コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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『叛逆』を打ち砕く

ツキトside

 

 

 

翌日…………。

 

「決闘を申し込みます!」

 

「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」

 

どうしてこうなった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと前…………。

 

私がラウンズだと知れ渡り、ルルーシュとナナリーの身分がばれる可能性があるため退学手続きのため生徒会室に向かったのだが……。

 

「あ、ツキトさん!」

 

その途中で見つかってしまったのだ、ナナリーに。

 

「なぜ退学なんてしようとするんですか!」

 

そう言って生徒会室前に立ちはだかる。

 

「ナナリー・ランペルージ、君も知っての通り私はラウンズだ、これから本格的に忙しくなる、だから退学する」

 

「私のことが……嫌いになったんですか?」

 

「しつこい女は嫌いだ、さっさと退け!」

 

きつめの口調で言う。

 

「嫌です!ここを退いたら、私はツキトさんと別れれしまう………そんなの嫌です!私はツキトさんが好きなんです!大好きなんです!」

 

「退け」

 

「なら勝負してください!」

 

「勝負?チェスか?トランプか?」

 

「剣でです!」

 

おいおい、まさかルルーシュの言葉が本当に……。

 

「断る、貴様のお遊びに付き合ってられん」

 

「なら、真剣でお相手いたします!」

 

なに!?

 

 

 

「おい見ろよ、ラウンズとナナリーが言い合ってるぞ」

「ナナリーはラウンズの退学を認めないつもりみたいだな」

「ええ!?ラウンズに逆らったら殺されちゃうわよ!?」

「それくらいの覚悟なんだろうよ、好きな人に殺されてもいいっていう」

「会長はどこなの!?早く止めないとナナリーちゃんが!」

 

 

 

くそ!いつの間にやらギャラリーができてしまっている!

 

「本気か?」

 

「本気です!」

 

「そうか……………では私が勝ったら、交際をやめて退学届けを受理してもらおうか!」

 

まあ剣を弾き飛ばして降伏を迫ればいいだろう、面倒だが、まあ勝ちは決まっ

 

「では私が勝ったら、私とエッチな事をして「この馬鹿者があああああああ!!!」

 

「うら若き乙女がそのような言葉を口にするな!」

 

ギャラリーがいるが思わずそう叫んでしまった。

 

というかなんでエッチな事なんだ!もっと他になかったのか!そこは退学するなとかじゃないのか!

 

「では私が勝ったら初夜を「ド阿呆!言い直せばいいというものではない!」

 

「ではどう言えばいいと言うのですか!?」

 

「まずその考えをやめんか!ブリタニア人としての気品がない!第一にハレンチだ!」

 

「ハレンチだからなんですか!?みんな私くらいの人はそういうことを考えています!」

 

「なん………だと………」

 

中学生で…………エッチな事やら初夜やらの話を………?

 

「くっ!だが私とてブリタニアの貴族だ!貴様のようなハレンチな女と交わる気はない!」

 

「交わる………はっ!?…………では私が勝ったら、私と交わってもらいます!」

 

「聞いた言葉を即座に実践するでない!」

 

「だってツキトさんとしたいんだもん!」

 

「もんってなんだ!もんって!!」

 

完全に向こうのペースじゃないか!ちくしょう!

 

 

 

「ああ、俺たちの天使が…………」

「いや、でも、俺は堕天使でもいける!」

「むしろそっちの方が………」

「ちっくしょう!ナナリーちゃんとできるなんて羨ましいいいいい!!」

「あんた最低ね!」

「でもナナリーちゃんがあそこまでラウンズ…………ツキト君のことが好きだなんて……」

「憧れちゃうわね」

「禁断恋愛!ラウンズと庶民の恋物語!今、互いに刃が叫ぶ!」

 

 

 

「ええい!とにかくそこを退け!」

 

「嫌です!私の勝負を受けてください!」

 

「あんなバカバカしい条件呑めるか!」

 

「じゃあ交際をやめるっていうのを無くしてくれたら変更します」

 

「なに?………じゃあ無くそう、私が勝ったら退学させてもらう」

 

「じゃあ私が勝ったらセ」

 

