コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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ちょっと開きましたが、作者は元気です。

前回でツキトくんがものすごく追い詰められておりましたが…………お前マジで優柔不断だからこうなるんだぞコラ、というお手本に……。

実際、作者にアーニャレベルのスーパープリティな妹がいたら襲ってます、もう確実に、嫌われてても無理やりやっちゃいますね。

だって絶対理性保た…………おっと?ヤフ◯ショッピングで頼んだお菓子が届いたのかな?


『身の内の敵』を潰すため

『お願いの内容は後で聞く、アールストレイムは職務に戻れ、そしてナナリーはクラブハウスに早く帰れ』と、そう言ってやや強引にその場を離れた。

 

きつく言ったつもりだったが、2人とも笑顔のままで見送ってくれた…………なぜか背筋が凍るほど怖かったのが印象に残っている。

 

タクシーを拾って総督府へ向かい、自分の執務室で変装し、そこからタクシーで病院へ向かった。

 

病院でタクシーから降りて徒歩でシティへと入り、騎士団本部に到着した。

 

こんな面倒な方法を取るのは非効率であるが、臆病に、慎重に行かなければならない理由がある。

 

仮にもラウンズの身である私が、騎士団と個人的な密会に参加していたなどと広まれば、今の立場も全て失いかねない。

 

だからこそ慎重に慎重を重ねた上で、臆病なまでに抜き足差し足で行かねばならなかったのだ。

 

まあそれも、会議の内容次第では無意味に終わる可能性が高いのだが。

 

会議室であるゼロの部屋までの直通ルートに団員は1人もおらず、身分の確認をされることなく無事に通過、ノックをする。

 

「エリーよ」

 

『エリーか、今開ける』

 

部屋のドアを開く、中に入ると正面に半円形のソファと円い机があり、そこには衣装を着込んだゼロ(ルルーシュ)が座っていた。

 

ドアを開けてくれたのはC.C.のようで、こちらも例のタキシードを着ている、髪はいじっていないのか、ストレートのままだ…………素材はいいのに勿体ない。

 

「お前にしては遅かったなエリー、何かあったのか?」

 

「いやぁ〜、移動に時間かかっちゃってさぁ」

 

なんてC.C.と話しながら部屋に入る。

 

C.C.はドアを閉め、数秒待ってからもう一度ドアを開けて部屋の外を確認し、盗聴の恐れがないか確認してからドアを閉めて言った。

 

「よし、ゼロの言う通り誰もいないぞ、エリー」

 

「…………ふぅ………自分を偽るのは疲れます」

 

「俺も同意見だツキト」

 

二重、三重の仮面をかぶっているルルーシュと私は小さくため息をついた。

 

私はエリーの役をやめ、ブリタニア・騎士団両方の意見をもったツキト・カーライルとして会議に参加する。

 

ルルーシュは仮面を脱いだが、ここではゼロとして会議に参加するようだ。

 

ルルーシュのとなりに座るC.C.、私も座ろうと足を進めたが、円卓に飲み物がないことに気がつき、部屋に設置された冷蔵庫に向け方向転換した。

 

「ルルーシュ様、C.C.、飲み物は何にしますか?」

 

冷蔵庫を開けて中にあるものを取り出しながら言う。

 

そういえば、本部に来るたび少しずつ貯めてきたスナック菓子があったな、それも出すか。

 

ポテチ…………うーん、ポッキーだな、ポテチで油まみれのゼロは、なんというか………違う気がする。

 

「俺は適当なジュースでいい」

 

「私も同じのでいいぞ」

 

「かしこまりました」

 

で、ここにぶどうのジュースとオレンジのジュースがあるわけだが…………ラノベのようにぶどうのジュースがぶどうのお酒だった、ということはなく、匂いを嗅いでみたが普通に市販されているもののようだ。

 

氷をいくつかコップに入れ、ぶどうのジュースを注ぎ入れる。

 

