コードギアス オールハイルブリタニア!   作:倒錯した愛

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前回のアラスジィ!!!

TKTニキ「研究室行って、(処刑専門のアンドロイド)作れ」
ロイド「かしこまりぃ!」


『繊細』な『指使い』

ツキトside

 

 

晴れ渡る青空…………うぅ〜〜ん、なんと清々しい朝か。

 

実に半年ぶりとなるナナリーとのデートの日が、これ程恵まれた天気になるとは………白い神の仕業だとしたら良い仕事だと褒めてやりたいところだ。

 

まあ…………………デートの描写は全カットだがな!!!

 

いろいろと燃え上がったが…………別に他人に言うことでもないから、別にいいだろう?

 

いや、ユフィに襲われ、コーネリアに裏切られ、セシルその他数名の女性に直立した愚息を晒したことでやさぐれたわけじゃないぞ?

 

本当だからな?

 

さて…………ユフィに襲われ、コーネリアに裏切られ、セシルその他数名の女性に直立した愚息を晒して以来、軽い鬱状態かつピンク模様な頭を切り替えて。

 

仕事をしようかね。

 

あぁ、そうそう、ユフィは3週間、コーネリアは1週間の謹慎処分に処しておいた。

 

少しはお灸をすえるのが良かろう…………というダールトンの提案である。

 

かの名将も、さすがに堪えたようである、私もできる範囲で彼のサポートをしてやるとしよう。

 

ギルフォードはコーネリアの世話係としてつけたが…………問題は起こらんよな?まあ一応女性兵士もつけてるから大丈夫だろう。

 

そもそも今日出てくるしな。

 

で、ユフィの方には女性兵士数人がかりで交代勤務による監視をさせている。

 

ついでに面会の禁止、用を足す以外の目的で部屋を出ることの禁止、部屋の外の人間と会話の禁止(手紙、通信機器含む)などのサービス増し増しの自室謹慎だぞ、喜べ。

 

あとでわかったが、リストカットも特殊メイクとメイドの口裏合わせと分かり、思わず怒りのような感情が湧いて謹慎の間ずっと手錠でもさせようか悩んだ。

 

結局はしないことに落ち着いた、主にスザクのおかげで。

 

スザクと言えば、ユフィの口裏合わせにスザクも加担していることを後で知った。

 

スザクに隠し事ができるのか、とても疑問に思ったが、まああいつはユフィの騎士だし、騎士は主人の一番の味方ということもあって協力したんだろう。

 

しかしまあ、なんだ………なんでユフィはあんなことしたんだか…………。

 

理由を聞いても話してはくれなかったから分からないし…………気の迷いだろう、そういうことにしておこう。

 

早速、今日の書類仕事に取り掛かるとしよう。

 

総督府にある私の執務室に入る、部屋の前にある掛札から、すでにクレアは来ているようだ。

 

「おはよう」

 

「おはよう、有給は楽しめた?」

 

中に入るといつも通りの調子でクレアが話しかけてきた。

 

「それなりにな…………いや、正直に言おう、ほとんど引きこもっていた」

 

「あー…………あんなことされればそうもなるわね」

 

「本来なら、あそこまでされたら喜ぶべきことなんだろうが…………我ながら情けない」

 

上着を脱いで適当に掛け、椅子に座って書類の束をペラペラとめくる。

 

今日は少ない方だな、ダールトンがあらかたやってくれたのか?

 

「不倫……………とまではいかないけど、下手したらセフレみたいなものになっちゃうし………」

 

「だからこそ、2人の謹慎は流行病で公表したんだろう」

 

「えぇ、仲良く2人で流行りの風邪にかかった、ってね、なかなかいい考えでしょ?」

 

「cleverなやつだな」

 

「もてあましてるfrustrationを発散してあげようか?」

 

「やめとけ、そんな小綺麗に揃えたネイルじゃ、とても私は狙えないぞ」

 

「…………BO◯WYを知ってるのね」

 

「その一曲しか知らないが、一応ファンを名乗らせてもらおうか」

 

他のも聴いたが、marionnetteほど耳に残らないせいでそれしかマトモに歌詞も知らんのでな。

 

「そう、じゃあ、ユフィとのcomplicationもしっかり解消しなさいよね、仕事なんだから」

 

「たまにはoccupationを忘れさせてくれ」

 

「ふざけてないで仕事しなさいよ」

 

「いきなり戻すんじゃない…………コメディ番組じゃないんだぞ」

 

言いながら渋々書類に手を伸ばし、内容を確認していく。

 

ユフィの部屋の床の請求は私宛なのか…………私の命令ではあったが、それはそれでどうなんだ?