「卑猥な言葉を口にするな!」

 

「じゃあどう言えばいいんですか!?」

 

「知らん!この変態娘!」

 

「私を歪めたのはツキトさんです!」

 

「うぐっ………」

 

私の………せい……?ナナリーがハレンチになったのが、私の…………。

 

「あ!ツキトさん!しっかりしてください!」

 

「わ、私のせいなのか…………ぐぅっ……」

 

ぺたん………。

 

あ、頭が……痛い…………。

 

「わ、わわ私は…………」ガクガク

 

「誰か保健の先生を呼んできて!」

 

「ナナリー!」

 

る、ルルーシュ?………。

 

「お兄様!ツキトさんが!」

 

「どうせこうなると思ってすでに手は打ってある!先生!」

 

「朝っぱらから忙しいねえ!」

 

「私が、間違った教育を……」ガクガク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ!?」

 

ここは?保健室か?

 

「起きたんですか!?ツキトさん!」

 

「ああ………ナナリー様……私はいったい…………」

 

ナナリーに【私を歪めたのはツキトさんです】って言われた途端震えが……。

 

「その、えっと、ごめんなさい!私が悪いんです!」

 

「ナナリー様が?」

 

「私が、私が催眠術なんてかけたから………」

 

催眠術!?

 

「催眠術ですか?」

 

「はい、その、ツキトさんは【私のことが嫌いになれない、私に嫌われるようなことはできない】ってかけたんです」

 

「私はナナリー様に嫌われようとしていて、それで………」

 

「おそらく………」

 

「いつかけたのですか?」

 

「夜寝てる時に、咲世子さんに頼んで……」

 

「おのれ咲世うぐっ……」

 

まだ頭がガンガンする、フォークの反対側で頭を殴られてるみたいだ…………くそ。

 

「ツキトさん!ああごめんなさいごめんなさい………」ポロポロ

 

「泣か、ないでください………」

 

「ごめんなさい、ごめんなさい………」

 

「泣かないでください………ナナリー様」ナデナデ

 

「!…………はい……」

 

はあ、まさか催眠術とはな…………解くのは無理か、まあいい、別に支障はそれほどないだろう、計画に支障が出るくらいなら抜けるしかないが、大丈夫だ、なんとか動け…………。

 

トス……。

 

「ナナリー様?なにを………」

 

「ん〜〜……」

 

い、いきなり私の上に乗っかってきたと思ったら、顔を近づけられ…………っておい!

 

「なにをしているんですか?」

 

「なにって、キスを……」

 

「ダメです」

 

「どうして!」

 

「キスは18を超えてからです!」

 

「いいじゃないですかそれくらい!あ!もしかして恥ずかしいんですか?」ニヤニヤ

 

と挑戦的な笑みで言うナナリー、原作と違いすぎて驚いているが天真爛漫なまま成長したらこうなるか。

 

「恥ずかしいのは当たり前です、ナナリー様ももっと慎みを持ってください」

 

「えー、ツキトさんって恋愛に関して子どもっぽくないですか?」

 

「そんなことないです、ナナリー様がハレンチなだけです」

 

「みんなこれくらい普通ですって……………いい加減にしないと襲っちゃいますよ?」

 

「おふざけも大概にしてください」

 

まったく、こんなところに長居していられない、さっさと退学届けを生徒会室に届けて帰る。

 

「おふざけじゃないです!私は本当にツキトさんを愛してるんです!」

 

「ナナリー様にはもっとふさわしい方が……」

 

「ツキトさん以上の人なんていませんし考えられません!!」

 

「それは今だからで………」

 

「もういいんじゃないかしら、ナナちゃんもこう言ってることだし」

 

いきなり第三者の声、金髪の女、こいつは…………。

 

コイルガンを取り出しベッドの上から女に銃口を向ける。

 

「何者だ?」

 

「ミレイ・アッシュフォード、生徒会長よ」

 

そうだ、ミレイだ、わかった瞬間にコイルガンを下ろす。

 

ちょうどいい。

 

「ちょうどいい、これを受け取れ」

 

退学届けをミレイに差し出す。

 

「それは無理ですね」

 

「何だと?貴様ふざけているのか?」

 

コイルガンを再び向ける、こいつ、足でも撃ってやろうか。

 

「あの場を押さえる時、アールストレイム卿とナナちゃんの決闘を決めたって言っちゃったから………」

 

「なに!?ちっ!使えん女め!」

 

この女本当にアッシュフォード家の人間か?こんなバカみたいなメスが?

