コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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TKTニキ「半年ぶりに帰って来たら………」

っていうお話し。

今回もカオス!特に最後の方!バイオレンス!


『我が王』へ敬意を。

【コーネリア様、病より復帰!】

 

【ユーフェミア様、未だ病で床に……】

 

「ユフィお姉様が心配です……」

 

「そうだな…………ツキト、ユフィの病気はどんな病気なんだ?」

 

「インフルエンザでございます、ユーフェミア様はコーネリア様に比べ、少し免疫が………」

 

というか、ユーフェミア持病の変態症がな………。

 

「なるほど…………あとで詳しく教えてくれ」

 

「御意に」

 

今日も、平和な朝が来た。

 

日曜日の朝、クラブハウスでいつものように咲世子の最高の朝食を食べる。

 

「ツキトさん、その、今夜は………」

 

「ふふっ…………あいております」

 

「ほ、本当ですか!?やったぁ!」

 

「あぁ、ただ、いま聞くことじゃないよね?」ニッコォ

 

「は、はひゃい!(………あっ、なんかちょっと、ゾクゾクする)」

 

喜んでくれるのは良いが、ルルーシュの表情が曇るんだよナナリー………。

 

「…………ナナリー、ツキトとそういうことをするのは別に良いんだが………あまり大っぴらに話されると、な」

 

「ご、ごめんなさいお兄様……」

 

「ナナリーは偉いな、謝ることができて…………ツキト、しっかり支えてくれよ?」

 

「わかっておりますルルーシュ様、それに元より、私にはナナリー様しかいらっしゃいませんから」

 

「ははは、冗談がうまいなツキトは」

 

こんな、バカな人間もどきを愛してくれる人など、ナナリーかアーニャかユーフェミアくらいしかいない。

 

あれ?意外と多い?

 

朝食を終え、ナナリーは午前中の自由参加の補習授業を受けるため、準備をして出て行った。

 

「行ってきますね、お兄様、ツキトさん、咲世子さん」

 

「行ってらっしゃい、ナナリー」

 

「行ってらっしゃいませ、ナナリー様」

 

「行ってらっしゃい、ナナリー」

 

ルルーシュ、咲世子、私の順でナナリーを見送る。

 

「はい、ツキトさんはまたあとで」

 

「うん、午後に会おうね」

 

アッシュフォード学園へと出かけるナナリーの見送りを終え、ルルーシュと2人で部屋に入った。

 

「それで、ユフィのことだが」

 

「はい、実は………」

 

私はルルーシュに全てを話した。

 

リストカットをして閉じこもったという嘘に騙されて薬を盛られ、拘束され犯される一歩手前までいったこと。

 

コーネリアが便乗してきたことも含めて話した。

 

アンドロイドについては話していない。

 

「……………すまない、想像以上にヘビーで俺にはなんとも……」

 

「いえ、私が悪いのです、ルルーシュ様がお悩みになることではございません」

 

「いや、俺の親友で幼馴染でナナリーの夫であるツキトの悩みだ、俺なりにできることがあれば手伝う、何かあればいつでも呼んでくれ」

 

え?……………なんか、ルルーシュちょっとイケメンになってないか?

 

「ありがとうございますルルーシュ様…………しかしルルーシュ様、その…………少し変わられましたか?」

 

「変わった?そうだな…………実はな、お前が紹介してくれたクレアさんに………告白されて、な」

 

「なるh……………ハァッッ!?」

 

クレアと!?え?マジで?ウッソオ!?

 

「彼女とメールや電話を交わすうちに、惹かれて行ってしまってない……………何度かデートを重ねて、それで、彼女のほうから交際を持ちかけられたんだ」

 

やるじゃねえかクレアのやつ……………そしてルルーシュ、そこはお前から告れ!

 

クレアもなに痺れ切らして告ってんだバカ!お前いつも『ルルーシュくんから告ってもらうんだ(ハート)』って言ってただろうが!

 

「それで…………まだ返事は返してなくて」

 

「はや返事せいや!」ダァン!

 

「ほぁっ!?」

 

あ、いつもの癖でつい…………じゃない!

