コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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その『剣』を交えて

ツキトside

 

 

『これより、私、ミレイ・アッシュフォードが、ツキト・アールストレイム卿とナナリーランペルージの模擬試合を開始を宣言します!』

 

 

 

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」

 

 

 

とうとう来てしまったナナリーとの対決の日、今日はラウンズの正装だが、マントは外して動きやすくしている。

 

ナナリーはフェンシングの防具をつけている、私は何もない、というかただでさえ視野が狭いのにあんなものつけたら何も見えないからつけなかった。

 

『本試合において、ブリタニアの剣による決闘ルールを採用しますが、アールストレイム卿は右目が見えないため、特別に防具を着用せずに試合をしてもらいます』

 

『決闘のルールについて説明いたします、決闘を行う二人は引かれた線の中で打ち合ってもらいます、武器はレイピア、ロングソード、ショートソード、バスタードソードの中から選択します、また、どの武器でも盾を持つことが許可されています』

 

半径2.5〜3mほどの円の中で模擬剣で打ち合う、シンプルで素晴らしいな。

 

『今回はハンデを考えナナリーランペルージに対するアールストレイム卿のすべての攻撃は【有効】とします、【有効】を三回取ればアールストレイム卿の勝ち、アールストレイム卿に一撃を入れられたらナナリーランペルージの勝ちとなります』

 

たった三回殴ればいい、シンプルで簡単で素晴らしいルールだな。

 

『そして!皆さんご存知の通り、この試合は二人の意見の違いによって引き起こされたもの、どちらかが勝った場合、勝った方が負けた方に命令することができます!』

 

勝ったら別れる、だから勝つ、それだけだ。

 

『では試合前にナナリーちゃんに何を命令するつもりなのか聞いてみましょう!何を命令するつもりなの?』

 

『えっと…………き、キスを………』

 

『なんとキスです!まだキスをしていなかったことに驚きです!』

 

観客席から悲鳴が上がる、というかさっさと始めろ、こっちだって暇じゃないんだ。

 

『それでは、今度はアールストレイム卿に聞いてみまs『いいからさっさと始めろ、こちらも暇じゃないんだ、このあと総督府に行って会議があるんだ、こんな茶番をいつまでも続ける気なら私はもう行くぞ』

 

いい加減我慢の限界だったため話を切った、会議なんてのは嘘だ、実際はスザクを迎える準備をしなければならない、そのために早くクラブハウスに戻り咲世子と飾り付けしなければならない。

 

『あ、その……ごめんなさい、では始めます、両者構え』

 

さっさと終わらせるか。

 

『……………あのーアールストレイム卿?』

 

「なんだ?」

 

『えっと、構えを……』

 

「必要ない、どこからでもこい」

 

腰に手を当て幼少期より使ってきた模擬剣を右手に握りだらりと下げる。

 

「………ツキトさん、ふざけているのですか?」

 

イラついているな、ルルーシュと同じで負けず嫌いなうえ変にプライドというか美学がある。

 

「ふざけてなどいない、貴様にはこれで十分だからな」

 

レイピア一本で私に勝てる者などおらん、ジェレミア卿を除けばな。

 

「…………では、いきます!」

 

ステップを踏んで突きを放ってくるナナリー、顔狙いか、これくらいはどうということはない、普通に避けていればいい。

 

次は左腕…………と見せかけた右腕狙いか、これも難なく避けていく。

 

無抵抗は趣味ではないからレイピアを下げた状態から振り上げる。

 

ガァンッ!

 

「っ!」

 

「ん?」

 

嫌な音がしたと思ったら体育館の床にレイピアが刺さった、ナナリーのレイピアだ。

 

まさかレイピアが弾き飛ぶとは思わなかったぞ。

 

「…………おい、これはどういう判定だ?」

 

『え〜、今のはナナリーちゃんが剣を落としたのでアールストレイム卿に有効ですね』

 

おお、こんなんで有効が取れるのか、楽勝だな、夕飯のおかずを考えよう(慢心)

 

ナナリーが突き刺さったレイピアを引っこ抜いて構え直す。

 

私もそろそろ構えたほうがいいか。

 