ジュースを冷蔵庫にしまい、菓子入れの棚からポッキーのほかにピザポテチを取り出してお盆に乗せて運ぶ。

 

「お待たせいたしました、ルルーシュ様はこちら、C.C.はこっちだ、ついでにこれも」

 

「おぉ、気がきくなツキト、これもまた好きな菓子でな」

 

どうやらお気に入りの菓子だったようで、嬉しそうにピザポテチを受け取ると早速開いて食べ始めた。

 

「おいC.C.」

 

「ルルーシュ様にはビターチョコポッキーを用意させていただきました」

 

「あぁ、ありがとう………いやツキト、これは会議なんだぞ?飲み物はわかるが菓子というのは……」

 

「そうは仰いますが…………ルルーシュ様はどうも睡眠不足気味のように見えましたので」

 

ゼロの眼はキリッとしたツリ目だが、今日に限ってその凛々しい目元にクマが出来ており、咲世子あたりがメイクで隠したようだが、私にはまだ若干だが青く見える。

 

というか、最近は相手の状態が見ただけで多少なりわかるようになってきたのだ。

 

100数年分の精神をもってしてようやく、器を図る眼を手に入れられたのかと、少し嬉しくなった、なったのだが…………。

 

何故だろうか、時々、眼帯をしていて見えるはずがない右眼の視界が見えることがある。

 

…………今は深く気にしないほうがいいな。

 

「…………お前に隠し事はできんな」

 

「共に過ごさせていただいた時間は、それなりに長いほうでございますので」

 

「お前のその観察眼には、俺自身ずっと助けられていたしな…………そのせいで負けたことも多いがな」

 

「チェスに関してのことでしたら、次の手が想像しやすかったことと、あとは表情と眼、ですね…………それでだいたいは勝てます」

 

「レベルが高すぎるだろそれは…………」

 

「ルルーシュ様にも、王としての………人を使う力がございますよ?」

 

「世辞はやめろ」

 

「いいえ、私はお世辞などでこんなことは申しません…………人は誰しもが身勝手な生き物、基本的に他人に命令されるのが嫌いなものなのです、しかし…………ルルーシュ様には類い稀な『指導者』としての素質がございます」

 

「俺に?……バカな、根拠は?」

 

「ただのテロリストの寄せ集め掻き集めの『烏合共』を、正義のために剣をとる『騎士団』にまで成長させたその手腕こそ、何よりも確かな根拠…………私の魂にかけて保証いたします」

 

原作でもそうだが、ルルーシュの指導者としての才能は高く、人間らしい弱い側面を持ちながらギアスの力に溺れず、どうしようもない状況でのみジョーカー(切り札)として使う程度。

 

信頼を得るため危険と知りながら自ら最前線に指揮官として出たり、同志の命を考えた作戦を立案する一方、『必要な犠牲』と割り切って考えられる精神力がある。

 

ルルーシュの器は、確実に平々凡々なものではなく、人間の集合地帯である国家を指揮できるものであることは、もはや思い起こすまでもなく、確信を持っている。

 

「それに…………私は王の素質無き者に、仕えることはありません」

 

「…………本当か?」

 

「不敬な物言いになりますが…………ルルーシュ様に素質がなかったら、私はそもそもヴィ家に手伝いなど行っていなかったでしょう」

 

王になれぬような半端者に仕えてやるほど、私は優しくはない。

 

「当時の私なりにルルーシュ様について徹底的に調べ、確信を抱きました」

 

調べた、なんていうのは真っ赤な嘘だ。

 

原作を知っているからこそできる心理の分析のようなものだ。

 

最初から知ってることを言っているに過ぎない。

 

「それは……どんな確信なんだ?」

 

「『この方は、将来、王になる』…………それがどのような王であるかは幼き私にはわかりませんでした、しかし、王になると確信した方に仕えられるのならば、私にそれ以上の喜びはない………故に、私は何の憂いもなく仕えていられるのです」

 