 

「なにしてんねん!女の子の告白を保留とか……………お前ホンマに男かボケェ!!心決めてさっさといったれ!好きなら好きと言え!!」

 

「うぐっ……………たしかに、その通りだ!言うぞ!俺は言うぞ!」

 

「せや!そのいきや!」

 

「あぁ!すぐにでも伝える!つぎのデートで、しっかり伝える!」

 

「いいぞルルーシュはん!咲世子ォ!酒や!ルルーシュはんの恋の成就祈祷の酒や!」

 

「はい、1番良いものをお開けします」

 

いつの間にか部屋の中にいる咲世子に酒を要求、今日はもう飲むぞ!めでたいんだからな!飲んでもいいんだ!

 

「あっ!ちょっと待て!」

 

「はい?」

 

瞬足で1番良いワインを持ってきた咲世子に待ったをかけるルルーシュ。

 

「今日の夜に、2番目のやつにしてくれないか?」

 

「…………どうしてですか?」

 

ふう、ちょっと冷静になれた、話し方も戻ったぞ。

 

「1番良いやつは…………俺とクレアさんが付き合ったら、一緒に飲みたい…………!!」

 

「ルルーシュ様…………世界一やホンマ!」

 

あぁ^〜〜テンション上がってまう〜〜。

 

「ルルーシュ様、今夜の夕餉は少々豪華にさせていただきます」

 

「ありがとう、咲世子……世話をかけるな」

 

「お褒めに預かり光栄の極み」

 

さすが咲世子はできる女。

 

そう、ルルーシュが2番目のワインと言った瞬間に2番目の良いワインをすでに用意しているくらいできる女。

 

……………なんで人外の私より速いの?

 

(メイドですから)

 

こいつ直接脳内に!?

 

「な、なるほど、ルルーシュ様の雰囲気が変わられたのはクレアの告白があったからですか」

 

「彼女の想いを受けて、俺もしっかりしなきゃいけないと改めて感じたんだ」

 

「最近では、スザクさんと一緒に筋トレも始められたのですよね」

 

「筋トレを!?ルルーシュ様が!?」

 

ミレイのいつも言ってる『恋はパワー!』っていうのもバカにできんな。

 

「腕立て伏せ10回もできないような男じゃ、クレアさんの隣には立てないからな」

 

なんだこのジャンプ系主人公!?

 

友情と努力を兼ね備えやがった…………こりゃ勝利も近いな(確信)。

 

「そんな事情があったとは………」

 

「ツキトには、早めに言いたかったが、戦場にいるツキトに負担はかけさせられまいからな」

 

「そのようなことは!」

 

「いいんだ、ナナリーと毎日メールのやりとりをしてくれていたんだろう?これ以上を望むのは強欲だ」

 

「ルルーシュ様…………」

 

本当に誰だよお前………ってくらい成長しやがった。

 

やばいぞこれは………ルルーシュファンクラブの定員数が倍になるな。

 

すでに爽やかイケメンルルーシュと爽やかイケメンスザクの汗だくツーショット写真が出回っていてもおかしくないはずだ。

 

「俺の話はこれくらいにして、実はツキトに伝えておきたいことがあるんだ」

 

「私は出た方が?」

 

「いや、咲世子にも聞いてもらいたい」

 

「かしこまりました」

 

「それで、伝えておきたいこと、とはいったい?」

 

ルルーシュが席に座るよう促したため、互いに席に座ってルルーシュにそう問う。

 

「黒の騎士団は今、カレンや藤堂を含む【保守・穏健派】、そのほかの団員による【革命・過激派】の二つに分かれてしまっている」

 

「巨大組織故の、派閥化、ですか」

 

以前にC.C.から聞いていたが、ルルーシュの様子からするとかなり深刻なようだ。

 

「穏健派は、ブリタニア、というよりユーフェミアやツキト、そしてアッシュフォード家に協力して、自治区へと近づいていこうという派閥だ」

 

「過激派は………だいたいわかりますね」

 

「ツキトの思っている通りだと思う、つまるところ、過激派は『テロリスト』になることと同義だ」

 

「………厄介でございますね」

 

客観的に見て、かつての反ブリタニア勢力だった黒の騎士団と、今の自警団組織の黒の騎士団では、求心力が違う。

 

志も何もない、ただの烏合の集に成り下がってしまっては、ナリタ山攻略戦どころの規模では済まない死人が出る。

 

こうも上手くことが運ばんとは…………転生者であるとはいえ、所詮は人間に毛が生えた程度のモンスター風情ではどうこうできんか。

 

私1人で何かしようとは思っていない、そう思えるほど私は傲慢でもなければ強くもない。

 

