ま、疲れてたし、多少はね?(なお死人)
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ…………
医務室と書かれた大型テントの中には、大量の簡易ベッドが並び、多くの負傷者が並べられていた。
医務室とは名ばかり、野戦病院のほうがしっくりくる光景が広がっていた。
「あぁ!こんな時に……鎮痛剤は!?」
「掻き集めて来ました!これで少しは…………」
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ…………
「麻酔はまだか!?もう無くなるぞ!」
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ…….……
「いい!麻酔……グゥッ!……はぁはぁ……麻酔はいい!早く、やってくれ……!」
「何か縛れるものはない!?止血帯が足りない!」
「俺のベルト使え!患者からもベルトとか縛れるものもらってこい!」
カツッ、カツッ、カツッ、カツッ…………
呻き声、悲鳴、荒く不規則な呼吸音、忙しなく鳴る足音、あちこちで聞こえる電子音。
その中を歩くツキトの表情は、ここにいるどの患者よりも顔色が悪く、見ようによっては死相に見える
カッ…………
シャーー…………
テントの奥、カーテンで仕切られた場所にツキトは入っていった。
「………やぁ、ツキト君」
ベッドに足を伸ばして座り、パソコンをいじるロイドがいた。
その顔は普段と違って真剣なもので、今もツキトに一言告げてすぐにパソコンに向き直った。
今回の事態がどれほど大きいのか、ロイドはしっかりと認識し、いっそ気絶したいほど痛む身体に鞭打ち、対抗策を練っていたのだ。
「ごめんねツキト君、言いたいことはわかる、思い切り殴りたくてしょうがないのもわかってる…………でも今はしないでくれ、そうしたらアンドロイドを止められなくなる」
「私がその程度のことを理解していないわけがないだろう、終わった後でやるさ」
そうは言ったが、ツキトの理性は我慢の限界に近づいており、今ここで両脚を骨折したうえ全身に打撲を負ったロイドに、一発ブち込むことへの戸惑いがだんだん薄れていっている。
気を抜けば、全力の右拳がロイドの体を四散させることは容易く、多少なり溜飲は下がることになろう。
つまり…………ロイドを殴り殺すのはツキトにとって爪楊枝をおるように簡単だ、しかしそれが何の解決にもならないことを痛いほどわかっているため、今は自制が効いているというだけなのだ。
「…………その無様な格好はどうした?」
ツキトはひとまず、昂ぶった気を抑えようとロイドに適当な話を振ることにした。
「アンドロイドが暴走した時、近くにいたセシルくんを庇おうとしたらこのザマだよ…………マーシャルアーツくらい習っとけばよかったよ」
「それ以前に筋肉が足りんだろう」
セシルを助けようとしたことを聞き、評価を少しだけ戻しつつ軽口を叩けるくらいには理性を持ち直せたツキト。
「ふう…………アンドロイドを止める算段はあるのか?」
「あるよ、ツキト君の考えている通り、暴走してるアンドロイドにはB型アンドロイドの学習装置から抽出したデータが使われている………」
「あぁ、なぜか私の思い出も一緒にな」
「ツキト君の怒りの源泉はそこだね?…………膨大なデータから洗い出した有用な戦闘データ、これをアンドロイドに入力しようとするとエラーが出たんだよ、その解決策が、ツキト君の【記憶のコピー】をくっつけて無理やり入力することだった」
ツキト・カーライルのKMF操縦、射撃、剣術、戦闘術、それらのありとあらゆる関するデータのインプットには、同容量ほどの記憶(思い出)のデータが必要だった。
たとえば、ツキト・カーライルを【ツキト・カーライル】足らしめる卓越した剣術においては、それを得るに至るまでの膨大な時間(過程)をデータ化して一緒に入力しなければならない。
何十年とかかって会得した技術の再現には、実際の経験のデータなしではただのモーショントレースであり、それではただのドローンでしかない。
より高度に技術を使いこなすためには、本人が実戦などによって得た経験が必須になった。
ロイドは戸惑いを覚えたが、ツキトの経験(思い出)をデータ化、アンドロイドへと入力してしまった。
諸君はツキト・カーライルという人物を知っていることだと思う。
そこで問いたい。
ツキト・カーライルという人間の記憶(思い出、経験)は、【正常な人間】のものであるのか、否か?