「フッ…………お前には謙虚なやつだと言ったが、訂正する…………お前ほど強欲な奴はいないだろうさ」

 

笑いながらそう言ったルルーシュ、クマを作りながらも今日一番の晴れやかな笑顔だった。

 

「ツキト、俺が王となる男なら、お前はどこまでもついてきてくれるか?」

 

「むしろ、ルルーシュ様以外に仕える気など毛頭ございません…………我が忠誠は、ただ1人の王になられる御方のために、それだけのために……」

 

ルルーシュの前に跪き、臣下の礼をとる。

 

「…………これからも、頼むぞツキト」

 

「我が王の勅命、喜んで拝命いたします」

 

今一度、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという王に、臣下としての役割を担うことを誓う。

 

「これより先、如何なるをも粉砕し、我が王の前に跪かせることを誓います」

 

「やはり…………俺は最高の友人と、最強の騎士を得ていた」

 

「………………そろそろ会議を始めないか?」

 

感極まって涙でも流しかねないルルーシュに、待ちぼうけを食らっていたC.C.がピザポテチを食いながら横からそう言ってきた。

 

「あ、あぁ、すまんなC.C.」

 

「この性別不詳のピンク髪はお前以外を主人とは決して認めないんだ…………お前は嫌う言葉かもしれんがあえて使うが、こいつがお前を裏切ったりすることは『絶対』に無いぞ」

 

「C.C.………たまには気の利いたことも言えるんだな」

 

「俺もピザばかり食ってるのかと思っていたぞ」

 

「誰が情報のコントロールをしてやってると思ってるんだお前ら!」

 

珍しく声を荒げるC.C.、ルルーシュもやや驚いた様子だ。

 

「怒るな怒るな、軽く流せC.C.」

 

立ち上がりながら膝を叩いて汚れを落とし、ルルーシュの隣に座る。

 

ちょうど、ルルーシュをC.C.と私で挟み込むような構図になる、まあ、当然ながら距離は開けてあるがな。

 

「C.C.の情報統制には感謝している、私に関する情報………特に、ナナリー様などの情報を不眠不休24時間体制で監視し、発信源をウィルス攻撃するなんてこと、お前くらいしかできないことだからな」

 

『不死身・不老不死』=『休憩要らずの超超高効率な労働力』であるならば、不眠不休の監視業務も1人でできるため、複数人のグループを作ってローテーションを組ませたりする必要がなくなる。

 

単独での任務は往々にして対応能力が低いことを意味するが、グループ毎のローテーションによる情報の齟齬を防ぐことが重要であるため、対応能力の低さは問題にならない。

 

ウィルスもラクシャータが開発した逸品で、ファイアウォールなぞ紙切れ同然に通過する、政府のガッチガチのセキュリティは厳しいが、個人から感染させればいい。

 

ウィルスは、感染すればインターネット上のあらゆる発言、書き込みから呟きアプリ等のアカウントの削除など、情報流出を防ぐ能力に特化しているものだ。

 

ネットサーフィンをしつつ怪しい者がいたならば、C.C.はそいつに泥団子を投げつけるようにウィルスを流し込むだけの単純な作業だ。

 

怪しい奴をウィルスで(個人情報を)ぶっ飛ばすだけの単純明解な作業…………が、単純すぎる故に、私は複数人でのグループ・ローテーションを良しとしなかった。

 

慣れると杜撰になるのは人の常、

そうなっては情報流出が防げても無関係の国民をウィルスに浸してしまうことになりかねない。

 

ブリタニア人に恨みを持っている者であれば、誰彼構わずウィルスを撒き散らす可能性もあり、どうしても騎士団の人間にはやらせるわけにはいかなかったのだ。

 

故に、監視とウィルスの流し込みを私と同類のC.C.が、特段恨みもないブリタニア人のラクシャータが『研究』目的で作成したウィルスを使う。

 

ラクシャータは自分の作ったウィルスのことなぞ気にも留めていないだろう…………何かしら興味の引かれそうな別の目標を目の前にぶら下げておけば、提灯鮟鱇に釣られた魚の如く脇目も振らずに飛びついていくのだ。