黒の騎士団問題はデリケートに過ぎる、場合によってはスザクにも応援を頼むほかないだろう。

 

「とりあえず、現在の規模はどれほどのものなのですか?」

 

「全体で見て3割といったところだ、構成員は若い団員を中心に幹部が数名、か」

 

資料を取り出してそう説明するルルーシュ、資料を受け取って名前の羅列を確認していく。

 

「血気盛んな若者が、見誤ったか…………目先の釣り針に食いつきおって」

 

短気は損気、待つことを知らん若造どもめ、死に急いでどうする…………。

 

「現在の問題として、過激派連中はトウキョウゲットー………あぁ、今はシティだったか」

 

「えぇ、ゲットー、ではあまんまりということでユーフェミア様が暫定的に【シティ】と名付けられました」

 

こういう細かいのに頭が回るところはさすがだな、私の脳みそはもう固まってしまっているようで呼び名までは気づかなかった。

 

やはりユーフェミアは生かしておいて正解だった。

 

「そうだ、そのトウキョウシティにて、過激派連中は同志を募っている」

 

「止めないのですか?」

 

「巡回中に見つけたらやめさせるようにしているが、巡回の連中の中にも過激派はいるからな」

 

「こういう派閥争いは何か小さな衝突から対立へと転じやすいものです、なるべく穏健派と過激派はわけたほうがよろしいかと」

 

小さな揉め事が殴り合いに、それが発展して模擬戦中に殺し合いにでもなってしまえば、必ずマスコミは嗅ぎつけて面白おかしく取り上げてくる。

 

そうなれば、自警団組織として処理した私や、バックのコーネリア、ユーフェミアの立場が危うい。

 

「俺としても、過激派連中の行動を抑制しつつ、派閥そのものの解体を進めていく」

 

それが正しい、だが、それだけじゃ止まらんのだ、感情というのものは。

 

「お気をつけくださいルルーシュ様…………もし、この時期に指導者であるゼロが派閥争いで負傷でもすれば………いえ、もしかしたら」

 

「どさくさ紛れに、ゼロを殺そうとするかもしれない、か?」

 

「ルルーシュ様?」

 

「それくらい読めない俺ではないぞツキト」

 

「は、はっ!申し訳ございませんルルーシュ様、ですぎたことを………」

 

「よい、俺個人として、何でもかんでも頼りっぱなしでは格好がつかんからな……………お前の主人として、クレアの恋人として」

 

「ルルーシュ様………」

 

カリスマを備えつつあるか……………やはり我が主人に相応しい!!

 

人智を超えた能力と人外の生命力を手に入れても、手に入らないもの…………それは、支える価値ある偉大な主人だ。

 

ようやく、ようやく手を伸ばせるぞ。

 

ふっ…………なんだ……………世界という独楽は、ちゃんと私の思い通りに回っているじゃないか!

 

「えぇ………えぇ!そのいきでございますルルーシュ様!」

 

我が身、我が心は喜びに満ち溢れる!あぁ、これこそ歓喜の瞬間か!

 

我が主人は立たれた、自らの力で御そうと、ご決断なされた!

 

「このツキト・カーライル、如何なる命にも忠実に執行致して見せましょう!」

 

「よろしい、では………ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアがツキト・カーライルに命じる、明日、総督府に登庁後、エリア総督のコーネリアに現状を伝えよ、ゼロの密命を受けた、という口添えを加えてな」

 

「はっ!承知いたしました、我が王!」

 

喜べ!ツキト・カーライル(私)よ!!

 

我が王の、我らがブリタニアの王たるルルーシュ・ヴィ・ブリタニア様の勅命であるぞ!!!

 

振るえよ我が肉!我が心!

 

我が王は玉座を立たれたぞ!

 

さあ!劇場の掃除は済んだか!?幕は張ったな!?メイクはバッチリか!?道具の準備いいか!?マイクチェックいいな!?

