅ…………悪どいなぁツキトは」

 

「大義名分のためとはいえ、ウソをついたのは謝る」

 

さすがにこの件で私の首が飛んだら弁解のしようもクソもない。

 

まあ、たぬき被ってる皇帝陛下なら策の一つと解釈して放置してくれるだろうが、うるさいのは側近どもだろうな。

 

情報公開の時にはそこにも配慮しておかねば。

 

「危ない橋を渡るのはあまり関心しない、ルルーシュとナナリーはもちろん、僕だって怒るよ」

 

「本当にすまないと思っている、だからそう怒らないでくれ、お前が怒ると怖いんだぞ」

 

イケメンが怒ると本当に怖いんだ、ソースは幼少ルルーシュの魔王フェイス。

 

「まったくもう……そういうことはルルーシュとかユフィとかに相談してからにしてよ、そうしてくれれば僕たちも協力できるから」

 

「お前ほんとイケm……じゃなかった、ありがとうスザク、これからは相談させてもらうよ」

 

「うん、勝手に動かれるとナナリーが困っちゃうからね」

 

「なあその名前出すのは卑怯じゃないか?」

 

「戦いに卑怯も何もないんだよ?」

 

くっ!いい笑顔で言いやがって!このイケメンが!

 

「むぅ…………スザクに論戦で破れるとは……」

 

「僕だって勉強はしてるんだよ?この前のテストだって全教科平均80点を超えてたんだからね」

 

「私もテストを受けておくべきだったな……オール100点を見せつけられたのに」

 

「え!?100点なんて取れるの!?僕は一番高いのでも96点だったのに」

 

「さっきみたいな悪巧みをするのと比べれば何倍も簡単だぞ?答えは決まってるんだから後はそれを持ってくるだけでいいのだから」

 

むしろトンチのほうが難しくてかなわん…………ナゾナゾに弱いルルーシュを笑えんなこれは。

 

「遠いなあツキトは」

 

「私はかなり恵まれているからな、むしろもっと高みにいなければならないほどさ、内心ルルーシュとスザクの急成長にビビりまくりだよ」

 

気を落とすスザクに笑いながらそう自虐するように言った。

 

事実として私の人生はイージーモードすら生温いと言わざるを得ない簡単さだ。

 

アールストレイム家の長男に生まれ主人公たちの信頼を得て名前を捨ててもなお爵位や剣を賜ることができたこの幸運…………生かさずして何が転生者か。

 

私自身、人並みくらいには努力をしてきたが、ルルーシュとスザクとナナリーの日進月歩の進化には非常に驚いてしまう。

 

私というイレギュラーの介入が原作キャラの能力を底上げしているのか?だが基本的に私に近い人物に限定されている…………ということは、『外側』の力が何かしら影響を?

 

「………『外側』はやはり、邪神の類……?」

 

「邪神?」

 

「あぁ、なんというか、こんな大雨の日にこんな場所にいると、よくない事ばかり浮かんでしまってな…………ダメだな、気が滅入っては指揮に影響が出るというのに」

 

「たしかに雨は憂鬱になるけど、雨空を見ると心が現れているみたいで僕は好きだけどなあ」

 

「そのメンタルの7割……いや半分でもいいから分けて欲しいものだ……」

 

なんて呟いてスザクを見てみれば、口元に手を当ててクスクスと笑っている始末。

 

ごめんごめんと謝っているが、ならその肩の震えはなんだと言うのだ?

 

スザクの脇腹に軽いブローを入れてその場を後にした。

 

「ようやく、親友らしいスキンシップができたかな」

 

その呟き、しかと我が耳に入ったぞ。

 

「阿呆、スキンシップの有無程度で私のお前への親愛が揺らぐものか」

 

「ちょっ!?き、聞こえてたの!?」

 

「ハハハハハハ!ツキト・カーライルは地獄耳であるぞ!」

 

動揺して顔を赤らめるイケメンに向けて爆笑を送りつつ、その場を、今度こそ本当に後にした。

 

「…………僕もそうだよツキト、そんなこと、わかってるはずなのに………ダメだな僕は、親友に順位なんてない、当たり前じゃないか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつはっ!……あいつは本当にっっ!…………////………………アァァァ!!!私の心を乱すなァァ!!!//////」ガンガン

 

イケメン過ぎんだよこんちきしょおおおおおおおおお!!!!!!!惚れるわあああああああああああ!!!!!!!!

 

「あんた…………ホモなの?」

 

「じゃかぁしぃ!!あんなイケメンにあんなこと言われたら赤面待った無しなんだぞ!?むしろここに来るまで耐えた私を褒めろ!!」

 

「気持ちはわかるけど…………まあ、うん、よくできました?」

 

この後冷静になるまでめちゃくちゃティータイムした。




ところでこれ、ボーイズラブの範疇なんですかね?
一応つけといたほうがいいでしょうか?

ま、保険にはなるはずでしょうし、つけときましょう。

ついでに、沖田オルタは宝具レベル3、岡田以蔵さんは宝具レベル5になりました。

わしはァ!ガチャのォ!……天ッ…才じゃあああああああああ!!!(50K使いました)

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