 

特派に払わせるにしても結局は予算が減る、ユフィに払わせる場合それはお小遣い(国家予算)から捻出することになるし…………私が払うのがベストか。

 

将来の金が減るなあ………収入のが多いからさほど気にすることでも無いが、通帳を見るたび減っていく金を見るのは少し……。

 

だが一番辛いのは給料日…………増える方が怖いのも、うん………やはりおかしいな私は。

 

「おーい、毒盛られて襲われた小僧」

 

ノックもなしにドアを開けて入って来た無礼者…………C.C.は、そう言いながら私の執務机の前に椅子を置いて座った。

 

「ノックくらいしろ、この処女ビッチが」

 

「お前もなかなか酷い言葉を言うな………じゃなかった、ほれ、第一次の復興支援隊の資料だ」スッ

 

「ありがとう」サッ

 

ふむ、『第一次復興支援隊の日本エリア帰還に伴う資料』、か。

 

食料は使い切ったようだな、バッテリーは充電中で、メンバーは帰宅したのか。

 

再招集アンケートのイエスが7割弱……………やはりあの環境は堪えるか。

 

よく復興のために立ってくれたものだ、こちらは満足な報酬も何も用意できないというのに………。

 

「よし、C.C.、こっちの書類のグラフの赤い部分が残予算となってて、使い切る必要がある、この範囲内で復興支援隊に参加したメンバーに適当に何か見繕って郵送しておけ」

 

「えー…………そういうのはあっちの秘書の仕事じゃないのか?」

 

C.C.は不満げにクレアを指差すと、クレアは嫌そうな顔をした。

 

「C.C.のほうが暇でしょ?ちゃんとやりなさいよね」

 

「C.C.、クレアも忙しい身だ、暇なら働け、終戦後のこの時期、仕事は増えはするが減りはしないんだ」

 

のちのち楽をするためには、今それをやらなければならないからな。

 

「はいはい、わかったわかった、しょうがない、このC.C.がやってやるとしよう」

 

「頼んだ」

 

残予算の書類と復興支援隊参加メンバーの資料をもって部屋を出ていくC.C.。

 

たまには休みでもやるか。

 

ん、そろそろだな。

 

「特派のほうを見に行ってくる、留守は任せた」

 

「はーい、しっかりやりなさい」

 

「お前は私の母親か」

 

「なぁに?嫌なの?」

 

「……………悪くないな」

 

「うわきも」

 

「今日一番傷つく言葉をありがとう………」

 

軽口を叩きつつ部屋を出て特派の研究室へ。

 

ヘンゼルとグレーテルの解析具合を見にいくついでに近接戦闘特化型の開発状況を見なければ。

 

しかし、開発を言い渡した次の日のロイドのやつ、その日の怒りようが嘘みたいにニタニタしてたな。

 

天才は研究以外の記憶はトリ頭なんじゃなかろうか?

 

もしかして……………普通にバレたのか?

 

わざわざ廃案を極秘文書に仕立て上げて、さも帝国に『特派はしっかり軍事目的で研究をしている』という建前作りで十分な予算を頂戴するために一芝居打ったっていうのに…………。

 

んまあ、今更このくらいの恥ずかしさは気にならん…………展示品の如く直立した愚息を見られたことに比べればな。

 

「あっ、おはようございます!カーライル様………(可愛いお顔をしていらっしゃるのに、あ、あんな凶暴なモノを……////)」チラチラ

 

「おはようございますカーライル様!(ね、ねえ?本当にあのカーライル様の股間に………////)」チラチラ

 

「カーライル様、おはようございます(ビックキャノンがあるっていうの!?)」チラチラ

 

「あぁ、おはよう」

 

なぜそうも私の顔ではなく股間に視線が行くのだ貴様ら!

 

そもそも貴様ら、人妻(既婚者)だろうが!!!

 

朝から疲れさせてくれる………まあ、こういうのも、平時だからこそできることなんだろう。

 

戦時では、こんなくだらないことで悩む余裕もなくなるからな……………平時のありがたみがよくわかる。

 

そこでだ、本当にくだらないからもう私の愚息について噂するのはやめないか?(半ギレ)

 

気にしたところでどうにもならん、ロイドのところ急ごう。

 

研究室のドアにノックをして入る。

 

「ロイド、どんな状ky」

 

「セシル君!逃げて!」

 

「い、いやぁっ!!」

 

お、おいおいなんだこの状況は!?