 

この体制ですでに1年以上やっているが、情報が流出したことは未だ一度もなく、ラクシャータがウィルスの使用に勘付いた気配もない。

 

私としてはこんな言葉は使うのが戸惑われるが…………まさに『完璧』な対応だと言うほかない。

 

久しぶりに自分を褒めたくなってきたぞ…………反省することが多過ぎて結局は保留になりそうだがな。

 

「ふん……だったらもうちょっとは崇めろ、ピザ以外にも貢げ」

 

「ふむ、リーマンチーズ君DXサイズでいいか?」

 

「……………部屋に入らんからLサイズでくれ」

 

妙なところで安い女だな本当。

 

まあ高いよりかは安いほうがいい、物によるが、大抵のものは安いに越したことはないだろう。

 

「では…………ルルーシュ様のお考えをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」

 

「あぁ………………知っての通りだが、騎士団は今、分裂状態にある…………若手幹部と比較的若い隊員や新入隊員を中心とする『過激派』、テロリスト時代から幹部だった者たちや、中層程度の年齢以上の隊員を中心とする『保守派』だ」

 

「坊やからすでに聴いていると思うが、保守派が数でやや優勢、しかし構成員から読み取ると、過激派のほうはKMFパイロットが多く、保守派は整備士たちが多い…………ツキト、お前ならもうわかると思うが、これはもう事実上の『詰 み(チェックメイト)』と変わらんだろう」

 

「…………たしかに、開始時点ですでに持ち札がほとんど無いも同然ときてしまっては………どんな勝負師も降りるだろうさ」

 

保守派の視点に立てば、相手はKMFに乗り慣れた奴らばかり、なのにこっちは整備しばかり…………まともにやりあうことすら出来ないだろう。

 

「やりようはある…………と言いたいところですが、これは相当ロジック無視のマジックを使って、かつ相手が相当にバカでもない限り……………不可能でしょう」

 

「直球だな、ツキト」

 

「ルルーシュ様とナナリー様には、嘘をつきたくありませんから」

 

数の差や質の差を覆して見せるのは軍師としては実に痛快で良いのだろうが、そんな状況になっている時点で私は見捨てて逃げてるだろう。

 

いや、私なら現状でパイロットが多く戦力的に相手を大きく上回り、戦闘になれば勝機が十分にある過激派に出資でもして、紅茶でも飲みながら眺めているだろうさ。

 

ド畜生にもほどがあるかもしれんが、生き残る前提であれば勝てそうな方に金とやる気を与えて、後は傍観に徹するのが吉…………それが定石の一手。

 

しかし、今回はそれらの選択権はなく、最初からハードモードの保守派以外に選べないようになっている。

 

これがゲームなら、このバグをはやく取り除いてくれと開発にメールを送りながら祈ることしかできない。

 

だが現実はアップデートまで待ってはくれない、過激派と保守派の衝突は日に日に増し、過激派の爆発の時刻は刻一刻と迫っている。

 

今こうして会議をしている間にも、爆発の危険がある…………会議だからといって、いくら私に神の資格があったとて、時間が止まってくれるわけではないのだ。

 

「正義のために戦うという騎士団の決意、これまでの戦いで散っていった隊員のためにも…………ここで過激派を取り除くほかない、と思っている」

 

「取り除く、ですか……………して、方法はどのように?」

 

「一応策はあるが…………その前に、ツキトの考えを聞いておきたい」

 

「私の考えを、ですか?」

 

「あぁ、C.C.にも聞いたが、俺と大体同じ………隊員の追放で一致した」

 

なるほど、別視点の考えが欲しい言うわけか。

 

「…………であれば、私からは過激派を利用して使い潰す方針を、あげさせていただきます」

 

「使い潰すか…………相変わらず腹の底が真っ黒だなツキト」

 