 

よろしい!第2幕の幕開けだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて言ったが、今日は1日ナナリーと過ごす日。

 

というわけで、明日から本気出すぞ。

 

常にあんなテンションじゃ疲れるからな、休み休みいこうか。

 

なぁに、休みといっても、劇中の舞台裏で休む数秒ぽっちのものさ。

 

舞台に上がったなら、私は全力で演るさ。

 

「それで、今日はどうするんだ?」

 

「それなんですが………」

 

ナナリーとともにユーロピアへ行く前の、いつもの時のように体育館に来たが、ナナリーは練習道具を胸に抱えて俯いている。

 

なにやら少し言いづらそうだ。

 

それに、フェンシング部の様子も少し変だ、ナナリーが来たというのに近寄ろうともしない。

 

前は私がいてもナナリーの様子を見に近くまで寄って来たものだが…………。

 

「どうした?」

 

「その、実は、フェンシング部全員と相手をして欲しいんです!」

 

「ほう?全員ときたか………」

 

ナナリーの性格からして、こういうお願いごとはし辛かっただろうな………。

 

「ツキトさんが私のために練習に付き合ってくれているのは知っています…………でも、それでもお願いしたいんです!」

 

「…………とりあえず、理由を聞こうか」

 

ナナリーから語られたのは、アッシュフォード学園フェンシング部をより強くしたいという願いだった。

 

だが……………私にはとてもそうとは思えない、思えなかったのだ。

 

それに、どこか、悲しそうな気が…………いや、違うな、これは………。

 

あっ、あれだ!子供がオモチャを欲しがっていて、母親に迷惑をかけたくないから我慢している、そんな表情だ!

 

あぁ、そうか、そりゃそうだよな。

 

半年、半年も欠かさずに練習していたら…………誰よりも強くなっちまうよな。

 

『自分に釣り合う練習相手』がいなくなってもおかしくないか。

 

強くなったら強くなったで練習相手はいないし、みんなからは強すぎて怖がられる………不憫だが、素晴らしい才能と努力だ。

 

ルルーシュは王として相応しくなりつつある。

 

そして、ナナリーは剣の腕が日本じゃ収まりきらなくなるときた。

 

はっ………なんてこった………2人とも、私が知らないうちに……成長、し過ぎだろう………。

 

嬉しいやら悲しいやら、私の心は複雑で大変だよ、まったく………。

 

「ふぅ……………なあ、ナナリー」

 

「は、はい!」

 

「……………私の、剣の師匠と会ってみるか?」

 

「つ、ツキトさんの…………剣の、先生………ですか……………!?」

 

思いもよらぬ提案にびっくりした様子だが…………ははっ、さっきまでの曇った顔はどこいった?

 

楽しみでしょうがない、そんな笑顔になってるじゃないか、え?

 

つくづく、ジャンキーだなナナリーは。

 

「い、いつ会えるんですか?」

 

「彼は総督府に住んでいるから、次の休みに総督府へ行こう」

 

「いきなりお邪魔して大丈夫でしょうか………?」

 

「そんなことないさ、彼は飢えてるんだから」

 

「飢えてる?お腹空いてるんですか?」

 

その考え方まんまマリアンヌと同じだな………かわいすぎか!

 

「ある意味そうだな、自分と全力で斬り合える剣士を…………彼は探しているようだよ?」

 

「!!!」ギュゥッッ……

 

ナナリーは練習道具を抱きしめ力強く握り込んで目を見開いた。

 

女の子がなんて顔するんだ……………かっこよくて惚れちまいそうだよ。

 

もう惚れちまって結婚確定だが。

 

「その人は、ツキトさんよりも………」

 

強いのか?だって?あぁ……………。

 

「当然、剣の勝負において、彼と私の勝負は引き分けが続いている…………今は、私の方が一勝分多いがね」

 

「…………そんな人と、会ってもいいんでしょうか?」

 

なんだその目は?まるで『ワタシ、その人を初対面で倒しちゃいますけど?いいんですかぁ〜?』とでも言いたそうな目は。

 

「あぁ、構わんさ、ナナリーでは『彼には勝てない』からね」

 

「っ!………それはまだ決まってないです」

 

「そうかい?いやあ、私にはわかるんだよ…………私と同じスタイル(戦い方)のナナリーじゃあ、まずないね」

 

「そんなこと、やって見なくちゃ…………」

 

「勝て」

 

「!!」

 

「勝ってみせろ、私の師匠を…………超えてみろ」ニヤッ

 

そうすれば……………。

 

「いずれは………マリアンヌ様に届くかもな?」

 

「……………言ってくれますね、ツキトさん」ググッ

 

「その割には、笑顔じゃないか?」

 

「笑顔になるに決まってます…………もっともっと強い人と戦えるんですから」

 

綺麗な笑顔でそう言い切り、私に抱きついてくるナナリー。

 

「おいおい、それじゃあまるで、私がそんなに強くないみたいじゃないか?」

 

「あれ?ツキトさんなんて、強いわけないじゃないですか」ニヤニヤ

 

「「「「「「!?」」」」」」カチン

 

瞬間、体育館から音が消えた。

 

ナナリーの放った挑発の一言に反応して体育館にいるすべての生徒が動きを止めてしまった。

 

おいおい、まさか私が切れたとでも思ってるんじゃないのか?