 

それよりどうする?どうせ真剣での勝負になる、そうなればナナリーを…………くっ!どうすれば………。

 

そうだ!なんだ簡単じゃないか!

 

「おい!ミレイ・アッシュフォード!ルルーシュ様はどこにいる?」

 

「ルルーシュ様は今クラブハウスに………」

 

「クラブハウスかっ!」

 

「ツキトさん!?」

 

まだ本調子ではないが、ここはクラブハウスにいるルルーシュの元へ行き、主の判断を仰ぐ、ルルーシュが退学しろと言えばナナリーも言い返せまい、逆に在学しろというならそれで構わない、それがルルーシュの命令ならば。

 

頭がズキズキする、だがここで無駄な時間は浪費できん、何としてもたどり着かねば!

 

「ぐっ………ハァ……ハァ………」

 

やっとついた…………。

 

「ルルーシュ……」

 

「ツキトさん!」

 

ぐぇっ!後ろから飛びつかれた…………。

 

「……ざまぁ!」ドシャァ…

 

い、痛い………クラブハウスの床に顔面を叩きつけてしまった………。

 

まあすぐに治るんだが。

 

「ナナリー様!どいて下さい!私は早くルルーシュ様のもとへ……」

 

「私より……私よりお兄様が良いのですか!?」

 

「違います!ルルーシュ様これからやるべき事を聞かなくては………」

 

「私と結婚してお兄様と咲世子さんと私たちの子供の六人で幸せに暮らすんです!」

 

「そんな生活はまだ早いです!」

 

というか二人作るのは決定事項なのか!?

 

「ルルーシュ様!」

 

「ん?ツキトか、どうし…………ほぁっ!?」

 

やっと見つけたルルーシュに声をかけると驚かれた。

 

「…………何をしているんだ?」

 

「はっ!退学届けを生徒会室に届けるために学園に向かったものの、ナナリー様の妨害により任務を遂行できず、こうしてルルーシュ様に判断を仰ぎたいと思い戻ってきた次第でございます!」

 

「ふむ、ナナリー、お前はツキトと一緒にいたいんだよな?」

 

「当たり前です!私はツキトさんと結婚します!」

 

「けっこ…………そうか、ツキト、お前さえ良ければ、まだ学園に残ってもらいたい」

 

そう来たか、ならば私は従うのみ。

 

「ルルーシュ様のご命令なら」

 

「では、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる、俺とナナリーとともに、学園に通い続けろ!」

 

「イエス!ユアハイネス!」

 

ルルーシュが学園に通い続けろという事は、私の正体がバレている状況でもルルーシュがゼロとバレた場合の口封じをしろという事だろうか、それともナナリーのそばにいてあげろという事なのか、どちらにせよ、これもまた好機、スザクの編入後に起こるイジメを起きないように対策することができる、不幸ではない、他人が不幸だと言うのなら、それすら好機に変えて見せるのがブリタニア人だろう。

 

「お兄様!」

 

「ナナリー、これからもツキトと仲良くやってくれ、それと、まだ初夜は早いからな」

 

「はい!お兄様!」

 

「うん、頑張ってツキトを射止めるんだぞ」

 

「はい!頑張ります!」

 

絶対99.9999999999999999999999999%そっちが理由だろお前ら。

 

「それでは私はミレイ・アッシュフォードに決闘のキャンセルを…………」

 

「いや、この際だからやってみたらどうだ?」

 

「と、言いますと?」

 

「剣を振るのは久しぶりだろう?鈍っていてはいざという時ナナリーを守れないようでは困るからな、感覚を取り戻す意味でやって守るのもいいだろう」

 

「わかりました、では一週間後に、ナナリー様もよろしいでしょうか?」

 

「はい、手は抜きませんから!」

 