「そう言うなC.C.、俺はツキトのその裏表ない腹黒さに助けられているんだ」

 

…………褒められたのに、褒められた気がしない。

 

「それで、使い潰すというのはどうやってやるんだ?」

 

「はい、ルルーシュ様…………ゼロ様が過激派のメンバーに密命を授けるだけ………それだけで良いのです」

 

「それだけ?他にはないのか?」

 

「そうですね…………できるだけ過激派メンバーを小分けにして、時間を分けて指示を出すようにしてください…………でないと、保守派に気づかれてしまいますので」

 

「…………なるほど、読めたぞツキト」

 

「さすがはルルーシュ様」

 

ニヤリと笑うルルーシュ、普段の笑顔ではなく、黒き魔王の嘲笑だ。

 

「何言ってるのかさっぱりなんだが?」

 

「おっと、すまないなC.C.…………では認識の統一のため詳しい手順を教えよう」

 

紙とペンを取り出してふたつの円を描き、片方の円には『過激派』、もう片方の円には『保守派』と描いた。

 

ふたつの円から離れたところに小さく円を描いてそこに『ゼロ』と描き、『過激派』の円と線で繋ぐ。

 

「第1段階、ゼロ様が過激派メンバーにとあるミッションを指示する、これについては保守派メンバーには絶対に漏らさないように注意を払うこと」

 

繋いだ線の近くに『密命指示』と書く。

 

「第2段階、第1段階と被るが、保守派メンバーにも指示を出す、これは過激派メンバーに与えた指示とは正反対のものであり、当然漏洩は厳禁だ」

 

『ゼロ』から『保守派』に線を繋げ、こちらには『密命指示2』と描く。

 

「第3段階、密命を受けた過激派メンバーを…………いや、『まな板の上の鯛(まんまと罠にかかったマヌケ)』を捌くため、猟犬部隊を出動させる」

 

『猟犬部隊』の円を描き、『過激派』と線を繋げて線の中心にバツ印を描く。

 

「最終段階、過激派メンバーを『裏切り者』として断定し、ゼロが親衛隊と保守派メンバーを率いて出撃、ブリタニア側との『共同作戦』と銘打った最低のマッチポンプだ!」

 

「さすがだなツキト、いつも通りすぎて逆に安心したぞこのド外道!」

 

「ふっ、当然!」

 

ノリ良く叫んでくれたC.C.にハンドサインでグッジョブと送り、ルルーシュを見る。

 

「いかがでしょうかルルーシュ様?」

 

「不仲と噂される騎士団とブリタニアの禍根を断ちつつ利用できる策としては上々だ、俺は乗るぞツキト」

 

「はっ、私の名にかけて必ずや成功に導きましょう」

 

「頼むぞ………それでツキト、過激派にはどういう指示を出せばいい?」

 

「…………キョウト六家が管理する採掘場から数キロ離れた地点、サクラダイトの厳重保管地区という場所がありまして、ここには皇族や軍関係者の一部しか立ち入りできない区域なのです」

 

「そんな地区があったのか…………」

 

「えぇ、臣民はおろか皇族ですら、いいえ、日本人でもこの地区は知らないでしょう、そして…………許可無く侵入した者は、誰であれ、射殺できるのです…………誰であれ」

 

「なるほど…………確かに、このことは過激派メンバーも誰1人として知ってる者はいないだろう」

 

「知っている者は、日本エリアの頂点に登らせたアッシュフォード家、地質調査を行ったフェネット家、皇族ならコーネリア様くらいのものでしょう…………そもそも、地図にすら載っていない場所ですから」

 

「見えないのにそこに存在する場所か…………キョウトの関係者に見られることはないか?」

 

「はい、窪地を丸々貯蔵庫にしたような場所でして、監視等が合計で12箇所ございますが…………監視員につきましては、過激派メンバーによって『眠らされた』ことにいたしますので、ご安心を」

 

「その罪も被せるというわけか」

 