 

まったく、失礼しちゃうぜ。

 

「ぷっ………ハハ…………ハハハハハッ!あーーーっはっはっはっはっはっ!!!」パンパン

 

大爆笑、両手でパンパンと拍手をしながら上半身を仰け反って笑う。

 

「あら?ツキトさん?どうしたんですか?」

 

「いやいや、失敬失敬!いきなり変なことを言うもんだから思わず…………………キレちまったよ」

 

キ・レ・るに決まってんだろうが!!!!

 

私は短気だよ!あぁ!短気で損気なツキト・カーライルだよ!

 

「おいナナリー、覚悟はできている、と…………そういう認識でいいな?」

 

「え?あの、ツキトさん?今のはちょっとした冗談というか、なんというか………」

 

「……構えろ」スッ

 

「ひゃいっ!?(ふぇぇ……かっこいいよぉ……)」スッ

 

「行くぞ」

 

泣きべそかきながら構えるナナリーに向かい、私は突進した。

 

「だぁれが強くないって!?えぇ!?」

 

「い、今までよりずっと速っ!?」

 

「そこぉ!脇が甘いィ!」ピシッ!

 

「っつ!?……そこです!」ビュオッ!

 

「遅い!!」ピシッ!

 

この後、めちゃくちゃエペした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

no side

 

 

「容赦、なさすぎですよ………ツキトさん」

 

「途中から順応し始めた奴がよく言うわ………」

 

へたり込みタオルをクビにかけ、スポーツドリンク片手に文句垂れるナナリー。

 

かたや、休みもせず剣を持ちステップの感覚を忘れないように動き続けるツキト。

 

「ついて、いけても、速すぎて、ぜんぜん、剣先が、捉えられ、ないんです」

 

息も絶え絶えにそうこぼすナナリー。

 

フェンシングのエペのルールにおいて限定的にツキトを追い込む方法は簡単だ。

 

攻め込まれる前に先手を打って攻め、そのままペースを維持すればいい。

 

ただし、ツキト以上の速さで持続させる必要がある。

 

ナナリーが勝てないのは、常にツキトに先手を取られるからである。

 

試合のペースを握られ、点差が開き、勝たねばという気持ちが早まって焦りを生み、そこを突かれ負ける。

 

上の通りツキトの戦法は驚くほどに単純で、ただ焦らせてミスを誘って倒すという、基本中の基本の戦法だ。

 

ナナリーとて熟知してはいた、ナナリーと剣を交えた者は、幾度となくこの『待ち』の戦法で挑んできたからだ。

 

しかしツキトの待ちの戦法はそもそも前提から違う。

 

待ちの戦法の大前提、相手の攻撃の隙をついたカウンターは、つまるところ相手が攻撃してくれないと無理なのだ。

 

相手に攻撃してもらわないと自分が攻撃できない、だから攻撃を誘うためにわざと隙を見せたり、剣を持つ手を震わせて弱く見えるようにする。

 

だがツキトは違った、待ちの戦法なのに隙がない、城のようにどっしりと構え、持ち前の覇気が攻撃を無意識に戸惑わせる。

 

ナナリーはツキトの覇気に慣れてしまっているため、それほど影響を受けないが、それでも少し鈍る。

 

そこを見極め、ツキトはナナリーが攻撃しようと腕を伸ばし始める瞬間に、それを上回る速度でカウンターを突いているのだ。

 

無論、ナナリーも強い、ツキトの攻撃を読み切る目を持っている。

 

だが、無意識に鈍った腕で放たれる突きでは、ツキトに簡単に見切られる。

 

カウンターを避けようにも、すでに突くための姿勢からの回避は難しく、また雰囲気に飲まれ鈍ってしまっているため、脳の指令に対し身体が反応できない。

 

本来の力を制限されてしまうルールの中であっても、ツキトは十分に強いのである。

 

動作確認を終えたツキトは、剣を置いてスポドリを口にしつつ壁に寄りかかった。

 

タオルで汗を拭き、ナナリーの方を向いた。

 