「それでは私も、少々本気で行かせてもらいます、それとナナリー様」

 

「なんですか?」

 

「催眠術はといて下さい」

 

「あっはい」

 

結局決闘は逃れられない、か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後の決闘に向け、余った時間に素振りをしようと思い立ちクラブハウス裏の林で木刀を振る、この木刀は枢木神社でスザクの鍛錬を手伝った時にもらったものだ、鉄の芯が入っていてとても重い、日本刀の数倍は重いと思う。

 

それを何度も片手で振る、本来こんな使い方は腕を痛めるだけで無意味なものであるが、片手でレイピアを振る私にとっては良い筋トレになるのだ。

 

「198………199………200………まあ、こんなもの振るよりかはレイピアを振った方が効率的だと思うがな」

 

ただやはりラウンズの一人である身としてはこんなヒョロヒョロモヤシではいけない、せめて少しでも筋肉をつけねば、目指すは細マッチョだ。

 

木刀を木に立てかけレイピアを抜く、V.V.を斬り殺したっきり血を吸っていないがゆえか刀身は光を反射し煌めいている。

 

レイピアを構え一つ一つの動作を確認する、悪くない。

 

一通りの動作を終えレイピアを鞘に戻し、脱いであった上着を羽織る、ついでにさっきまでサラシだけだったからとても涼しかった。

 

レイピアの鞘を片手で持ちながらクラブハウスに戻る。

 

「おかえりなさいま………ツキトさん?」

 

「どうした咲世子、何かあったか?」

 

「いえ、なんでもございません(サラシを巻いて上着を羽織ったそのお姿がとても扇情的です、とは言えませんね)」

 

「?……そうか、ルルーシュ様とナナリー様は?」

 

「ルルーシュ様は例の計画の準備、ナナリー様はミレイ様等とお出かけです」

 

ほう、出かけたのか。

 

「どこに?」

 

「詳しくは聞いておりませんでした、ですがビルに行って水泳をする、とか」

 

「へえ、ビルで水泳……………」

 

ビル?水泳?…………あっ。

 

「まずいな」

 

「?………何がでしょうか?」

 

「ルルーシュ様が計画に利用しようと考えている日本解放戦線の占拠がそこで起こる」

 

「っ!では………」

 

「支度をしろ、今日の仕事は放っておけ」

 

「はい!」

 

咲世子は戦闘用の道具を準備しに自室に戻った。

 

「まったく、こんな楽しくないデートをしなくちゃならんとはな………」

 

解放戦線のやつらめ、絶対許さん、皆殺しだ。

 

「お待たせいたしました」

 

「よし、運転は頼んだ」

 

「はい」

 

咲世子は車の運転席に座りキーを挿し込みエンジン…………ではなくモーターの電源を入れる。

 

コードギアスではサクラダイトのおかげでディーゼルエンジンやらガソリンエンジンやらが発達せず、高出力モーターが異常に発達している、そのため動力源は電気なのだ。

 

私が助手席に座ると咲世子はアクセルを踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーいツキト?ピザを………ツキト?咲世子?…………いないのか、せっかくだ、思い切って十枚頼んで驚かせてやろう…………………寂しくないぞ、チーズ君がいるんだ、寂しくないぞ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルについたはいいが、もう少しで占拠が始まってしまう。

 

「咲世子、お前は先に行ってナナリー様をお守りしろ、私は変装して行く」

 

「わかりました」

 

咲世子はそう言って荷物を持ち飛び出していった、早過ぎる、絶対私より強いだろ咲世子。

 

ビル内部に入り込み近くの【女子トイレ】に入る。

 

個室に入り女物の服に着替える、次に個室から出て立ち入り禁止の立て札を出入り口に置き、鏡の前に立って髪を染める、ブロンドでいいか、眼帯を外し両目には灰色のコンタクトレンズを入れる、問題は声だが…………。

 

「あー……あー……あ"ー……あー(高音)…………これでいいわね」

 

作れるから問題ない。

 

これで私は目は灰色、髪はブロンドのどこかの令嬢になったわけだ、それでその令嬢という地位を保証する身分証明書を取り出す、だいぶ前に偽造した身分証明書だ、これならバレることはない。