「なんとか、できたはできたんだ、でもアンドロイドは予想だにできない行動をとったんだ」
「アンドロイドは、何をしたんだ?」
「起動した途端に蹲って、しばらくしたら立ち上がって喚きながら泣き出したんだよ」
「…………」
ツキト・カーライルの【剣】は、一代のものではない。
その原型は、前世における古流の剣術、それを何世代も研究を重ねて編み出された究極の殺人剣。
今のツキトの剣術は、それを下地にしたレイピアによる西洋剣術………を模したもので、この世界においては全くの【我流】。
「…………」
ツキトの戦い方は、その実、流麗な河川の如き水流の剣術ではない。
剣を第1の武器として、カラダ全身を第2の武器として扱う、パワーによるごり押し戦法が基本だ。
現に、日本解放戦線がテロを起こした際は幹部達の首を刎ねて殺していた。
どう考えてもレイピアの戦い方ではなく、力任せに無理やりに刎ね跳ばしたのだ。
本来はもっと頑丈な、それこそ両手で握る日本刀などで行うべき戦闘法だ。
様々な経験と偽の記憶を持つゆえに、そして明らかに年齢と剣の腕と修行の年数が掛け違いすぎてしまい、存在そのものがあやふや過ぎてしまい、電子回路の塊に過ぎないコンピュータでは【本来の剣術】と【今の剣術】の間にある空白の部分を計算・処理しきれず、アンドロイドに混乱をもたらした。
「…………あぁ」
だが、決定的なとどめを刺したのは…………【死の記憶】。
コードによる不老不死の力、幾度となく脳裏に刻まれた【死】の経験。
「それは…………そうか、わかった」
「?……なにが?」
「やつらの目的だ」
手紙の内容とデータ転送における欠点、死の経験、アンドロイドの目的、それらからツキトが出した答え。
簡単なことだ、だがロイドに知られるのはマズイし理解もされない。
だから、ツキトはそれなりに信憑性のある嘘をつくことにした。
「【死】というものがなんなのか、それを探しているんだ」
「死?え?どうして?」
「うまく説明はできんが…………おそらく、私の生命力?や、死を避ける能力?のようなものがデータに入っていて、それを疑問に思った………と考えている」
「機械は老いないし死なないから、人間の老いや死ぬことを理解しようと考えた、その方法が…………」
「【殺人】、命を絶つことで、死をそこに表そうとしている」
「学習装置の名残なのかどうかはわからないけど…………その線はあり得るね」
ロイドは何度もうなづくと休めていた手を再度動かし、キーボードを叩き出す。
「なら尚更早く止めるべきだ、手段は問わず速やかに破壊すべきだ」
「私が言うのもなんだが、壊しても良いのか?」
「何を今更、敵は全部潰す、それがツキト・カーライルじゃなかったの?」
「言うじゃないか………………そこまで言うなら何か策はあるんだな?」
「君らしく、ゴリ押しのイイ案があるよ」
ロイドはパソコンのタイピングを止めると画面をツキトに見せてきた。
「これは……MVSか?」
「君のために作ったMVS・C、それの改良型だよ」
「ほう……?」
画面に映ったMVS・Cはツキトのよく知るMVS・C…………人力で対装甲・対KMF戦闘が行える近接武装。
初期のものと比べると、装飾を減らしてやや刀身が細くなり、全長も短くなってより実戦的な形状になっている。
初期のものをバスタードソードとするなら、こちらはクレイモアとでも言うべき短さだ。
「取り回しを重視して小さく短く作ってある、威力は下がったかもしれないけど、処刑部隊相手なら十分な切断力がある」
「用意がいいな…………で?それはどこにある?」
「特派の倉庫」
「オイオイオイ…………」
特派の倉庫…………つまるところ、総督府内部地下にある特派で開発されたものを保管する場所。
「マスターソードを取りに魔獣がウヨウヨいる森に入る緑の勇者も、これには逃げ出すだろう……」
「もちろん最初に作ったやつでもいいだろうけど、威力とリーチ以外は完全に上位互換と考えていい武器だよ」