 

見たこともないアンドロイドが、両手にショーテルを握って、それをめちゃくちゃに振り回しながらセシルに突進してやがるじゃねえか。

 

セシルは怯えて腰抜かして動けねえし、ロイドは遠隔装置らしいものを弄ってるが効果がないように見える…………ちっ。

 

「朝っぱらから面倒くせぇなぁ」ブォン!

 

近くにあった折りたたみ椅子を謎アンドロイドに向けて思いっきり投げつける。

 

左手のショーテルに当たってショーテルが砕け散り、勢いそのままに折りたたみ椅子は謎アンドロイドの頭部に激突。

 

首から上がもげて謎アンドロイドは機能を停止した。

 

「え……え?」

 

「え?ちょっとちょっと、なんでクビが………」

 

「セシル、怪我はないか?」

 

「え………あっ、ツキト君…………じゃなかった、は、はい、擦り傷くらいです………」

 

「よかった、すぐに医務室に連れて行く、ロイドが」

 

「はい、わかりました……」

 

大した怪我はなさそうだな、擦り傷と………足首の捻挫くらいか。

 

「それから、ロイド、クビが弱すぎる、もっと頑丈に作れ、あとセシルを医務室へ連れていけ」

 

「あぁうん、改善点としてリストに………………じゃないよ!ツキト君のパワーじゃどうあっても防げないでしょ!?」

 

目の前の光景に唖然としていたロイドは、ハッとして私の方を向いてそう抗議してきた。

 

「だいたい今のはなんなのさ!?アレはただの折りたたみ椅子なんだよ!?なんであんなただの単管パイプの繋ぎ合わせたモノにアンドロイドのクビから上を壊されちゃうのさ!?」

 

「硬いものが当たったら人間のクビくらいもげるだろ?」

 

「あれはアンドロイド!!人の数倍以上の剛性を持つ、サイズ比で見れば陸上最強の存在なの!!!」

 

ロイドはクビがもげて動かなくなったアンドロイドを指差して続ける。

 

まあ、サイズ比で見れば確かに陸上最強の戦車も逃げ出す性能だろう。

 

だからと言って戦車より強い奴に勝てる保証はないが。

 

「しかもあれは、君のオーダー通りの耐久性能を発揮できる機体なんだよ!?なんで壊せるのさ!?」

 

「そりゃあ、かたちあるもの、いずれは壊れるからだ」

 

「一休さんじゃないよ!」

 

ロイド、お前一休さん知ってるのか……………。

 

っと、そんなことより。

 

「話はあとだロイド」

 

「ちょっと!?」

 

「今は安全の確保が先だ、研究室を一時封鎖、書類をまとめておけ…………あのアンドロイドもしばらく拘束しておけ」

 

「うっ………………まあ、こんな状態ならしょうがないかなぁ」

 

ロイドはシブシブと行った感じでそう言い。

 

「その前に、ちょっと休憩させてよ、セシル君あんなだから、ね?」

 

と言った。

 

「あぁ、医務室でよく見てもらった後でゆっくり外でコーヒーでも飲んで、それからでいい………それまでは私があれを見張っておく」

 

ピクリとも動かないクビなしアンドロイドを顎で指してそう言い、総督府の喫茶店で休むように伝え、財布から数枚紙幣を渡す。

 

「いや、さすがにツキト君からは………」

 

「もらっとけ、私が金をやったという理由があったほうがセシルを休ませやすいだろう」

 

「セシル君は生真面目だから逆に気にすると思うよ?」

 

「えぇい、受け取っておけこのバカモン、パンケーキでもパフェでもなんでも食ってこい!」

 

拒もうとするロイドに無理やり握らせ、ドアの方に振り返る。

 

「始末書一枚くらいは私が書く、お前たちはまず頭を休めろ」

 

「……………ツキト君さあ、そういう優しいところで絶対損してるよね」

 

「かもな……………ロイド、お前も男なら、腰を抜かした女の1人くらい介抱してやれ」

 

「ツキト君のほうがうまいんじゃないの〜?あ、でもツキト君は腰を抜かさせるほうかな?」

 

「物理的に腰を抜かさせてやろうか?」ポキポキ

 