左手に持ち替えて………。

 

『おーっとこれはどうしたことでしょうか!?アールストレイム卿なんと左手に持ち替えました!右利きのはずのアールストレイム卿が左手に持ち替えたということは、余裕の表れなのでしょうか!?』

 

そうだよ(便乗)

 

実際余裕だ、もし相手がスザクなら最初から右手でかつ無理してでも先手を打っていくだろうな、ジェレミア卿相手ならそこまで必死こいて先手を取る必要はない、というより先手を取れても負けることがあるし、先手必勝、とは必ずしもいかないものだ、スザクは条件さえ揃えば一方的にボコれそうだが、私の肉体の再生速度が追いつくかどうかわからない、いずれ裏切るのだから早いうちに対策を…………っと。

 

ブンッ!

 

「危ないじゃないか」サッ

 

試合だということを忘れそうになった、体が反応してくれたみたいでよかった、ミスって一撃をもらって口の純潔を散らすのは御免だ。

 

「後ろに!目でも!ついて!いるんですか!!」

 

『!』のところで斬りかかってきているが、まあ、なんだ、筋はいいんだ、だが人殺しの剣じゃない、だからその…………やる気が出ない。

 

いや決してナナリーが弱いというわけではないんだ、一般的には強い部類に入る、だが…………。

 

「いかんせん相手が悪かったようだな…………」

 

レイピアの先でナナリーのレイピアをにぎる右手にを突く。

 

「痛っ!」

 

痛みでレイピアを落とし右手を左手で覆うナナリー、そうとう痛かったようだ、一応言っておくが、手は抜いてあるぞ?キチンとな。

 

『アールストレイム卿今の攻撃は有効と判断いたしました!これで双方のライフは残り1!開始から二分でクライマックス突入!勝利の栄光はどちらの手に!?』

 

…………『勝利』、か。

 

私はジェレミア卿との何千にも及ぶ戦いをしてきた、今は私の負け越しだ。

 

負け越しのまま日本に来て、戦争という名の蹂躙が始まり、そして私は厳島の戦線に参加し、負けた。

 

日本人たちに『厳島の奇跡』と呼ばれたその勝利は我々ブリタニアにとっての敗北だった。

 

私は、ジェレミア卿に負け越したあの日から、すべてにおいて敗北してしまっている。

 

第二次シンジュクゲットー壊滅作戦、あれも敗北だった。

 

つまり…………。

 

「………!」

 

「っ!…………危ない危ない」

 

実際今のは危なかった、あともう少しでかするところだった。

 

「フッ!」

 

まずいな、ナナリーの攻めが激しくなってきた、左手ではキツイか、だが試合中に持ち替えるのは反則行為、休憩時間ならともかく、今やれば確実に……危な!

 

「くっ!」

 

「ツキトさん、私だって、弱いままじゃないんですよ!」

 

まず!手を抜きすぎて怒らせてしまった!?

 

「ぐっ!」

 

くそ!手加減してなければ勝てるというのに!避けきれ…………。

 

ピシッ!

 

「あっ…………」

 

「…………」

 

「「「「……………」」」」

 

『…………あ、当たった……………はっ………い、一撃入りました!ナナリーちゃんの勝利です!!』

 

「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」

 

…………負けた、か。

 

悔しいとは思わないが…………一言だけ言わせてもらうなら。

 

『また勝てなかった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

括弧(格好)つけては見たものの、敗北であることに変わりはなく、その後表彰式という公開処刑に近い形で全校生徒の目の前でナナリーとキスをさせられた。

 

男子生徒諸君の嫉妬がすごかったが、『私は悪くない』『だって』『私は悪くないんだから』

 

括弧(格好)つけるのはここまでにして、キスシーンの描写がないことについて言ってしまえば至極簡単なことだ、あっさりすぎて描写することができなかったからだ。

 

キスというのは感情的になって行うものが多い、例えば、好きだから、とか。

 

つまり何かしらの主観的な感情があって初めてキスによる描写が書けるわけで、特にこれといった感情を持たなかった私にキスについての感想を述べよと言われても柔らかかったくらいしか言えないのだ。