「…………やけに押すじゃないか、そんなにソレのテストがしたいか?」
「…………そんなもんじゃないよ」
ロイドは暗い表情で俯くと、少しずつ語り出した。
「僕は………僕はね、ツキト君…………兵器の研究開発者になんて、なりたくなかったんだよ…………でもさぁ、僕の研究したいことは無数にあって、でもそのためにはお金が必要で、お金の為には人殺しの道具を作らなきゃいけないんだ」
「昔にね、ドルイドシステムの研究をしていた時期があったんだ、それで同時期に輻射波動機構の研究も進められてた…………僕は人殺しの研究はしたくないから、ドルイドシステムの研究を進めてたんだ、でも、研究を進めるには成果を示さなきゃお金がもらえない、お金がないと研究ができなくなる…………そんな時、同期の女の子が輻射波動機構の研究を進めて成果を出せば、すぐにお金が出るって言ってきたんだ」
「もちろん僕は嫌だから拒否したんだ、それでもしつこく研究を進めてきた、僕は断り続けた…………そしたら、いつのまにか、ドルイドシステムの研究チームは空中分解してたんだ」
「『成果もでない、金食い虫の研究なんてしていられるか』…………研究チームのほとんどの人は、そう言って輻射波動機構の研究チームに合流していったよ………1人でやる研究は辛いし、勧誘もあったよ…………それでも僕は研究を断り続けた………お金のために人殺しの手段を研究しなくちゃいけないのは、嫌だから」
「第7世代KMF…………ランスロットの研究もそう、サクラダイト比率を高めてエネルギーロスを極端に減らした、究極の動力装置の実現…………でも、蓋を開けてみれば従来機の数倍の高燃費と並みのパイロットじゃ扱い切れないほど劣悪な操縦性…………採用なんて、夢のまた夢のようなものだった」
「そんな時、ランスロットの有用性に気づいて使ってくれたツキト君は、僕にとっては救いだったよ………特別嚮導派遣技術部、なんて大層な名前をもらってたけど、実質、たらい回しみたいなものだったからね………ランスロットを使ってくれた時は、本当に嬉しかったもんだよ」
ツキトはロイドにわからない程度に苦い表情をした。
ツキトにとってあの時はただ使い勝手のいい高性能機があったから利用しただけに過ぎないからだ。
「それからは楽しいことだらけだったねぇ、シュナイゼル殿下の参加ではあったけど、サポーターとしてツキト君が居たから自由な研究ができたし、何より、僕の研究してきたことが、人の役に立つことができたんだもの」
「僕の作ったB型アンドロイドがいい例さ、ユーロピアのほうで子供から老人まで、いろんな人に必要とされてたって聞いたよ、手紙もたくさんもらったって…………嬉しかったよ、あぁ、僕はこのために科学者になったんだって、あの時、輻射波動機構の研究を蹴っていて良かった…………そう思えたんだ」
「だから、僕は許せない、人の役に立つ研究を続けてきたのに、それが返って大量虐殺を産んでしまった自分が!何よりも許せないんだ……………」
「だから壊すんだ、この剣で、僕の作ったこの兵器で、悪意を振りまく元凶をね!」
ロイドは強い嫌悪感を剥き出しにしてそう吐き捨てた。
普段のおちゃらけた姿からは想像できないほど大きなプレッシャーに、ツキトは違和感を感じた。
原作において、これほどまでに人命を尊重する人間だったのだろうか?と…………今となっては、剥離が大きすぎるのもあって人格そのものが違う人物の方が多いため、違和感をすぐに飲み込んだ。
同時に、ツキト自身、ロイドの悲鳴のように吐き捨てた嫌悪感満載の言葉には、感じるものがあった。
その感情が怒りからきたものか、呆れからきたものか、悲しみや同情、義憤によって起こったものかはわからない。
だが、ひとつ確かなことがある。
「…………それで、どうすればいい?」
「…………倉庫にあるMVS・Cの新型を以って、暴走中のアンドロイドをぶっ壊しちゃってよ」
奴らを破壊する動機は十分だということだ。