「ひっ…………セ、セシルくーん!怪我とかなーい!?」

 

あんの馬鹿(天才)が………。

 

しかし、ゆっくり休んでからやれとは言ったものの…………。

 

「だいぶ…………暴れまわったんだな」

 

セシルを狙う直前まで部屋中をひっかかき回していたわけか、誤作動か何かでターゲットしてしまったのか、はたまた………。

 

「まあ、いい…………ヘンゼル、グレーテル」

 

「………んぁ?」

 

「うぅ〜〜ん………なぁに?」

 

研究室隅に置いてある棺桶に呼びかけると、ヘンゼルとグレーテルの2体が蓋を持ち上げて出てきた。

 

どうやら2体ともスリープモードだったようだ…………あれだけあのアンドロイドが暴れていたのに、気がつかなかったのか?

 

「仕事だ、あそこで事切れたクビなし人形を見張ってろ」

 

「ふぁぁい………」

 

「ぅん…………」

 

グレーテルは眠い時は結構素直な反応をするな。

 

「気をつけろ、さっきまで暴走状態だったんだ、いつまた暴れてもおかしくはない」

 

「動いたらどうすればいーの?」

 

「破壊して構わん」

 

「弱点とかないの?」

 

「お前らとほぼ同型、今はそう言っておこう」

 

2体は棺桶から出ると、近くのクローゼットから服を取り出して着はじめた。

 

念のため言っておくが、寝るときに衣服があると邪魔だと言ってこいつらが勝手に全裸で寝ているだけだからな?

 

私やロイドがそう示したわけじゃないからな。

 

「うーん、今日はこっちかな?」

 

「ヘンゼル、それは可愛いけど動いたら破けるわよ」

 

「そういうグレーテルは何にするっていうの?」

 

「運動用のタイツでいいでしょ、これなら安いからダメにしたって損は少ないし」

 

「え〜〜?私それダサくてキラーイ!」

 

「じゃあ水着でどう?」

 

「水着か〜……………うーん、あ!これ可愛い!」

 

…………………なんだろうな、この…………。

 

べっぴんの双子が洋服屋さんで買い物を楽しんでいるこの絵。

 

…………平和だな。

 

「………ふふっ」

 

「あっ、ちょっとーオリジナルー?」

 

「いきなり笑うとか………ちょっと怖いんだけど」

 

「てめえら解体すっぞ」スゥッ…

 

「「任務了解!配置付きます!」」ダダッ!

 

ったく……………。

 

とりあえず、リンクさえしとけばそれなりに動けるだろう、今は無くとも意志を持って動けるからそれでも良さそうだがな。

 

しかし、ゆっくりで良いと言った手前、あまり強く言えんが…………。

 

「なかなかの速度で広まりつつあるからなぁ…………やはり、フレンチは生来の噂好きらしい」

 

ユーロピア戦線に居た頃、プロパガンダの一環として作り上げたホラ話。

 

【敵将を狩る超隠密特殊部隊(声なき狩人)】………音を極限まで出さないように訓練された兵士、およびその現代から見て明らかに原始的な武器(音の少ないロングボウ、パチンコ、ナイフなど)によって将校を暗殺する特殊部隊。

 

【レーダー探知されない樹脂製誘導爆弾(プラスチックミサイル)】………名前通り、プラスチック樹脂製のミサイルによる発見不可回避不可の超遠距離攻撃能力があると思い込ませるためのウソ。

 

【不夜騎士中隊(ローゼン・リッター)】………昼夜を問わず奇襲攻撃ができる精鋭パイロットだけを集め、特製ステルス装置搭載型KMFによる変幻自在のゲリラ戦闘を仕掛けるKMF部隊。

 

【ツキト・カーライルの見えざる剣(エレメンタル・ソード、もしくは魔剣)】………私自身の様々な噂を逆手に取り、【悪魔から受けた力によって『魔剣』を召喚、離れた場所の人間を両断する】、という、もはや迷信もびっくりな大ホラ。

 

『ツキト・カーライルの処刑部隊(心なき兵士たち)』………全身を黒いヴェールやマントなどで覆い、肌の露出は一切なく、中世期の処刑道具を持ち、いついかなる時間と場所であっても刑を執行する、心なき死刑執行人。

 

どれもこれも荒唐無稽すぎておとぎ話にもならないホラ話ばかりだが、意外にもどれもそれなりに効果があり、中でも処刑部隊だけは他のものより効果があった。

 