 

だから勝手に妄想してくれると助かる、それでも感想を述べよと言うなら、強いて感想をあげるなら、ナナリーのキスする寸前の表情が完全に獲物を追い詰めた猛禽類か何かの獣の顔だったことだろうな。

 

クラブハウスに戻ってシャワー浴びて着替えて校門前に行って、十分余るのか、ちょうどいいか、さっさとやってしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナナリーside

 

 

や、やってしまいました………。

 

ついにツキトさんとキスを…………〜〜〜〜〜!!//////

 

顔があついよぅ………でも、幸せだったなぁ。

 

た、頼んだら、もう一回してくれるかな?

 

確かクラブハウスに行ったんだよね、ちょっと行ってみようかな。

 

クラブハウスの中に入ると壁一面に付けられた色々な飾りが目に入る、視線を動かすと咲世子さんがツキトさんの着替えを運んでいた。

 

「あ、おかえりなさいませナナリー様」

 

「ただいま咲世子さん、ツキトさんはどこに?」

 

部屋の飾りも気になるけど今はツキトさんが気になります。

 

「ツキトさんならシャワー室に…………あ、せっかくですし、ナナリー様がお着替えを持って行かれては?」

 

「私がツキトさんの着替えを?」

 

「はい、運が良ければ裸が観れるかもしれません」

 

「つ、ツキトさんのははははははは裸!?!?み、見たい!見たいです!!」

 

ツキトさんの露出度の高い格好を観れるなんてラッキー!

 

日本で小学生になった頃、パーカー姿のツキトさんを見たのが一番最近でした、私の記憶の中ではあれが一番露出度が高かった気がします。

 

「ではこちらをお願いします」

 

と言ってツキトさんの着替えを渡される。

 

「はい!頑張ります!!」

 

その着替えを受け取りシャワー室に急ぐ。

 

咲世子さんは裸以外は見ていると言っていたので羨ましかったのです、でもついに私にも裸を見るチャンスが!これを機にツキトさんに急接近します!そしてゆくゆくはツキトさんと結婚して…………〜〜〜〜〜!!//////

 

ダメダメダメ!まだどういうのは早いです!////

 

なんて妄想しながらシャワー室の前でドタバタしてたらいきなりシャワー室の扉が開いた。

 

「おい咲世子、少しうるさ……い…………ぞ……………………」

 

ツキトさんが大きなバスタオルを体に巻いてシャワー室から出てきた、咲世子さんと思って出てきたら私だったということに驚きを隠すこともできずそのまま固まるツキトさん。

 

筋肉はほとんどないんですね、髪も長いし本当の女の子みたいです、こんな妹とかいたらなぁ…………はっ!いけないいけない、ツキトさんがかわいすぎてつい意識が飛びそうになってました。

 

「………ナナリー様、なぜここに来たのですか?」

 

学校にいた時とは違う従者としての話し方、私は学校にいた時の話し方のほうがよかったなぁ。

 

「お着替えを持ってきたんです、あ、体を拭くの手伝ってもいいですか?」

 

ツキトさんの質問に答えるだけにしようと思ったら思わずそんなことを口走ってしまった、あぁ……嫌われたかなぁ?

 

「…………では、ナナリー様は髪をお願いします」

 

思ってもみなかった返答、嫌われてはいないことに安堵しているとツキトさんは鏡の前の椅子に座った。

 

「はい!頑張ります!!」

 

私はツキトさんの髪を乾かしながらヘアブラシを使って整える。

 

「どうでしょうかツキトさん?」

 

「ええ、気持ちいいですよ」

 

目を閉じて普段は中々見せない優しい微笑みをしているのを鏡の向こう側に見て、ドキッしてしまう。

 

恥ずかしくて視線を下げるとバスタオル一枚で体を隠したツキトさんの隠しきれなかった鎖骨が見える、それがとても官能的で……………ものすごくドキドキしました。

 

髪を乾かし終え、シャワー室の外に出る、今私絶対顔真っ赤だよぅ…………。

 

しばらくするとツキトさんが服を着てシャワー室から出てきた。

 

「ありがとうございました、おかげで助かりました」

 

と笑顔で言って出かけていった。

 

今私すごいドキドキしてる…………ツキトさんにお礼を言われたのはいつ以来だっけ………………。

 

ツキトさんに感謝される、ツキトさんが声をかけてくれる…………あは、もう完全に惚れちゃったなぁ。

 

シャーリーさんは恋はパワーだって言ってたし、もっとグイグイ押したほうがいいかな、まずは報告しないとだね!えっと、『ツキトさんの髪を乾かしたらお礼を言われちゃいました!』よし!送信!