 

荷物をカバンに詰め込み、立て札をしまって女子トイレから出る、ふっ、わずか三分の早技、しかし手は抜いていない完璧な仕上がりだ、廊下を歩けば男も女も皆振り向く、成功だな、当たり前だが。

 

さて、行くか。

 

プールはあっちか、適当な野菜ジュースを買い入り口のベンチで座って休む、フリをする。

 

ケータイを取り出し咲世子にメール、暗号文で『変装完了、ブロンドの女』と打ち込み送信、野菜ジュースを一口、マズ。

 

咲世子からメール、暗号文か、『ナナリーセッショク』か、『そのままそばにいろ』と返信、野菜ジュースを一口、うん、やっぱりマズイ。

 

そろそろ時間か………。

 

「動くな!」

 

突如軍服の男がマシンガンを抱えて突入してきた。

 

 

「な、なに!?」

「テロリスト!?」

「ゼロが来たのか!?」

「どうしてここに……」

 

 

いきなりのことでパニックを起こした客たちが騒ぎ出す、あーあーそんなことしたら………。

 

「動くなと言っただろう!」ダダダダダダッ!

 

男はマシンガンを天井に向け乱射した、やっぱりな。

 

「我々は日本解放戦線である!大人しくしていれば殺すことはない!」

 

嘘つけ絶対殺すぞ。

 

「大人しくついてこい!」

 

それじゃあお言葉に甘えてついていかせてもらおうか。

 

連れてこられた場所はアニメでも映ったあの倉庫みたいな場所、あ、やっぱりユーフェミアもいr……ってスザク!?

 

「(スザクさん?(女声))」

 

「(君は誰?)」

 

「(私だ、ツキトだ)」

 

「(ツキト!?なんでここに……)」

 

「(ナナリー様の写真を撮ってくるようにとルルーシュ様の命令だ)」

 

「(ルルーシュ………妹思いなんだね)」

 

「(ルルーシュ様は心優しいからな、ユーフェミア様は?)」

 

「(さっき身分を明かそうとしたから押さえたよ)」

 

「(よくやった、とりあえずはもう少し待って情報を………)」

 

そこまで喋った時。

 

「おいお前!なにを話している!?」

 

と日本解放戦線の男に銃口を向けられながら怒鳴られた。

 

「ひっ!ごめんなさい!撃たないで!殺さないで!お願いしますから!」

 

スザクに抱きつき男に懇願する、おいスザク、ニヤニヤするな、あいつからは見えないが私からはしっかり見えてるんだぞ。

 

「ちっ、じゃあ黙ってろ」

 

そう言って男は去っていった、おそらく巡回だろう。

 

「(………情報を集めることが先だ)」

 

「(でもさっきリーダーっぽい男が何人か屋上に連れて行って一人づつ落とすって)」

 

「(なんてことを………仕方ない、スザクはここでユーフェミア様を頼む)」

 

「(ツキトは?)」

 

「(派手にやるだけさ、ではな)」

 

そう言って近くの男に話しかける。

 

「あ、あの……」

 

「なんだ?(かわいいなこの子)」

 

「お手洗い借りても、いい、ですか?」

 

「いいぞ、そこの道を歩いていけばすぐだ(こんなかわいい子にはいじわるはできないな)」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

ちょろいもんだぜ。

 

女子トイレに難なく入れた、髪の色を落としコンタクトレンズをとって眼帯をつけラウンズの正装に着替える、レイピアを腰に差し、いざ。

 

女子トイレから出てすぐそこの敵兵をサプレッサー付きコイルガン(コンパクトコイルガン)で排除する、単発だが、非常にコンパクトで使い勝手がいい。

 

撃たれた敵兵が膝から崩れ落ちる、それを聞いて駆けつけた敵兵に次弾を装填したコンパクトコイルガンで撃ち殺す。

 

これで見張りはいないな。

 

人質が捕らえられている方に向かう。

 

扉をノックし、のんきに開けた敵兵の脳天にレイピアの鞘で殴り殺し、その奥の敵兵を撃ち抜く。

 

雑魚ばかりだな。

 