戦後処理の中、押収されたデータの中に、処刑部隊に対する対処法のデータがあったのを見つけたのだ。

 

我ながら良案だったな、ありもしない幻に怯えてくれてありがとう………と考えていたが、本国への『言い訳』を考えているまさにそのとき、ふと、思った。

 

「『作れるんじゃないか?』」

 

まさか、とは自分でも思った、嘘が誠になるとは微塵も思いもしなかった。

 

ロイドには嫌なことをさせるが…………しかし、現実に、完成するのだ。

 

植民地支配下にある地域の治安維持のための処刑部隊(プロパガンダ)………うむ、悪役らしくてなかなか良い感じだ。

 

今後は、処刑部隊による展開も考えねばなるまい。

 

できたら何で試そうか…………………あぁ、そういえば、実験にちょうど良い場所があるじゃないか。

 

「中華連邦くらいひろければ…………良質なデータがとれそうだな」

 

くくっ…………あと少し、あと少し、はは………。

 

「もう少し………」

 

目指したモノはもう眼と鼻の先にある。

 

だが………しばし待て、待つのだ、今はしばらくの間、耐えよ。

 

今はまだ足を振り出す時ではない。

 

玄関先で立ち止まって、リュックの中身を確認する時だ。

 

出発前の最終チェックってやつだ。

 

遠足の前に、ちゃ〜んと、荷物を準備しとかないとなぁ………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

no side

 

 

カッ………

 

幕が閉じた劇場の、スポットライトが照らし出す。

 

真っ白な顔、頬っぺたには赤い星のマークと黄色い月のマーク、赤と青の生地と飾り物がついたジェスターハット、ゆったりとした派手な道化服、先のとんがった靴。

 

道化を語るピエロが劇場の舞台の真ん中に立っている。

 

キリキリキリ……

 

キュイッ………キリキリキリキリ………

 

「第1幕はこれにて閉幕、皆様お楽しみありがとうございました………」

 

劇場のよく通る女性の声で告げられる、劇の幕が閉じたことを知らせる声。

 

ペコリ……

 

ピエロは道化なポーズで一礼をすると、元になおって両手を振って観客席に振り始めた。

 

「…………うむ、なかなかいい感じだな」

 

と、ツキトはそう言って腕を下ろす。

 

すると、先ほどまで両手を振っていたピエロはこと切れたようにその場にへたり込んでしまった。

 

そう、ピエロはツキトのマリオネット、そして劇場と舞台はその風景だったのだ。

 

「一礼の動作でが少しぎこちなかったわね、もう一回」

 

同じような文句でかれこれ数百回もNGを出し続けているクレアに、さすがのツキトも疲れた様子。

 

「せめて5分くらい休憩させてくれんか?」

 

「ダメよ、今日は徹底的にやるわ」

 

「だからと言って3時間もぶっ続けでやるこたぁないだろう」

 

「顔に似合わずスパルタだな」

 

軽口を叩きつつ、ツキトは腕と指を動かしてピエロを操る。

 

操られるピエロは足を肩幅に開き、左手を腰に当て、右手でクレアを指差した。

 

そこからさらに小刻みに動かしてカタカタと震えだす、まるでピエロがクレアを指差して肩を揺らせて笑っているかのように見せた。

 

「動きが固い、もっと生き物みたいに」

 

「おふざけにまでNGを出さんでも良かろうに………」

 

クレアはピエロの人形じみた固い動きにダメ出し、これにはツキトもそこまでやらんでいいだろうに……と溜息を吐いた。

 

「いい?あんたのはカタカタ揺れててまるで病人みたいなの、笑っているように見せるにはこうやって………」

 

と、クレアもマリオネットを取り出してツキトのマリオネットと同じポーズを取らせる。

 

「こう、カタカタじゃなくて、ユラユラって感じに、滑らかに肩を上下させるの」

 

言いながら指を動かして操るクレア、マリオネットは少し仰け反り、ツキトを指差す腕も肘を少し曲げている。

 

ツキトのマリオネットが『指を差して大爆笑のポーズ』なら、クレアのマリオネットは『踏ん反り返って嘲笑うポーズ』だろう。

 

「ほら?どう?」

 

「おぉ………『ヒッヒッヒッ』ってな感じの気味の悪い声が聞こえてきそうだ」

 

「これくらいはできないとね」

 

自慢げにそう言って微笑むクレア、長年積んだ修行を誇りに思っている、というような表情だ。

 