 

はぁ〜〜〜………………まだドキドキしてる、ツキトさんが目の前にいたら押し倒しちゃう自信があるくらいドキドキしてる。

 

今日はちょっとだけ大胆に添い寝をお願いしてみようかな……………ツキトさん優しいから、たぶんOKしてくれると思うし………………。

 

……………ふぅ、ちょっと落ち着くためにシャワー浴びようかな。

 

とシャワー室に入ると脱衣所の洗濯機に無造作に放り込まれたツキトさんの汗の染み込んだシャツが目にとまった、いや、目にとまってしまった。

 

無意識のうちにシャツを手に取りシャワー室から出て自分の部屋に入ると鍵を閉めてベッドに飛び込み布団を被る。

 

そして持ってきてしまったシャツを躊躇なく鼻に当てがい、思いっきり吸い込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

ナナリーのおかげで綺麗に乾いた自分の髪をいじりながら校門前にてスザクを待つ、私が女だったら確実にデートの待ち合わせか何かだな。

 

まああいつの場合、男女問わず【待った?】【全然、今来たところ】という応答をするだろうがな。

 

時間的にはそろそろのはずだが…………。

 

「ツキトーー!」

 

おお、制服を着ていて一瞬わからなかったが、実によく似合っていて逆に自然だった。

 

「ごめん、待ったかな?」

 

「いや、まったく、さっきついたばかりだ、では案内しようか」

 

「うん、お願いするよ」

 

もはや定番とも言えるやりとりを終え、校内を案内していく。

 

校舎にも入って教室を案内して行く、移動教室で行く予定の化学室やら頻繁に行くであろう体育館も案内する、最後にはクラブハウスを案内し、中に入る。

 

「うわぁ、すごく綺麗だ………」

 

スザクが感動の声をあげる、成功したようでなによりだ。

 

「すごいだろう?スザクが来ると聞いたルルーシュ様が提案されてな、私とメイドの咲世子とともに飾り付けたんだ」

 

まあ体力のないルルーシュは折り紙だけで指がつったので飾り付け自体はしていないがな。

 

「そうなんだ、素直に嬉しいよ、ありがとう」

 

「頑張ったかいがあった、咲世子、食事の準備を頼む」

 

「はい、すぐに」

 

「ああそれと、ルルーシュ様は?」

 

「自室でお休みになられております、ナナリー様も自室でお休みに」

 

「すぐにでも会わせてあげたかったが、仕方ないか、スザクは座っててくれ」

 

「僕も手伝うことはないかな?」

 

「客人はゆっくりしててくれ…………と言いたいが、せっかくだ、ルルーシュ様に寝起きドッキリでもしてくるといい」

 

「え?いいのかい?」

 

「ああ、準備には5〜6分はかかる、再開ついでに話でもするといいだろう」

 

「わかった、ちょっと話してくるよ」

 

スザクはルルーシュの部屋に向かった、さて、ナナリーを起こしに行くか………………ん?

 

「鍵がかかっているな…………」

 

どうするべきだろうか、ここは無理に起こしてしまっても大丈夫かもしれないが、もし疲れて眠っているならそのまま寝させてやったほうがいいだろう、だがお腹を出して寝てたりしないだろうか…………って私はなぜこんなに心配しているんだ?いや、従者だから当然か………。

 

「咲世子、少しいいか?」

 

「なんでしょうか?」

 

少し思案して咲世子にナナリーの様子を見に行ってもらうことにした。

 

「ナナリー様の様子を見に行ってくれないか?お腹でも出してねてたら風邪を引いてしまうかもしれない」

 