「ツキトさん!?」

 

私を見て一番に声を出したのはナナリーだった。

 

 

「ツキトってラウンズの?」

「ナイトオブラウンズが来てくれたのか!?」

「助かった………」

 

 

いろいろ言われているが今は無視だ。

 

「私はツキト・アールストレイム、ナイトオブラウンズが一人、ナイトオブサーティーンである、落ち着いて私の話を聞いてもらいたい」

 

「このビルはすでにブリタニア軍によって包囲され、テロリストが捕まるのも時間の問題です」

 

客たちから安堵の声が漏れる、まずは緊張を解くのが大事だ。

 

「脱出経路ですが、ブリタニア軍がなんとか侵入を試みていますが、不可能に近い状況です、ですがご安心ください、私は【ある者】に脱出の手伝いを頼みました」

 

「現在ここから一階まで見張りはいません、一階に行けば、【ある者】たちがいます、あとは【ある者】たちに任せれば安全に脱出できることを約束します、スザク」

 

「はっ!」

 

スザクを呼ぶとスザクは立ち上がり敬礼した。

 

「枢木准尉に案内を頼みます、焦らずに避難してください」

 

「自分についてきてください」

 

スザクは客たちを先導していく、きっと驚くだろうな、まさかゼロがいるとは思わないだろうな。

 

それにユーフェミアへの言い訳も考えねば。

 

「さて、皆殺しと行こうか」

 

レイピアを抜き放ち、草薙だったか?がいる部屋に向かう。

 

あそこでレイピアで斬り殺さなかったのは血が飛び散って人質たちのトラウマになってしまうかもしれなかったからだ。

 

だがもう人質はいない、さあ行こう、殺して殺して、殺してやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルルーシュside

 

 

「諸君、ボートの準備はできたか?」

 

「はい、出来ました」

 

ボートの準備中に人質が勝手に脱出してくるというアクシデントもあったが、自力で脱出したのなら助ける手間が省け逆に好都合だった。

 

ナナリーとユフィがいたというのも驚いた、まさかシャーリーたちと一緒だったとは。

 

人質の中にはスザクがいた、おそらくスザクが助けたのだろう、ナナリーを助けてくれたことに礼を言いたい気分だ。

 

ボートに人質を乗せ終わり、あとは草薙のところへ行って殺すだけだ。

 

「では行くぞ!」

 

マントをひらめかせ草薙の部屋へと向かう。

 

しばらく歩くと日本解放戦線のやつらが死んでいた。

 

「ゼロ、これは一体………」

 

カレンがマシンガンを抱えたままそう聞いてくる。

 

「…………わからない、とにかく草薙の部屋を目指す」

 

そう言って歩き出す、草薙の部屋はすぐにわかった、扉にデカデカと日本解放戦線の横断幕が画鋲で留められていた。

 

扉を開け中に入るとそこは異質な空間だった。

 

壁には一面中血が飛び散り、床には日本解放戦線のやつらが転がっていた、テレビは砂嵐状態で何も映っていない、それがさらにこの状況を一層不気味にしていた。

 

「おやおや、ずいぶん遅いじゃないか、ゼロ」

 

不意にソファから声が聞こえた、そっちを向くと小柄な男が座っていた。

 

「手筈通りに人質はボートに乗せたか?」

 

「………ああ、手筈通りに全員乗せた」

 

ここはあの男に乗っておくか。

 

「そうか…………草薙は殺した、その部下もな」

 

「助かる、手間が省けた」

 

何者かは知らんが草薙が死んでいるなら良い、ならさっさと騎士団の旗揚げを………。

 

その時男が立ち上がりこちらに顔を向けた。

 

なっ!?つ、ツキト!?