ツキトside
…………手紙の暗号文の内容は、何度見ても同じだった。
『罪人:ツキト・カーライル
罪状:主人を見殺しにした。
判決:死刑。
処刑する、入って来い』
簡潔にまとめればこんな内容だ、中に取り残された者たちは人質のつもりだろうか。
いや、これは裁判だ、どちらかといえば傍聴席に近いかな。
どうであれ私のやることに変わりはない。
一切の躊躇なく、一刀を以って斬り捨てる。
「了解した、しかしそこに行くまで何を武器にすればいい?」
「威力過剰で振り回すのにも苦労する初期型MVS・Cを使うのがいいかもね、でもあれは対人(アンドロイド)用じゃないから効率が悪いんだ」
「同じじゃないのか?振動する剣なんだろう?」
「初期型のは対装甲性能特化型だからね、装甲車やKMFと比べて柔らかい合金主体のアンドロイド相手だと切りづらいんだ、もちろん、スパスパ斬れることに変わりはないよ」
「なるほど、初期型でも良いが、アンドロイド相手なら新型MVS・Cに軍配があがるわけか………」
MVS・C自体使うことが少なかったから使用感に関してはわからん………だが短く取り回しが良いと言う新型には興味がある。
何より、馬鹿みたいに長い剣よりか、やや短いくらいの長さ、スコットランドのクレイモアこそ扱い易い剣のひとつ。
不謹慎にすぎる物言いだが…………如何な切れ味であるか、剣を学ぶ1人の人間として、多分に興味が湧いてくる。
片手運用前提のレイピアでは、私らしい戦闘ができない、回避主体の戦闘など、私らしくもない。
やはり、目にも留まらぬ足運びと、そこから繰り出す剣技、そこに純粋なパワーを加えるのが私流の剣術。
長剣、大剣、どんとこい。
この有り余る力………アンドロイド数体で満足できるかは知らないが。
少なくとも……………………私を主人殺しと罵る輩を斬り捨てれば、『スッキリ』するだろうことは想像できる。
まずは、武器がいるな、クラブハウスの私の部屋にあるから、咲世子に電話が早いか。
「…………もしもし?」
『もしもし、ツキトさんですか?』
「咲世子、すまないが、私の部屋にある大きな剣を総督府まで持ってきてくれ」
『かしこまりました、お急ぎですか?』
「あぁ、頼んだ」
『はい、お伝えしましたらすぐに向かいます』
「頼む」
これで、20分もしないうちに届くはずだ。
次はルルーシュ、ゼロだな。
「もしもし、ゼロ」
『こんな朝早くに……何があった?』
「こちらの不手際で新型兵器が暴走してしまった、総督府内に封じ込めはできたが、いつ飛び出してくるかわからない」
『なるほど……つまり、シティ全体の騎士団を厳重警戒状態にせよ、と?』
「そうだ、すでに新型兵器によって総督府の関係者に死者が出ている状況だ、気を引き締めさせろ」
『…………わかった、通達しよう、その新型兵器の特徴を教えてくれないか?』
「美女に見えるロボットだ、古めかしい剣を武器に使うやつらだ、もしもの時は見つけ次第破壊して構わない」
『了解した、こちらに被害が出ないことを祈る』
「私もだ、では頼む」
『あぁ、では……』
これで、シティはなんとかなるはずだ。
「ツキト君、今のはゼロかい?」
「そうだが…………それが何か?」
「なんで普通にケータイで連絡取れるの?いやさあ、君ならプライベートのホットラインくらい持ってて不思議でもないけど」
「ふっ、やっとロイドらしい腑抜けた面構えになったな」
私はそのアホヅラもなかなか気に入ってるんだぞ?ロイド。
「いやいや、ふざけてる場合じゃないから!いい?ゼロはまだ総督府で古くから勤めてるブリタニア人には目の敵にされてるんだよ!?そんな人物とプライベートで連絡がとれるなんて………」
「それがどうした?」
「は!?なんで今のでわかんないの!?もう一回言うよ!いい?ゼロはね……」
「ロイド」
「なにさ!途中で遮r
「【そ・れ・が・ど・う・し・た?】
「…………っ」
そうか、ゼロはまだ嫌われているのか、そうかそうか。