「まだまだ、私には並べないようだな?」

 

「むぅぅ……」

 

笑うツキトに膨れるナナリー、2人寄り添って休憩する様は、いつもと同じ光景だった。

 

「ま、もう少しは待つさ、早く来いよ?」

 

「す、すぐに追いついてやるんですからっ!」

 

「そのいきだ」

 

アッシュフォード学園は、今日も平和な時間が流れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツキトside

 

 

夜中の午前2時、クラブハウスで連絡を受けた私は疲れた体を叩き起こし、シャワーを浴びて着替え、バイクで総督府へやってきた。

 

小銃を持ち防弾ベストをつけた兵士たちが総督府を囲む異様な光景が、嫌でも私に現実を叩きつけてくる。

 

「…………状況は?」

 

「はっ!特派が開発中のアンドロイド数機が原因不明の暴走状態に陥り、総督府敷地内の生物を無差別に攻撃、確認できただけで31人が重軽傷、4人が死亡です」

 

「総督府内部に封じ込めはできましたが、まだ取り残された兵士が数名いて、救出部隊を編成しております」

 

思った以上に最悪な状況か………プロジェクト凍結どころの話ではないか…………やってくれる。

 

「コーネリア様とユーフェミア様は?」

 

「コーネリア様は指揮所に、ユーフェミア様は有事の際ということで…………」

 

「出して問題ない、人名が最優先だ………私の秘書、クレアを見ていないか?」

 

「ユーフェミア様の側でメンタルケアをしている、と聞いております」

 

ふう、クレアが生きていてくれてよかった。

 

せっかく王が波に乗って来たときに、蹟かれては困る。

 

「ふむ…………コーネリア様は今も指揮を?」

 

「はい、指揮所にて救出部隊の編成等を行っております」

 

「すぐに向かう、指揮所はどこに?」

 

「御案内いたします、こちらへ」

 

兵の後ろについて歩き出す。

 

兵の案内で指揮所に向かう中、総督府中央入り口を見る。

 

テーブルやイス等の家具から、掃除道具などを雑多に組み合わせ、装甲車で塞いだ強固なバリケードが見える。

 

視線を上に向けると、たくさんの窓が見える、どの窓も防火シャッターが降り、中の様子は伺えない。

 

空を見上げる、総督府の異様な様相に気がついたマスコミが飛ばしたらしいヘリコプターが総督府の周りを旋回飛行している。

 

「あちらです」

 

「ご苦労、君は戻ってくれていいぞ」

 

「はっ!」

 

駆け足で来た道を戻る兵を一瞥して、【指揮所】と看板があるテントに入る。

 

「コーネリア様、遅れて申し訳ございません」

 

「ツキトか、よく来てくれた」

 

大型テーブルに総督府の内部地図を広げ、周りをコーネリア、ダールトン、ギルフォードが囲んでいた。

 

「状況は聞いているか?カーライル卿」

 

「その呼び名はあまり好ましいものではないのだが…………状況は聞いた、アンドロイドの暴走によって死傷者が出たのだろう?」

 

「そうだ、なんとか封じ込めはできたが、未だ数名が取り残されている」

 

「場所は?」

 

「防御拠点として性能の高い君のオフィスだ」

 

「…………う、うむ、なるほど」

 

通信機材、保存食料、睡眠用の毛布、水、トイレ、シャワールームを備え。

 

窓は防弾ガラス、部屋を囲む6方向の壁には重機関銃弾も耐えられる防弾板が仕込んであり、防弾ガラスを割って外に逃げられるように特殊ハンマーを隠してある。

 

そのほか、有事の際にはクローゼットの奥にサブマシンガンと散弾銃がいくつか入っている、アナログなダイヤルロックだが、コード認証式よりも早く取り出せる。

 

「通信は健在か?」

 

「先程から不通だ、おそらく、線を切られた」

 

「無線も通じない、何らかのジャミングがされている」

 

ダールトンとギルフォードから帰って来たのは最悪の知らせ。

 

これではクローゼットの火器類や脱出用特殊ハンマーの位置を教えられない。

 

アンドロイドはロイドの特注、拳銃弾程度では歯が立たない。

 

最低でも拳銃のマグナム弾、散弾銃のスラッグは欲しいところだが…………小銃弾でも弱点さえ撃ち抜けばいけるか。

 

いや、それを伝える手段がない、私のオフィスに完全に籠城して、間違えても打って出ないことを祈るほかない。

 