 

「では行きたまえ、私は君たちのショーを楽しみにしているよ」

 

なぜツキトがここに!?ユフィやスザクと同行していたのか、ならばスザクの行動にもうなずける。

 

「そうだな、協力に感謝する」

 

意図がある程度読めたところでそう返す。

 

「ああ、だが次に会う時はいつ如何なる時でも敵だ」

 

「了解している、ではさらばだ、ツキト・アールストレイム卿」

 

「そちらこそ、英雄【ゼロ】殿」

 

俺は部屋から出る、カレンたちが銃口を向けるか向けまいか迷っているようだったので『やめろ』と言ってやめさせた。

 

アクシデントが続いたが、全ていい方向に続いている、さあ、黒の騎士団の旗揚げだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

予定通りだな、さて、スザクならそろそろ動くか。

 

テレビは先ほどまでの砂嵐ではなく生中継が映し出されていた。

 

「スザクにはランスロットでビルを崩すように伝えてある、咲世子を使ってな」

 

あとは脱出後にヴァリスで潰すだろう、さて、私も行くか。

 

カバンからジップラインを取り出し、窓から近くの別のビルに撃つ。

 

突き刺さったことを確認してジップラインを使い下に降りる。

 

途中で手を離しブリタニア軍の包囲の近くに降りる。

 

「ツキト!何をしてるんだ!」

 

コーネリアが走ってきた、おいおいテレビの前だぞ。

 

「内部の制圧を行っていました」

 

「人質は!?」

 

「…………あちらに」

 

指をさした方向にコーネリアとテレビが向く、その方向には数隻のゴムボート、そしてそこには。

 

「ゼロ!?」

 

「私だけでは人質全員の救出は難しかったので、やつらを利用しました」

 

「ゼロをか!?ツキト!もしユフィに何かあったら………」

 

「何もできませんよ」

 

「何もできない、だと?」

 

「ええ、あれにはスザクも乗っています、そんなところでユーフェミア様に手を出せば皆殺しにされるでしょう」

 

「そうか…………」

 

ユーフェミアを自分の手で救えなかった悔しさがこちらに伝わってくる、やはり姉だな、嫌いではない、家族思いの人間は好きな分類だ。

 

ゼロがこちらに近づいてきた、ゼロだけ普通のボートだな。

 

「お初にお目にかかりますコーネリア総督、私はゼロ、この国を救う者だ!」

 

ゼロは大仰にマントを広げて言った。

 

「救う者だと?こんなテロを起こしておいて何を言う!」

 

「テロに我々は関与していない、今回のテロは日本解放戦線の者たちによって引き起こされた、ただの暴力である、よって、我々が制裁を下したのだ!」

 

「制裁だと?」

 

「そうだ、そして我々が諸君らに害をなさないという証として、二人を解放しよう」

 

そう言うとボートのハッチが開き、中からユーフェミアとスザクが出てくる。

 

「ユフィ!」

 

「お姉様!」

 

スザクが手を取りユーフェミアをボートから降ろした、やっぱりお似合いじゃないか、お前ら結婚しやがれ。

 

そして抱き合う姉妹、美しいじゃないか。

 

「ユフィ!無事だったんだな!」

 

「はい!スザクのおかげです!」

 

「そうか、スザクか……」

 

だがその時間を邪魔するようにゼロは言い放つ。

 

「我々はここに宣言する!」

 

ああ、長い演説はカットだ、聞いてても面倒臭いだけなんでな。

 

「さらばだ諸君!」

 

「姫様!」

 

「っく…………見逃せ」

 

見逃すことを選んだか、正しい選択だ、人命を尊守した場合だが。

 

「コーネリア総督、地下通路にはまだ敵がいると聞きます」

 

「ああ、そっちは無効化できなかったのか?」

 

「KMF相手では無理です、不死身ではないのですから」

 

「そうだな、よし、KMF部隊を突入させて……」

 

「コーネリア総督、私に案があります」

 

「なんだ?」

 

「枢木スザク准尉搭乗するランスロットの【ヴァリス】による殲滅を提案します」

 

「特派のランスロットでか?」

 

「はい、私の予想では一撃で無力化出来るかと」

 

「ふむ…………よし、特派のランスロットを出せ、枢木准尉は直ちに残存敵兵力を掃討せよ」

 

「はっ!」

 

スザクが走って特派の方へ向かった。

 

そのあとはほぼ原作通り、ヴァリスでビルを解体して終わりだ、変わったところはいろいろあるが、崩れ落ちる瓦礫に突っ込まなかった、というのが大きいな。

 