ふぅん、それで?【それがどうした?】
ゼロの問題はゼロの問題であり、私に関係があるとは思えない。
恨むなら勝手に恨め。
それで時代に置いていかれようと、どうなろうと私が知るところではないのだから。
絶句したまま動かないロイドを放っておいて、カーテンを潜って出る。
「おっと」
すんでのところで思い出し、ポケットから赤い紙で包装された薄い長方形の物体をロイドめがけ投げた。
「あ痛!……え?なにこれ?」
「ゼロと、黒の騎士団、彼らがブリタニアから勝ち取ったものの一部だ」
「…………チョコレートじゃないか」
そう、チョコレート。
何の変哲も無い、メ◯ジのミルクチョコレート味の板チョコだ。
「そう、それはただのチョコレートだ…………だが、それを作っている工場はブリタニアの日本侵攻時に瓦礫になり、また、灰になった」
「じゃあ、これって……」
「その灰の中で足掻き、踠き、我らブリタニアと対峙し、やっとのことで勝ち得た日本エリア全土にある【シティ】…………そこに再建された工場で生産された、第1号のチョコレートだよ」
そうだ、そのチョコレートは、日本というかつての国家が、自治区という新しい形で蘇るための、楔のひとつ。
「そのチョコレートの菓子会社を始め、様々な日本の企業が立ち直り、シティの至る所で活動を再開し、軌道に乗りつつある」
「また新たな事業が始まりつつある、日本人主導の新たな枠組み作りがな!」
「他にもまだ、まだまだたくさんあるぞ!ゼロと黒の騎士団…………日本人の彼らが、ブリタニアに勝利し、勝ち得たものによって、日本人を蘇らせた、その証拠が!」
ポケットのボールペンを取り出す。
「これを見ろ!メーカー保証半年が付く20ドルのボールペン、だがこんなシャープなものブリタニアにはない……」
「もしや!」
「あぁそうだ!!日本製だ!!」
ケータイを取り出す。
「これを見ろ!わかるか?ブリタニアの工場では作れない、メイドインジャパンの極薄ハードカバーだ!」
袖をまくり腕時計を見せる。
「これを見ろ!精巧な作りだろう?だがスイス製じゃ無い!日本製の腕時計だ!」
足を振り上げてベッドの淵にのっける。
「これを見ろ!い〜い革靴だろう?なかなか値が張る高級品だ、革はブリタニアだが生産は日本だ!」
ロイドのベッドの布団カバーを引っ張り上げる。
「ここ!なんて書いてあるか読んで見ろ!」
「……『メイドインジャパン』」
「日本製、そう!日本だ!日本なのだ!ゼロと黒の騎士団は、【日本を取り戻した】!」
布団カバーを元に戻す。
「200年余りどのエリアも成し遂げ得なかった偉業だ!わかるかロイド?ゼロと黒の騎士団は【強者】だ!」
巨悪に立ち向かう英雄、弱者の盾となることができる勇ましき者たち、それこそが…………。
「強者だ、強者なのだ!ブリタニアと同じく!彼らと我々は対等だ!200年余りの月日があって誰もが諦めた手段を行使し、見事、我らから勝ち取った勝利の証!【民族の誇り】!」
日本人として誇り!そして……。
「そして、彼らはひとつ証明してみせたのだ…………私の亡き主人の、いや……………我が【王】の正しさを!彼らは証明してくれたのだ!」
諦めない心、刃が折れても止まらぬ歩み。
ルルーシュとナナリーのただただ、純粋なまでの、平和と平等への思い。
「平和と平等………我が王が目指した理想、その答えのひとつを、彼らは私にみせてくれた…………」
ルルーシュは王としての才覚を表し始め、ナナリーはマリアンヌを超える剣士として上達が止まらない。
「我が王の【理想の証明】、従者として、これほど嬉しいことがあるだろうか…………」
ない、ないのだ、あろうはずがない。
ルルーシュとナナリーに仕えてきたこの19年……………喜びを実感し続ける日々であった。
だから、だからこそ私もその喜びの対価を返していかなければ。
「我が忠誠に、一点の曇りなし……………我が王こそ、唯一無二の【正義】なれば」
それが、それこそが、私の生命の、存在の証明!