「しっかしあんたも変よねえ、あらゆる才能を持っててなんでもできるっていうのに、手先は不器用なのよね」

 

「手先が器用でなくとも、裁縫やら料理やらビーズ飾り作りやらはできるからなあ……………才能と器用さは別のくくりなんだろうな」

 

「また面倒臭い分け方してるね、神様っていうのは」

 

「全くさ、もうちょっと考えてくれてもよかったのにな」

 

ツキトは自嘲するように笑うと、側にあったゴムボールを2つマリオネットの側に転がす。

 

「ま、クレアのおかげで少しずつ矯正できてると思うがね」

 

転がるボールの上にマリオネットをジャンプさせるようにして飛び乗らせ、マリオネットの足を動かして玉乗りを始めた。

 

キリキリ……キリキリ……

 

マリオネットによって転がるボールを追いかけながら玉乗りさせ、上半身を使って芸を披露している。

 

「マリオネットの基本動作を操れるくらいには、器用になったよ」

 

「感謝してね?でも、基本動作だけじゃまだ1/4人前ね」

 

と言ったクレアは、クレア自身のマリオネットをジャンプさせてボールの上に乗せた。

 

しかしボールに乗せたのは手の方、つまり空中で上下を回転させて逆立ちの状態でボールに乗せたのだ。

 

そのままツキトのマリオネットの玉乗りに追従するよう、手を動かし始める。

 

「これでだいたい半人前、一人前は文字通り【手足が如く】、よ」

 

「奥が深いなぁ、やり甲斐がある」

 

興味深い、そう言いつつツキトはマリオネットを操作しながらクレアのマリオネットと操る指先を見つめた。

 

「やる気があるあんたに言うのはちょっと気が引けるけど、どうしてやろうと思ったの?どっちかって言うと帝王学(?)とかの勉強の方があんたにはあってそうだけど?」

 

「最初はな、ナナリー様を喜ばせるために【芸】を覚えたかったからだな、あとは、手先が器用になれば剣術にも活かせないかと思ったまでさ」

 

マリオネットを操る手を止めてツキトは続ける。

 

「だが…………私は不器用で、頭も悪いから、こういう芸を覚えたとしても、結局は戦うことに使ってしまう」

 

クイ……

 

キリキリ……

 

そう言って糸を引く、マリオネットは糸を引っ張られて各駆動部を動かされてポーズをとった。

 

徒手格闘の練習をする際、ツキトがとる中国拳法の型に似たポーズだ。

 

「戦うこと以外で自分を表現することが下手でね……………だから、戦うことなら、ほら」

 

クイ……クッ……キィイ…

 

キリキリキリキリ……

 

先ほどとは違い、明らかに素早い動きで繊細にマリオネットを操作するツキト。

 

マリオネットは動きに合わせて素早く拳を打ち放ったり、蹴りをしたり跳んだりしている。

 

流れるように一連の動きを終えたマリオネットは、その場に座り込んだ。

 

「いいじゃない、そんな不器用なあんたを、好きだって言ってくれたんでしょ?」

 

「あぁ………………ナナリー様は、本当にお優しい方だ」

 

だから、幸せにしたい……………ツキトはそう呟くと、マリオネットを抱き上げてトランクケースにしまった。

 

「今日もありがとうな、クレア」

 

「授業料は奢りでいいわよ」

 

「やっすい女だな」

 

「あっ、ステーキね」

 

「お高いガールだこと」

 

お手上げだと言わんばかりに両手を開いてプラプラするツキトに、クレアは笑った。

 

「クヨクヨしててもしょうがないわよ、夫なら、妻に頼ってみるくらいはしなさいよ」

 

「ふっ……………あぁ、それもそうだ」

 

クレアの言葉にツキトは笑った。

 

ツキトはトランクケースを持ち上げると玄関で靴を履き、玄関扉を開ける。

 

「そうそう、クレア」

 

「なぁに?」

 

帰ろうとするツキトだったが、何かを思い出してクレアのほうに向き直った。

 

「お前、【前】も【今】も未婚なのによくあんなセリフ………」

 

「ああぁぁ!!もうバカ!早く帰れ!」

 

顔を真っ赤にしたクレアにバァン!!と玄関扉を閉じられ、締め出されてしまったツキト。

 

「今になって恥ずかしがるんじゃないよ…………」

 