「その通りでございます………いかがでしょうかルルーシュ様?ここならば引き込み安く、また脱しにくい、まさにうってつけの場所と考えます」

 

歴史上、どんな強靭な軍団も誘い込まれた時点で敗北が決するほどに窪地という地形は強いのだ。

 

窪地という場所はいわば、『蟻地獄』のようなものだ。

 

知らぬ間に入ってしまっていて、動こうにも動きにくく、また脱出しにくい厄介な地形。

 

さらに雨が降ればぬかるんでさらに動きが鈍る、水は下へ下へと流れるものである、窪地はすぐに沼となる。

 

沼に入ってしまっては如何な近代兵器でも抗えない……………悪路走破性の高い履帯を履いた戦車といえど、その重さゆえにもがくほどハマってしまうのだ。

 

それはKMFでも同じこと、細い2本の足ではすぐに腰付近まで飲み込めれるだろう。

 

戦争において重要な要素は敵の数ではない、恐るべきはその地形なのだ。

 

そこまで考えて、ルルーシュの顔を見る…………暫く険しい表情で思案していたルルーシュだったが、2、3うなづくと『よし』と呟き。

 

「ここに誘い込むというツキトの案を実行する」

 

「はっ!」

 

ご愁傷様、過激派メンバーの諸君。

 

我が王が自ら、貴様らの頭上にギロチンを掲げられたぞ、光栄に思え、そして潔く死ぬが良い。

 

「ツキトは『ゼロが騎士団も隊員に扮したテロリストを排除したい、という相談を受けた』という方向で猟犬部隊の調整を頼む」

 

「お任せください」

 

「C.C.、この情報については一切の流布を禁じるため、似たような情報が流れていたらすぐに消すようにしてくれ、過激派がゼロを疑えば作戦に支障が出る」

 

「なんだ、いつも通りじゃないか、ま、うまくやるよ」

 

「作戦は3週間後…………ちょうど6月の初めに重なる時期になるように調整しろ」

 

「6月…………梅雨に合わせるのですね?」

 

「あぁ、そのほうがやりやすいだろう?」

 

「まこと、その通りでございます、沼地ではどのような軍団も陸に打ち上げられた鯨が如く、鈍く遅くなりますゆえ、仕掛け時としては最適です」

 

「そうだ、調整もお前なら簡単だろう?」

 

「それはもう…………ユーフェミア様の世話に比べれば」

 

「…………妹が世話をかけるな」

 

「いいえ、お気になさらず」

 

そうだ、ユーフェミアのことなどルルーシュが気にかけるべきことではない。

 

前を向き、ただ王道を進むのだ。

 

私はただ、道に落ちた花びらを箒で払うのみ。

 

王の道に、少しの汚れも認められん。

 

私がやるのだ。

 

私が、私が、私が。

 

我が王のために進め、玉座は目と鼻の先だ。

 

あと少し…………あと少しだ、あと少しの辛抱だ。

 

「もう暫く、もう暫くお待ちくださいルルーシュ様………………平和はすぐそこまで来ております」

 

救済は目前だ。




作者は、綺麗な作者、に、なった!

綺麗に真っ黒になったよ!みんな褒めて!(邪悪)

いや〜〜、終わりましたねえ過激派の皆さん!もう終わりですよ!

主要メンバーもクソもなく、ただただ存在ごと消えるだけのモブでしたね!

ルルーシュが指揮をとる時点でもうね…………勝てないよね、うん。

ルルーシュに頭脳で勝てる人物がいねえっていうね…………あ、ツキトくんはちょっと例外っていうか、へんなブーストで強化入ってるからね、仕方ないね。

さて、ツキトくんが徐々にヤバげな感じに?ってか最初から割とやばかったけど…………最初との違いをあげるならば『理性』と引き換えに『狂化』が付与され続けているようなものですね。
『外側』と常に接続状態にあるツキトくんに逃れるすべはありません!(ハチ並感)

次はきっとナナリーとアーニャの無茶振り回(予定)!
次回を待て!

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