もしくは……………。

 

「救出作戦、しかないか」

 

「そうなるだろう、だが問題は多い、敵である暴走したアンドロイドは性能が高いだけでなく、我々人間によく似ていて、我々同様に軍服を着用している」

 

「判別がつかず攻撃の判断が難しい、というわけですか」

 

無情で無敵の殺人マシンに追いかけられる恐怖、加えて見た目が人間と区別つけられないときたか………性能通りではあるが、敵になるとトコトン厄介だな。

 

「そうだ、それに加え馬鹿みたいに頑丈だ、推測でしかないが、完全に制圧するにはKMFで使用するような機関砲レベルの火力が必須だろう」

 

「一時的に動きを止めるだけなら、カーライル卿の巨大なリボルバーのパワーであれば可能なはずだ」

 

コーネリアの説明とダールトンの補足を聞きつつ、策を練る。

 

KMFは…………中に入れない、だが敵は中から出てこれない。

 

中に入れないのなら、外に出たところを迎撃すれば…………だめだ、取り逃せばトウキョウシティだけじゃ収まらなくなる。

 

突入は…………アンドロイドの強力な装甲に対抗できる手段を、屋内で歩兵が運用するのは限界がある。

 

「交渉はできないのか?」

 

「難しいかと思われますコーネリア様、相手はアンドロイド、人間でいうところの理性が存在しないのです、話し合いができるとは到底……」

 

「交渉は無理か…………対物ライフルで武装させれば、どうだ?」

 

「恐れながらコーネリア様、屋内で対物ライフルを使用する訓練は前例がなく、殲滅は難しいかと」

 

そもそも人間の動体視力で高速移動するアンドロイド相手に重く長く扱いづらいアンチマテリアルライフルでは…………。

 

「ならば………特派に残っているアンドロイドが2体あっただろう?あれなら同等の戦力になるはずだ!」

 

「コーネリア様、現在暴走中のアンドロイドはあの2体のバージョンアップモデルです…………残念ながら、相手になるかどうか………」

 

私の人格データを濃く反映したヘンゼルとグレーテルであっても、戦闘特化モデル相手では荷が重すぎる。

 

くそっ、ないか?何かないのか!?

 

KMFの兵装並みの火力を発揮できて。

 

人間が運用できるくらい小型で。

 

今ここですぐに使える武器は?

 

何か………何かないのか!?

 

「コ、コーネリア様!!」

 

その時、1人の兵士が指揮所に飛び込んで来た。

 

「なんだ!?」

 

「コーネリア様!こ、このようなものが!」

 

兵士から差し出されたのはどこにでもある白い封筒だった。

 

表には【コーネリア様へ】と書かれている。

 

「なんだ、これは?」

 

「4階付近から落下したものであります、裏をご覧ください」

 

「裏?………な、なんだこれはァ!?」

 

「どうされt……な、なんと!?」

 

驚愕するコーネリアとギルフォード、ダールトンは眉をひそめて冷や汗を垂らした。

 

裏返された封筒にはしっかりと【アンドロイド一同より】と書かれていたからだ。

 

「ど、どういうことだ?意思の疎通は困難なのではなかったか?」

 

「わ、罠やもしれません!あのアンドロイドは我々人間を知っています!誘い込んで首を狩るつもりではないかと!」

 

「しかし、それならば人質をとった方が効果的です」

 

「ダールトン将軍の意見に賛同します、あのアンドロイドは私たちが思う以上に理性的であるのかもしれません」

 

「ならば…………ならば、なぜ?」

 

手紙をよこしたのか?という沈黙の問いに、ダールトンは封筒を顎で指すことで答えた。

 

読めばわかる。

 

ダールトンは、無言で言いきった。

 

「…………開けるぞ」

 

ダールトンの答えを聞いてコーネリアは封筒を開いた。

 

封筒の中には1枚の手紙、他には何もなくとてもシンプルで拍子抜けするほどだった。

 

「…………ダールトン」

 

コーネリアは手紙を読んだかと思えばすぐにダールトンに手渡した。

 

時間にして言えばおよそ20秒程度だった。

 

手渡されたダールトンはというと…………。

 

「コーネリア様、これは………」

 

ダールトンは手紙をテーブルに置いた、身を乗り出して手紙を読んでみる。

 

「そう来たか……」

 

ギルフォードはつぶやく。

 