すべてが終わり、簡単な事情聴取も終え、コーネリアとユーフェミア、そしてスザクと私の四人で集まっていた。

 

理由は、私がゼロ………黒の騎士団と協力したのか、だ。

 

「ではお話ししましょう、私が黒の騎士団と一時的に結託した理由を」

 

「「「…………」」」

 

「まず、私はゼロより情報を受けました、あのビルを日本解放戦線が占拠するという話を、ユーフェミア様がいることを、私は急いでビルに向かいました、そこでゼロより脱出をサポートするかわりに見逃せという約束を取り付けました、そのあとは知っての通りかと」

 

「………」

 

コーネリアは沈黙を保ったままだ。

 

「ツキト…………」

 

ユーフェミアは少しは理解してくれたのか、悲しそうな顔を浮かべている。

 

スザクは………。

 

「ツキト、君はあれが正しいと思ってやったのかい?」

 

ラウンズである私ではなく、ツキト・アールストレイムという一個人に聞いてきた。

 

「間違っていたとは思わない、人命が何より優先だ、人は……国民は宝だ、それを失うなどあってはならない、だから一時的とはいえテロリストに、黒の騎士団に加担した」

 

「そうかい…………」

 

スザクは深呼吸をして。

 

「ツキトがそう言うのなら、僕は何も言わない、ツキトはテロリストと手を組んだ、だけどそれは人を救うためなんだから仕方ないさ」

 

と爽やかな顔で言いきった。

 

「ありがとう、スザク」

 

「ツキト、私もスザクの言う通りだと思います」

 

「ユーフェミア様も?」

 

「人を救うための行動だったんです、なら私はツキトの判断を支持します」

 

ユーフェミアも賛同してくれるか…………こんな嘘に。

 

「ありがとうございます、ユーフェミア様」

 

ユーフェミアとスザクを味方につけた、コーネリアも総督として何か言ってくるだろうが、なんだかんだ甘いからな。

 

「………ツキト、今回の件は不問とする…………枢木スザク、ユフィを救ってくれて、ありがとう」

 

ま、まさかコーネリアがスザクに頭を下げて感謝するとは!

 

「お姉様………」

 

「それから、お前たちが進めている計画、私にも手伝わせてくれ」

 

「はい!お姉様がいれば百人力です!」

 

これは嬉しい誤算だ、まさかコーネリアの全面的なバックアップを受けられるとはな。

 

「お姉様を含めた私たち四人で、このエリア11に住む人たちを豊かにしていきましょう!」

 

ユーフェミアはニコニコ笑顔でそう言う、いいな、若い奴らは夢があって…………楽しそうに笑いあえて…………………私にはもう、愛国心のままに動くことしかできないというのに…………。

 

「ではユーフェミア様、コーネリア様、こちらが計画書と式典当日の予定です、それでこちらが大まかな条例の変更点で…………」

 

そのまま始まった四人だけの会議、司会を務めつつ三人を見守る。

 

この暖かい場所を、いつか自分で壊さなくてはならないとなると……………キツイものがあるな。

 

しかしすべてはブリタニアのため…………。

 

「…………オール・ハイル・ブリタニア……(ボソッ)」

 

「ん?何か言ったかいツキト?」

 

「いや、何も、それよりスザク、制服は決まったか?」

 

「うん、ユフィと選んで、いい感じのを作ってもらったよ」

 

「そうか、式典は楽しみにしていなければな、スザクの晴れ舞台だ」

 

「あはははは、ツキト、別に結婚式でもないのに」

 

「そう言うな、この式典を境にお前の周囲の環境はガラリと変わる、その心構えをしっかり持っておけよ」

 

「うん、そのためには、まずは勉強だね」

 

「ああ、明後日からだな、手続きは終わってるから時間通りに来てくれ」

 

「うん、楽しみだなあ、学校生活なんて久しぶりだよ」

 

「何かあったら言ってくれ、友人としてアドバイスするさ」

 

「その時はお願いするよ」

 

相変わらずのイケメンフェイスでそう答えたスザク、さて、三人が話し合ってる中、私はスザクのイジメ対策を練っておくか。

 

 

 


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