「我が王を晒しめ、木偶人形の分際で驕る者共を、始末するが我が使命」
徹底的に潰さねばならん。
我が王への冒涜は、我が怒りの大海へ飛び込むことと知れ!
「いま、私こそが………俺こそが、【忠誠】だ………!」
壊してやる。
TKTニキ「kwsk教えろ〜、あくしろ〜」
ロイド「戦闘データと一緒に記憶(思い出)データ送ってセンセンシャル!」
TKTニキ「あいつら死を探してる、はっきりわかんだね(大嘘)」
ロイド「ウッソだろオイ……ん?マジ?…………ありますねえ!(納得)」
TKTニキ「つべこべ言ってないで武器出せコラァ!」
ロイド「MVS・Cはブリタニアで生まれました、日本の発明品じゃありません、我が国のオリジナルです。
精密機械の導入が遅れていましたが、今や巻き返しの時です。
ご覧ください、いい重量でしょう?バッテリー効率が違いますよ!
それにこのサイズ、スコットランドの戦士たちの武器、クレイモアを模した扱いやすい長さの両手剣!」
TKTニキ「1番気に入ってるのは……」
ロイド「なんです?」
TKTニキ「値段だ(予算はかかっている)」
TKTニキ「これ見ろよオラァ!この美味しそうなチョコレートをよぉ〜!」
ロイド「え?なに?これは?」
TKTニキ「MADE IN JAPAN つってんだYO!!!」
ロイド「ファッ!?」
TKTニキ「(日本人の凄いところは)再生力ぅ、ですかねえ……(経済効果は)1年半で、5000万ドル!(どんぶり勘定)」
ロイド「たまげたなあ……」
TKTニキ「(材料の)輸入!(日本エリア内で)生産!(できた製品を)輸出!って感じで」
ロイド「ゼロと友達とか、国民に怒られちゃうだろ!」
TKTニキ「はっ?(全力の威圧)」
ロイド「クゥーン……」
TKTニキ「馬鹿野郎俺の王様最強だぞオラァ!!!(忠義)」
飲み物紹介のコーナー。
ツキト「キリンガラナの紹介から間が空いたな、まあ不定期だから気にしないでくれ。
今回紹介するのは意外とコアなファンが多いニッキ水だ。
前回紹介したキリンガラナと比べて若い年代にはあまり知られていない飲み物だな。
このニッキ水は、水にシナモンの香料や甘味料や酸味料、合成着色料を加えて作られる飲料だ。
カラーは三色、赤、緑、黄で、1番人気はその奇抜さから赤らしい。
肝心の味に関してだが、甘味料で甘い味付けなので当然甘い。
問題は、シナモンの香りが嗅覚を強く刺激し、舌から喉までを麻痺にも似たヒリヒリとした感覚を長く残すという特徴を持っている。
そんな問題のニッキ水だが、意外にも販売当時は駄菓子屋等でラムネと同等の人気を博したようで、シナモンの解熱効果などもあり、特に夏にはうってつけであったようだ。
また、入れ物が小さなひょうたんの形をしたガラス瓶であったこと、合成着色料の濃さ故に舌が染まることなどから、飲み干した後は緑色や黄色に染まった舌を見せ合って楽しむという方法もあったようだ。
私も1番人気という赤色のニッキ水を飲んでみたが…………一気飲みはやめた方が賢明だ、これはかなりくる……。
当時の子供達も、ラムネのようにグイッと飲むのではなく、少しずつ舐めるように飲み干したらしい。
現在は生産している工場が少なく、たったの4軒程度になってしまっている。
今回のニッキ水はハタ鉱泉のものだ、ハタ鉱泉は年間50万本程度を生産しており、特にシコクシティ、キュウシュウシティで人気があるそうだ。
シナモンということもあり好き嫌いがはっきりわかれるタイプの飲み物だ、友人に進めるときは決して無理強いはしてはいけないぞ。
今回の紹介はこのへんで終わることにする。
あぁ、間違っても、一気飲みはするなよ?いいな?
ではまたいつか、会おう。
…………くっ………さっきから喉がヒリヒリして敵わん…………咲世子、紅茶をいれてくれ」
咲世子「かしこまりました、シナモンティーでございます」
ツキト「やめんかバカ!!」