手紙の内容は、暗号文だった。

 

それもブリタニア軍内部のものではないオリジナルのもの。

 

おそらくアンドロイドたちが生み出した文字と言語だ。

 

「解読させろ、コピーをとって構わん」

 

「わかりました」

 

ギルフォードは暗号文書を持ってコピーへと走っていく。

 

コーネリアとダールトンは何か話しているようだが、私には聞こえない。

 

私は…………私はどこかで、あれを……………

 

たしか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ツキト!ぼくの作った暗号文だ!解いてみろ!』

 

『えぇ、では少し時間をくださいませ』

 

『少しなんて言わず、1年でも10年でもいいぞ!』

 

『そうですか?では100年後に答え合わせをしましょうか』

 

『な!?ま、まて!早めに!早めに出せ!』

 

『かしこまりました…………はい、解けました』

 

『は、早すぎだろツキト〜〜!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………そんな。

 

「ば、ばかな………そんな…………そんなはずは……」

 

これは私の記憶にだけあるルルーシュとの暗号文解読勝負!その中にあったものだ!

 

「なぜだ、なぜ私の記憶を………」

 

どうやってあのアンドロイドに…………‥っ!!!

 

「そうか…………そうだったか」

 

あぁ、可能だったな、そう言えば。

 

聞かなくては、ならんな。

 

「コーネリア様、ロイドはどこに?」

 

「ん?ロイドか?やつなら向こうの臨時医務室に……………ひぃっ!?」

 

「臨時医務室?………ありがとうございます」

 

一丁前に怪我人気取りか、まったく、笑いもでんぞ。

 

「お、おいツキト!どうしたんだ!?なにか……」ギュッ

 

「コーネリア様」

 

「お、おう、なんだ?」

 

「私は少々、急用ができました」

 

「それは、どんな用j」

 

「コーネリア様?お手をお離し下さいませんか?」

 

「は、はい………」スッ

 

急用だ、急用なんだ。

 

あいつに聞かなきゃいけないんだ。

 

私の………私の思い出……………私の王の記憶…………。

 

ケガスヤツハ、ユルサナイ

 

「たとえ殺してでも聞き出してやる」

 

待っていろ、ロイド。

 

判決を、言い渡す………。

 

「死神のお迎えだ」




ルルーシュ「クレアお姉さんに告られたゾ」
TKTニキ「はぇ〜、すっごい、で?どう?返事ぃ?」
ルルーシュ「いやいや!まだまだこれk」
TKTニキ「ふざっけんじゃねえ!!」
ルルーシュ「ふぁっ!?」
TKTニキ「男なら、どげんかせんといけんときがあるじゃろ!!」
ルルーシュ「っ!」
TKTニキ「わかったか?返事ィ!!」
ルルーシュ「んにゃぴ、やっぱり僕は、いや…………俺は………王道を征く」
TKTニキ「Foooooo!!!ええぞ!ええぞ!やっぱり我が王は、最高やな!あ^〜たまらねえぜ!!」

ナナリー「(強い剣士)欲しいのぉ!!」
TKTニキ「わ↑し↓の師匠と合わせてやってもいいけど………お前どう?」
ナナリー「やったぜ、もうTKTニキなんて足元の爪だぜ」
TKTニキ「はっ?」本気モード
ナナリー「え?なに、それは?(畏怖)」
TKTニキ「『3回』だよ『3回』!!」タタタァンッ!
ナナリー「やめちくr」
TKTニキ「YO!!」スパッシャァッ!
ナナリー「あぁぁぁあああっぁぁああん、ごめんなさい!許してください!なんでもしまむら!」
TKTニキ「ん?今しまむらでなんでも買ってくれるって(ry」

コーネリア「アンドロイドが暴れてんだよなぁおい!」
ダールトン「YO!!!人が死にましたぁ〜〜」
ギルフォード「あぁぁああああああああぁぁぁああぁぁああぁ!!もうやだぁあああああああ!…………早く殺そうぜ!」
一般伝令兵士君「手紙ゾ」
コダギ「「「ファッ!?」」」
手紙「ほら、見ろよ見ろよ【omankokowareruxu ikuiku ikisugixi !!!】」
コダギ「「「クゥーン……」」」
ツキト「あっ、ふーん(暗号理解)………あっ(察し)………はっ?(憤怒の覚醒)」
コーネリア「やべえよやべえよ………マジギレじゃん……」

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