足したらアラフォーだろうに………そうぼやいたツキトは近くに留めておいたバイクに荷物を乗せてキーを差し込む。

 

「さあて、帰るか」

 

モーター駆動によって大型バイクは走り出す、ナナリーの待つクラブハウスへ向けて。

 




TKTニキ「あ〜今日もデート楽しかったなぁ〜、早く総督府行って仕事しなきゃ」
クレアネキ「有給の味はどうだ?」
TKTニキ「なおきです」

TKTニキ&クレアネキ「「鏡の〜中のマリオネッツッ!!」」

C.C.「オマ◯コ〜(気さくな挨拶)」
TKTニキ「Fuck you(気さくな挨拶)」
C.C.「資料持ってきたゾ」
TKTニキ「プレゼント見繕っておいてクレメンス」
C.C.「は?」
TKTニキ「あくしろよ」
クレアネキ「そうだよ」
C.C.「しょうがねえなあ」

メイド1「うーわでけぇ!」
メイド2「本当にでっけえなおい!」
メイド3「太すぎるっピ!」
ツキト「(人妻ァ!!)」

謎アンドロイド「ホラホラホラホラ………」ショーテルブンブン丸
セシル「待って!止めれ!」
TKTニキ「あのさぁ………あっ、これ(折りたたみ椅子)」ブンッッ!
謎アンドロイド「は?(首ポーン)」停止
セシル「やったぜ」
ロイド「ちょい待って!なんで壊れるん!?」
TKTニキ「かたちあるもの、いずれは壊れるゾ」
ロイド「あのさぁ………」

TKTニキ「医務室行ってコーヒー飲んでこいオラァン!?」つ金
ロイド「ありがとナス!!」

TKTニキ「謎アンドロイド見張れ」
ヘンゼル&グレーテル「「かしこまりぃ!」」

TKTニキ「マリオネット楽しい、楽しい……」クイ、クイ
クレアネキ「そんなんじゃ甘いよ(達人の妙技)」ギュィィイ!
TKTニキ「ファッ!?」
クレアネキ「これでだいたい一人前一歩手前ゾ」
TKTニキ「はぇ〜、すっごく奥が深い」

TKTニキ「結婚とか、してらっしゃらないんですか?」
クレアネキ「そんなの関係ないだろオラァン!?(ブチギレ)」バァン!!
TKTニキ「あっ(察し)………バイクで帰るゾ」



唐突に始まる、飲み物紹介

TKTニキ
「今回紹介するのは北海道限定のキリンガラナだ。
コーラのように真っ黒な炭酸飲料で、ペットボトルもコーラのペットボトルみたいな赤や黒を基調としたデザインになっている。
味は少し独特で、人によるが、私は薬品のような味、例えば栄養ドリンクのような味を感じた。
他にもドクターペッパーの杏仁豆腐っぽい部分を薄めた味だとか、友人曰く炭酸チオビタなど様々だ。
このキリンガラナは、ガラナというコーヒーの約3倍のカフェインとカテキンが含まれる植物を使って作られている。
このガラナの良いところは、コーヒーの3倍のカフェインを持っていて、それがゆっくりと体内に吸収されることから、急激なカフェイン摂取で体調を崩すことなくリフレッシュできること。
悪いところは、寝る前に飲むと眠れなくなったり、ゆっくり吸収される性質上、夜中に目が覚めてしまうこともあるかもしれない。
北海道限定販売ゆえ、なかなかお目にはかかれないが、北海道ならばどのコンビニでも売っているし、自販機でも手軽な缶タイプのものが購入できる。
お土産の1つとしてオススメしたいところだが………なにぶん炭酸飲料だからな、手持ちも郵送もキツイかもしれない。
北海道の名物の1つとして、キリンガラナを一度飲んでみると良いかもしれない。
最近では、北海道以外の場所でもキリンガラナを見かけることが多くなってきている、近くのドラッグストアでも見かけることができた。
コーラに取って代わる炭酸飲料になる日も、案外近かったりしてな…………。
今すぐ飲んでみたい、というワガママなボーイは通販を活用してみると幸せになれるはずだ。
飲んだら感想を教えてくれ、私はゆっくり、ジンジャエールを飲んで待っているからな。
では、つぎの飲み物紹介をお楽しみに、不定期で更新するから、次回かもしれないしその次かもしれない。
ま、気を長くして待っていてくれたまえ。
ガラナのカフェインがゆっくり吸収されるように、気長に気長に、な。」

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