「わかりました、ではツキトさんは料理のほうを頼めますか?」

 

「ああ、わかった、ナナリー様は頼んだ」

 

「はい」

 

咲世子は返事をするとナナリーの部屋に向かった、ピッキングでもするのか?いや、たぶん屋根裏から侵入するのだろう。

 

「さて……………料理のほうは終わってたのか、じゃあ運ぶか」

 

すでに綺麗に盛り付けられた様々な料理をテーブルに運ぶ、およそイレブンが一生のうちに食べることができるかわからない高級料理も中にはある。

 

ユーフェミアとスザクはこの高級料理をエリア11の誰でも食べれるようにしようと頑張っている、ルルーシュはこの高級料理をブリタニア人が二度と食べられないようにしようと頑張っている、私は火種であるその高級料理を使って争いを強いる…………それが現状だ。

 

どんなに難しい言葉を使ったところで、結局はお菓子の取り合いのようなものでしかない。

 

悲しいものだな、っと、これはC.C.用か、持って行ってやるか。

 

C.C.の部屋に入る、ノックはしない。

 

「C.C.、飯を持ってきたぞ」

 

「やっと私の出番か…………」

 

おいメタいぞ。

 

「メタいこと言うんじゃない、作者も扱いに困ってるんだよ」

 

「それでも出番少なくないか?咲世子のほうが出番が多いくらいだ」

 

「マオ編まで我慢しろ、って言っても、作者に詳しい心理描写とかは不可能だけどな」

 

「なんで小説なんて書いてるんだよ…………はむ、ん、うまいな」

 

「咲世子の手作りピザだ、キノコも入っててヘルシーだろう?」

 

「モグモグ………確かにな、暇な時にでも頼んでみるか」

 

「ま、その辺は自由にしてくれ、それと、食べ終わったら掲示板のほうに噂を流して欲しいんだ」

 

「噂?」

 

「ああ、【エリア11総督府がナンバーズの優遇政策を考えている】とな、それとなく流してくれればいい」

 

「わかった…………これからどうするつもりなんだ?」

 

パソコンを立ち上げながらそう聞いてくるC.C.。

 

「戦争の前準備だよ、C.C.」

 

「戦争?なんだ、総督府とドンパチやるのか?」

 

「最終的にはそれも視野に入れている、だがまずは小さな戦争、いわば火花だ、それくらいちっぽけな戦争をするんだ」

 

「火花ねえ、マフィアの抗争でもあるまいし、もっとドンパチやってもいいんじゃないか?」

 

「本来ならもっとドンパチやりたいのは山々なんだが、今の騎士団ではせいぜい警察程度の組織力しかないからな」

 

「ルルーシュは増員したと言っていたが……」

 

「KMFを操縦できるパイロットはそう多くない、ましてイレブンが操縦などできるはずがないからな」

 

スザクでもない限りはな。

 

「それに、今回は小競り合い程度でちょうどいいんだよ」

 

「なぜだ?」

 

「【厳島の奇跡】を知っているか?」

 

「侵攻するブリタニア軍が唯一敗北した戦線で、お前の日本における初黒星か」

 

「その奇跡以来、日本人は奇跡を渇望しているんだ、そこにゼロが現れ、見事ブリタニア軍を撃退する、そうすれば人々はゼロを見て今まで渇望していた奇跡を起こすにたる人物だと認める、そうすれば今まで以上に増員が見込めるだろう」

 

できればナリタでの決戦の時くらいにはKMF大隊2〜3個(だいたい100機くらい)は欲しいな、そうすれば土石流の後の掃討戦が少しは楽になるだろう。

 

「なるほど、今の騎士団では小競り合い程度の戦力しか倒せないからな」

 

「だからこそ……………サイタマゲットー壊滅作戦が鍵になる」

 

原作では敗北したが、ここはもう原作ではない、ナナリーの目が見えていてV.V.が死んでいて陛下の目論見が潰えていて私が不死身となった時点で、すでに私の計画は成功したようなものだ、よって、サイタマゲットー壊滅作戦は確実にブリタニア軍が敗北する、私がいるんだ、負け続けてきた私がな。

 

「【サイタマゲットー壊滅作戦】か、ツキトの資料によるとテロリストの掃討が目的だったか」

 

「ああ、地形はシンジュクゲットー同様、瓦礫だらけだ、だが…………」

 

「同じ戦法は通じない、か?」

 

「その通りだ、コーネリアはクロヴィス以上に頭が回る……………ルルーシュ様の戦法にも対応してくるはずだ」

 

「ではどうするつもりなんだ?」

 

「前提条件は【勝つこと】だ、騎士団の損耗を抑え、ブリタニア軍に痛手を負わせればそれはもう【勝ち】と言えるだろう?」

 

「なんだ、逃げること前提なのか」

 

「それ以外では勝てんからな、大昔より、戦いというのは物量だと決まっている、本腰据えて叩かれる前に逃げてしまえばいいのさ」

 

「何も勝つまで殴りあう必要はないということか」

 

「そういうことだ、そこでお前の仕事だ、サイタマゲットーの地図を作ってくれ、地下道やら裏道やらすべてを描いてくれ」

 

「なかなか面倒くさい仕事だな…………まあいいか、やっておく」

 

「頼んだ、では私は向こうに戻るよ」

 

「楽しんでこい」

 

C.C.の声を背中に受けながら扉を開けて出る、ルルーシュ達はすでに食事を取っていた、スザクもルルーシュに会えて楽しそうだ、ナナリーは…………ん?顔を真っ赤にしてしなったようだな、何があったんだ?

 

「おい咲世子、ナナリー様は風邪を引いたのか?」

 

「いえ、乙女の事情です」

 

「乙女の事情か、なら仕方ないな」

 

乙女の事情ならば詳しく聞かんほうがいいな。

 

「そ、それにしてもスザクさん、来るのなら言ってくれればよかったのに………」

 

赤面して気まずそうにしていたナナリーがそういった。

 

「申し訳ありませんナナリー様、サプライズのほうが感動も増すものと考えまして、お気に召さず申し訳ない限りです」

 

と、ちょっとだけ悲しそうな顔で言ってみる、自慢じゃないが結構得意なんだよ、表情を作るのは。

 

「え、いえいえいえいえ!ツキトさんは悪くないんです!私が悪いんです!文句言ってごめんなさい!」

 

「ナナリー様!そんなに髪を振り乱してはソースが髪についてしまいます!」

 

や、やりすぎたか!?いやでもこれはナナリーせいだ、うん。

 

「ああああ、ごめんなさい………」

 

落ち着いたナナリーは意気消沈してしまい元気が無くなってしまった。

 

おいルルーシュ、スザク、なぜ私を睨む。

 

「ツキト、ここはナナリーを抱き寄せて『大丈夫だよ』って声をかけるところだろう!」

 

この変態シスコン野郎が!黙っていろ!!

 

「ツキト、やっぱりここは頭を撫でながらニコッって微笑みかけてあげるべきだよ!」

 

だぁってろこの変態ホモ疑惑野郎!

 

「ツキトさん、やはりここは指先で涙をぬぐい、ナナリー様の顎を持ち上げて接吻するのがよろしいかと」

 

「お前もかこの変態ド天然美女メイド!!!」

 

ちくしょう!なんだって私がそんなことしなければ…………。

 

「えぐっ………ごめんなさい………」

 

え?なんで泣いてんの?ちょっと展開が見えない。

 

「あーツキト泣かせたー」

 

「えちょ、スザクこれはどういう………」

 

「これはさっきみたいなシチュエーションをやるしかないなー」

 

「ルルーシュ様まで!?」

 

くそ!何がどうなって…………ん?

 

「えぐっ…………(チラッ)……えぐっ」

 

ハハァーーン………そういうわけか、なるほどねえ……。

 

口を開けば女を口説いている私にナナリーに向かって告白まがいなことをさせて強制的に結婚させようとする算段か。

 

おそらくアイディアは咲世子だろうな、この計画も【乙女の事情】に入っているのだろうな、おのれ咲世子。

 

さて、これに乗ってやろうか、それとも否か、クックックッ…………この私を愚弄した罪は高くつくぞ咲世子。

 

 


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